表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生封神血縁編~始祖転生戦争~
633/713

玉面、その呪われし赤子!

鉄扇が玉面乙女への復讐。


それを止めるサクヤ龍王は、玉面乙女の過去を見せる。


それは過去昔、

精霊種族の長達が集まり、その計画を始めていた。

計画とは禁忌の呪法を用いて、手を出してはならないモノを創り出す事。


当時、精霊族は神族、妖怪、人間族と多種種族においても、弱い立場にあった。

だからこそ他族に対抗するだけの力が必要だった。

そのために極秘に行われたのは、嘗て世界を滅ぼしたモノの力を手に入れ、その力を奥の手として手に入れる事であった。


それはカミシニなる神喰の力。

その能力は血。

その血は神を殺し、生者を滅ぼす。



カミシニの王が現れし時、全ての種族が団結して戦った際、その血を極秘に手に入れたのが精霊族であった。結界には炎、水、雷、風、土の五行の陣が組まれ、その僅かな神喰の血が入った小瓶を中心に置かれていた。


そこに産まれたばかりの赤子が運ばれる。

それは選ばれし赤子。

今日までに既にどれだけの赤子が儀式のための実験に使われたのか。

その中より適合出来る赤子を選別し、遂に現れた。

その赤子は水霊族の長の娘にて、産まれた時より優れた潜在能力を秘めていた。

水術の才は赤子時より見抜けられ、成長すれば水霊族の世代の中で最も名を残すと予測出来るほどに。しかもこの儀式への適合は他の属性の赤子よりずば抜けていた。そもそも血液を用いる事が水術に適していたのかもしれない。だからこそ、この赤子しかいなかった。

他には適合出来なかったから。

その才能とは再生力であった。



赤子には濃度を薄めた血を与えられた。

悲鳴にも似た泣き声が響き、それは三日三晩続けられた。

この地点で過去の適合者は消滅していたが、この赤子は存在を維持した。

驚異的な適合力と再生力。

何より、生への執着が力となっていた。

そして他の種族から、天界から極秘に育てられるこの赤子は名付けられた。



玉面と・・・。




玉面は閉ざされた結界に貼られた塔に監禁されるように育てられ、何も知らない者達からは箱入り娘と言われていた。


そこに愛情等一つもなかった。

言葉を交わす者も存在せず、誰にも構われることなき水霊の姫。

それでも大切に大切に、いずれ他種族との戦争に使われる手駒として育てられる。

彼女に与えられしは、あの呪われた血。

死なない程度のギリギリの激痛と、毎晩響き渡る塔からの悲鳴。

それが彼女の全て。


そんな彼女が十歳(人間見た目年齢)となった時、その能力が塔の結界を破壊して、世に放たれてしまったのだ。


何も知らない世界を始めて実感する。

草木や花、嗅いだことのない匂いや大地から感じる温度。風の心地良さや見渡す限りの世界の広さに感動し、涙した。 

(もう二度と戻りたくない)

(自由が欲しい)

それは始めて玉面が自分自身に対して生きたいと願った自我への変化だった。

しかし精霊族は玉面脱走の件を他種族に感付かれないように極秘に片付けた。

玉面は不死に近い再生能力を持つ事で容赦なく襲い掛かり、四肢をもぎ取り、胴体と頭を残して捉えたのだ。


全ては一時の油断から来た。

しかしこれは天界の主神達によって計画共々感付かれていた。

カミシニの王が持つ神喰の血を残し、その血を持つ能力者を極秘に育てる意図。

それは最も権力と支配権を持つ神族への牽制。当然、天界は見過ごす事はなかった。

それどころか、

「精霊族よ。お前達の計画は我々が引き継ごうではないか。黙って従えば良し。さもなくば我ら神族の裁きにより、お前達種族を根絶やしにしよう。これは世界の秩序を犯した精霊族への天誅だ」

精霊族は止む無く玉面を手放し、その計画に使われたカミシニの血の入った小瓶を奪われ、他言無用と計画に関わった長は全て殺され、闇に葬られたのだった。


その後は、天界が隠密に計画を続けた。

精霊族の玉面だけでなく、さらって来た様々な赤子や、適合出来るだろう子供達を集めたのだ。計画は精霊族の実験を元に行われ、それでも攫って来た赤子や子供達は血の能力に精神を侵され、身体を維持出来ずに肥大化して、醜い魔物へと変貌した。

この時期、天界に謎の化け物が様々な場所で発見されている。

恐らくはこの実験で廃棄されてと思われた失敗作が生存し、逃げたものと思われる。

その出現先が悲しくも、自我も意識もないのにもかかわらず、己の産まれ故郷であったことは帰巣本能なのか?それとも。



そして生き残ったのは玉面の他に、三人。

妲己、太公望、そして龍神族より拐われた私、サクヤ龍王だったの。


私は拐われ、その後は地獄のような血の輸血が行われた。微量からであったが、己の意識が破壊されそうになった。

並の者なら、この段階で存在が消滅するか、さもなくば化け物へと変わり果てる。

私は己を失われずに済んだのは、後で知った事だけれど龍神の血がカミシニの血と反撥するかららしい。

これは私にとって、カミシニ能力が飛躍的に上がらなかった理由でもあり、反対に生き残れた理由でもあったのです。

同時にこの結果、私は始祖の能力を失い、成長の壁を閉ざされた結果となり、失敗策と呼ばれ廃棄される事になる。


「・・・わ、私の他の子達は?」

私は同時に拐われ、生き残った他の三人に興味を抱いた。私は死ねない。可能であれば、この地獄から共に抜け出すために協力が必要だったから。

私は精神感応の能力で三人を探った。


妲己は本当に精神力の強さは断トツだった。

カミシニの血を精神力で抑え、生き残った唯一の存在。私が巫女の能力で見ている事に気付き、私の精神感応に気付かれると、

「何じゃ?お前、脱獄を望むか?そうか、なら●がお前達を導いてやろう」

既に瀕死状態で、ボロボロになりながらも、その瞳と声には力強さを感じさせられた。

彼女は信じられると。

次に太公望。

唯一の男で生き残った希少種。

しかも人間だと言うから驚きです。

次の太公望。

彼は私からの精神感応に対して一度壁を張られたけれど、直ぐに解除されて彼の記憶を盗み見れた。彼は恐らく平気。無害だわ。

後にこの記憶は太公望によって偽造された記憶だと知り騙される事となる。

そして最後に玉面だった。

彼女の記憶には、私も目を背けた。

「あ、あの娘は、もう何年も、私達よりも前からこの地獄を味わっていたというの?しかも赤子の時から・・・」

信じられなかった。

私が見た最初の玉面の顔には、感情がない人形のようであった。


玉面、それは誰が付けたのか?

何もない顔、感情のない人形を意味していた。 



次回予告


玉面は成長していく。

しかし、生きる事が茨の道だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