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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生封神血縁編~始祖転生戦争~
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救世主消失??変革する世界!

二郎真君が捕らわれ、甦ると、それは異なる者であった。


その者の正体は、玉皇大帝。


私は法子よ!


西王母が用意した封神台の中に捕われていたのは、消息不明の二郎真君さんだった。

西王母の持つ忌眼と、二郎真君さんの身体に吸収された忌眼。

左右の忌眼の共鳴により、その身が分裂したの。

そして中より二郎真君さんが起き上がる。

しかしそれは私達が知る二郎真君さんとは別の存在だったの。


その者の名は、玉皇大帝。

この世界を統治していた最高神らしいの。

更には西王母の夫で、竜吉公主さんのお父さん。

それに二郎真君さんの叔父でもあるって。

つまり玉皇大帝の復活に甥である二郎真君さんの身体が使われたと言うの?



「何者が甦ったかと期待して待っていたと思えば、たかが始祖神の末裔。この俺は始祖神を超え、倶利伽羅の王たる存在。その俺を差し置いて真王を語るなど笑止千万。甦って早々、この俺の剣で斬り伏せ黄泉に返してやろう」


東華帝君が飛び出して玉皇大帝の間合いに入り込むと、その剣を振り下ろす。


「西王母、下がっておれ」

「御武運を」


すると玉皇大帝は鞘より抜いた剣で受け止める。



「いつまで持つだろうな?倶利伽羅の力の前に始祖神の力も削られるのだぞ」



しかし二郎真君さんの姿をした玉皇大帝は無言で、東華帝君の剣を弾き返すと、


「ヌッ、何ぃ!?」


東華帝君は玉皇大帝の姿を再確認して身震いした。



「倶利伽羅の王に遅れを取る程度では、この私が甦る意味も目的も果たせぬ」



その一閃は東華帝君の胸を斬り裂き、東華帝君は傷を負って落下していく。


「再生がままならぬ。お、己!」


東華帝君は見たの。

玉皇大帝の瞳が金色に光り輝いている事に。




「まさかその手があったか!その厄介な金色の魔眼を手に入れるために、その器を手に入れ甦ったと言うのかぁーー!」



封神台には無数の死者の魂が封じられ、西王母はカミシニの不死にも近い血を使い、傀儡を新たな器とし、魂を込めて甦らせた。

しかし玉皇大帝は二郎真君さんの身体を器に使い甦られせた。

その理由は、血縁ほど魂の定着が容易であるため。

更に二郎真君さんの持つ金色の魔眼を手に入れるため。

少なくとも血縁でなければ、器に拒まれ、甦れない可能性がある。

そのデメリットに賭けに出て復活出来なければ犬死に。

そう考えれば東華帝君がその手段を使わずに倶利伽羅の力を手に入れた事は正解と言えるのかしら。けれど許せないのは玉皇大帝よ!


そのために二郎真君さんを?

自分の甥を手に掛けたというの?



「許せないわ・・・」



私が睨むも、復活した玉皇大帝と西王母の視線の先には、もう一つ別の人影が存在した。



「何を見ているの?」


私も視線の先を見た時、私は固まった。

まだ動かず、眠っているのか?

封神台の中で浮かぶその人影に対し二人の始祖神は神気を融合させて放つと、封神台の中にいた人影が消えていた。

そして二人の始祖神は反対側を振り向くと、そこに封神台から消えた人影が起き上がって立っていたの。しかもその左眼には玉面乙女から奪った左の忌眼が見えたの。


(えっ?う、嘘?)


私はその人影の姿が見えた時、溢れ出す感情に顔を両手で覆い涙が溢れ落ちる。

あ、あの人は・・・間違いないわ!


「楊善さん!」



楊善さんは蛇神族との戦いで、蝕王覇蛇の身体入れ替えの術によって身体を奪われ、二郎真君さんの手で命を落としたの。

その楊善さんが今、私達の目の前にいる。


封神台は魂を封じて死者を甦させる宝具。

しかもカミシニ化させて。

なら、楊善さんもカミシニ化させられたと言うの?それって敵なの?味方なの?

その場に凍りつく緊張感の中で、最初に口を開いたのは玉皇大帝だった。



「久しいな。この日を死してもなお、指折り数えていたぞ。お前を何と呼ぶべきだろうな?楊善、それともハナタカダカか?いや、違う。真のお前の名は・・・」



その時、旋律が走った。


「倶利伽羅の超越神。神喰の王・楊戩よ!」


「!!」


それはカミシニの支配者って事? 

楊善さんが?

全くもって意味が、理解が出来ない。

完全にキャパオーバーよ!

で、何?楊善さんは楊戩さん?

読み方は同じなのに分ける必要あるの?

まぁ、これはさておくわ。



すると西王母が手にした残された忌眼の片方を見せて玉皇大帝に問う。


「本当に宜しいのですね?」


「うむ。そのために私は甦ったのだ。やってくれ」


「残る右の忌眼を返せば、世界を混沌に落とす神滅神喰の王は再びこの世界に甦る。私達はお前の復活を望みます」



そして残る右の忌眼を楊戩さんに与えようとした時、



(駄目!何かとてつもなく駄目!)



