何仙姑の秘術?血身蘇生操!
何仙姑が強敵、サクヤ龍王を相手に秘術を行った。
彼女が出現させたのは死んだはずの八仙首領の李鉄拐であった。
私は鉄扇
八仙の何仙姑が奥の手と使った術は、既に命を落としていた李鉄拐。
己の血に宿していた同じ八仙の首領を召喚させたの。
「あら?駄目じゃないですか?この女人のみの世界で男が入り込むのは」
「安心して良いわ。サクヤ龍王!この李鉄拐は私の一部と思ってくれて良いから。私の血肉を使った死者蘇生の術は一心同体といっても良いのよ」
「そうですか。本来ならこの塔、いえ?この国の中に男は入る事は出来ない結界が張られているの。万が一入り込めば空間から弾かれて外に飛ばされるはず。にもかかわらず私達の目の前に存在するって事は裏技って事ね」
「!!」
その一瞬、サクヤ龍王の姿が消えて何仙姑の間合いに入り、その首を落とす双剣が閃光の速さで振り払われた。
「召喚者を討てば終わりかと思ったけれど、そう簡単にはいかないみたいですね」
「そのようだ」
サクヤ龍王の剣を止めたのは、それも一瞬で守りに入った李鉄拐。
「蹴突閃牙」
繰り出された蹴りは、真空の突きで次々に足場を貫通させながらサクヤ龍王の接近を阻み、徐々に追い詰める。
「たとえ未来が見えていたとしても、いつまでも躱せきれるか見せて貰おうか」
紙一重で躱すサクヤ龍王は突きの雨の中を後退しながら無言になっていく。
「どうだ。この俺の蹴りは」
義足からの蹴りは、武器でしかない。
「横蹴突破刀」
突きから、横蹴りは断頭の刃。
「くぅう!」
双剣で受け止めるも、その威力に両腕が弾かれると、その隙を見逃さずに李鉄拐が頭上から回転しながら踵落としで畳み掛ける。
「セッカチね」
サクヤ龍王は躱せずに剣を交差して受け止める。
「受け止めたつもりが、かかったな」
「!!」
止められた李鉄拐の義足は、まるで蛇のように動き出すと、サクヤ龍王の身体に絡み付く。
「未来を読めても、掴まってしまえば恐れるに足らず」
李鉄拐は両手の裾から剣を抜くと、そのままサクヤ龍王の胸元を貫いた。
「グッ」
「ふふふ。そう簡単に殺してはやらん。じわしわと全身を切り落とす」
胸元から血を流すサクヤ龍王は、この状況でも笑みを見せていた。
「何がおかしい?」
「カミシニとして甦った私が、この穢れた血が少しでも出ていくことに喜びを感じているのかしら」
「気持ち悪い女め!」
李鉄拐がサクヤ龍王の胸に突き刺さった剣を引き抜こうと力を込めたその時、
「く、食い込んで動かんだと!?」
「龍神族の身体は頑丈なのよ」
サクヤ龍王は力むと筋肉の締まりだけで剣を粉砕し、更に指先を向ける。
「逆鱗・忌血」
それは本来、龍神の血を活性化させて身体能力をはねあげさせる奥義。しかしこれはカミシニの血を応用させ濃縮し、その能力の壁を破った。
「龍忌血爪」
勢いよく伸びた爪は李鉄拐の身体を突き刺していた。
「ガハッ!」
吐血する李鉄拐は信じられずにいた。
突き刺さる爪から、自身の力が、血が吸われていて、力が入らずにいたから。
「ば、化け物め!」
「失礼ね。お互い様ですわ」
その瞬間、李鉄拐の身体は霧の如く拡散して、その存在が消えた。
「そんな馬鹿な!!」
驚くは八仙の何仙姑だった。
頼みの綱であり、最後の切り札がこうも簡単に消されてしまえば、そうなる。
「うぐうぅうむ」
勇むも、李鉄拐を召喚するために使った血術に半分以上の血を使い、膝が震えていた。
「立っているのもやっとでしょ?あんたはそこで休んで見ていな」
