リニューアルオープンよ!法子の新たな武器?
玉面乙女の暴走に、女戦士達が手を組んだ。
しかし簡単に収まる状況ではなさそうだ。
私は法子
私達は敵味方一つの目的で、玉面乙女の忌眼血界の発動を阻止するために協力した。
玉面乙女の力は九天玄女さんに比べれば格下。
にもかかわらず九天玄女さんは玉面乙女の忌眼血界発動には恐れを抱き、その発動前に意識を奪うか眠らせるかして、動きを止めようと私達に告げる。
そこまで恐れるのは、西王母が九天玄女さんに警告したと言うの。
「九天玄女。私の身に何かあれば、そなたに玉面乙女を託す。その者は世界の命運を握る鍵だと思い、何者にも奪われるではないぞ」
「承知しましたわ。しかし彼女が世界の命運を握るほどの力は感じませんわ」
「玉面乙女は鍵を納める鞘に過ぎぬ。その鍵が目覚める時、この世界は末法滅世となろう。心して守護しておくれ」
「貴女がそう仰るなら、分かりました。けれどその力の一端を見なければ、対処も出来ませんわ」
と、玉面乙女の力を見ようとした時、西王母が止めたと言うの。
その目は本気で、訴える。
「貴女は私の大切な右腕と同時に神友。死なれては困ります」
「そんなに危険と?」
頷く西王母をまえに、九天玄女さんはそれ以上無茶な行動はとらなかった。
(西王母と私が二人がかりでも止められと言うのなら、それは興味はあるけれど手を出さない方が良いですわね)
その話を聞いて私達は頷いた。
触らぬ玉面乙女に祟りなし!
正確には忌眼血界ね?
私達は意思疎通をサクヤ龍王さんの念で通じ合い、思考は全て共有していた。
だから合図なく同時に仕掛けたの。
「先ずは私が道を切り開いてあげますわ!」
瑤姫が身体を回転させながら炎上すると、神炎が飛び散る花吹雪のように広がっていく。
すると玉面乙女の繰り出す無数の血触手に絡みつきながら熔かしていく。
そして行く手を妨害していた血触手が減り、その間を擦り抜けながら突っ込む。
「ウヒャア〜!ふるえ〜ゆらゆら」
すると今度は血球が浮かび上がり、そして機関銃の弾のように飛んで来る。
「私に任せて」
竜吉公主さんが片腕で槍を構えると、その残る神気を込めて放つ。
「龍渦水槍」
渦を巻く龍水が向かって来た龍血を吸い込むように軌道を変えて頭上で炸裂した。
「後は、頼むわ」
倒れる竜吉公主を抱えるサクヤ龍王さんが、
「後は頼むわよ」
今の私達はサクヤ龍王さんの未来視が同調して視えていた。
まるで飛んで来る玉面乙女の攻撃が時間遅れで私達を通り過ぎる。
「ウワァ、イヒヒヒ!」
玉面乙女の頭上に大量の血が集まりながら大血球が膨れ上がると、その指を私達に向け、視界を塞ぐ程の壁のように行く手を塞ぐように迫って来たの。
「任、せる。打ち、砕く」
「剛力さん!」
剛力魔王さんは拳に血を固めて手甲を作ると、私達の前に飛び出して踏み込み、
「血甲剛拳!」
その一撃は弾けるように炸裂し、血壁を止める。
それでも押し寄せる勢いは止まらない。
「黄龍の拳!」
そこに蛟魔王さんが拳を打ち込むと、その血壁は双方の威力の前に炸裂して消えた。
「道が開いたわ!」
突っ込むのは私と鉄扇ちゃん。
それに九天玄女だった。
「倒す事より、意識を消させる事に専念するの!さもないと止まらない」
頷く私と、複雑な心境の鉄扇ちゃん。
「倒してしまえば何も問題ないわ」
鉄扇ちゃんは九天玄女さんを追い抜くと、先に攻撃を仕掛けたの。
「積年の恨み。義姉さんの恨み!絶対に私はお前を許さないんだから!」
鉄扇ちゃんの怒りが魔眼を輝かせ拳が光る。
「!?」
しかし魔眼の力が輝きを失い、力が抜けて膝が崩れ落ちる。
「イヒャアアア!」
その直後、玉面乙女の突き出す手刀が鉄扇ちゃんの顔面を貫く。
「もう、足を引っ張るなら邪魔よ」
そこに九天玄女さんが回し蹴りで鉄扇ちゃんを蹴り上げふっ飛ばし、寸前で玉面乙女の手刀から救い出すと、そのまま攻撃を仕掛け直す。
「突覇の拳」
その拳は一撃必殺。
繰り出した拳は玉面乙女の身体半分を吹き飛ばした。
「ニャ〜」
けれど失われた身体は流れる血に覆われ塞がれていくと、その血を硬化させて振り回す。
「瞬間再生は厄介な。しかし攻撃は安直で避けるのは容易いわ。後は隙を作って」
「了解よ!」
そこに飛び降りて来た私の手に金の錫杖が出現して現れる。
(如意神向は破壊されちゃったから。でも私には戦うすべはあるわ)
が、私に向かって玉面乙女の放った血刀が飛んで来ると、私の錫杖が衝突しながら切断されて、私は危なく首が飛ぶところだったの。
「あ、危なかったわ〜」
でも、これでは戦うどころか足手まとい。
私には何も出来ないの?
