あの日の続き?殺意籠る謎の少年?
突如始まる過去の物語。
鈴鹿御前と坂上田村麻呂
そして、あの男も絡む?
突然始まる過去の話?
そこでは…
立派な屋敷に体格の良い強面の男達が集められ、主人にある仕事を命じられていた。しかし誰も叶わなかったの。
それは主人の娘を落ち着かせるために押さえ込む事。安静剤の注射を射つだけの仕事が?何故?
だけど少女もまた普通じゃなかったの…
まるで獣のように暴れ、その腕力は大の男達が何人がかりで押さえ込もうとしても撥ね飛ばされてしまうから。尋常じゃない少女に男達は次第に恐怖を覚え、
「ば、化け物!」
その言葉を発したのがきっかけとなって、一人一人と逃げ始め、ついに誰もいなくなったの。
その娘の両親を残して…
「だらしない連中だ!」
お金で雇った男達の腑抜けさにもうなすすべが無くなった両親は、落胆していたその時?
「だから俺に任せろって言っただろ?」
それはまだ十八かそこらの若者だったの。しかしその格好は密教僧?しかも何かしら娘の狂気の理由に確信を持って言ったの。
「その娘は鬼憑きだ!」
って?
鬼憑きとはその言葉通りに鬼に憑かれたって事。
そして若者は説明する。この少女の父親が金目的で犯した罪の恨みの念を多数に引き寄せてしまい、鬼憑きになってしまったと。
だけど、理由が解ったけれど対策は?
若者には特別な力があったの。
父親から桁外れの金額を請求すると、自らが持つ力で鬼を退き滅したの。
そこで一件落着に少女は助かって万事解決。
それから数年の月日が経ったのね?
「んんん?」
男は嫌な夢を見て目覚めると、自分の見た夢を思い出しながら考える。
「…どうしてあの時の夢を今頃見たのだ?」
その男こそ、少女を救った密教僧だったの。彼は早朝直ぐに仲間を呼ぶ。
「何だよ?突然呼び出してよ?」
その彼も同じく密教僧なのだけど、その風貌は金髪の青年だったの。
「悪いが付き合ってくれないか?新宿に?」
「また歌舞伎町か?俺は二度と行かんぞ!」
どうやら先月にも歌舞伎町にて何か事件があったらしいの?
「違うわ!野暮用だ…」
「ん?」
意外と真面目な顔で頼んで来た事に、金髪の男性も仕方なく承諾したの。
二人は実は総本山の名のある高僧らしく、二人が総本山を降りる時には総本山の修行僧達の行列が出来ていた。
二人は歩きで新宿に向かう。理由は車酔い?電車酔いするから乗り物には乗らないと、金髪の男性は『フザケンナヨ!』と文句を言っていた。
新宿に着いた二人は、昔来た屋敷の前に立つ。
「ハテ??」
「何もないな?」
そこには夢で見た屋敷が無くなっていた事に気付く?
「どうなってやがる?」
仕方なく彼らは近くにあるヤクザ屋さんの組に向かうと、そこの組長に挨拶がてら理由を聞く。
って?何?何故に総本山の僧侶がヤクザ屋さんに顔が利くのよ?
目の前には寿司と酒が並べられ、組長さんは頭を下げながら接待する。
「で、何の用ですかな?旦那?」
「別にお前らをどうこうしに来たわけじゃねぇよ?警察じゃねぇしよ?ただよ?迎いにあった屋敷は何処に行ったか聞きたくてな?」
「!!」
その話を聞いた時、組長さんの顔が青白くなったの。
「何か知っているようだな?」
「悪い事は言わねぇよ?あの組には手を出さない方が身のためっすよ?」
「?」
組長が話すには、例の屋敷は既に廃墟となって、そこの組は滋賀県に移ったって話なの。
だけど問題はこの後ね?
「うちらも人間相手なら戦争も出来ますが…奴らは化け物です!化け物を使役するんですよ!」
「化け物だと?」
聞くに数年前から異常に勢力を伸ばして好き放題始め、近辺の組長を集め話を通しに向かったのだけど、そこには化け物が守っていたらしいの。当然、非合法の銃や日本刀も用意はしていたけれど、化け物には傷一つ付けられずに大敗し引き下がったと言うの。
「それが突然、滋賀県に移ったと聞いて、ウチラも命拾いしたんですよ、旦那?」
「滋賀県だと?なるほど…化け物か?だったら俺の縄張りだな?」
「奴らを何とかしてくれるのですかい?」
「お前のためじゃねぇよ?私用のためだ!」
と、二人はその足で滋賀県へと旅立ったの。
「滋賀県に久しぶりに来たが…こんなに物騒だったかな?」
「いや、これは異常だ!」
二人は滋賀県に近づくと障気に似た禍々しい力を感じたの。けど、
「どうやら俺達が侵入した事が解ったみたいだな?お客さんだぜ?」
「人の姿に化けているようだが、俺達には見え見えだ!」
街中を歩く通行人達の中に人間の姿へと化けたモノ達が何体もいたの。
「しかし街中で喧嘩すると一般人に被害出るな?どうするよ?」
「当然、場所を変える!」
金髪の修行僧の指示に従い二人は突然駆け出したの!そして、人目のない場所に来て周りを警戒しながらビルの上へ飛び上がり屋上に着地する。二人を追って驚異的な脚力で同じく追って来るモノ達が?
