塔戦場のバトルロワイヤル!
玉面乙女を追い、法子達は塔戦場へと乗り込む。
しかし、そこには塔の番人の他にも、倶利伽羅の金霊聖母までが迫る。
私は法子。
私は鉄扇ちゃんの案内で女人国に侵入して、特に争う事なく入り込んでいたの。
この国は栄え、見回す限り女性しかいない。
相手の反応から、カミシニもいるし、普通の女仙もいるようだけど?
「この国の中ではカミシニであろうと、普通の女仙であろうと、西王母の意思なく争いは許されてないのよ。私も昔、何度か来た事があるわ。その頃にはカミシニなんてのはいなかったけど」
「えっ?あ~なるほど」
鉄扇ちゃんは男嫌いなのよ。
女妖怪の大ボスだったようで、沙悟浄と会っていなかったら、今頃この女人国みたいな国を造り上げていてもおかしくないわね。
「この国で西王母が支配していた事は知っていたけど、何処を本拠地にしているかと聞かれたら、あそこしかないわ」
「何処なの?」
「塔戦場よ」
「塔戦場?」
鉄扇ちゃんが説明するのは、この女人国に存在する闘技場のようなの。
「アレが闘技場?」
私が見上げたのは天まで届くような塔。
「うわ~高いわね」
「あの塔は闘戦女が競い、己の腕を磨く訓練場として存在しているの。私も二度三度挑戦した事があるわ」
「で、制覇したと?自慢話有り難う」
「残念。そこそこ登れたけれど、制覇は無理だったわ。悔しいけどね」
「え~?鉄扇ちゃんでも?」
「そうよ。この塔にはどうしても敵わなかった女仙がいるの。しかも二人」
「二人?二人も?」
「実際、直接は戦ってはいなかったけど、塔を登り詰めて、彼女達が待機していた扉を開ける事すら出来ずに、降りてしまった苦々しい思い出よ」
鉄扇ちゃんの強さを知っているだけに信じられないような話だったわ。
「入り込めば必ず道を塞がれる事は間違いない。何故なら、その一人は西王母の右腕だから。だからこそ女人国で唯一、難攻不落の場所であることは間違いないし、ここしか有り得ない」
「う~厄介ね。でも鉄扇ちゃんも負けるとは思って来てないでしょ?」
「当然よ!私も腕を磨いて来たからね」
拳を鳴らす鉄扇ちゃんに、その話を聞いていた剛力魔王さんが呟く。
「私も、負けない」
「剛力さんも応援しているわ!」
「お前、戦わない?」
「なるべく」
「何しに、来た?」
「えっ?それは興味本位よ」
「そ、そうか。強い力、持つのに、お前は、残念」
「褒め言葉と受け止めるわ」
照れる私を見て剛力さんは真顔になる。
(な、何故、戦う、しない?)
「諦めなさい。剛力魔王。法子は今回万が一の場合の保険だから」
それは女人国の外で待機をしていた孫悟空達の事を意味していたの。
私達三人だけの侵入を最後まで止めいたけれど、万が一の時は力付くで女人国の結界を破壊してでも入ると我慢して貰ったの。
「無茶だけはするなよ」
「僕はこの国を破壊してでも法子の所へ行く。待っていて」
「孫悟空、分かったわ。絶対に無茶しないわ!楽させて貰う。阿修羅もそんなに心配しないで?鉄扇ちゃんも剛力さんもいるから」
そこに沙悟浄が私に渡したのは、
「危険になったら、この人柱石が壊れます。そしたら私の持つ石も砕けます。そしたら直ぐに状況が分かりますから」
「有り難う。懐に入れておくわ」
そんなこんなで私達はここに来たの。
「入るわよ!」
目の前の女戦場の塔へ。
「ハテ?どうやって入るの?此処?」
「来て」
鉄扇ちゃんは何もない塔の壁を触りながら歩くと、その壁に嵌まる玉を数える。
「どうやら大丈夫みたい」
「何?」
「この玉の数が塔の中に入れる数よ。入れる数は決まって十二人まで。見ると石の数が四つ無いようだから中には今、四人の女戦者が入っているようね」
「今、玉が八つあるから、私達三人入れるわけね?」
「そうよ」
「干支十二宮殿を思い出すわね」
鉄扇ちゃんが玉を一つ抜くと、その姿が消えていく。
「少し違うのは中に入ったら、何処に繋がるか分からない所。法子達も気をつけな」
「えっ?」
「承知、した」
すると剛力さんも玉を抜いて姿が薄くなって消えていく。
残された私は?
「ちょっと待ってよ?えっ?バラバラになったら私も戦う可能性出てくるじゃないのよ」
仕方なく玉を抜いて、中に入る。
「早く追い付いて合流しないと!ん?入らない選択もあった?あ~もう手遅れ~」
そして消えていく私。
そして誰もいなくなった時、外で騒ぎが起こったの。
「きゃアアアア!」
カミシニの女仙兵達が侵入者を前にして吹き飛ばされ、その衝撃に消されていく。
女仙達は武器を手に、カミシニの血を絡ませ硬質化させると、全方位から投げつける。
「舐めんなよ。西王母に組みするカミシニは全て敵だよ」
侵入者の身体から発する熱が一帯の温度を変え、飛んで来た女仙の武器を蒸発させる。
「この早魃様の熱気に耐えられるなら、いくらでも相手してやる!」
そして宙に浮かぶ女仙が次々と意識を失い落下していく。それは蓮の花が広がり、その花から女仙が何体も出現して襲い掛かった。
「他愛もない」
何仙姑と早魃の二人組。
その身体から浮かぶ赤い紋様。
倶利伽羅の紋様に多少似ていたが、異なる紋様は二人を強化させていた。
「ふふふ。倶利伽羅の力の一端を分けてやったお前達には、潜在能力を数十倍にも飛躍させてやったのだ。もっと成長して私の手足となりなさい」
その中心に立つリーダー格の女は、女人国の女仙達を全く相手にしていなかった。
そして女戦場の前に立つと、その嵌められた玉を抜き取り姿が消えていく。
「ま、待ってくださいよ~!」
「せっかちな主だわ」
そして何仙姑と早魃も玉を抜き取り、その姿は塔戦場の中へと姿を消したのだった。
場所は塔戦場の中みたい。
「ふぅ~。どうやら着いたようだけど、何なの?此処?」
私の前に広がる風景は、火山山頂?
「暑いと思ったら、私てば女人国から何処に飛ばされたの?」
「この中、結界。塔の中、空間入れ込んだ」
「あ、剛力さん!」
空間を入れ込んだって、塔の中に特別な結界を造って、火山山頂の空間を入れたって事?
「とんでもないわ~」
「お前、退く!」
「えっ?」
私は剛力さんに腕を掴まれ引っ張られると、そこに向かって蹴りが繰り出されて地面が砕けたの。そして熱気の中から、
「お前、前に私を殴った女だな。面白い。どうして此処にいるか知らないが、あの時の借りを返してやるよ」
それは早魃だった。
この塔戦場でのバトルロイヤルの一戦目が、始まる。
そんなこんな。
次回予告
熱気漂う火山戦場に早魃が襲い掛かる。
法子の応援に剛力魔王が立ち向かう!
法子「頑張って~剛力さん!」




