特別って素敵な響きね~
私は懐かしの学校の図書館で彼女と再び・・・
私は法子よ〜
あ〜私は〜許容範囲超えて〜
ちんぷんかんぷんよ〜
えっと、もう一度整理させて。
今、この世界は私の知る未来世界じゃなくて、全く異なる並行世界って事?
「全く異なると言うのは少し違うわね。この世界は法子さんが存在しない世界。もう少し正確に言えば、法子のお父さんが存在世界なの。つまりお父さんが存在しなければ、法子さんも存在しない。そういう世界」
「えっ?よく分からないよ」
すると彼女はチョークを手に取り黒板に絵を描きながら、説明してくれた。
「そもそも貴女と貴女のお父さんは、この世界のイレギュラーと呼ばれる存在。可能性のある未来に突如イレギュラーとして現れた未来を動かす特別な存在なの」
余計に分からなくなったわ。
えっと、つまり私と私のお父さんは本来存在しないってつまり、私は誰?
「詳しく説明すると長くなるから省くわ。つまり貴女は悪い未来に進まないように、良い未来へ進む道に向かうように指名された先導者と言えば分かるかしら?」
黒板の絵を見て、
「ふにゃ?つまり車が事故に合わないように交通誘導する人みたいな?」
「あ〜遠からず近からず。けど、それの恐らく法子さんが考えているよりもスケールの大きくした感じかしら」
「お〜!何か少し理解したわ!つまり私とお父さんはこの世界を構築する上で必要不可欠ってことね?それに特別って響きが何か好きだわ!」
「あはは」
そしてこの世界には、私のお父さんが存在しない世界で、当然、私も存在しない世界。
「パラレルワールドってことね!」
「パラレルワールド。そうね、その言葉を知っているだけでも説明がかなり省けるわ」
「だから私はこのパラレルワールドから抜け出して、元の世界に戻れば良いのよね?それが解決策ってことなのね」
その解決策に彼女は首を振ったの。
「えっ?違うの?どういうこと?」
「この世界は確定世界なの。既に決められた世界線。この世界にとって、貴女は異物なの。存在しない登場人物」
「特別から異物に転落!?上げてから下げられた感じだわ〜。えっと、私は何者?もう!全くわからないよ〜」
「つまり過去で貴女が起こした運命線で、世界が変わってしまったようなの。私は貴女と出会った世界線から弾かれ、この世界線に放流してしまったのよ」
「私がいた過去で起きた事が今の現状になっている原因ってことなの?」
頷く彼女は付け足して教えてくれた。
「存在しない貴女は、この世界では長く存在していられない。過去の世界に戻り、元の世界に繋がる道を選択しなければならないの。さもないと貴女は消失してしまうわ」
「マジですか?」
とてもまずい状況なのね。今。私。
「この世界で法子さんが存在していられる時間は、七日。既に一日終えているので、残り六日といったところです」
「かなり緊迫しているじゃないの!でも、どうしたら良いの?過去の世界に戻りたくても、どうやって戻れば良いの?過去に行く手段を知りたくて晴明師匠のもとに行ったのに私の事を知らないんじゃ、どうしようもないじゃないの??お手上げだわ」
すると彼女は私に告げる。
「過去に行く手段は私に考えが有ります」
「えっ?過去に行けるの?私?なら、直ぐにでも行くわ!そして世界を元に戻してくる!そしてこの世界で私の事を思い出して貰って、めいっぱいチヤホヤしてもらうわ!」
「けれど、そう簡単にはいかないみたいなのです。その手段を妨害している者がこの世界にいるみたいなのよ」
「妨害?誰が?」
彼女は黒板にその名を書いたの。
『災いの女神・邪神エリス』
私はその名を聞いて、
「よ、良かったらスマホ貸してくれるかな?ちょっとググッて調べたいわ。その女神様。えっと、その邪神アリス?」