「鉄扇!」
私は何仙姑の前に立ち、ゆっくりとサクヤ龍王に向かって歩む。
「あらら?私に恐れを抱かずに立ち向かうつもりかしら?それは勇気とは言えないわ」
「こう見えても私は女妖怪最強を謳っているの。あんまり余裕かましていると怪我だけじゃすまないわよ」
「あら、楽しみね」
サクヤ龍王は一息つくと、
「!!」
その間の瞬間、私の首もとに向かって左右から剣が迫る。
「芭蕉扇・双雷風」
私は片手に雷の芭蕉扇、もう片手に風の芭蕉扇を抜くと、私を中心に風雷の竜巻が起こってサクヤ龍王の接近を阻んだ。
弾かれた双剣を見て、
「多少はやるのかしら?」
「かなりやるわよ!」
私は全身に意識を集中させると、
「羅刹変化唯我独尊」
私の皮膚が黒く変色し、黒髪が燃えるような赤い髪へと変わっていく。
魔神の血を活性化させ、己の力の限界を超える私の最強変化。
「凄いわね。この私が一瞬、鳥肌立ったわ」
「本当に驚くのはこれからよ」
が、私とサクヤ龍王の戦いが始まろうとしたその時、突如私達の視界がボヤけだして空間が歪みだしたの。
「あんた、何かした?」
「私ではありませんわ。これは塔が選別を始めたのね」
「選別?」
「この塔に入って来た者達の中で、最も強い女を戦わせるみたいよ」
「最も強い女をですって?」
その時、歪んだ空間から別の人影が戦闘しながら飛び出して来た。
「この塔、また世界が変わったな!」
「私に集中しなさい!金霊聖母!」
それは頂上で戦っていたはずの金霊聖母と竜吉公主だった。
そして後から空間の歪みから抜け出して飛び降りて来た者がいた。
「あら?素敵!こんなに強そうな女の子が沢山集まるなんて、本当に選り取りみどりだわ。私も戦いたいのですけど」
それは九天玄女と呼ばれるこの塔で、現在最強の強さを誇る仙女だった。
そこに、
「九天玄女!侵入者を討つのが役目でしょ?また戦闘狂の血が騒いでいるの?やめなさいよ!」
それは瑤姫と呼ばれる始祖の神の血を引く仙女だった。
「でも見て?他にも現れたわよ」
「あいつら!」
新たな空間の歪みから抜け出して来たのは、
「何?何?剛力さん?また世界が変わったわよ!」
「奇異、だ」
法子と傷付いている剛力魔王。
「何かしら~身震いしてきた。カミシニ、始祖の血統、龍神。きっとそうよ!この場にいる娘達は切磋琢磨して自分が一番だと思っているに違いない。最強最高の女性を目指しているのに、この状況で黙っているなんて私には出来ないわ~」
「ちょっと!九天玄女!西王母様の言い付け忘れたとは言わせないわよ!」
「西王母殿には恩があるけど、それとこれとは別腹よ!もう我慢出来ないわ!いく!」
「えっ?」
その瞬間、中心に瞬間移動した九天玄女はこの場にいる全員を目視した後、その掌を順に向けて力を放ったの。
「!!」「!!」「!!」「!!」
「!!」「!!」「!!」「!!」
「!!」
その波動を受けて弾かれた者、受け止めた者、弾き返す者、戦いを邪魔された者。
全員が九天玄女の存在に注目した時、九天玄女は笑顔を見せて言った。
「ねぇ~聞いて!この場にいる全員で、一番素敵な女性を競いましょう」
九天玄女の言葉はこの状況で冗談にしては、あまりにも強くのし掛かる重さがあった。
嫌とは言えない重み。
避けては通れない最強の称号。
その第一とも言える女が目の前にいた。
それだけ九天玄女の存在感は特質だった。
次回予告
最強の女子・九天玄女が戦場をかき乱す。
その強さは本物??




