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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生夢幻現世回帰編!
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友よ夢を託す!


ここまで助けてくれていた一般人の恭介達を惨殺し、


ついに姜子牙に迫るヲタ。


私はずっと見ていた。

見ていたけれど、何も出来なかった。

何も動けなかった。

何もかも失い、未来を見れなくなった無気力な自分にとって、今起きている事全てが、その延長線。


もう、何もしたくない。


何故、何故、私は生きておる?

あの日、あの戦いの後、私も死ねば良かった。

友と共に、私の王と共に。



もう何も気力がありはしない。


生きる目的など有りはしない。


生きる屍だよ。


ならば、いっそう終わらせれば良い!



私の忌眼が、まだ続いておる戦争の鍵?

知らぬわ!

勝手に持っていけ!

私はもう何も関わりたくもない。

私の命ごと、持っていくがよい!



私の忌眼を手に入れるために命を奪うべく、ヲタが目の前で腕を振り上げる。

私の身体を潰して、残った忌眼ごと頭を持って行くのだな?

もう恐れはない。

早く自由にしてくれ。

私はもう何も望まぬから。


その時、私の右腕が熱を帯びるように熱くなった。

ほんの一瞬、私の右腕が発火して全身を覆う。

そして私を叱咤する声が聞こえたのだ。



『馬鹿者!それが俺の運命を託した友の言葉がとして本意なら、とんだ腑抜けだったな!見損なったぞ!姜子牙!!』


「!!」



その言葉は私の魂に響いた。

そして私の魂に揺らぎを与えたのだ。

その声は知っておる。

聞き間違う事など有り得ぬ。


お前は、私の・・・王!



「黄、黄天下なのか?本当に?」



私の問いに、その声の主は即座に返して来た。



『俺の声を忘れるとは、本当に見損なったぞ!それが俺の傍らで、共に世界を統べる誓いをたてた友の言葉だとしたら、俺の目は節穴であったと言う事なのだからな』


「黄天下!」


間違いなかった。

その声の主は、私の友であり、王として誓いをたてた黄天下だった。



「し、しかしお主はもういない!死んでしまったではないかぁ!私はお主と共に世界を統べると誓ったのだ!お前を世界の王として仕えるためにだ!それなのに・・・お主は」


『それに関しては、すまん!』


「すまん!じゃなかろう!」


『しかし腑抜けたな。この俺がいないと、本当にサボる癖は治らんのな』


「当たり前だろ!私はもうお前がいなければ・・・」


『止めろ!男同士で口説き文句は御法度だぞ!』


「そう言う意味ではない!そう言う意味ではないが、やはり私にお前は必要であった。お前が、私の生きる目的になっておったのだぞ」


『だぁ~から!それは、すまん!俺はもう死んでしまったのだからな。だからこそ、俺はお前に言いたいのだ!』


「今さら、何をだよ!」



その後の言葉に、私は固まった。

黄天下の言葉は、私に生きる目的を与えたから。



『俺の為すべきだった王になる目標を、我が共に託す!お前にしか頼めぬ。お前になら出来ると信じている!』


「!!」



しかしそれは重すぎる。

私には重すぎる。



『俺の夢を託せるのは、俺の夢を知り、俺を導けるお前だけなのだぞ。それが、お前が生き残った意味ではないのか?姜子牙』


「そんな事を、私に託すなんて・・・私は自由奔放に、のんびり生きたかった。生きたかったのに、お前にそんな夢を託されてしまったら・・・」


『俺はお前に夢を託すのではい。俺の代わりになってくれとも言わない。ただ、俺がお前の王になる姿が見てみたいのだ。見せてはくれないか?友よ・・・』


「!!」


そして、



『もしお前が俺に見せてくれるなら、俺もお前に託そう・・・』



黄天下の言葉が途絶えた。

同時に右腕の熱も、全身を覆う発火も消えていた。

恐らくは、瞬きをするほどの一瞬の出来事だったのかもしれぬ。



「まっ、待ってくれぇー!まだ逝くな!私はもっとお前と話したいのだぁー!」



だが、黄天下の言葉は返っては来なかった。



「私に、王になれだと?お前の為せなかった夢を私に託すだと?この私にか?こんな私にか?無気力に、未来を見る事も諦めかけていたいた私にそんな重荷を負わせるのか?お前って奴は・・・本当に・・・」