「エリスよ」
「その邪神エリスって神様」
そしたら彼女はスマホではなく、ここは図書室なんだからと、その本を探して持って来たの。スマホの文字は大丈夫なんだけど、読書ってなると精神的に拒否反応起こすわ。
私は本を読みながら、そのエリスって神様について調べていると、
「そう言えば太子くんはどうして私の事を知っているの?貴女と同じように前の世界からこの世界に弾かれたとか?」
「彼はまた特別でね。夢見の世界は並行世界と交わる境界線があるの。だから私が彼の能力に記憶の伝達を施して、並行世界の記憶を呼び起こさせたの」
「う〜ん。やっぱりよく分からないわ。とにかく私の知っている太子くんで良いのね」
その会話を聞いていた太子くんが、自分の置かれた状況を説明すると、
「正確には君を夢に見て、その記憶が残っている感じに近いかな。複雑な感じでもあり、懐かしい感じ。まぁ、君に本当に出会うまでは幻術にかけられているようだったよ」
「で、実物の私はどう?」
「めちゃ可愛いです!」
「うん。やっぱりタラシの太子くんだわ」
「え〜!?」
一通り邪神エリスに付いて読み終えると、
「で、その邪神エリスが私が過去に戻る事を邪魔しているって事で良いのよね?つまり私はそのエリスの妨害を止めさせて、過去に戻る!とりあえずこんな感じ?」
「そう言う事ね」
「で、そのエリスは何処にいるの?」
と、此処まで来て問題発生があったの。
「それが分からないの。この世界の何処かに存在している事は間違いないのだけど」
「えっ?じゃあ、今から六日以内で世界中から探すの?そんなの無理じゃない?」
「けれど、一つ分かっている事はこの日本の、この土地の近くに現れるって事は間違いないわ」
「そうなの?どうやって分かるの?」
「邪神エリスには、別の神が手助けしているようなの」
「別の神?他に敵みたいのいるの?誰よ?」
彼女は再び、黒板にその名を書く。
『ヒュプノス』
ヒュプノス神って、あの??
私はまたその神様について、スマホではなく図書室の本から調べたのでした。
「ヒュプノスは夢を司る神です。なのでそこの太子さんの夢使いの能力が役に立つと思います」
「なるほど。そのヒュプノス神を追えば、そこに災いの女神が揃っているわけね」
「その通り」
「少なからず、私のいた世界線でヒュプノス神とは因縁あるのよね~」
そこに孫悟空が窓の外から入り込んで来ると、私を呼びに来たの。
「法子!この辺りに近付く連中がいるぞ。恐らくさっきの連中(総本山)だと思うぜ」
「あ〜そうね、私達お尋ね者みたいだから。あらっ?」
すると私は孫悟空を見つめる彼女の視線に気付いたの。
その眼差しは何故か懐かしむような感じに見えたの。
「ん?何だよ?俺様の顔に何か付いているのか?お前?」
「いいえ、何でもないです猿様」
「そっか?俺様に会った事は・・・ないよな〜。知らねぇしな」
「ふふふっ」
珍しかったのかしら?
そうよね。妖怪だなんてそう簡単に出会えるもんじゃないと思うし、そもそも孫悟空は過去から来たのだからね。
そして私と孫悟空は彼女を残して学園から抜け出すと、追手から逃れるように立ち去ったの。あ、太子くんは連行ね。
そして学校の屋上より私達の立ち去る姿を見届けた彼女は、一人呟いたの。
「猿様、後はお願いします。そして法子さんと、あの方のいた世界をどうか結んでください」
その言葉は何か関係があったのか?
その時の私はまだ知らない。
そんなこんな。
あ、また彼女の名前を教えて貰うの忘れてたわ。
次に会った時にもう一度聞かないと!
改めて、そんなこんな。
次回予告
法子と孫悟空、太子はヒュプノス神の陰謀を防ぐ戦いに出向く。
が、その陰謀とは?
※図書室に現れる彼女の正体は?過去作にて登場してます。




