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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生封神血縁編~始祖転生戦争~
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勝利への駆け引き!?

鉄扇にとどめをさす九天玄女に起きた事態。


彼女に何が起きたのか?


な、何?何が起きたの?私?


私は九天玄女。

私がふいをつかれた?

私は新しい獲物(蛟魔王)を標的に洋々と足を向けた直後、背後から肩を掴まれ、誰かが何か叫んでいたかと思うと、吹っ飛んでいた。


「えっ?」


まさか殴られたの?この私が?まさか?

今日まで、私の顔に触れる事が出来た相手が何人いたのか?

私は身震いすると、変な快感を得た。


「私、殴られちゃったわ」


そこで初めて、私を殴った相手を見た。


「えっ?」


そこでまた驚いたわ。

彼女は、この場では異質。

見分不相応の存在。

多分誰かと、紛れ込んだ残念な子。

そう思っていたのですが。


彼女は魔神族でもなければ、神族でもなく、はたまた仙人すらない。

多少、力を感じる程度の人間の女の子。

私が興味を示すには価しない。



「そう思っているのですが。ハハッ」



私は西王母様に言われた事を思い出す。

この塔の中には、並々ならないレベルの猛者しか入り込めないとか。



「あらら〜私が見誤るなんてあるのかしら?隠し持った力を持っていたりして、私を楽しませてくれたりするのかしら?あの娘」



私の目がキラキラと輝くと、その人間の女子に対して興味を持ち、調べたくなる。


「そ・の・前に」


私は起き上がり、右膝から足下に向けて踏ん張ると、まるで大砲の玉ようにその場から飛び出し、目の前に立つ人間の女子の顔面に向けて殴りかかっていた。



「やったらやり返す。もし頭が吹っ飛んでしまったら謝るわ。けど、もしあな・た」


(あれ?)


彼女の頬に微かに私の拳が触れた感触があり、そのまま貫くように振り切ればそれで終わりだった。なのに?

物凄い轟音と共に私は地面に叩きつけられていたの。

何が起きたか全く理解出来ませんが、確かに私は背中を地に付けて倒れていた。

そして見上げるそこに、その人間の女の子は私を見下ろしていた。


「はい!」


身を捻り回転させながら立ち上がり、追撃される前に飛びのいて距離を取る。

何をされたか分からないけれど、確かに私はこの目の前の華奢な人間の娘に何かされた。

私は同時に肩を回す。魔法?


「何か狐に抓まれているようよ」


私は目の前に立つ信じられないほど華奢な人間の女の子をマジマジと見回す。


「触ったら壊れそうなのに、触る事も出来ないなんて笑えるわね」



私は胸の高まりを抑えるように、彼女が何なのか好奇心が高まる。


「先ずは行動あるのみですわ」


特攻と同時に今度は意識を集中させて、彼女の魔法を見定めようとする。


彼女に接近して、先ほどと同じように彼女を掴もうとする。

(えっ?)

その直後、私の身体は回転していた。

何が起きたか全く分からなかった。

確か彼女に届くか届かないかの寸前で、彼女が微かに動いたように思えた時には、私の身体は宙を一回転して地面に叩きつけられていた。

私は追撃される前に立ち上がり、警戒しながら起き上がると、後頭部を打ったように視界が揺れてふらつき、そして酔った気分になる。

頭が揺らされたようね。

それでも私は防御の構えで立て直す。


ん?


けれど彼女は攻撃を仕掛けて来なかった。

攻撃を仕掛けて来なかったわけではなく、出来ないのかも?

