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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生封神血縁編~始祖転生戦争~
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荒れ狂う群雄割拠の始まり!


西王母が法子を消した。


この世界には救世主が失われたのか。


それは法子が消えた後の話。


時限の穴に消えた法子を見た西王母と、もう一人の謎の始祖神は青褪めた。

何故なら、この計画の鍵でもあった片方の忌眼も一緒に時限の穴へと消えたから。


「何なのですかぁ〜!あの人間は!!」


激昂する西王母に、その一部始終を見ていた玉皇大帝が言葉をかける。


「消えたのでは仕方あるまい。お前はよくやってくれた。そなたもな」


玉皇大帝の視線の先に立つ始祖神は頭を下げると、この状況が思わしくない事を告げる。


「左の忌眼はあの者を甦らせ、もう片方の忌眼で力を制御しコントロールするつもりであったのに。申し訳ございませぬ」


「あの者は何者もコントロールなど出来ぬ。初めからこの力をもって制するのみ」



玉皇大帝は剣を向けると、その先の楊戩も顔を見上げる。



「この私は甦ったのか。そうか、全てはお前が私を甦らせた時より始まったのだったな。玉皇大帝」



すると楊戩は掌を見つめて握りしめると、その皮膚が破けて血が垂れ始める。

その血が足元から全身を覆うと、全身を覆う衣が真っ赤に染まり、その青き髪色が深紅の髪色へと変色していく。



「この私の失われていた記憶が戻って来たよ。お前によって失われていた記憶が、この私が何者であったのか全て思い出した」



すると楊戩の身体から発する禍々しい力が津波の如く波紋のように広がった。

その場にいる全てが萎縮した。

まるで蛇に睨まれた蛙のように、天敵を前にしたかのように身体が金縛りにあった。

それは西王母やもう一人の始祖神も同様、その力の波紋に言葉を失う。



「この私が眠りについてどのくらい経ったか分からぬが、この場で意識を保ち動ける者がいるとは、驚いた。」


楊戩は瞼を綴じると、興味深くこの場にいる強者の存在を感じ取る。

玉皇大帝、西王母、始祖神の他に、竜吉公主。

また同じくカミシニの能力を持つ東華帝君と申公豹。

阿修羅に黄風魔王、ナタクと紅孩児、沙悟浄に鉄扇。

離れた場所には九天玄女と瑤姫、蛟魔王と剛力魔王に玉面乙女。


「そうか。この尊き世界に沸いた汚点はまだこれ程にも残っていたか」


すると楊戩は掌を天にあげた。


「!!」


閃光が走った。

まるで削られるように大地が裂け、この場にいる全ての者に攻撃が降された。


「ぬぅ!」


玉面乙女を庇い、黄龍の盾で受け止める蛟魔王が、その威力に耐えられず吹き飛ぶ。

更に九天玄女と瑤姫も防御を張るが粉砕されてしまい、裂けた大地に飲まれる。


「受け止められないわ!」

「最小限に受け流して躱しましょう」


鉄扇と弱りきった沙悟浄。


そして攻撃の閃光は玉皇大帝と西王母にも襲いかかる。


「西王母、余の後ろに」

「はい」


玉皇大帝は剣を振り下ろすと閃光が割れ、その斬撃と閃光が衝突し合う。


「ヌッ!?」


玉皇大帝の背後に何者かが飛び出して鞘から剣を抜いた者が抜刀すると、玉皇大帝は片手で剣を受け止めた。


「お前は毘沙門天の三男、ナタクであったな。我が甥の姿をしたこの余を斬るか?」


「お前は二郎真君あいつではない!二郎真君あいつの身体から出ていけ!あの楊戩も気になるが、先にお前を討つ」


「敵討ちか?良い友を持ったな。二郎真君。しかし今やこの身体は余の物。返すわけにはいかぬ。それにお前の父親にも借りがあるのでな。伝えておけ!いずれ間もなく天に君臨する外来神は全て余が成敗してやると」


