深層仙界突入!合流の仲間達!
仙界を新たに支配していると言うカミシニの王。
法子達は、再び仙界へと乗り込んだ。
私達は法子一行よ。
私、孫悟空、阿修羅、八怪に沙悟浄、玉龍君と、お決まりメンバーで旅をしています。
「あっ」
ちなみに鉄扇ちゃんは先に仙界に入った牛角さん一行に合流して貰うために一足先に向かって貰ったのよ。
それから・・・
「姜子牙くん」
本来なら彼は紂王を討った英雄として讃えられるほどの武勲を残したと言うのに、何も残らなかった。それどころか親友であった黄天下君を目の前で失い、心が抜けたようになってしまったの。沙悟浄も幾度と精神への治癒を試みたけれど、全く反応はなかった。
本来なら安全な場所に残して置くのが良いと思ったのだけど、まるで生きた屍のようにフラフラと立ち上がり、私達の後を付いて来るから、放って置けなくて。
もしかしたら旅の中で、何かがキッカケで元に戻る可能性もあるかもと信じて同行を許しているの。それにナタクからも頼まれたしね。
「乗り掛かった渡舟へようこそ」
そんなこんなで私達が辿り着いた場所は、地上界と仙界への境界線。
この中心に門があって、扉を抜けた先に仙界へと繋がっているのよ。
以前、西王母を倒すために殴り込んだ事があったけれど、何か勝手が違うみたいね。
「この場所で仙界と紂王の支配していた軍が扉の権利戦争を行っていたのよね。天界から水晶で見ていたから大体は知ってはいるけれど、仙界にはまだまだ猛者が沢山いそうね」
「まぁ~俺様が付いていれば猿に如意棒だぜ!」
「鬼に金棒みたいに言うなや!」
八怪と孫悟空は睨み合うと、今度は阿修羅が割って入る。
「それでも法子は僕が守るから」
「よしゃ!誰が一番法子を守れるか勝負だぁ!」
「受けて立つら!」
「負けないよ」
と、まぁ~私、モテモテ?チヤホヤ?
それとも勝負事に使われてる?
「あんた達、馬鹿やってないで急ぐわよ」
「僕は真面目だよ!」
「阿修羅、分かったから顔近いわ!」
と、いつも通りの私達。
すると沙悟浄が私を呼ぶ。
「見えて来ましたよ~!」
「仙界の門ね」
二度三度、門を抜けたりしていたけれど、私達が以前使った門は先の戦いで粉々に消えたの。
しかし、ある日突然新たな門がこの地に出現して、紂王の軍と仙界のカミシニ大戦が始まったらしいのよ。
「孫悟空?あの扉は私達が通ったのとは別物なの?」
「そうだな。俺様も詳しくはわからないが、恐らく別のようにも思えるぞ。何か、こ~う違うような。う~ん」
「違いますよ!私はキッパリ言えます」
「沙悟浄?」
「ほら?扉に彫られた装飾や模様が全然違うじゃないですかぁ~。以前のも良い仕事してましたが、今回のも腕の良い職人の腕がなったと思いますよ~はい!」
「あはは。私にはちんぷんかんぷんよ」
と、扉に近付こうとした時だったの。
扉が多少光り輝くと、向こう側から仙界の仙兵がぞろぞろと出て来たの。
「どうやらお客さんのようね」
「そうだな」
奴らは外から私達の臭いを嗅ぎ付けたカミシニ。
餌を狩りに現れたみたいなの。
「数十体ってとこか?」
「オラが一番乗りら!」
八怪が手刀を大きく振るうと、その漆黒の気が刃となって一閃する。
「うぎゃあああ!」
隙を見て背後から襲って来た仙兵を切り裂いたのは、八怪の釘鈀。
「武器を活用して!」
「分かっているら」
私達の武器は龍神の血を浴びた宝具。
蛇神の力はカミシニの血と反撥するように、龍神の血も反撥するようなの。
「使いすぎには注意よ!」
「分かってるぜ!如意棒ぉーーー!」
孫悟空と八怪は少量の魔眼の力を武器に込めていた。
金色の光を覆う武器はカミシニ達に致命傷を与えられるのよ。
「刃が5本のもの 五鈷杵」
阿修羅はもともと無手だったから、私の武器を貸してあげたの。
阿修羅はこの武器を手に、直接カミシニに触れずに倒していく。
その動きは、雷のような速さと、炎のような激しさ、水が流れるような静けさと優雅さがあった。阿修羅の動き一つで、カミシニ達は自らの身体に風穴を開けて、徐々に魔眼の力で消滅していく。
「来るもの拒まず!打ち砕く」
孫悟空の如意棒がカミシニ達を貫通させながら持ち上げると、空中へと放り投げる。
「孫悟空兄貴、任せてください!」
沙悟浄の手から「降妖宝杖」(こんようほうじょう)の先端が外れて光りを放つ鎖が伸びると、先っぽの半月刃を飛ばして鎖鎌にする。
「どうや!」
そして振り回しながら空中のカミシニ達を切り裂く。
まさに連携の取れたコンビネーション。
私の調教の賜物ね?
