刺客?タミネタ!そして戦場へ・・・
法子と孫悟空は、姜子牙までこの世界に来ている事を知る。
そして姜子牙は今・・・
それは法子達がこの並行世界に現れた同時刻だった。
空間の歪みが何もなかった空に穴を開けた。
漆黒の闇が広がる穴の中より、何か物体が抜け出すと、この世界の大地に落下した。
それは丸太だった。
拘束する縄が綻び、その丸太に捕らえられていた者が自由になったのだ。
先早くその異変を察知していた総本山の手練れ達が集まり、その謎の人物を囲んでいた。
謎の歪みの穴から現れし、違和感ある衣を纏う少年の姿に戸惑いつつ。
その少年は立ち上がると空を眺めていた。
無言で、声をかけても反応なく。
言葉が通じないのか?
それとも耳が悪いのか?
無視しているのか?
謎の人物の存在は警戒するに十分だった。
「魔物の類いではなさそうだが」
「とにかく動きを拘束し、捕獲しよう」
「後は連れ帰り、尋問するなりしてあの者が何者なのか知る必要があるな」
そして印を結ぶと、念を込めた縄で拘束するため少年に向けて投げつける。
「!!」
少年に接近した間近で念が込められた縄が塵となって消えた。
それはもう人外的な能力。
無抵抗と言えど、何者か分からない者を野放しには出来なかった。
総本山の者達は警戒しつつも、その少年に向かって捕獲を試みる。
それが少年の防衛本能を目覚めさせた。
少年の右目が光り輝くと、総本山の者達は力が抜けるようにその場に次々倒れていく。
まるで気力を奪われたかのように、全身に力が入らず。
そして少年はその場から消えた。
手がかりもなく、そこで消息が途切れた。
何せ、その少年からは気を感じなかったから。
残留した気を探り、その行方を追うすべが無かったのだ。
場所は変わり、法子達が総本山に最初に出向いた時の時間帯。
ビルを解体していた工事現場で働く作業員達が働く手を止め、目の前に現れた信じられない存在に脅えるしかなかった。
それは太いコンクリートの柱を切断しようと試みていた。
想像以上に内部が硬くワイヤーソーと呼ばれる道具を使用していた。
すると柱を切断している割れ目から古い札のような物が破れて見えた。
突如、柱から炎が噴き出して現場監督が慌てて作業員達を止めると、消化活動を試みたその時、燃え盛る炎が動き出し、石の塊が人の形化して立ち上がる。
「何だ?あれ?生き物か?」
「動いているよな?やっぱり?」
近づく作業員の一人がその物体に近づくと、突然強い力で顔面を掴まれる。
「は、離せぎゃっ」
顔面が弾けて潰れた。
その光景を目の当たりにした作業員達は信じられない状況に背筋が凍り、誰からともなく
逃げ出したのだ。
「マジの化け物だぁー!!」
逃げる作業員達に化け物は礫を投げると、背中から貫通して一人一人倒れる。。
恐怖の悲鳴が響き渡り、化け物は逃げる者達を捕まえて捕食した。
「うぎゅるるる。腹減った。俺、役目果たす。西王母様の役目を果たす」
その者は西王母が放った刺客。
法子達同様に未来に放り込まれた化け物。
西王母の目的は救世主である法子を滅びる未来に送り込むことだった。
しかしそこに予想だにしない事態が起きた。
カミシニの神王を滅ぼすために必要な忌眼と所持者(姜子牙)までもが丸太と一緒に同じ未来に消えてしまったからだ。
そして送り込まれたのが、この鉱物の化け物だった。
が、未来を渡る事は禁忌。
生身では身を滅ぼす危険があった。
法子と孫悟空は金色の魔眼に守られ、姜子牙もまた忌眼に守られていたのは例外にして。
だから目的を果たす為だけに動く鉱物の化け物を刺客として送ったのだ。
忌眼を持つ姜子牙を奪還すれば、直ちに元の世界に引き戻す役目を持つ。
命じられた事のみ動く化け物。
名を「タミネタ」と呼ぶ。
が、時渡りの最中に今より過去の世界に放り出され、目覚めることなく柱の中に封じ込められていたのだ。それが今、目覚めてしまったのだ。
化け物は人間を喰らい、この世界の知識を吸収していた。
「神殺しの気配感じる」
ビルの解体工事現場で起きた謎の作業員消息のニュースは話題になった。
そして姜子牙は今・・・
若者達とともに戦場へと向かっていた。
そこは八月の後半に開かれる大イベント。
それはコスプレや同人誌の即販売。
ヲタと呼ばれる猛者が数千、数万と集い、同じ空気を吸い、世界を共有していた。
その勢いは年々勢いを増しつつも、統制の取れた動きで会場に入っていく。
そこは東京!
ビッグ・バン・サイトなのだ!
そう、そこは出会いと感動の場所!
ビッグ・バン・サイトなのだ!
猛者が集いし、
ビッグ・バン・サイトなのだぁーー!
次回予告
姜子牙と共に東京ビッグ・バン・サイトに向かう若者達は一体?
 




