仙女院国?女達集う??
東華帝君が狙う鍵は世界の命運を握ると言う。
それが逃走中の玉面乙女が所持していると知り、法子達は?
私は法子。
私は今、東華帝君から身を隠している玉面乙女のいる地へ向かっていたの。
そこで私は一度、孫悟空達と分かれる必要があったの。
ちなみに私には鉄扇ちゃん、それに剛力魔王さんの三名だけ。
えっ?どうして三人だけ?
しかも女の子だけですって?
それは玉面乙女の逃げ隠れた場所が聖域で、男は全て足を踏み入れられない場所。
男である事で、その場から弾かれる国。
仙女院国。
「確かに隠れるにはもってこいかもね。男は入り込めないなら、流石の東華帝君も追っては来られないものね。考えたわね、あのクソ女」
「鉄扇ちゃん?」
そう言えば、鉄扇ちゃんと玉面乙女とは因縁ある仇なのよね。沙悟浄と離れてまで率先してこのメンバーに入ったのだから、その意気込みは痛いほど伝わるわ。
「感情、抑える。何あるか、わからない」
「あ、油断大敵って事ね?剛力さん」
剛力魔王さん。
この片言の黒肌の細身だけど筋肉美の大人の女性。
孫悟空の昔の仲間で、過去に戦場で戦死して西王母の力で、敵としてカミシニとして甦ったの。
一度はカミシニとして敵となって現れたけれど今は仲間として私に同行してくれたの。
実力はお墨付き。心強いわね。
「さて、女人国に入るわ」
私達は門を開くと、結界に弾かれる事なく安々と中へと入り込めたの。
「うそぉ~??」
そこは桜吹雪が舞い、桃色の川やら、それこそ桃の木があったりする、ピンクな国だったの。もう女の子が乙女にならないわけないムズムズする世界だったの。
「何か意味なく照れるわ」
すると先に足を進める鉄扇ちゃんは、
「法子、悪いけれど私を絶対に止めないで。もし止めるなら、私はあんたに容赦しないわ」
「て、鉄扇ちゃん」
鉄扇ちゃんは復讐するつもり。
玉面乙女は、かつて自分が手にかけた大女妖怪だったから。
その理由は、親愛な義姉さんの仇だったから。
「私が止めるか止めないかは、先ずは鍵を手に入れてからよ」
凄く恐い顔の鉄扇ちゃん。
沙悟浄が受け皿になっていたから忘れていたけれど鉄扇ちゃんは昔、孫悟空達とは敵だったと言うし、これも鉄扇ちゃんのもう一つの顔なのね。
「お前、達。油断、するな」
「あ~ごめんなさい」
そんな私達は女の子しか入れない女人国へと侵入する。
もともとここは西王母の別居の国らしい。
だから何が起きるか分からないわ。
その同時刻、この女人国へと入って来た別の一団がいたようなの。
「どうやら、ここね」
その者の名は早魃。
少し前に私達と一戦交えたカミシニの女。
「この私をぶんなぐった連中を早く始末したいのよ!玉面なんか放っておいて私を自由にさせてよ!」
「新人は黙って働きなさい!」
それは八仙の何仙姑。
「何?私に文句あるってぇの?」
「文句はないけど、その首落としても良いなら言う事を聞きな」
「八仙の何仙姑ね。あんたら八仙はもう壊滅したんだろ?お前一人に恐がるとでも思うか?」
二人は互いに睨みあい、一触即発になると、
「お前達、この先にいる玉面乙女。それに一緒に逃げたサクヤ龍王を始末してから二人でじゃれ合うことね」
「!!」
小馬鹿にされつつも二人は何も文句は言えなかった。
目の前に存在する女仙には、どう足掻いても敵わないのだと本能が告げる。
「あ、貴女が出向いたのなら脱走者なんて他愛もないのではなくて?」
「ふふふ。仮にもあの二人は忌眼体蝕者。そう容易くはあるまい。それに私が弱かったお前達の底上げしてやったのよ。だから私に報いるように働きなさい」
「え、えぇ。分かったわ」
怯む二人の前に胸を張り立つ女。
「金霊聖母」
倶利伽羅王の器にて、聞仲の師匠だった女仙。
正に最強最麗の王だった。
「この倶利伽羅の私が手こずる相手がいるのだから、少しでも猫の手が欲しいのよ」
そう言って、二人の胸を掴み握る。
「あ、ああぁ~」
「う~ん~」
力抜けるように二人はなすすべなかった。
「あの西王母が残していた奥の手連中がな」
場所は変わる。
そこには逃げ延びて来た玉面乙女とサクヤ龍王が匿われていた。
「本当に助かりますわ」
サクヤ龍王は今にも飛び出していきそうな玉面乙女を龍血の鞭で縛りつけて座らせていた。
「何度も立ち向かっても今の私達では彼女には敵いませんわ」
二人の前には、二人の女仙が立っていた。
その一方に玉面乙女が襲いかかって返り討ちにあっていた。
「あんまりモタモタしていると、もう来ているわ。私達を追っ手来た化け物が」
サクヤ龍王は女人国の結界内の離れた場所に侵入して来た者達の気配を感じ取る。
「倶利伽羅の金霊聖母か。厄介ね」
しかし、予想外の客に気付き笑みを見せる。
「こんな所まで追っ手来たか」
それは法子達の気配も近くに感じたから。
「どうやらこの私にもまだ未来は見えて来ないようね。変だわ。私の予知がこの頃、鈍って来ているなんて」
すると奥から別の仙女が現れる。
「安心しなさい。西王母様に代わりお前達を守ってやるわ。だから二人は黙って待っていなさい。この私達が侵入者を始末してくるから」
「瑤姫殿、それに九天玄女殿。本当に助かりますわ」
「気にするな。私達は西王母様の側近。お前達の事は前以て任されていたのだからな」
深紅の仙衣の瞳が大きな少女の名は瑤姫。
そして玉面乙女を返り討ちにしたのが九天玄女と呼ばれる西王母の側近だった。
今、この仙女院国で女達の戦いが繰り広げられようとしていた。
そんなこんな。
次回予告
法子達が入りこむは、塔戦場。
そこに鍵を取り合う三つ巴の戦いが始まる予定。
そんなこんな。




