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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生封神血縁編~始祖転生戦争~
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法子のくしゃみ!

阿修羅と東華帝君


その戦いは更に熾烈になっていく。

僕は阿修羅。


法子の敵は僕の敵だ。

必ず倒してみせる。


僕の闘気が高まり、闘う事しか考えない。

目の前の敵を倒す事のみ。


「無神速!」


呼吸が止まると同時に踏み出すと、僕の手刀は東華帝君の眼前に突きつけられた。


「愚の骨頂」


東華帝君は余裕の笑みで僕の手刀を躱すと、手にした剣を鞘から抜刀した。


「初太刀を躱したか」


東華帝君の太刀は僕の残像を切り捨て、背後に気配を感じて身を捻り横一閃で振り回す。


「!!」


その太刀は僕の残像事、本体を吹き飛ばした。

それでも僕は堪えて着地するが、油断する余裕なく次の攻撃が繰り出された。

まるで竜巻の如き渦が僕の逃げ場を塞ぐ。



「なら、突き進むのみだ」


僕は前方に足を踏み込む。

敢えて死に足を踏み込むと同意。

しかしそれでも、攻撃が一番の防御であり、そして敵を討ち果たす刃。 

恐れはない。

怯めば隙が出来、焦りは失敗をうむ。

互いに交差した。


僕の首筋に線が引かれて血が吹く。

しかし致命傷ではない。

対して東華帝君もまた胸元の鎧にヒビが出来た。



「相打ち覚悟か。死を恐れぬのか」


東華帝君もまた死を恐れぬ踏み込みだった。

自分自身が敗北しないと言う自信か?

いや、この僕を一撃で仕留める事しか考えていないような攻撃だった。

もし躊躇すれば、僕は首を落とされ、東華帝君は胸を貫かれていたに違いない。

互いに振り向き直すと、相手を見る。



「お前から感じる力は並の者ではない。やはり始祖神の末裔か?それとも。いや、死にゆく者が何者であろうと関係あるまいか」


「次は外さない」



互いに踏み込んでいた。

中心で衝突して出来た波紋が広がると、



「ちょっと〜!派手になってきたわね」



法子は杖を向けて防御結界を張ると、その衝撃波から泣きじゃくる玉面乙女を庇う。

そこに蛟魔王が助力する。


「もう力が残ってないだろ。法子?私が代わろう」



すると黄龍の盾が光り輝き、法子の結界を覆うように強固な結界で守っていた。


(安心して戦える)


僕は両手を広げると、掌が黒き炎が灯る。



「修羅の黒烈火」


僕の炎は地獄の炎。

敵を焦がし、魂すら消滅させる。



「オン・アスラ・ガーラ・ラヤーン・ソワカ!」



真言を唱えた僕の背中から新たに燃え盛る四本の腕が出現し、そして第一の組み手を合掌させて力を高め、第二の左右の手に日輪と月輪を掴んで合わせると、その影より弓と矢が出現した。そして残る第三の手で弓と矢を掴むと、標的に向けた。


カミシニ相手に接近戦は分が悪い。

力を無効化させられ、僕の命を削る能力。

なら、遠距離より射抜く。



「阿修羅射炎撃」



放たれた炎の矢は東華帝君に射られると、一直線に向かっていく。



「無駄な事を。そのような武器を手にしても、この俺の前では傷一つ付きや」


その時、東華帝君を覆う血界が貫通したのだ。


「!!」


東華帝君は寸前で顔を逸して躱すと、頬に傷が付いて血が垂れる。



「馬鹿な。この俺に傷を?そうか、そうだったな。金色の魔眼の戦士よ!」


東華帝君が睨む僕の眼差しは、金色に光り輝く。



「金色の魔眼の発動」



この魔眼は、カミシニの能力に消されない。

僕が唯一対抗出来る手段。


「阿修羅射炎撃」


射抜かれた矢は無数に雨のように東華帝君を攻撃する。



「面白い。この俺に何処まで対抗出来るか試してやろう。この世界の支配者たる東華帝君を前に絶望を与えてやろう」



その時、東華帝君の身体から血蒸気が噴き出して覆い隠すと鎧が変形し、障気が溢れる。

倶利伽羅王覚醒の進化。

そして手にした剣が僕の矢を斬り伏せる。



「俺の剣がお前の命を求めているようだ」


前方に構え、向かってくる矢を次々と切り捨てていく。その太刀筋は正しく剣士。

あの者の前身は八仙の呂洞賓。



鍾離権の弟子にして、最強の剣士だった。

しかし呂洞賓は元は人間。

その人間の前世が、東華帝君の転生者だったのだ。


敢えて人間に転生した理由は、この時のため。

カミシニの血は神を殺す。

そのため、始祖神である東華帝君ではその力を手に入れる事は叶わず、得られたとしても制限がかかる中途半端な存在となる。


それは神仙の金聖霊母が倶利伽羅の王となったとて、変わりなかった。

確かにカミシニの能力を持ったが、その解放が他の倶利伽羅王と比べて短かった。

紂王の刺客として現れた時もそうだった。

同じ倶利伽羅王である東華帝君と戦い、その限界に徐々に押し切られ敗北し、東華帝君の配下に下った。普段はその圧倒的な力で相手を制して、その弱点を見破られないようにしてはいたが、所詮は中途半端な王。

カミシニの血は人間との相性が良い。



「更に始祖神であった潜在能力を持ち合わせ、倶利伽羅の王でもある俺は、神をも超越し、その天敵であるカミシニをも凌駕した。この俺に敵は存在せぬ」



東華帝君は勝ち誇るように天に剣を向けると、その波動が広がって雲を消し飛ばした。

その様子を見る始祖神の末裔が二人。

九天玄女と瑤姫。


「本家の始祖であり、倶利伽羅の王でもあるなんて出鱈目ね。西王母様が囚われたと聞いて半信半疑でいたけど、なるほどって感じ。厄介だわ。それにしても東方にいるはずなのにどうして此処に現れるのよ!」 


「西王母さんを捕らえていたはず。同時に東方から動けなかった。そのために西王母さんは敢えて捕まり、時間を稼いでくれていたのに。この場に現れたと言う事は西王母さんが動いたってことですかね」


「連絡ないから困りますわ。まさか討たれたなんてことは?」


「それは有りえません。西王母さんが倒されるなんて、私には想像出来ませんもの」


「で、貴女なら勝てまして?あの東華帝君に」


「そうね。今出たら即効殺されてしまいますわね。ほら?私今、体力すっからかんですからね。流石に無理な話」


「で、本調子なら?」


「五分五分。と、言いたいけれど今の私では太刀打ち出来ないかもかしらね。悔しいけど。それだけ底が見えないわ」


「ふぅ〜ん。「今は」ね〜。で、助太刀するの?」


「それも止めておくわ。今出たら、あの少年の邪魔になるだけ。あの彼も、ふぅ〜ん。かなりね」



物色する九天玄女は、


「法子の彼氏かしら?」


その言葉に、法子はクシャミした。


次回予告


法子のくしゃみは風邪か?それとも虫の知らせか?

そんな次話ではないが、阿修羅が法子を襲う話・・・


えっ?

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