待ち人との再会!
孫悟空は襲って来た神の転生者の丹生朱美を倒す。
しかし別の何者かが、視線を向けていた。
私は法子よ
孫悟空が襲って来た神の転生者。
神の転生者の丹生さんを気絶させた時、孫悟空は全身を新手の結界に縛られたの。
「ぐぅう!何だ、こりゃあ!?」
地面に魔法陣が光り輝き、光の縄が孫悟空の四肢を絡めて動きを拘束する。
「貴方がたと落ち着いて話をしたいがため、強引な手法にて動きを縛らせていただいた」
すると現れたのは、年配の男性だったの。
その声に目を覚ました丹生さんが、その男性の名を呼んだの。
「空海師匠!どうして来たの?私に任せてくれるんじゃなかったの?」
空海さん?
それがあの方の名前?
「話しをするだけなのに、何故客人と戦っておるのだ?」
「それは〜この妖怪男が、その女の子とイチャイチャしているから腹立たしくて!しょうがないじゃないの!乙女心よ!」
「ばかもん」
落ち込む丹生さんに、空海さんは孫悟空の拘束を消して謝罪してきたの。
「私の呪縛など、直ぐに破れるものを我慢しておったのは様子見ですか?」
「まぁな」
孫悟空は相手に敵意がない事に最初から感付いていて反撃を我慢して私をみる。
「あの〜空海さんで宜しいのですか?私達に何か大事な用事があるみたいだけど、立て込んでいるのよ。私達、神様と喧嘩中で世界を守らないといけないので」
「全て知っております。法子様」
「へっ?どうして私の名を知っているの?」
「貴方がたをお待ちになられている方がいらっしゃいます。その方が貴方がたを何年も前よりお待ちになられております。どうかその方と、お会いになって欲しいのです」
「私達を待っている?誰?」
「その方にお会いにすればわかります。そして貴方がたの現状と、今後の動向も全てその方が説明してくれるはずです」
「えっ?嘘?」
他に今の私達の動向を知る手立てはない。
流れに身を任せていたけれど、虎の穴があるなら見て聞いて損はないわ。
それに、私達を知る人ってのも気にもなるし。
「好奇心に負けたわ!空海さん、私達を連れて行ってくれる?その待ち人って方に」
「恐れ入ります」
そして私と孫悟空は空海さんに連れられて、遠方にある山に向かったの。
葛城山へと。
しかも空海さんの手配した高級車で。
「おぉ!鉄の箱で移動出来るのか?中に飛行雲が入っているのか?」
「孫悟空、恥ずかしいから黙って」
と、言っても仕方ないわね。
車なんて初めてだもん。
そう言えば、私と合流する前に鉄の蛇の上に乗って来たとか言ってたけど。
それってまさか電車かしら??
無賃乗車??
そして気付けばウトウト眠っている私が起こされると、そこは総本山とは別の、修験道達で結成された隠密組織。
「ここは?総本山とは別なの?」
総本山と言えば、裏世界から人間が太刀打ち出来ない闇の存在から世界を守護する陰陽道や修験者が集まった組織。
「我々は裏総本山と呼んでいます」
「裏総本山ねぇ〜で、活動目的は?まさか総本山への対抗組織とか?」
私の問いに、空海さんは答えなかった。
怪しいわね〜
そして長い階段道を登り、その頂上にある祭壇の前にまで来ると、そこで空海さんが印を結んで唱える。すると祭壇が洞窟へと変わっていき、その中に入るように言われたの。
「孫悟空」
「油断するなってことだろ?」
「まだ敵か味方か分からないもんね」
「何かあれば、俺様がぶん殴る!」
そして蠟燭の灯りを頼りに深い闇の中を進んで行くと、その先にぼんやりと蝋燭の火が灯る。
「あそこに誰かいるわ!」
誰かが洞窟の行き止まりに座禅していた。
そして近付いた時、私は言葉を失う。
「こ、これって」
そこには即身仏が置かれていたの。
即身仏とは、修験者のミイラみたいなもの。
「空海さん、この方って?まさかこの即身仏が私を待っていたとか言わないわよね?」
「その通りです。この方は待っていました。貴女に、再び会えるこの日を、この姿になってまで待ち望んでいたのです」
「待って!待ってよ!この方が誰だか分からないわよ!私。それに即身仏が私に会って、何か伝えられるとかないでしょ?」
「失礼致します」
すると空海さんは私と孫悟空の手を引っ張ると、即身仏の胸にあてたの。
「何を、えっ!?」
すると即身仏がぼんやりと光、その光が私と孫悟空を包んだの。
「何が起こっているの?」
「法子、油断するなよ!」
と、警戒した時。
私と孫悟空の心に直接声が聞こえたの。
「お久しぶりでございます。法子さんに孫悟空殿」
「えっ?」
その声は即身仏からだった。
そして即身仏は私に伝えたの。
「私の名は役小角」
「役小角さん?えっ?ちょっと待ってよ!貴方、私、知っているわ!待って、思い出すから!貴方は・・・」
孫悟空もまた、その役小角さんに懐かしい感じがして、記憶をたどっていた。
「まさか、お前!」
孫悟空と同時に私も思い出し、気付いたの。
「まさか、フォンくん?」
フォン君とは、私と孫悟空がいた世界で知り合った中国総本山の若い修行者。
確か中国遺跡での戦いの後、お別れしたままだったけれど。
「どうしてフォン君がここに?どうしてそんな姿になっちゃっているの??ねぇ!」
すると即身仏のフォン君は、私と孫悟空に自分自身の記憶を繋げたの。
『今の私は思念を我が身の即身仏に残し、お二方がこの世界へと来ると信じて、私の知る記憶を伝えるために今日まで辛うじて生きながらえていたのです』
「フォン君・・・」
何故、そこまで?
私達のためにしてくれるの?
人生、生涯を賭して私達のために?
するとフォン君は私と孫悟空に、己の歩んで来た人生から導き出された事の次第と、私達の向かう道を教えてくれた。
そして、私はフォン君が何者かを知る。
「この私はノアの末裔・・・」
「ノアの末裔?」
「ノアの末裔とは、救世主の使徒として成長を支え、見守る守り人」
「!!」
私は知る事になる。
このフォン君とノアの一族が、数奇の運命に絡み合い、私と縁を結んで来たことに。
そんなこんな。
次回予告
法子と孫悟空は役小角ことフォンと再会する。
それはこの物語にて随所絡み合う物語を繋げていくのであった。