すると時が再び動き出したのだ。

目の前に立つヲタ。

ヲタは腕を振り上げると、この私に向かって振り下ろして来ていた。

このままだと、完全に潰される。

黄天下に託された目的も、今の私には不可能。

何故なら療養の身体は筋力も落ち、力を使う能力も枯れ果ててしまっておる。

このまま本当に終わるしかないのだ。

遅すぎたのだ。



「さがって!」


「!!」


この私の身体を引っ張るようにして身を挺して庇ったのは、先程死んだはずのカスミの姿だった。


「姜子牙さん」



その姿は、異様だった。

潰れた失った身体を支えるように、血液が全身を支えながら身体を修復していたのだ。



「使い方、何となく分かりました。やってみます。はい!」



一人言のように、カスミが言葉を発すると、その増殖する血が全身を覆い、姿を変えた。



「マジカル・カスミン。東京ビッグバンサイトに代わって激おこよ!」



まるで魔法少女のような姿でステッキーを持ち構えると、両腕を振り下ろしていたヲタの攻撃がピタリと止まり、後退りながら苦しみだす。



「ま、マジ?マジカル、カスミンだとぉ~??そ、そんなおバカなぁ~!!」



するとヲタの思考が濁流のように廻り出すと、コスプレイヤーである被写体には距離を取りましょう。とか、コスプレイヤーさんに声をかけたり発する事も出来ません。

長時間の撮影駄目・・・


と、ヲタとしてのマナーが苦しめる。




「馬鹿な、近付けん。近付けんだと??そんなおバカな事があるなんて、自らの思考が制限をかけていやがる??」



それは取り込んだヲタク達の思念。

死んだ後も、魂に刻まれた自らの枷がマナーと言う形でヲタの動きを止めたのだ。



「そ、そんな馬鹿な・・・この俺が、この俺がこのタイミングで、カメラを持っていないなんてぇ~!!!!!撮影出来ないじゃないかぁ~!!!!!!」



う~ん。

何が起きておる?


と、そこにヲタに向かって二つの影が飛び出していたのだ。



「やってやろうぜ!」

「あぁ!」



その二人もまた、ヲタに殺されたはずの恭介と真壁だった。二人もカスミと同様に失われた肉体が血が硬直しながら支えられて修復していたのだ。



「こうやるんだよな。やってやる!」



真壁が胸元から流れる血を手にして濡らすと、その血が形を変えていく。

それは二つの光る棒[ペンライト]だった。

そして素早い動きでヲタの目の前で異様な動きで踊りだすと、ヲタもその動きに合わせるように同じような動きをとる。



「あれはヲタ芸と言うものよ。真壁君は、過去に何度もヲタ芸コンテストで優勝を勝ち取っている猛者なのよ」



カスミの説明に、私は「?」となった。

そしてヲタの身体は無意識にヲタ芸に動きを奪われて、自由に動けずに踊っていた。



「後は俺が決着をつけるよ。この俺の能力は、きっと攻撃向けだからな」



すると恭介は掌の上に二つのブーリと呼ばれる円盤が回転し、その中央に大型のブーリが回転し始める。


「ほらよー!」


そのブーリと呼ばれる円盤に絡めたワイヤーが伸びていき、踊るヲタの背後から通して戻って来ると、もう一つのブーリに絡めて繋ぐ。



「回れ!ワイヤー・ソォー!!」


けたましい音をたてて回る円盤のブーリがワイヤーを引き付けると、ヲタはそのワイヤーに身体を真っ二つに切断されたのだ。



「ウゴォオオオオ!」



そして飛び上がった真壁がペンライトをヲタに突きつけると、その下半身が閃光を放ち粉々に消えた。そして恭介もまた右腕に装着した装備をヲタの胴体に向けて突きつけると、


「コアモーター!」


その胴体を貫通させて粉砕したのだ。

この恭介の武器は、工事現場で使われるワイヤーソーなる機械と、コアモーターと呼ばれる機械を、その身の血で造形して作った即興武器であった。


と、その前に何故?

この者達がこのような能力を?

しかも、間違いなく、この能力はカミシニの血を使う能力ではないのか??



「姜子牙。お前のダチが俺達を生かした。俺達は確かに死んだ。その時、お前のダチが俺達に選択させたんだ。生きて、お前を守るための支えとなるなら、人の身を捨ててでもなお、お前を守る約束をしてくれるなら、俺達に血の能力を与えてくれるってよ」


「!!」


そのダチの名は間違いなく黄天化。

黄天化は倶利伽羅王の特権で、己の血を配下に与えて側近に出来るらしい。

その特権で、死んだはずの恭介達を生き返らせて、私を守らせたのだ。




「ウググゥぐふふっ。死なぬ。この我輩は死なぬぞ!」



それは頭だけになったヲタが、再び宙に浮かび上がり私に向かって襲い掛かって来たのだ。



「お前を喰らって、その忌眼の能力を手に入れてやるぞぉおおおおお!」



が、もう私は決断していた。



「私はもう迷わない」



その言葉に、私の身体を廻る血が活性化して失われた筋力や力を再生させていく。


「打神鞭!」


雷が落ちるような打鞭が、迫るヲタの頭を一瞬で消滅させた。



「長い夢を見ていたようだ。しかしもう目が褪めた。私は、私の友の夢を継ごう」



すると、恭介達が私の前にひれ伏して、



「俺達の血が貴方を守るように告げている。俺達が貴方を守る力となるから」


私は頷くと、この状況に遅れて入って来た勇斗が、倒れている丹生さんを抱き起こして私の姿を睨みながら見ていた。



「お前達を守るように言われていたが、本当にお前達は味方なのか?それとも敵なのか?」



カミシニの能力は神族の天敵。

そう思われても仕方なかった。



「味方よ!」



突如、私達の間に入って来た女の子の声に、私達は全員振り向いたのだ。



「さ~て!これで全員御対面ってわけね」



確か、彼女の名前は、そう。


法子だったな。

次回予告


法子の登場で、この世界でなすべき問題へと話は展開する。



「ようやく主人公の私が活躍するわよ!忘れてないわよね?主人公は私だからね」


「待て、俺様だろ?主人公は!」


「孫悟空は黙ってなさい」


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