東華帝君!新たな敵と勝敗を握る鍵のありか?
牛角魔王の一行と合流した法子一行。
そこで知り得た情報を聞く事にした。
私は法子。
私達は牛角魔王さん達と合流し、さらに助けた仙童から今の仙界について聞かされたの。
新たな仙界の王は、あの西王母を倒して監禁し、逃走した玉面乙女を指名手配にさせて配下達に追わせていた。
そこまでは内輪揉めだと思ったけれど、その仙王はこの仙界に住まう全ての仙人を集めさせて全カミシニ化を指示したの。
西王母の行ったカミシニの占有権を略奪し、今や仙界の支配者。
当然、カミシニの資質がない者は即死。
それは老若男女関係なく、逆らう者は全て消され、完全に暴力国家となっていたの。
「許せないわ」
話を終えた仙童達は沙悟浄に任せて、私達は牛角魔王さんに話の続きを聞く。
「紂王の奴は自分の国を造ってカミシニを集めさせて、最終的には自分の中に取り込もうとしていたが、仙王も同じか?」
「それは分からん。孫悟空」
「牛角、それはどういう意味だ?」
牛角魔王さんは私達に今日までの戦いの旅で知り得た事や、体験を話したの。
「俺達は既に新たな仙王、東華帝君相手に先日一戦交えたのだ」
「そうなのか?」
東華帝君とは、現在仙界を支配している新たなカミシニの王らしいの。
牛角魔王さんが感じた東華帝君は、
「あの者からは何も感じなかった。今は目的こそあるが、恐らくは欲望ではなく、その場で思った事を実行しているように見えた。あの者にとって世界征服も滅亡も、大して興味無かろう」
「どういう意味だ?」
「本人目の前にして言うのは多少ひけるが、昔の阿修羅のようなと言えば分かるか?」
「うっ!分かった!手が付けられない爆弾抱えるようなもんだな!」
「俺はそこまで言ってはいないぞ」
見ると阿修羅が嫌そうな顔をしていた。
「冗談だ。怒るな、阿修羅!今のお前は感情あるし、大人になったぞ」
「孫悟空、君は僕のフォローが下手だから、もう何も言わないでくれ」
「そっか?」
私達は少し笑いが溢れたけれど、つまり感情一つで何をしでかすか分からない敵。
「で、どうだった?お前の見立てでは。戦ったのだろ?」
「そうだな。現状は手がおえなかった。奴は倶利伽羅の王であり、始祖神だ」
「始祖神の倶利伽羅の王??」
「うむ」
牛角魔王さんは順をおって説明したの。
先ず話すは、始祖神について。
始祖神とは、神々の祖たる旧世代の神様の事。
今の神様達は、その流れを汲む子孫にあたり、更には多種と交わり分裂した神族。
はたまた外来神らしいの。
つまりあの今の神様が天界を統治する前までの支配者でもあり、その祖たるや、濃縮な神気を持つ最高神なの。
「でもさ?カミシニって神様の天敵よね?始祖の神様なら尚更カミシニの血に弱くない?」
「その通りだ。相反する力は己を死滅させる。しかしだ」
「何?」
すると更に驚く話が聞かされるの。
「東華帝君は大昔に消息不明となっていた」
「消息不明?」
「そうだ。全てはこの時のために。奴はカミシニが世界を支配する事を予知していたのだ。神をも超えるカミシニの力を手に入れ、更に己の始祖たる力も失われない方法を模索し、そして実行した」
「それって?」
東華帝君は神の身を捨て、転生したの。
それはカミシニの血を受け入れる器たる新たな生物への転生。
「東華帝君は神の身を捨て人に転生し、カミシニの力を手に入れた。しかも始祖たる己の記憶を残す事で、始祖の力をも取り戻したのだ」
「つまり?」
「東華帝君は、神の天敵であるカミシニと、神の頂点の力を持ち合わせた規格外の化け物だ!」
その話を聞いて孫悟空が牛角魔王さんに聞いたの。
「まるで本人に聞いてきたような情報だな」
「ん?そりゃそうだ。俺は幼少時に奴と会っているからな」
「何ぃ~??そうか、そうか!お前!」
「何?孫悟空?」
「法子、牛角の奴は始祖神の一族だった!」
「えっ?そうなると紅孩児君もよね?」
「そうなるわな」
牛角魔王さんは紅孩児くんと同様の始祖神の力をより濃く受け継いだ血族らしいの。
「奴とは顔見知りだったからな、俺に気付いて語りだしたわ。しかも俺を誘って来たから断ってやったぞ。次に会った時は敵として奴の前に現れると言ってな」
とんでもない話だわ。
始祖神って、そんなわんさかいるのね。
ん?
「あ~そういえば私も聞いた事あるわ!」
私は叫ぶと思い出したの。
それは干支十二宮殿の最上宮で会った始祖神の伏羲と女媧が言ってたの。
牛角魔王さんは始祖神の末裔だとか。
「そういえば伏羲と女媧が世界の危機を訴えていたけれど、それって蛇神族でなくてカミシニの事だったのかも・・・」
蛇神族を倒して安心していたけれど、カミシニが本当の敵だったなら、やっぱり私はこの戦いを避けられないわ。
だって、私には借りがあるから。
それは阿修羅と孫悟空の命を救ってくれた。
その見返りが、世界を混沌に落とす厄災から世界を救うって内容。
「私は受けた恩と恨みは絶対に返すのがモットーだから」
で、
「私達の当面の目的は東華帝君を倒す事のようね」
「それもそうだが、もう一つ気がかりがあってな」
「何よ?また面倒くさい話?」
「お前、俺に向かって」
嫌な顔をする牛角魔王さんの肩を軽く叩いて、許してやってと孫悟空が庇ってた。
「話を戻そう。どうやら東華帝君は西王母の使っていたカミシニ製造の装置を手に入れようときているようだが、その鍵を持って玉面乙女が逃走をはかったらしい。今は総力で玉面乙女を捜索しているようだ」
「うわっ!つまり東華帝君に玉面乙女の持つ鍵を奪われたら最後って事なのね。だったら先ずは玉面乙女からその危なっかしい鍵を手に入れないとね」
「そういうことだ」
「で、その居場所は分かっているのよね」
「・・・」
「?」
そこは屈強な牛角魔王さんでさえ足を踏み入れる事が困難な場所。
そして、孫悟空でさえ頭を悩ませたの。
「えっ?何?何なのよ~??」
玉面乙女の居場所は何処なの?
そんなこんな。
次回予告
玉面乙女が持ち去った鍵のありかは?
そこは孫悟空が懸念する場所だった。




