主従の血印!桜と守護者達
桜の身に起きたのは?
四人の守護者と孫悟空は戦わねばならないのか?
それは法子達がヒュプノス神達と戦った時に戻る。
この日本にて爆撃機が飛行し、最大級の爆弾と言われるサーモバリック爆弾を投下した。
爆発すれば、法子達だけでなくこの地に住む人間達も巻き込まれ大惨事・地獄絵図になる。
その状況に法子達と共に神達と戦っていた聖龍の巫女である桜は、この一帯を守るために地脈の気を使った結界を張った。
しかし爆弾の威力は凄まじく、その結界は閃光を放ち消滅したのだった。
後に法子達が目覚めた時、爆撃の後は桜の張った結界のお陰で最小限に抑えられて大事になるほどではなかった。
しかし結界を張った桜とは離れ離れになってしまったのだ。
必ず生きていると信じる法子達だったが、桜は生存していた。
目覚めぬ桜を背負い、総本山にまで運んだのは四人の守護者達であった。
そこで安倍晴明の指示に従い、何故か祭壇の上に横にするように寝かせた。
「晴明様。桜は無事なのですよね?この祭壇は何なのですか?」
「黙りなさい」
晴明の言葉に四人は様子を見るしかなかった。しかしこの祭壇で何が行われるのか?総本山を統べる座主様の側近である安倍晴明に任せていれば、何も悪い事にはならないと信じて見守るしかなかった。
祭壇の周りが光輝き、祭壇の下に描かれた術式魔方陣が桜の身体を覆うように光の中へと包み込む。
「蛇神と龍神。その始祖たる黄龍の巫女の転生者、桜。お前の器こそ、この世界の鍵になり得る聖杯。その中に相応しい魂を宿す事で、お前の存在はこの世界の歯車となろう」
その言葉に四人の守護者はただならぬ状況だと気付く。目の前の祭壇で行われているのは、桜を救うのではなく、桜の魂を別の何者かと入れ替える魔方陣なのだと。
「安倍晴明!何を血迷ったか!」
四人は桜を救うべく晴明に向かって攻撃を仕掛けるも、その前には見えぬ結界の壁が邪魔をして進む事が叶わなかった。
「くそぉ!不覚。許さないぞ!晴明!」
だが、四人の前に桜が立ち上がったのだ。
「さ、桜?桜なのか?」
しかし目の前にいる桜は告げた。
『桜なる意識は私の中で眠っておる。私の名はエリス。邪神エリスよ!』
「そ、そんな」
この状況に四人の守護者は、己達が見誤り、総本山に連れて来た事を悔やんだ。
「お前達は私の手駒になりなさい」
「何だと!桜の身体を奪っておいて、俺達が逆らわないと思わないのか!」
「逆らえないわ。お前達はこの桜なる器と契約した守護者。この桜は私であり、私の肉体。私の言葉は桜の言葉と同意」
「ぬぬっ!」
その時、まるで身体が操られるかのように膝をついて、エリスに頭を垂れた。
それは支配だった。
桜の血との主従契約を使った支配。
『主従の血印』
四人の守護者達は、産まれながらに使命を持っていた。
同時に特殊能力を持ち、普通の人間ではない事も理解した。
同じ時代に産まれた戦士達。
しかし時代は平和だった。
普通の学校に通い、いずれ出逢うであろう仲間達と、そして自分達の主人として同じく転生してくる仲間達との邂逅。
四人の守護者達は、まるで惹きつけられるかのように同じ宿命の仲間達と出逢えた。
そして同じ運命を共有し、互いを成長させるべく切磋琢磨した。
己の特殊能力を使いこなすための訓練に、耐えられるための肉体。
見えざる禍々しい化け物との遭遇に対しても、その力をふるい戦いながら実戦での経験値を高めた。そして、彼らは廻り会えたのだ。
己の主人たる娘、桜に。
彼女は華奢な年下の少女だった。
学年で言えば後輩にあたるが、同じ学校に通いはじめ、影なから見守った。
そして事件が起きた事で、彼女の力が覚醒し、その力を支えるために彼ら守護者は桜の前に初めて姿を現した。
「俺達はお前を守るために存在する」
その後、四人の守護者は桜と契約した。
それが、主従の血印だった。
主従の血印は、何があろうとも主を守るための契約であり、もし主が死ねと命じれば、喜んで命を捧げる契約。
だからこそ軽はずみに契約は出来ない魂の呪縛とも言える重い契約なのだ。
この契約があるからこそ、四人の守護者は桜の身体を奪ったエリスの言葉に逆らえなかったのだ。いや?もし逆らい自ら命を断つことなど、決して恐れはしない。
それよりも、必ず桜を元の桜として目覚めさせるまでは死ぬわけにはいかなかった。
だからエリスの軍門に落ちたのだ。
『お前達は使い捨ての手駒よ!あははははは!』
そして今、四人の守護者は己の意思に反して孫悟空と戦っていた。
このまま孫悟空を倒すまで、止まる事はなかったはずなのに。
「なるほどな!なら、もうお前達は自由だぜ!」
「な、何故だ!?主従の血印とは魂の呪縛なのだぞ!それがそう容易く解けるはずがない!」
「そうだろうな。だから俺様は主従の血印を上書きしたのだった」
「うわ、上書きだと?」
「そうだぞ」
「俺達の意思関係なく主従の印を強制出来たら、誰もお前に逆らえない!」
「それにこれは両者の同意があっての契約だ!」
「そう騒ぐなよ~。簡単に言えば、俺様とお前達の魂には既に血印が結ばれていたのだ。そして、そのエリス何たらの強制力は血の契約は結べても魂の契約までお前達を支配出来ないのだ」
「お、お前が何を言っているか、わからない」
「なら、聞けよ!お前達の魂にな!」
「えっ!?」
その時、彼らの胸元から温かくも強い意思を感じる光が彼らを包み込んだのだ。
次回予告
エリスに身体を奪われた桜。
その桜を元に戻せるのか?
法子!




