災いの女神とか無いでしょ?法子、図書室にて邂逅!?
法子と孫悟空は総本山から脱出中、聖徳太子とばったり?
この邂逅は何を意味しているのか?
※聖太子は、5話に登場中
私は法子よ。
私は孫悟空と一緒に総本山から脱出している最中、そこで出くわしたのは、
「聖太子くん?」
聖太子くんとは、聖徳太子の転生者なの。
過去に私に協力してもらい、てんやわんやで大立ち回りしてくれた仲間?友達なのよ。
で?
私は孫悟空に頼んで太子くんに当て身で気絶させて、そのまま拉致したの。
「う〜ん。あれ?ここは?」
「起きた?」
「あれ?法子さん?此処は何処ですか?それに私はどういう状況?」
「!!」
私は真顔になって振り返ると、太子くんの肩を掴み揺すったの。
「私の事が分かるの?ねぇ?ねぇったら!」
「あんまり頭を揺らさないでぇ〜」
「あ、ごめんなさい。で、どうなの?」
「記憶にあるかと言えばないです」
私は愕然とした。
けど、それなら何故私の名を?
「けれど知っていると言えば知っています。正確には知らされたと言うべきですね」
「どういうこと?」
「先ずは会って欲しい人がいます。詳しくはその人の口から説明させて貰いましょう。そのために私は総本山に行ったのですから」
「えっ?誰に会うって」
そして私と孫悟空は理由も分からずに連れて行かれた場所は、私の通っていた高校だったの。
「此処に誰がいるの?何を教えてくれるの?ねぇ?太子くん?」
「それは中に入ってから、本人に直接聞いた方が良いと思いますよ。何せ、自分も半信半疑のような化かされたような状況なんで」
「?」
私と太子くんが深夜の校舎に入ろうとすると、孫悟空が私に外で見張りをしてやると屋上に飛び上がって待機してくれた。
「頼むわ」
中に入ると、廊下を歩いて階段を上り、そして到着した場所は、
「図書室なの?此処にいるのね?」
「はい。そうですよ」
そして扉を開いて中を覗くと、そこには窓際から私を待っていたように誰かが立っていたの。そして私に向かって口を開く。
「久しぶりね。法子さん」
「えっ?あれ?」
私は彼女を知っていた。
友達とか、同級生とかではないのだけど、一度話した事があった。
しかもこの場所で。
確か名前は・・・はて?
そう言えば名前をまだ聞いてなかったわ。
でも、そう!
図書室に現れる女子高生の幽霊よ!
生きてるみたいだけど。
「あの〜?私の事を知っているのよね?で、私に起きてる状況を教えてくれるのよね?それから、えっと、どうして貴女はなんでも知っているの?後、名前を教えて!」
「そんなに一度に言わなくても順を追って説明してあげるわ」
「あ、はい」
すると彼女は私に告げる。
「法子さん。貴女は過去の世界から変革した並行世界の未来に飛ばされたのよ」
「えっ?」
変革した並行世界の未来?
「それはつまり、私の知っている未来とは別の世界にいるってわけ?」
「物分かり良くて助かります。そのとおりです」
「伊達にSF映画を観てなかったわ!アニメの!と、ちょっと待って?」
私は考える。
此処が私のいた未来とは別の世界なんて、本当にSFだわ。
「信じられないのも仕方ないわ」
「ちょっと待って!此処が並行世界だって証拠はあるの?それに、だったらどうして貴女や太子くんは私を知っているの?もしかしたら皆が記憶を誰かに消されてる可能性もあり得るし、それに貴女が私を謀っている可能性だってあるわよね?疑って悪いけど」
「そうね。先ずはこの世界は法子さんが過去に飛んで間もない時間軸よ。そこにあるカレンダーを見てみて」
「えっ?」
確かに私が過去に飛んだ日の次の日みたい。
「貴女が過去に飛んだ日に何が起きたか覚えてる?」
「それは・・・」
あの日、蚩尤鬼人ってカミシニの能力を持つ化け物に学校を占領されて、崩壊寸前になったのよね。それで私がもとに戻して貰う約束として、過去に飛ばされた・・・
「崩壊した学校がもとに戻っているのは、私を過去に飛ばした神様が全て元通りにしてくれたのじゃないの?」
「そんなに万能ではないわ。あの日、絶望の時間を数分戻した。それで救われた命も有りました。けれど、全て助かったわけでも崩壊した学校が修復したわけでもないの。そしてこの並行世界では、あの日の出来事事態が無い世界」
「えっ?それって最高じゃない?」
「それどころか法子さんが存在しない世界でもあるの」
「えっ?」
私が驚いている頃、総本山では突然起きた私と孫悟空の対策会議が行われていたの。
場所は総本山五重塔広間。
「あの魔物と災いの女神を捕らえる事が最優先の任務だ」
晴明の言葉に田村麻呂も仁王が聞く。
「その任務は俺が任されてやる。この俺から逃げられると思うなよ」
「俺はこの五重塔の守護を任されている。田村麻呂よ、お前なら任せられる」
「決定だな」
しかし、もう一人の守護者である黄龍の巫女が己の行動に悩んでいた。
(変な気分だわ。あの娘、あの娘に攻撃しようとしたら心が痛んだ。それに私を守る聖獣の守り人まで。どうしてなの?)
安倍晴明は黄龍の巫女の戸惑いの変化に気付き、五重塔の守護を任せて改めて仁王には厄災の女神捜索にあてた。
そして三人の守護者が部屋を後にすると、残る安倍晴明は総本山最高峰の主である座主に問う。
「座主よ、いかがしました?」
「ふむ。あの厄災の女神と思われる娘。本当に災いの女神なのだろうか?」
「何か気になる事でも?」
「いや、あの娘が私の隣をすれ違うように逃げて行った時、何か心がモヤモヤした感じがしてな。何の根拠もないが、そう。我が妻、卑弥呼と似た面影に心が戸惑いを感じている」
「卑弥呼様ですか」
かつて総本山を統べていた先代の座主は卑弥呼と呼ばれる女性だった。それが過去の魔物との戦いにて戦死し、夫婦だった守護者であった者が新たに座主を就任していた。
「妻が残した未来を守るため、俺は座主として任された以上世界の災いは全て摘まねばならぬ。それが俺の誓いであり、役目だ」
「その役目、この私も共に背負いましょう」
「晴明よ。お前がいたからこそ、俺は背中を任せられるというものだ」
そして、総本山が動き出し、法子もまた起きている現状を知っていた。
そんなこんな。
次回予告
図書室に現れる少女から語られた内容から、法子は進む道を見付けられるのだろうか?