「おいでなすったようだな?」
「油断するなよ?」
追って来たモノ達は屋上に出た途端、その姿が着ていたスーツを破けながら真っ黒な肌をし、頭上に角がはえた化け物へと姿を変える。
鬼!
人を更に超える化け物。その凶暴かつ腕力は人間にかなうはずなかったの。
けど?この二人は向かって来る鬼の攻撃を軽々と躱し、
「金の錫杖!」
己の気を錫杖へと構成したの。錫杖を片手に鬼を殴り付けると、一体、二体と次々に鬼達は光となって消滅したの。
「おぃ?一体は残しとけよ?」
金髪の僧侶は手にした金の錫杖を消す。鬼の攻撃を左右に躱して素手を回すと、鬼は男の目の前で回転してひっくり返ったの?
「合気!」
金髪の男は鬼を踏みつけ押さえ込む。驚異的な力を持つ鬼が男の足下で身動き出来ないでいた。
「さてと」
もう一人の男が他の鬼達を消した後に、踏まれている鬼に術札を貼り付けたの。鬼は光に包まれながら小さくなって白い小鳥に姿を変えた。
「それではお前を寄越した奴の場所へ案内してくれよ?」
小鳥は飛び立つと、二人は飛んだ方へと追跡する。
二人がやって来た場所は滋賀県と岐阜県の境にある鈴鹿山の人が入り込めないような一本道だった。その奥からは禍々しい障気が立ち込めていたの。
「これじゃあ一般人が入れないよな?」
「でも、出迎えは来ているようだぜ?」
目の前の障気が集中しながら人型となって、鬼の姿となって道を塞いだの。
「どうやら出迎えじゃなくて消しに来たようだぞ?」
「見ればわかる。取り敢えず先に向かうぞ!」
二人はゆっくりと一本道をゆっくりと歩き始める。一歩、二歩と歩き出す二人に鬼達は襲い掛かる。
「俺達に喧嘩売るとは片腹痛い!」
「上等!」
二人は襲い掛かる鬼達を一体、一体と子供の腕を捻るように倒していく。
暫くすると静まり返り何十体といた鬼達は二人の男達によって消滅させられていたの。鬼をも寄せ付けない圧倒的な力を持った二人は一体?
「で、さっきから俺達に向かって殺気がビンビン伝わって来てるんだが?」
「どうやら鬼のもんじゃないな?人か?いや?ん?鬼か?どっちかわからんぞ?変な気を持った奴だな?」
二人は立ち止まり殺気のした方角に向かって意識を高める。気配がする?殺気の正体は一人?そしてその周りに鬼が集まっている?
「さっきの鬼を俺達に放った奴か?」
「違うようだぞ?」
二人は感知したの。鬼達は殺気を放った者を追いかけ襲っていたの?
「意味がわからないな?どういう事だ?」
「直接、自分の目で見てみないと状況がつかめん」
金髪の男の問いに先を急ごうと促す。二人は駆け出すと、前方に鬼達が倒れていたの。その中心には?
「アイツが殺気の犯人か?」
「そのようだな?しかしどういう状況だ?これ?」
「俺に聞くなよ!」
どうやら鬼達を倒したのは殺気を向けた者で、その者はまだ若い十代の学生だった。
目付きは獣のようで全身が鬼の血にまみれていた。鬼の屍に立つ少年は二人の僧侶を睨み付けている。
「お前らも…俺を狙う邪魔者だな!」
少年は手にした刀を手に二人の僧侶に斬りかかって来たの!
「おっと?」
「やる気のようだぞ?」
二人は斬りかかる少年の剣を躱しながら、
「おぃ?殺意が異常に籠ってやがるぞ?子供の使う攻撃じゃないな?」
「溺れてやがる…このガキ!殺意に!」
二人は少年の剣を躱すと、錫杖を向けて叫ぶ。
「おぃ?ガキ!テメェは何者だぁ?」
だけど無言の少年は睨み付けているだけだった。
「お前らも敵だ!俺の邪魔する奴は全員ぶっ殺す!」
その目には少年とも思えない殺意とは別に…
二人の僧侶は感じ取っていたの。激しい恐怖と悲しみを?
この少年は誰なの?
そして僧侶達に鬼達を仕向けた者とは?
少年との関わりは?
何もかも状況が不明の中で、二人の僧侶は決断する。
「この俺達に喧嘩を売る奴はガキであろうと、ぶん殴る!」
この僧侶が、まさか私が過去に信長と戦った時に力を貸してくれたゲンさんだって事は私はまだ知らない。
そんなこんな。
次回予告
今回の物語は転生記シリーズの第二部の「神を導きし救世主」の一話
の続きであり、今シリーズの信長との戦いに現れた「ゲンさん」
も絡む物語。
伏線は絡み合う。




