合気の真髄?法子のお返し!
法子の優勢かと思われたが、九天玄女の鉄扇を始末した言動に
法子の賢者モードが解けてしまった。
私は法子
私の戦いは、合気を使う。
これは私の義父さんが教えてくれた戦術。
相手の力を使い、自分より強い相手を倒す技術で、つまり他力本願な技。
私は幼少時に、義父さんの合気を初めて見た時、まるでヤラセかと思った。
だって、お父さんよりも巨体の相手が、まるで段取りしていたかのように転がる様は、本当に詐欺ぽかったから。
けれど相対して、私自身がお父さんと組手を組んだ時に初めて身を以て知る。
「嘘じゃない!」
私は何度も向かって行ったけれど、まるで子供の手を撚るように転ばされる。
実際、子供なのだけど。
かかっても、かかっても、まるで自分から転がったような感覚に陥り、何も出来ない。
自滅を誘うだけでなく、
「法子、合気とは我ら弱き人間が未知の強さを持つ強大な敵をも凌駕出来る技。何せ相手が強ければ強いだけ、相手にかかる反動は倍返しになるのだからな。我ら合気を使う者はただ、誘い、相手を手中で転がすのだ」
「面白い!合気!」
「そうだろ?合気なら法子のような力がない女子でも、大人の男を軽々とあしらえるだろう。どうだ?興味持てたか?」
「うん。相手を手玉に取るようなところが何か良いわ!」
「言い方!」
「へへへ」
お父さんは合気の達人で、私の師範代。
そんな父親から学んだ合気は、いつも私をいざって時に何度も救い守ってくれた。
私はもともとセンスが良かったらしい。
相手と呼吸を合わせて、その次の動きを先読みし、力点の作用から支点を崩すように相手の力を無力化させて、更には反発する力をそのまま跳ね返す。
合気を習得するために筋肉や骨の仕組み何かも学んだわ。
相手との読み合い、駆け引きも大切。
やろうやろうと思って仕掛けても無理。
いざってタイミングに効率よく使う事で効果は抜群なのだから。
この合気の素晴らしいところは他にもあるわ。
相手が私の前で倒された時の、何が起きたか全く理解出来ないでキョトンとしている様を見下ろす優越感は、本当に甘美なの。
分かるでしょ?
テスト勉強頑張って山が当たった感じとか、努力して褒められて有頂天になっている感じとか、期待以上に結果が戻って来た時の感じかな?
それと努力以上の結果が形となって目の当たりにする優越感。
その未来の結果のために私は努力した。
お父さんとの組手稽古は当然として、真髄を理解して、身体に叩き込ませ、そして無意識に反射反応出来る領域レベルまで。
私は今、森羅万象と調和する。
その全てを受け止め「お返し」するのよ。
それが合気の真髄。
うん。
よくわからない。
つまり、
「やられたら、やり返す!」
「自滅を誘って倍返し!」
「なるべく手を汚さないで勝つ!」
これが私の合気道の真髄なのよ。
そして今、私は桁違いの力量の九天玄女を相手に合気の術を駆使して互角に渡り合う。
無意識になる事で、私に接近した全てを跳ね返す賢者モードに入っていた。
はずなのに・・・
私は鉄扇ちゃんを手に掛けた事を自慢気に語りだした九天玄女に、意識が削がれていき、
「マジにキレたわ!」
この状況は不味い。
賢者モードが解かれた事で九天玄女は計算通りと私の間合いに入り込み、まるで巨大な隕石が如き圧迫感の拳が私に向かって迫っていた。
「面白い戦いだったわ!楽しめた!けれどもう終わりよ!貴女!」
勝ち誇る九天玄女に対して、私は脱力しながら倒れ込むようにその拳に吸い込まれていく。
私は今、ピンチみたいです。
そんなこんな。
次回予告
法子に九天玄女の拳が迫る。
一撃必殺の塵も残らない攻撃に法子の運命は?