こんな使えない子になりたくないわ!
(こうなったら特攻!成せばなる!)
そう無茶しようとした時、
(お止めください。貴女にはまだ戦う武器がある。貴女の魂に残して来ました。唱えください。貴女の新しい神きを!)
えっ?誰?知らない声?
知らないはずだけど、知っている?
誰なの?しかもこんな状況中に?
私の新しい神器って何?
そんなの持ってなんか・・・
その時、私の胸の奥で何かが訴える。
それは声ではなく、強いイメージ。
伝わってくる。
今にも消えかけそうな陽炎の如きイメージに、私は手を伸ばしていた。
イメージはやがて形となり、そして私はその光を掴み取る。
形ないはずのそこに残る感触。
同時に私の中に文字が浮かび上がった。
「私に従いなさい!白鐸の杖」
すると私の纏う衣装までも新品同様に元通りになり、私の手に握られたのは白色の何か奇妙な形状の杖だった。同時に私の瞳が金色に光り輝くと、錫杖がボヤけながら八つに増えて頭上に浮かび、そして私の手に持つ杖に呼応するかのように光り輝いたの。
(今です!振り下すのです)
「何?振り下ろすの?わかったわ!」
私は杖から聞こえる声に従い振り下ろす。
「!!」
それは雷鳴の如き、黄金のオーラを纏った攻撃だった。
その一撃は玉面乙女の身体に直撃した。
あれ?何もダメージ受けてない?
その時、九天玄女さんが打ち込んだ拳が玉面乙女の身体に直撃する。
しかし直ぐに再生して回復すると思われたのに、悶絶するように吐血したの。
「???」
突然のダメージに玉面乙女は意味も分からずに自分の身体を触り確かめる。
けれど傷一つない?
「せぇやああ!」
そこに追撃の九天玄女さんの蹴りが玉面乙女の側頭部に直撃して床に叩きつけられたの。
「法子、あの娘あんな力を隠し持っていたのね?何処までも姑息ね」
九天玄女さんが見直したように私にウインクした。
「えっ?」
私は何もかも意味が分からなかった。
これは杖の力?
どんな能力なの?これ?
するとあの声が再び私に聞こえて来たの。
(これで思い残す事はありません。貴女に与えられる私の欠片の能力。それは貴女の言霊を形にする能力。貴女の持っていた如意神向と似た理を捻じ曲げる貴女だけの力)
「えっ?あら?それって便利なのね?て、言うか貴方は誰?何故、私にこんなレアアイテムを無償でくれるわけ?有り難く貰って置くけれど、後で返さないし、請求は一切受け付けないわよ?」
(フフフ。私は貴女の従者。私の全てを貴女に託しました。後は・・・)
消えかける声が薄れていくのが分かった。
(その杖は文字に浮かぶ言霊が形になる)
えっ?何?よく聞こえないわ!
ん?
よく見ると、八つの杖に嵌められた水晶には文字が刻まれているのがあった。
そこには「止」と?
止める?止まる?
「わ、分かったかも!もしかしたら」
先程の私の攻撃を受けた玉面乙女の再生能力が止まった理由って、もしかしたら?
(そうです。その杖の能力は、貴女の意思を文字に、そして、形に変える。貴女の思い描く言霊次第で、貴女は全知全能の力を手に出来る。だから慎重に選びなさい。その刻まれる文字は生涯に一度しか変更出来ません)
思った通りだわ。
そして声の主の気配が薄れていく。
(もう、思い残す事はありませ・・・)
消えかけたその時、
「先ずは貴女の名前を教えなさい」
(えっ?)
消えかけた自らの魂の欠片が、まるで存在を定置したかのように杖に意識が残っていた。
「私は一体?」
「杖の人?聞こえてる?私の声?」
「の、法子殿?」
「どうやら聞こえてるようね。貴方にはまだ教わりたい事があるし、突然出会って、さようならって嫌だもん。今から私の為に力になってくれるかしら?」
「えっ?(私の魂の欠片を現世に止めたと言うのですか?どうやって?私の魂はこの世界には存在しないはず・・・残留思念が奇跡的に表に出たに過ぎなかったはずなのに)」
その時、気付く。
「まさか!?」
それは杖の文字。
(「止」とは攻撃を止め、玉面乙女の能力を止めるだけでなく、この私の存在が消えるのを止めたと言うのですか?言霊の能力は、思い込みの力。彼女がソレが出来ると強く信じれば、不可能なんて存在しない。しかも彼女の能力の一端でこの奇跡。もし彼女が望めば・・・私は恐ろしい方を主としたのだな)
杖は何やら考えた後、私に答える。
「私の名は白鐸。貴女を主君と認めし聖獣です。今後とも宜しくお願い致します」
「ハクタク?だから白鐸の杖ね?私も宜しく言わせて貰うけど、今は目の前の厄介事を片付けた後に改めて挨拶しよ!」
「了承得た」
私は白鐸の杖を手に構え、新たな力を持ってリニューアルオープンよ!
そんなこんな
次回予告
まさかの法子の新装備。
新たな力は突破口になるのか?
法子「あら~?なんかラッキーよね?私!タダよ?これ」