「うぐぅわああ!」



すると玉面大帝の掌から放たれた光線に飲み込まれ、ナタクはそのまま遥か彼方まで吹き飛ばされてしまった。


「法子を何処にやったあ!!」


そこに阿修羅が飛び出して来て玉皇大帝に迫ると、その身体を金縛りにさせられた。


「玉皇大帝には近寄せさせぬ」


それは西王母と、始祖神であった。



「ぬぅおおおお!」



しかし怒れる阿修羅はその拘束を力任せに破壊しようとしていた。



「信じられぬ何たる力。此奴、始祖の力を持っているのか?」


「がぁッ!」



が、阿修羅が解放されるより先に背後から攻撃を受けて落下していく。

それは竜吉公主の投げた槍が阿修羅の背中を刺したのだ。


「我が娘、竜吉公主。分かってくれたのですね」


竜吉公主は黙って落下していく阿修羅を見ていた。




そしてまた、楊戩の前に東華帝君が立つ。



「お前は倶利伽羅の王だな。お前達の役目は終わった。この私にその身を委ね、降るかその力の源である血を返上しなさい」 


「お前がカミシニの神だと?お前の時代は終わっている。この俺こそ真の倶利伽羅の王!お前は目障りだ。お前もこの俺の手で始末してやろう」


斬り掛かる東華帝君に楊戩は微動だにせずに受け止める。それは自らの血が触手となって、東華帝君の振り下ろした剣に絡みつき、東華帝君の身体に巻き付き締め付ける。



「うぐぉおおお!この俺を舐めるなよ!この俺こそが真の王だぁああ!」



東華帝君の覇気が楊戩の血の触手を蒸発させて抜け出すと、その力を解放させる。



「倶利伽羅の力は私が授けた生みの親のようなもの。その私に刃をむけるか?」


「生みの親か。この俺に親など存在せぬ。この俺こそが万物の王!」




そこに玉皇大帝が二人の間を割るように剣を振り下ろすと、斬撃が大地を削り割った。


まさに世界が混沌の力に飲み込まれようとしていたのだった。

その頂上決戦を嘲笑していたのは申公豹であった。

倶利伽羅王であるが、この超越した者達を見ても尚、何か余裕があった。



「倶利伽羅と始祖の融合体に倶利伽羅の神ですか。それに金色の魔眼を持ちし始祖の王。どれもこれもたまりませんね。けれど勝手に共倒れしてください。僕は残った者を狩れば良いだけの話。そう、僕の倶利伽羅の能力はカミシニをも超越した特殊な能力ですから。ふふふっ」




異常なまでの力を持つ者達が同時に出現した事は仙界中を震撼させる。

この異変を感じ取ったのは牛角魔王だった。

戦場から離れた仙界の外れの地。



「身震いするほどの存在感を感じる。何だ?この悪寒は?最初は阿修羅ともう一つだったが、少し前から別に途轍もない力がこの仙界を覆いつくしたようだ。これはまるで蛇神エデンが降臨した以来。何が起きていると言うのだ?」



それは恐らく玉皇大帝と楊戩だろう。

が、牛角魔王は目の前に起きている事態にも対処せねばならなかった。

門に残った八怪の救援に駆けつけた牛角魔王が見たのは、仙界と地上界を隔て、行き来出来る唯一の門が無造作に開かれていたのだ。

地上界から仙界に無数のカミシニの武人が入り込んだ形跡もあった。

この場所では一人残った八怪が門を守っていたはずなのに何故?



「ぬっ!?これはどういう事だ?」


するとそこに意識なく、全身に怪我を負った八怪が倒れているのを見つけ駆け寄った。


「八怪!何があった?しっかりしろ!」


すると八怪は意識を戻して、告げた。



「地上界から化け物が来ちまったら。オラ、止められずに・・・うっ」



そして再び、意識を失った。



「八怪を此処まで負わす化け物だと?そのような奴がまだ地上界にいたと言うのか?」




そして新たに仙界に入り込んだ者は、この歪みつつ状況に笑みをこぼしていた。



「真王を賭けた戦いが繰り広げられているようだな。面白い。この俺もまた加えて貰うぞ。この俺が世界の覇権を握ろう」



その者は生きていた。

しかも新たな力を手に入れて。

かつて人間界を支配した倶利伽羅の王・紂王の側近として仕えていた聞仲であった。



「戦友であったお前達の生きた証を背負い、お前達が望む俺になろう。この俺を真王として信じてくれた俺に」


聞仲の額が割れて二つの瞳が開く。

それは趙公明と張奎 の力。

聞仲は友である倶利伽羅王三体分の力を我が身に宿し、新たな脅威として復活したのだ。



救世主失いし世界で、新たな群雄割拠の戦いが始まろうとしていた。






.....................................................................................................................




う、う〜ん。


ん、あ、あれ?


私、生きてるみたいね?



私は意識を失って眠っていたみたいなの。

どのくらい眠っていたのか?

全くもって分からないわ。


私は身体を起こすと、自分自身の身体に何か異常がないか確認してみた。


「どうやら大丈夫みたいね」


そして辺りを見渡して、此処が何処なのか見渡したの。

すると視界に見えた建物に、私は驚きを隠せないでいた。


「う、嘘?嘘よね?」


それはコンクリートで建てられた建物。

その造りはどう見ても、学校?

しかも私が通っていた高校に間違いないの。



こんがらがる頭で、私は西王母が告げた言葉を思い出したの。



「わ、私!もしかして現代に戻って来てしまったの〜??」



私は、私は・・・どうなったの?


そんなこんな。

次回予告


物語は脱線する。

世界を分ける戦いが始まった場所に法子はいない。


法子は何処へ?


次話より急展開の新章!


異世界回帰編~ロストワールドのメシア~



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