結界内部!丹生朱美の単独侵入!
ヒュプノス神兄弟神達との全面戦争の幕が上がる。
しかし、この結解の中では不利。
勝機は総本山内に張られた結解の破壊だった。
私は法子よ。
ついに最終決戦ってわけ。
相手は因縁あるヒュプノス神と、その兄弟神達なの。
死の神のタナトスに、邪神エリス。
あら?そう言えば、他の兄弟神達は?
「この敷地にまで足を踏み込むとは、思った以上に厄介。我ら神聖なる神の光に群がるか?虫共よ」
その神の名はオネイロス。
「この厳重な結界の中を、これ程までに早く来た事には褒めてやろう。この私自らが安心して死に誘おう」
この神の名はモロス。
この二神はヒュプノス神とタナトス神と同じく死と夢を司る神。
対し、迎えうつのは何者なのだろうか?
「はぁ~?もともと俺達の本拠地に後から入って来て巣を作った害虫がよく言うぜ」
その者、眼光鋭く、真っ赤な血が染まったような長コートを肩から引っ掛け、ヤクザの若頭のような格好の青年。
この総本山を守護する四本の柱。
鬼神を統べる守護者の一人、坂上田村麻呂。
そして並び立つもう一人。
「この俺の部屋を汚してはおらぬだろうな?こう見えて俺は綺麗好きなのだぞ」
その者、大柄坊主姿の僧侶。
穏やかな雰囲気に見えて、その鍛えられた鍛えられた肉体は衣の外からも見て取れる。
その名を、仁王。
「奪い返させて貰うぜ!」
互いに退かずに、交戦した。
戦いは他の場でも行われていた。
それは姜子牙が安倍晴明を食い止めて先に向かった丹生朱美だった。
「こんな場所に誰にも知られずに結界を張るなんて、半信半疑でしたが安倍晴明さんの反乱は本当だったのですね」
それは地下に続く一本道。
迷うことなく進めるが、先に進んでいるのか?それとも迷宮の罠なのか?
「やはり罠ですのね」
丹生は立ち止まり印を結ぶと、足下に液状の銀が魔方陣を構成していく。
「銀は幸福と魔除けの象徴」
すると液状の銀が通路に伸びて行き、触れた壁や天井の景色が濁るように変わっていく。
「やはり特殊な結界で視界に映る景色を歪ませて見せていたのですね。あるあるですわ。けど、この結界のプロフェッショナルの私には通用しませんことよ」
その時、背後に光る何かが近付く。
「!!」
丹生は飛んで来た短刀を寸前で躱して右手の銀のネックレスを変化させ、銀の液体を伸ばして攻撃する。
が、攻撃して来た者の周りに張られた結界に阻まれて弾けて消えた。
「どうやら簡単には先に進ませてくれませんことね」
歪んだ視界から、新たな神が三体出現する。
「こんな場所にまで入り込むとは、晴明の結界も信用出来ぬな。本当に信用ならぬ!文句言ってやるぞ!」
非難の神、モモス神。
「まぁ~人を信じた我らが罪。全て我らが余所者を信じた事がそもそも間違いなのだ」
苦悩の神、オイジュス。
「しかし暇をしていた。この私自ら狩りをしてやる。逃げたくば逃げてみせよ。ふふふ」
復讐の神、ネメシス。
三体の神を前にして、丹生は流石に勝ち目がないと判断した。
「降参ですわ。無理ですわ」
手を上げて抵抗しない事を示した時、ネメシスが丹生の間合いに入り首を跳ねた。
「ヌッ!?」
が、落下して転がった丹生の頭は熔けるようにして液状化し、熔けてしまった。
「クッ。我ら神を謀るとは人の分際で許せぬ。見つけ出せ!」
三体の神はその場から消えて丹生を追った。
すると残された丹生の胴体が動き出すと、着ぐるみから抜け出すように液状化した胴体の中から飛び出した。
「はぁはぁ。危なかったわ。胴体を斬られてり、貫かれていたら死んでましたわ。流石、幸運の幸運と魔除けの銀の効果は抜群ですわ」
丹生は危険を察知した寸前で己の頭部を銀で作成し、胴体に隠れていたのだ。
「さて、奴らに見つからないように結界を壊しに行かないとですわ」
その指先の三つの銀が三方向に向けると、その一つが光輝く。
「右方向に幸ありですわね」
案内する方向に向かって丹生も先を進んだ。
そしてその先で見つけたのは?
「アレが結界の中心!」
その結界を見た時、丹生は青ざめた。
「これが神のすることですか!」
結界には異様な気を発する植物の根の養分にされた総本山の戦士達がミイラ化して転がっていた。この結解は霊力のある人間達から力を吸収して成長する結解だったのだ。
そしてその中心に、
全身に管のようなものが刺され、ボロボロになった座主が動かずに力無く横たわっていた。
次回予告
丹生朱美の前に動かずにいる座主の生死は?
そして結解を破壊出来るのか?