それは白澤が教えてくれたの。



《あの忌眼を与えたら最後、この世界は混沌と化すでしょう。止めてください!救世主法子よ!》


「私も何かヤバい感じがするわ!鳥肌が止まらないもん」



けれど、このままだと間に合わない。

もっと速く!

もっともっと!


(そうだわ!)


私は思い出して叫んでいたの。



「玉龍くーん!来てぇー!」


すると私の前に金色の光が出現して、その中より玉龍君が飛び出した。

玉龍くんは私との主従の契約で、如何なる場所にいても呼び出せるようなの。

あ、ちなみに結解内とかは無理だったからお留守番して貰っていたのよ。


「法子さん!お待たせしました!」


「グッド・タイミング!間に合うわ!」



玉龍君の身体が神獣麒麟へと变化すると、私は背に乗り飛び出していた。

その動きはまさに神速だったの。

西王母は私の接近に気付くと、


「ちょこまかと無駄よ」


西王母が私を見下して油断していた。

それが勝機だった。

麒麟に乗った私は封神台を覆う結界をも擦り抜け、西王母をも飛び越していた。


「なんですって!」


振り返るより先に、私は白鐸の杖を手に叫んだの。


「却っ下ァアア!」


光が走った。


と、同時に私は反対側からの強い力に弾かれて地上へと落下していた。

私はもう一人の始祖神の放つ神気に弾き飛ばされたの。



「なんて娘。この封神台の接近を許すなんて・・・とてつもなく嫌な予感がする」



西王母は、私に対して警戒こそしていたが、いつでも始末出来ると高を括っていた。

それがもう少しで、計画を狂わされると思った時、強烈な不安に襲われた。

確かに人間の娘。

取るに足らないはず。

にもかかわらず幾度と邪魔をする張本人に必ず顔を合わす娘。



「決して失敗は許されません!不安要素は消し去ってしまおう」


「待つのです。西王母、あの者に手を下せば・・・」


「何じゃ?んッ!!」



西王母は全身に震えが走る。

ほんの僅かに予感に近い未来が見えたから。

もし私を殺せば、その途端にさらなる強大な力が押し寄せるような不安。



「何が起きる?あの娘を殺すと、この計画どころか世界に影響すると言うのか?何者なのだ?あの人間の娘は」


「神を導きし救世主」


「!!」


謎の始祖神は西王母を止め頷く。

それは神族に伝えられし旧始祖の預言。

世界と結ばれし救世主が世界を救う預言。



「あの者が伝説の救世主とな?そんな事があるはずは・・・にしても、計画最中に下手な真似をして頓挫しては元も子もないわ」


「そうであるな。ならば最も問題が起こらぬ方法で消えて貰えば良い」


「どうすると?」


「あの人間の娘、調べた所、この世界とは異なる時より召喚されたようだ」


「異なる時の世界?そうか、ならば」




すると急降下する私に、西王母の声が響くように聞こえて来たの。



『お前の願いを叶えてやろう。血にまみれた戦いのない。平和な世界。お前がいた元の時の世界へと帰してやろう』


「えっ?」




何を言って?

私を元の世界に帰すって?

そんな事が?


すると空間が歪みながら、私の周りに渦が発生したの。

そして急降下していた身体が浮いて、突然現れた穴に引っ張られる。



「きゃあああ!」



私の危機に、孫悟空や阿修羅が気付いて、戦いの最中に飛び出そうとする。



「逃しませんよ!阿修羅」



申公豹が阿修羅の肩を斬り、負傷しながらも私の名を叫ぶ阿修羅。

そして、孫悟空も申公豹の配下と交戦しながら叫んでいた。



「これで計画を狂わす邪魔者は消えるわけね。どうしたのです?」



するともう一人の始祖神が震えていた。



「馬鹿な!?西王母よ?お前が手にしていた忌眼がないではないか?何処に消えた!」


「何じゃと!」



すると二人は思い出したかのように、ゆっくりと私の方を見て目を疑った。


「ニッ」



私の片手には、気持ち悪いながらも眼球〜

右目の忌眼が握られていたの。

私が飛び出した時、その目的は忌眼の奪取だったの。

これが危機回避の最善だと思ったの。



「あの小娘がぁー!」


「待て!殺してはならぬ!」



激昂する西王母が私に向けて、鞘から抜いた剣を投げつけたの。

その剣が私に迫った時、私の手から忌眼を手放してしまうと、時の渦に飲まれて消える。


「アッ!」


それには西王母達も目を飛び出すくらいに驚いていたわ。

何か、やってやったわ~

けれど、その拍子に私も渦に飲み込まれてしまったの。



「法子ぉおおおお!」



手を伸ばして叫ぶ孫悟空が飛び出していた。



「孫悟空!」



けれど、その手を掴む事が出来ずに私は閉じていく渦に消えたのでした。




今、救世主無き世界が変革する。


そんなこんな。


次回予告


救世主法子が消失した世界に起こる脅威とは・・・

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