竜吉公主の男運??
竜吉公主
天帝の娘で、容姿端麗・文武両道。
全てを与えられたと思われていた。
私は竜吉公主。
私は全てを与えらし、姫として育つ。
手に入らない物はなく、更に容姿も絶世の美女神と噂されていたものよ。
そんな私に母がお節介を焼いてきたの。
「母上?その方は?」
「お前への家庭教師です」
「家庭教師ですか?必要ありませんわ。だって私は優れていますから」
私にものを教えられる人材なんて、いるはずないわ。
私は鞘から剣を抜刀すると優雅な動きに合わせて、見えない斬撃で床が切断されて塵と消える。そして家庭教師の足場を消し去った。
「まだ幼いのに結構なお遊戯ですわね」
家庭教師の返答に私はムッとする。
「貴女は私の剣技をお遊戯と言うの?」
「だってそうは思いません?床を斬るのが剣技だなんて、お遊戯の他何て言うの?」
流石に頭に来たわ。
「母上、その家庭教師は必要ありません。その理由は簡単です。だって怪我して明日から顔を出せなくなりますから」
私は飛び出すと、抜刀した。
本気で怪我をさせるつもりはなく、脅しのつもりだった。
「!!」
しかし剣は彼女に接近間近で砕けたのです。
家庭教師は何事もなく平然と私に答える。
「殺気のない攻撃に恐れる事は何もありませんわ。ただの棒切れと同じよ」
「何をしたの?今?」
私の剣は、それこそ由緒ある神剣。
それが彼女の前で砕けたのだから。
「殴っただけよ?」
「殴ったって?素手で?そんな馬鹿な!」
すると母上が笑みを見せて答える。
「その者は私の側近。右腕です。その実力は私と同等と言っても良いのです」
「母上と同等の実力ですって?」
しかも彼女は拳技に特化した武術の暴君。
黒い狐の毛皮衣を羽織り、彼女は玄武一族出身の、平民だったと聞く。
しかし生まれながらの怪力と、才能開花で、見る見る実力をあげて、今では最高神級の力を持ったことを母上に見初められたという。
私は底知れぬ潜在能力をそこで感知し、その場に私は腰を抜かして座り込む。
「私なら貴女を育てられますわ」
私に差し出した手を握り返すと、ゆっくりと立ち上がり答える。
「貴女を超えて見せるわ」
「楽しみですわ」
彼女の名前は九天玄女。
私は九天玄女に鍛えられ、更に実力を上げていった。
それから数年の時が経ち、私に突然父上が呼び出して真剣な顔で言った。
「嫁の貰い手がおらんぞ!」
「へっ?」
確かに私は容姿端麗で、気高い。
しかも両親が最高神ときたもの。
選り取り見取り・・・
なわけなく、彼氏の一人出来た事がないのです。
「どうだ?お前の従兄弟の二郎神君は?」
「嫌よ!あの子、動物としか遊ばないし!」
すると母上の西王母は、
「なら最近名を上げている将軍。毘沙門天の三人の兄弟は?聞くに容姿端麗の美形揃いと噂よ」
「少なくとも私より弱い男は嫌です」
「実力には申し分ないと聞きます。既に武勲を幾つも」
「もう止めてください!私の夫は私が探してみせますから!私に相応しい最高の男をよ!」
が、それから数年、私はまだ一人だった。
これは私に魅力がないからではなく、親の知名度から、二世は扱いが雑だって話。
本当に最初だけチヤホヤされるだけなの。
「やはり私の知名度を上げて上げて、私人気を高めるしなないわ!」
その頃、時代は戦渦中だった。
人間界で仙人と妖仙が国を分け、更には神仙まで介入した大戦の真っ只中。
「私も出向くわ。この私の名を世に広めるために!素敵な彼をつくるために!」
そして心配する両親が止めるのを振り払い、私は地上界へと降りたの。
これが私の1つ目の運命の岐路。
私の名は戦場で直ぐに広まった。
私は太公望の陣に組みして参加し、霧露乾坤網を使い聞仲軍の放った火を消し止めてあげた。
更には敵軍の将軍だった羅宣・劉環を二竜剣で斬り伏せ、その後、西岐軍に加わったの。
それから洪錦軍が攻めてきたとき鸞飛剣でを返り討ちにしてやった。
が、洪錦には逃げられ、仕方なく戦場を後にして追いかける事にした。
最後は梱竜索を放って生け捕りにしたの。
「手間をかけさないでよ」
そして私は面倒な洪錦を容赦なく始末しようと剣を振り上げた時、私の前に月合仙翁がかけこんで来たのです。
月合仙爺とは、生涯の伴侶を見極める力を持つ仙人で、私も結婚を真面目に考え不安になった私は、隠れてこっそり月合仙爺のもとへ探させていたの。
それかなぜ、この場に?
「お待ち下さい!その者こそが姫のお探しの伴侶!その者を失えば、それはもう生涯の伴侶には恵まれず、良かれと思った男神には遊び程度の扱い、ヒモ男がわんさか、浮気に不倫に、女として散々な運命が待っております男運!」
「何ですって〜!!!」
「間違いありません。この命と名にかけて」
「ガビチョン!!!」
これはもう開けた口が閉じない。
茫然とする私は、捕まえた洪錦を見る。
「本当にこの男が?」
頷く月合仙爺に私は諦めて縄を解く。
「こんな悪い因縁で結ばれているとは。おい、お前!この私と夫婦にならねば殺します。どうします?」
すると洪錦は私の言葉の意味が分からないで戸惑う。
それはそうでしょうね。
そして彼は恐る答えた。
「誠か?そなたのような強くお美しい女仙が私と?そんな幸運な人生が私の未来に残されていたなんて」
「い、今なんと?」
「私の未来に残されて」
「その前よ!」
「そなたのような強くお美しい女仙が私と?そんな幸運な人生が私の未来に残されていたなんてと言ったが?」
赤面した。
私の人生、面と向かって男にここまで熱い眼差しで、女として褒められなんてなかったから。
「キャア〜」
私は洪錦と婚約。
そして洪錦は周に帰順することとなった。
次回予告
洪錦と竜吉公主の運命の岐路は、枝分かれしていく。