そう気づいた時、私は冷静になる。


「何か分かったかもしれないわ」



私はゆっくりと姿勢を正して、彼女を真っすぐと見つめる。

構えもしないで、自然体の彼女は、まるで気配が感じられないくらいに落ち着いて見えた。今の今まで私が勝手に転げ回っていたように、この場を彼女は制していた。



「貴女は私の力を跳ね返す?ん〜。効率よく私の力の勢いを受け流しながら、自滅を誘っているのね。面白い不思議な術のようだけど、分かってしまえば他愛もないわ」



それなら力を加えずに、掴んだ拍子に、彼女が反応出来ない速さで間髪を入れず一撃を与えれば良いだけの事。

私はゆっくりと手を伸ばして、彼女の顔を掴もうと手を伸ばす。



「貴女は合気を甘く見てるわね。合気とはつまり、弱者が強者の相手の力を使って倒す真髄なのよ」


突然、目の前の少女が口を開いて、私は無意識に反応してしまった。

彼女は私が伸ばした手に恐れる事なく掴むと、


「!!」


私は脱力したように力が入らずに膝から崩れてしまったの。


(力が入らない?何て馬鹿力なの?いえ、違う。また何かされた?)


直後、私の本能が告げる。


(追撃される?)


私は振り払うようにその場から後方へと強引に飛び退いた。

一度ならず、二度、三度も私を手玉に取るなんて。


「相手の力を利用するだけでなく、私の力を一瞬で消したと言うの?特殊な能力?何?こんな面白い戦いは初めてよ!化かされてるみたいで次に何されるか全く分からないわ。貴方と私じゃ力の差は天地ほど離れているはずなのに」


「そうよ。これが力の差をゼロにする人間の秘技。神にも抗える合気よ!」


「あいき?」


「そう、合気術。どや!」



胸を張り、自慢気に私にドヤ顔する彼女を見て、私は興味を持ちはじめてきた。

彼女の不可思議な術。

そして彼女の存在に。



「なら触れさせないで遠距離から攻撃したらどうなるでしょう?」


「それは無理よ!触れてなんぼの合気だから。けどそんな攻撃はしないわよね?それでは負けを認めたと思っても良いわよね?」


「へっ?」


その言葉を私は聞いてしまった。

何も聞かずに攻撃をしていれば、私は既に勝っていたかもしれない。

彼女は敢えて遠距離攻撃が弱点だと私に告げる事で、私のプライドを刺激したの。

遠距離攻撃をした地点で、私は彼女を倒せたとしても勝負に負けた事になる。

彼女は私にそう言いたいのね。


私を口先で有利な戦いに運んだ?

私が勝っても敗北感を与える言葉で?

何て娘!

平然と弱点を伝えた上で、私に遠距離攻撃させないなんて、そんな都合よく。


「やられたわ〜」


私は諦めた。

完全に彼女の術中にハマったわ。

真っ向勝負しなければ、私の誇りが納得いかない。

そんな性格を知ってか、策か?

あの娘は私を挑発して、自分が戦える都合よいルールで戦闘を有利にしたの。



「だからと言って、勝った気にならない事ね。この私に敗北はないのだから」



私は一呼吸すると、心を落ち着かせる。


「今までの私は優位な立場からの試しの戦いをしていた。けど今からは狩る戦いを見せるわ。覚悟しないと直ぐに壊れるわよ」



そう。


私が本気で戦えば、目の前に対峙した相手は必ず壊れてしまう。








幼少期、私は人間の少女だった。

何気なく拳を打ち出した時、目の前の岩が砕けて、地面が陥没していた。

驚く私以上に、周りは私を恐怖した。


ついには両親にすら手を余して、神仙に預けられ、私は自分自身が何処まで強くなれるか好奇心から、その提案に承知していた。


女仙から入った私は、その潜在能力が覚醒して短期間で神仙として扱われた。

私の潜在能力は、恐らく始祖神の魂を濃く受け継いだ転生者なのだと聞かされ、私の化け物じみた力の根源を知った。


そんな私の強さへの欲求は、直ちに天界に知れ渡り、触れてはならない存在として、神界ですら持て余された。


そんな私を受け入れてくれたのが、最高神の西王母さんだった。

私を受け入れるくらいだから、その能力は私の暴走を止められるほどの実力者であり、いつか私と本気の戦いをしてくれると約束してくれ、それまで彼女の側近として仕える事となった。

