同調する魔眼!鉄扇の激昂!!
玉面乙女に迫る法子と鉄扇。
この戦いは命を奪うことなのか?
私は法子
私は漲る金色の力を覆い、玉面乙女を囲む血界の中へと飛び込んだの。
神を消滅させるカミシニの血で覆われたこの中では、玉面乙女以外の全てを拒むように何もかも消滅させる空間。
この空間が徐々に広がって世界を蝕む。
その前に私が玉面乙女を止めてみせるわ!
けれどその中にもう一人飛び込んで来たの。
それは玉面乙女を姉の仇と、その命を取りに来た鉄扇ちゃんだったの。
彼女もまた私と同じく金色の魔眼を発動させて、止める九天玄女さんを跳ね飛ばすほどの、今までとは格段に力を跳ね上げたの。
「邪魔はさせないわ!法子!私の邪魔をするなら法子でも容赦しないわよ!」
「何を見境なくなっているのよ!私と戦うなんて沙悟浄が泣くわよ」
「河童ちゃんを出しに使わないで!」
芭蕉扇を振り払うと、電撃が拡散して私の周りを囲み、逃げ場を奪ったところで私に向かって降り注ぐ。
「白鐸の杖・拡散」
私は白鐸の杖を振るうと、向かって来る雷撃を直前で再び拡散させた。
「面倒な道具ね。なら拳で分からせる」
鉄扇ちゃんは拳が黒く変色すると、
「羅刹の拳」
その勢いには殺意こそ無きに、けれど相当痛いと思われる迫力があった。
「血界の外まで殴り飛ばしてあげる。黙って眠ってなさい!法子!」
「ちょっとちょっと〜」
その直撃が私を捉えた時、突然視界に後ろ姿が現れたの。
「仲間同士で何を馬鹿な事をしている!」
「そうですわ」
それは蛟魔王さんとサクヤ龍王さん。
鉄扇ちゃんの拳を黄龍の盾で受け流すと、その手首を掴み暴れる鉄扇ちゃんを止める。
「皆して私の邪魔をしないで!」
その目は真剣でいて、怒りと悲しみが混ざりあった複雑な表情だったの。
「私の、唯一無二の大切な義姉様の仇を何年も何年も探し求め、ようやく見つけ出して義姉様の仇を討てたと思ったのに・・・全てが終わった。そう思っていたはずなのに。あの女は!また私の目の前に現れたのよ!」
鉄扇ちゃんの金色のオーラが爆発して、間合いにいた私達を跳ね除ける。
「怒りが鉄扇の力を引き上げたのか?それだけじゃない。確かに魂の力があの魔眼の能力を飛躍させる事は分かっていた。しかし、何か他の別の力が作用しているようにみえる」
蛟魔王さんは鉄扇ちゃんの力の飛躍に違和感を感じていたの。
「まるで別の誰かが彼女に力を流しているようにみえますわ」
サクヤ龍王さんも気付いていた。
そして二人の瞳は鉄扇ちゃんのオーラを辿り、その先の存在に気づいて驚愕した。
「えっ?何?何か分かったの?私にも教えてよ!ねぇ?二人とも!」
二人は私に振り返り、同時に答えたの。
「お前だよ!」
「へっ?」
理解不能だった。
どういう事?
「あの〜分からないのだけど」
すると蛟魔王さんは私にも分かるように摘んで説明してくれたの。
「お前の魔眼能力の飛躍が鉄扇に繁栄されているようだ。理由はわからん。つまり同じ金色の魔眼が同調しているのだな」
「え〜そうなの??」
私が九天玄女さんとの戦いで追い詰められ、その極限の中で魔眼が限界を超えた。
その力が同じ金色の魔眼を持つ鉄扇ちゃんにも作用したとか。
「力を同調させる事で限界を超え合うのか」
そういえば、私にも心当たりある。
鉄扇ちゃんが戦っている時に、自分自身が戦っていたような錯覚、鉄扇ちゃんと重なっていたように感じいた。
そしてこれは孫悟空達が戦っていた時にも度々感じていたの。
なんとなくだけど〜
「つまり私が頑張れば頑張るほど鉄扇ちゃんが手に負えなくなるってこと?」
二人は頷いた。
アララ〜
そこに鉄扇ちゃんが私達に割って入る。
「邪魔をするなら容赦しないわ!この命をかけて、私が玉面を討つのよ!」
芭蕉扇を両手に二本持ち広げると、私達に向かって煽いだの。
「!!」
雷撃と疾風の刃が強い圧を持って私達を近寄せない壁を作り上げる。
「私相手に本気かい、鉄扇!」
蛟魔王さんの威嚇にも怯むことなく鉄扇ちゃんは殺気を込める。
「死にたくなければ道をあけろぉー!」
その覇気は道を塞いでいた蛟魔王さんとサクヤ龍王さんを弾き飛ばしたの。
そして合間を縫って鉄扇ちゃんが抜け出した時、その前方から別の攻撃が迫って来たの。
それは己に接近する者を排除する玉面乙女の攻撃だった。
「玉面ぇええええん!」
拳状の赤血球が無数に向かって来ると、鉄扇ちゃんは芭蕉扇で受け流しながら突進する。
「ニャッ」
玉面乙女は接近して来た鉄扇ちゃんに対して指先から血を噴き出させて血爪を出すと、切り刻むように振り回す。
「往生際悪いわよ!お前には私が引導を与えるわ!」
鉄扇ちゃんと玉面乙女の交差する連撃を繰り出しながら血界の中を消えたり、出現したりして戦いが繰り広げられる。
これが宿命の戦いなの?
先程まで手に負えなかった玉面乙女に鬼気迫る鉄扇ちゃんが互角に渡り合う。
それもこれも私のせい?
「あっ!」
二人の攻撃が互いに相手の脇腹に直撃すると、血が飛散して蹌踉めく。
カミシニの血を受けた鉄扇ちゃんは急激な体力の消耗に膝が崩れるも、気力で踏み止まった。
そして玉面乙女は魔眼の力がカミシニの血を焼き焦がし、その激痛に悲鳴をあげた。
「イャアアアアア!」
その悲鳴は少女の悲鳴。
恐怖と激痛にもだえ苦しむように、目から涙を流しながら鉄扇ちゃんを睨んでいた。
「ち、違うわ」
いえ?あれは怯えている?
恐怖に震えて脅える玉面乙女の目を見た鉄扇ちゃんは逆に激昂したの。
「何なのよ!その面は!あの余裕をかまして見下していたお前は何処へいったの!それは演技?私を謀るつもり?ふざけるな!私は騙されないわ!」
そして止めを刺しに芭蕉扇を振り下ろそうとしたその直後、
「なんのつもり?一緒に死にたいなら手加減しないわ。お前もカミシニなのだしね」
両手を広げ、涙を流しながら怯える玉面乙女を庇うのは、サクヤ龍王さんだったの。
「鉄扇さん。貴女の憎しみも怒りも分からなくはないわ。けれど、この玉面の事を何も分かっていない」
「分かりたくない!」
再び芭蕉扇を振り下ろすその瞬間、
「これが玉面乙女の全てですわ!」
サクヤ龍王さんの瞳が光輝くと、その閃光は私達の視界を覆い隠す。
そんなこんな。
次回予告
サクヤ龍王が見せるは、玉面乙女の記憶だった。




