総力戦!打倒!ヒュプノス神の兄弟達!
法子は仲間達と共に総本山に入り込む。
そこに待ち構えるは、神との戦いであった。
そして法子の前に現れた桜は?
私は法子よ!
私に襲い掛かる桜さんは本気だった。
殺気がビンビン伝わり、私は桜さんの顔を見て、ハッキリしたの
「本当に邪神エリスなの?復活してしまったの?」
「そうよ。お前も贄になりなさい」
振り下ろされる剣が、横から振り上げられた孫悟空の如意棒に弾かれる。
「法子に手を出すなら、この俺様が容赦しねぇぜ」
孫悟空が如意棒を振り払うと、エリスは飛び上がり躱して着地した。
「出来るかしら?お前のような小物に」
「この俺様が小物だと?どうやら相手の力量も分からない雑魚のようだな!」
と、孫悟空が向かっていく。
「!!」
飛び出す孫悟空に向かって、四方から飛び出して来た何者かが攻撃をして来たの。
孫悟空は四方から現れた四人の攻撃を如意棒を振り回して退かせると、
「てめぇら!お前らも操られているのか?それとも正気で俺様に喧嘩売る気か?コラァー!」
けれど、彼らは本当に敵なの?
だって・・・その者達は、桜さんに付き従う守り人。
赤龍朱雀さん、白龍白虎さん、黒龍玄武さんに青龍双龍さんだった。
「俺達は我らの主を守る守護者だ。たとえその身を操られようと、あの中にはまだ桜が生きている。生きているなら、俺達が守るのが定め!」
四人は頷くと、孫悟空に向かって同時に襲い掛かったの。
「しゃらくせぇー!」
四人の聖獣の守護者を相手に戦う孫悟空に、アータルが助っ人に入ろうとする。
けれど、別の存在の圧を感じ取って見上げて先に、
「エリスよ。復活と同時に勝手に出歩くな」
上空からヒュプノス神とタナトス神が現れて、私達に向けて神気を籠めた攻撃を放つ。
「アレは!」
その神気弾は、再び飛び出して来た二つの影により両断されて爆発したの。
「俺達も混ぜてくれまいか?こんなお祭りに参加出来ねば、せっかく来た意味がないからな。そうだろ?仁王」
「そうだな」
それは坂上田村麻呂さんと、仁王さん。
まさかのタイミングで総本山の最高戦力が現れたのだけど、
「田村麻呂さん?えっと、味方と受け取っても良いのかな?」
「お嬢ちゃん。どうだかな。しかし今は、目の前の分かりきった敵を先に片付けてからにしようや」
「そうね。敵の敵は敵の味方ね。ん~?よく分からないけど、私は味方だと思ってね」
ここまで来ると、総力戦よ。
と、戦いの幕が切って落とされた時、こちらでも敵との間で交戦中だったの。
「丹生殿。大丈夫ですか?」
「大丈夫ですわ」
姜子牙君と丹生さんの前には、ヒュプノス神の兄弟である愛欲のピロテース神、欺瞞のアパテー神、三姉妹のヘスペリデスが結界を守るように待ち構えていたの。
「ずっと眠っていて、身体が鈍っておるのでな。この私が先陣をきる。丹生殿は援護を頼むが、良いか?」
「分かったわ」
姜子牙君が前に出ると、女神達は見下したように笑みを見せて余裕面だった。
「人間ごときが神の我々に何が出来るのかしらねぇ~?」
「身をわきまえなさい」
「消えなさい」
女神の周りの空間が歪み、異様な力が姜子牙君の周りを覆っていく。
「姜子牙さーん!」
心配する丹生さんが叫ぶと、
「心配ないさ~。打神鞭!」
姜子牙君が打ち込んだ鞭が空間の歪みを切り裂き、歪みがボヤけながら消えていく。
「この世界には存在しないカミシニ。この忌まわしき力は神の力を無効化させる。今のこの状況には必要不可欠な能力だと思うぞ」
「何なの?あの者は人間じゃないのか?」
自分達の力が目の前で突如消失した事に驚く三神に向かって、姜子牙君は答える。
「私の邪魔をすると言う事は敵だと思うが、私は女子に手を出すのは心苦しいのでな。特に美人さんに手を出すのは抵抗ある。どうだろうか?ここは身を引いてくれまいか?」
姜子牙君の鞭は、阻む三神の邪魔を振り切り、先を進む。
「何ですの~??こんな化け物がいるなんて聞いてなくてよ~」
「私達の力が通じないなんて信じられないですわ~」
「反則よ~」
と、有利に進む中で、姜子牙君は立ち止まったの。
「信じられない・・・。身体が萎縮する?これは、まさか太公望の記憶なのか?」
姜子牙君の動きが止まり、身体を震わせる。
そこに道を塞ぐ者が一人。
陰陽師の姿をした男。
見るからにヒュプノス神の兄弟とは異なる雰囲気だが、発する威圧感は同等の力を感じた。
その者は総本山を統べる座主の側近にして、私の師匠。
反逆者安倍晴明。
「こんな所まで来るとは何者だ?見知らぬ顔だが、構わぬ」
その者は印を結ぶと、歪む空間から鬼神が何体も出現して姜子牙君を襲う。
「退け!魔物の類いよ!打神鞭・血雷」
鮮血の雷が出現した鬼神を貫き、消滅する姿を見た晴明師匠は、
「不思議だ。貴様を見ていると、魂が揺さぶられる。まるで昔から知っているような感覚だ。沸き上がるこの感情は何だ?そして・・・」
すると晴明師匠の身体から噴き出すような妖気が身を包むと、
「獣神変化唯我独尊・九尾」
その姿が、純白の九尾の狐と化した半神半獣の姿となり、さらに純白の身体が深紅に染まっていく。それはまるで鮮血のような変色を見た時、姜子牙君は身震いする。
「まさか!?お前もカミシニの能力を持つ者なのか!?」
晴明師匠から発するソレは、姜子牙君と同じくカミシニの能力が備わっていたの。
そして、姜子牙君は無意識に呟く。
「だ、妲己なのか?」
それは交わる事の無かった邂逅だった。
そんなこんな。
次回予告
孫悟空の邪魔をするのは、エリスと化した桜を守護する者達だった。
しかし彼らの戦いは本意なのか?孫悟空の決断は?




