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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生夢幻現世回帰編!
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滅びる世界と、救う世界!

役小角より語られる過去と未来の話。


法子と孫悟空は何を思う?

私は法子


私はフォン君の生き様を聞いていた。

そして語られる話は、私の世界で生きたフォン君の話から始まったの。



フォン君は九尾の妲己と未来の世界にたどり着いた。

そこで二人は総本山なる組織を結成し、後に三蔵様に繋ぐ基盤を作ったの。

そこでフォン君は役小角と改名したのよ。


その後、妲己さんが亡くなった。

妲己さんはフォン君に呪いをかけ、毎年の激痛を味わう代わりに長寿の秘術を行ったの。


これで未来に現れる三蔵様にめぐり逢える。


が、その間には様々な危険があった。

世界を揺るがす魔物や、厄災。

それに西暦2千年に起きた天使の襲撃。


その激戦の最中、長寿の呪いは解けた。

残された命尽きるまでに三蔵様と邂逅せねばならない。


フォン君は三蔵様の運命の道標。

その魂を救い、支え、強く生きるための師となる定めであり、そして幼少期に助けられた恩を返すために。


命尽きるタイムリミット。

焦りもあったけれど、もう一つやらねばならない事が出来たの。

それは、妲己さんの魂が未来に転生し、そして再び巡り合う運命なのだと。


そして見つけた妲己さんの転生者。

それが安倍晴明師匠だったの。


(えっ?そうなの??)


晴明様は孤独の中を生きて役小角と出会い、そして師と仰ぎ、救われた。





ここまでは二つの世界線の中では、多かれ少なかれ大差ないらしい。

強いて言えば、この世界線にはカミシニが存在しないらしいの。

それは良いのだけど、代わりに三蔵様が存在しない世界線だった。


それはフォン君にとっては絶望だった。

自分の立つ世界線には次第に私の世界線との相違が謙虚に現れだしたの。


この世界を支える救世主は卑弥呼と呼ばれる総本山の女座主だった。


(私のお母さん??)


しかし、この世界には私のお父さんである三蔵様が存在しなく、なんと私の義父親の蛇塚軍斗さんと夫婦になったとか。


そこに現れたのが、フォン君と妲己さんと共に、過去の世界からこの世界へと繋ぐ穴に落ちて現世に現れた蚩尤

蚩尤は総本山に現れ、滅亡危機まで陥ったの。

座主だった卑弥呼様は蚩尤に殺されて、当時の守護者は蛇塚お父さん残して戦死。

後に座主を引き継ぐことになるようなの。

そして荒ぶる蚩尤の前に、フォン君が立ちはだかった。



「お主をこの世界へ呼び込んだ責任を果たせねばなるまいな。この命賭しても」



フォン君は因縁のある蚩尤と戦い、道ずれに蚩尤を倒したようなの。

肉体の崩壊が早まるフォン君は、そこで未来を知る。

この世界に、私と孫悟空が現れる未来の運命が待っていると。



「この朽ちた儂にまだ、生きる意味が残されておったとはな・・・。まさか法子様と孫悟空様に再び出会えるとは思わなんだ」



そして弟子の空海さんに頼み、我が身を即身仏として今日まで生きながらえたの。

即身仏となったフォン君はノアの力を使い、意識を飛ばす事で、この世界だけでなく私の世界線の存在を視る能力を得られたようなの。



私は二つの世界線の出来事を聞いた。

本当に過酷な生き様。

私の知らないところで、ずっとずっと長く戦いの連続を過ごしてきたなんて。


それも全て、私のお父さん。

後には私達のために・・・



でも、話の本題はこれからだった。


この世界は私の母が救世主として世界を救済する役目を担っていた。

しかしそれは、奇しくもフォン君がこの世界に連れ込む形となった蚩尤と呼ばれる魔神の手にかかり失われた。


救世主の失われた世界。


そもそも救世主とは世界の終わりを食い止め救済する役目。

では世界の終わりに何が起きると言うの?

その疑問を察してか、心を読まれたのかフォン君が答えてくれたの。



『この世界を救済する主が現れる時、同じく世界を滅ぼす終末の滅世主が現る』


「滅世主?つまり救世主に敵対する存在が現れるって事?」


『その者、世界を滅ぼす運命を持ち、救世主と対立する対極者。混沌の使者とも呼ばれ、必ず世界の終わりに現れるのです。その者、時の終わりに救世主と同様にイレギュラーと呼ばれ、その存在は何者がなりうるかは不明なのです』


「分かったわ!つまり、それがこの世界では邪神エリスって事なのね?そうでしょ?私ってば名推理!」


「ば〜か!流れ的に誰でも分かるだろ」


「うるさいわよ!孫悟空」



そこにフォン君は答えたの。



『救世主には必ず十二人の使徒が同時期に誕生し、守護者として存在します』


「十二人の守護者?あっ!」 



そう言えば、私が過去の世界に連れて行かれた時に、十二人の仲間を集めろって言われたわよね。それってば私の守護者の事なのかしら。



『救世主の使徒は救世主と同じ救世の能力を持ち、魂に繋がれていると聞きます』


「救世の力って、あっ!金色の魔眼よ!多分、恐らく、それって!間違いないわ!」



と、孫悟空を見て一緒に頷く。


孫悟空、八怪、沙悟浄に阿修羅。

ナタクに二郎真君さんでしょ?