そして扉から入って来たカミシニの仙兵達を全て倒すと、私は麒麟の姿の玉龍君の背に乗せた姜子牙君に向かって語る。
「今から仙界へ突入するわ。ここから先は私達も命懸け。だから貴方がもし目的があるなら、今は辛いかもそれないけれど早く回復して、私に声を聞かせてね」
反応のない彼に、私は瞼を綴じると玉龍君を走らせる。
「皆、行くわよ!ここから先は片道切符じゃないわ!往復券よ!だから必ず戻って来ましょう!」
「よく分からないが、分かったぞ!」
そして扉の向こうへと飛び込んだの。
光が私達の視界を塞ぎ、そして声がした。
「仕方ねぇらな。オラが留守番してやるら」
「えっ?」
振り返ると、八怪の姿が光の中で消えたの。
そして光りの道を抜けると、私達は森の中に抜けた。
急いで周りを見ても、八怪の姿がなかった。
「八怪はどうしたの?」
すると沙悟浄が言伝てを私に告げる。
「実は八怪兄貴は・・・」
私達が入って来た扉からは、仙界の者達が地上界へと侵入する入り口でもあるの。
「オラがあの門を閉じて、なんぴたりとも入れさせんらよ」
そう言って、扉の門番として残ったの。
「八怪、無茶しやがって!けどよ、直ぐに戻るから待っていろよ!」
「勝手な真似して・・・後で私からきつくお叱りしてあげるから、ちゃんと生きていてよ!」
そして私達は侵入した仙界を見回したの。
入って早々に襲撃にあったら、たまったもんじゃないわ。
「どうやら大丈夫のようね」
「まぁ、場所を設定しないで飛び込んだのだから何処に着くかは運みたいなもんだからな」
「そうなの?」
孫悟空はもともと仙界にいたらしく、自慢そうに答える。
「此処が何処か分かるの?」
「辺境なのは間違いないとは思うが~う~ん。仙界と言っても馬鹿広いんだぜ?地上界より広いかもしんないのだぞ」
「えっ?前に着いた場所は?」
「あそこは崑崙だからな。例えるなら中央の地にワンポイントで行けたんだ。今度は簡単には辿り着けないかもな」
「うそっ!」
焦る私に、
「うそぴょ~ん!」
「へっ?」
「あははは!仙界には龍神界や天界同様に空間転移の門があるからな。そこから移動して行けば運良ければ数日で行けるかもな。わかんねぇ~けどよ」
「あ、そぅ」
とりあえず私は拳骨で孫悟空の頭を殴る。
「冗談言ってないで案内してよ!」
「いてぇ~な!先ずは近くで大きめな村を探そうぜ」
「村ね」
そして私達は手分けして周辺をさがしてみた。
私は玉龍くんと姜子牙君。
阿修羅、孫悟空、沙悟浄も私達とは違う方向に飛んで貰い、待ち合わせ場所を決めて情報収集したの。
それから数時間経った後、私達は合流してお互いの話を聞く。
「人がいた形跡はあったけれど、人っ子一人いなかったよ」
「ご苦労様、阿修羅」
「俺様も全くだったぞ」
「そう、私もよ。それにしても沙悟浄遅いわね?まさか何かあったとか?」
「アイツの事だから大丈夫だとは思うが、確かに遅ぇ~な」
私達は心配になって沙悟浄が向かった方角へ足を向けたの。
その頃、沙悟浄は。
「はぁはぁ」
息を切らせ、襲って来たカミシニ相手に一人で戦っていたの。
「大丈夫です。私が君達を守りますから」
沙悟浄の後ろには、小さな子供が二人、震えながらそこにいた。そして前方に立つ女仙が沙悟浄に向けて掌を向けたの。
「熱血」
血飛沫が高熱をうみ、沙悟浄と子供達を襲う。
「血を発熱させた攻撃ですか」
沙悟浄は防御に徹していた。
自分は魔眼の力で身を守れるが、子供達はそうはいかない。
もしこの場を離れれば、カミシニの血で仙童である子供達はひとたまりもないのだから。
「水洗救金」
沙悟浄は両掌を向けて水流を足元から噴き出させ、さらに金色の魔眼の力を流しながら防御盾を造る。
「長くはもちませんが、きっと!」
「直ぐに蒸発させるわ。この妭がな」
その時、女仙に向けて背後から攻撃が迫る。
「新手か!」
振り返ると、鉄扇ちゃんが大鉄扇を振り回して攻撃を仕掛けると、寸前で飛び上がり躱す。
「やるな!」
しかし頭上から別の圧が入り、見上げた妭に向けて大斧が振り下ろされる。
「油断、大敵、お前」
その攻撃は剛力魔王。
「なっ!?」
打撃を受けた妭は地面に叩き付けられ、陥没する地面に消えた。
「逃げたわね」
「その、ようだ」
「河童ちゃ~ん!大丈夫だった?」
「鉄扇ちゃん!ありがとうございました!本当に助かりました~」
鉄扇ちゃんと剛力魔王の女性コンビに救われた沙悟浄は、遅れて現れた二人にも気付く。
「お~い!沙悟浄!」
それは紅孩児君に牛角魔王さん。
そして今の砂煙が巻き起こった事で駆けつけた私達は、運よく合流出来た事で戦力が増したの。
「あら?もしかしてビンゴ引いた」
「かもな」
沙悟浄は助けた子供達を私に合わせると、そこでこの仙界で起きている現状を知ったの。
それは新たな仙界の王の暴挙だった。
そんなこんな。
次回予告
牛角魔王、紅孩児、鉄扇、剛力魔王と合流した法子達。
新たな波乱が更なる展開へと動くのだった。