約束は、西王母様と戦うまで、強さを貪欲に求めて、強き猛者を倒し続け、決して敗北しないと誓う事だった。



「その誓いは守るわ!だから絶対に約束よ!西王母様!」


微笑む西王母様に、私は目標となる夢が出来たのよ。



「だから私に負ける事はありえないのよ」



私は気を取り直して、目を輝かせた。

私をワクワクさせていただきます。

私は拳を濁り、力を解放させると足下から揺れ始める。


「貴女に私の本気を見せてあげます」


踏み込んだ時、私は彼女の間合いに入った。

そして繰り出す連続の打撃。

しかし彼女はまるで陽炎の如く動きで私の拳を躱していた。

まるで空気、まるで存在しない影。

そんな手応えだった。


私の拳一つで決着がつく。

当たれば終わる。

彼女は恐らく、相当な集中力を持って私の攻撃を捌いているに違いありません。


(凄いわね。見縊った事を詫びますわ)


けれど、疲労と焦り、僅かな隙が命取り。

この戦いは残念ながら私の勝ちは揺るがない。

何故なら、私の体力は無尽蔵に近い。

だから人間の、その華奢な身体じゃ長くは保たないのだから。


(!!)


鳥肌が立つ。

私が思考を廻らせた僅かな隙に、彼女の手がゆっくりと私の手首に迫っていたから。

危険回避で腕を引き、更に激しく突きだす。


(私も集中しないとですわ!)


けれど私の全力攻撃の中で、私は自分の限界を悟り始める。

普段から全力攻撃する事がなかった私の予備準備無しの全力攻撃。

それに身体が徐々についてこれなくなっていたから。

まさか、全開のタイムリミットがあったなんて思っても見なかった。

いえ、今の今まで、全力を出す必要がなかったからの怠慢。

けれど、だからといって敗北はないわ。



彼女は荒ぶる魂を内に鎮めている。

私の力を活用して、跳ね返す技には、その極限状態の中で、何処までも魂を鎮めながら私の動き一つ一つに集中して、呼吸を合わせているように推理出来た。

口で言って、頭で理解して、この私を相手に出来る芸当じゃない。

今日まで、研ぎ澄まされ、培った芸当。



「匠の技ですね。けれど、貴方がもう少し成長していたなら、私をもっと追い詰められたと思います。これは褒め言葉よ」


私は彼女に向かって、指をさす。


「?」


その先には、先に私を楽しませてくれた鉄扇と名乗った魔神族の娘が横たわっていた。



「彼女、動かないわよね?貴女の友達だったかしら?彼女は私を満足出来るくらいに楽しませてくれた。けど、その代償に壊れちゃったかしら。残念ね」



その直後、彼女の髪が逆立つ。


思った通り。

彼女の荒ぶる魂が彼女から感じられ、動かした。

湧き上がる怒りの感情が、私を追い詰めた鎮め魂の領域から解き放ってしまったのです。

鉄扇の事を口に出したのは、彼女を怒らすための手っ取り早い手段。

彼女を怒らす事で、その異常な集中力を欠かせたの。

戦場では己の力以外で、駆け引きは必要不可欠。

卑怯とは言わせないですわ。



「未熟さが招いた敗北。けれど貴女が私を追い詰めた事は誇りなさい!そしてサヨナラ」



私は怒りに任せて私に向かって突っ込んで来る彼女に対して、懇親の力を拳に込めて構えた。



「この拳が貴女の肉塊、魂ごと消し去る一撃。これが最強を相手にした代償ですわ」



私は拳を唸らせて、彼女の顔面目掛けて打ち出したの。

次回予告


法子に迫る九天玄女の渾身の拳。

集中力を欠いた法子の命運は?

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