それから鉄扇ちゃんに紅孩児くん!

それに百獣王さんもそうよね。



『滅世主は邪神エリスではありません。邪神エリスは滅世主の使徒であり、滅世主を呼び起こす鍵なのです』


「起こす鍵?」



つまり邪神エリスの封印を防げば、滅世主は現れない事なのかな?


するとフォン君は最後に私に伝えたの。



『たとえ滅世主が現れなくとも、この世界は滅びるのは決められた運命』


「えっ!なら私達は何のために戦うのよ」


『それは法子さん。貴女の世界を取り戻すためです』


「えっ」


『今、この世界は法子さんのいた世界を上書きして侵蝕している世界。もしこの世界が定着してしまえば、この世界が正史になり法子さんの世界は無かったことになりましょう』


「なんでそんなことに」


『それは存在しないはずの救世主である法子さんがこの世界に現れたことが原因。法子さんと孫悟空さんは直ぐにでも元の世界に戻らねばならないのです』


「私が原因なの??」


『法子さんはこの滅びる世界の未来ではなく、これから救う貴女のいるべき世界を救うために戦うのです』



この世界の滅びを見てみぬふりするなんて心痛むけれど、私達の世界も捨てられない。



『酷な事を、選択を求めていることはわかってはいます。しかし急を要するのです』


「・・・」


『そして法子さんに私から頼みがあるのです。これは本来、私が成さねばならない役目なのですが、もうこの動かぬ身体では無理な話。どうか、お願い致します』


「個人的な頼み?何?何でも言って」


『それは・・・』


私はその内容を聞いて、言葉が詰まった。


「!!」



それはこの世界の滅世主の正体。

その滅世主の魂を救って欲しいと。

それも目覚めた後では遅い。

たとえ滅世主の魂を救ったとしても、救世主の存在しない世界は滅びは免れない。


けれど、私はそんな事よりも滅世主の正体を聞いて、やらねばならないと思った。



そんなこんな。








場所は変わる事、総本山。


総本山に近付く者達がいた。

フィプノス神とその兄弟神達。



「あのモノが手配してくれたお陰で総本山侵入も容易かったな」


「エリスの神気が総本山に感じる。既に封印は解かれていると言うのか」


「いや、我々を封じていた結界とは異なる封印の中に存在を感じる」



不穏な空気。


総本山内部でも、不穏な動きがあった。



「座主様の行方が分からないとはどういう事だ!晴明!」


「我々が総本山を留守にした間に何が起きたと言うのだ」



坂上田村麻呂と仁王が総本山を任していた守護者筆頭の安倍晴明に問い詰めると、



「この私が必ず座主様を見つけ出す。お前達二人は総本山に接近している者共の接近から守るのだ!それがお前達の役目」


「分かった晴明。お前を信じる。座主様の事は信じるぞ。奴らは俺達が食い止める」


「総本山は我らが守護する」



出ていく二人を見送る晴明は、一人結界の間へと足を向けた。

結界の中に入ると、その中央にある祭壇の上には黄龍の姫である桜が両手、両足を鎖で縛られ眠らされていた。

桜を見下ろす晴明の背後から、



「晴明、お前、何のつもりだ!まさかお前が間者だったとは!」


「座主様。まだ生きていらっしゃいましたか。さすが前守護者。かなりの精神力だ」


「ぐぅわあああ!」



座主は身体を拘束され、全身から霊力を吸い出されて消耗していたのだ。



「座主。貴方の霊力は黄龍の巫女の中に眠らせている邪神エリスの魂を呼び起こすエネルギーとなるのです。この世界を滅ぼす鍵を目覚めさせるキッカケになるお気持ちはいかがかな?ふふふっ」


「晴明ぃー!気が狂ったかぁ!」


「私の気が狂う?フッ。私は狂っているのか?そうかもな。狂わねばなれんよ。この世界を滅ぼす運命を担うなど・・・」




この世界は滅びの渦中にあった。


次回予告


法子と孫悟空は役小角より聞かされたのは、この世界を救う事ではない。


元の世界に戻るために動けと・・・


しかし、まだやるべき事がある。


それは・・・えっ?

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