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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
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夢物語?それは聖徳太子と、夢見がちな女の子のコラボ??


夢世界で襲われる法子を救ったのは、聖徳太子の転生者と名乗る少年だった。


彼は味方?それとも?


えっと、私、法子!


夢の世界で油断した私が獏に襲われる寸前、謎の男子に助けられたの?


しかも、自分を夢術師だとか、あの聖徳太子の転生者だと名乗る彼は一体?


そもそも転生者とは?


転生者とは過去に生きた歴史上の人物であり、特別な力を持っていたり、強い思いを持っていた者は同じ記憶を持ったまま新たな時代に生まれ変わる者達の事。


それにしても聖徳太子って?


しかも夢術師なんて聞いた事もないわ?


ん?待って?


夢術師?


もしかしたら!



「危機一発でしたね?お嬢さん?私が現れたからにはもう心配ないです…ウッ!」


私は彼の腹を殴って脱出する。そして着地と同時に彼の襟を掴み睨み付ける。


「あんたがこの一件の犯人ね?」


「待った!待った!待った!」


慌てる彼に私は容赦なく拳に霊気を籠めて殴ろうとする。


「たぁっ!」


彼は私の掴む手を振り払うと、


「犯人がどうして君を助けるんだよ?ちょっと冷静になって、私の話をき…聞け!いや、聞きなさい!」


…私の拳は彼の眼前で止まった。


「それもそうね?でも私を油断させる魂胆かもしれないわね?まだ信用ならないわ!」


「本当に疑り深いな~」



彼は気を取り直すと、


「先ずは目の前にいる脅威を何とかしないとね?」



そうだった!


まだ獏がいたんだ!


けど、私にはもう戦うための術札が底をついていたの。


どうしよう?


すると獏は口から異様な煙を吹きかけると、辺りは紫色の煙で充満する。


「何が始まったの?」


「獏が宿主の夢を奪ったんだよ!」


「えっ?」


見ると彼の視線の先で私の札で拘束していた有栖さんが、獏の額に捕らわれていたの。


忘れてたぁ!


すると紫色の煙から再びトランプの兵が現れて、私達に向かって槍を投げて来たの。


「あわわ!どうしよう?」


「慌てないで?私は夢術師!この程度の事は造作もないですよ?」


「えっ?」


太子君は指を鳴らすと、まるでマジックのようにシルクハットが出現し、宙に投げると掃除機のように飛んできた槍を吸収する。


「本当にマジックみたい?何?どうなってるの?」


「これが夢術師さ!夢は私の領域!世界は私のためにあるのさ!でも油断はまだまだだよ?ほら?」



獏の煙から今度は時計を持ったウサギと、猫みたいな化け物、それに玉子男が現れる。更に後ろからは大きなハサミを持った女王と、小さな爪切りを持った王様が襲い掛かって来た。


取り敢えず危険無さげな王様を踏み台にして飛び上がると、宙から縄が降りて来て私は意味も解らないでその縄を掴む。その縄に後から太子君が掴むと、空中から垂れている縄を蔦って移動し、何処に続くか解らない階段へと着地した。


「何?何?縄?階段?どうして都合良く?」


意味不明な私が混乱していると太子君が答えた。


「だって夢だからさ」



聖 太子君曰く、この世界は思いの強さで世界を構成出来るんだって?本来なら夢の宿主に夢の特権があるのだけど、夢術師は宿主の夢を自由に作り変える力を持っていると…


「まぁ、色々と制限はあるんだけど…」


あのヘンテコな連中は宿主である有栖さんの部屋にあった本が潜在的に夢に現れて具現化したもので、更に言えば獏は宿主を取り込む事で、宿主の夢を操る事が出来るらしい。



「つまり、あの獏を倒せるのは夢使いの私だけなんだよ?お嬢さん?」


ムカッ!


ちょっとプライドが傷付いた。


何?私には何も出来ない?無用で必要ない、ただの儚く可憐な女子高生ですって!!


…そんな事は誰も言っていない。



しかし私には用意していた術札を全て使いきってしまったし…


確かにこの状況では何も出来ない。


出来ない…


えっ?本当に出来ないの?


この世界が夢なら、意思の力で何とかなるんじゃないの?もしかして?


私は意識を集中させる。


しかし何も起こらない?


ちょっと悩む。


確か夢の世界に入って来た時は…


私、飛べたよね?


しかし今は飛べない?


どうして?何が違うの?


あの時と今では?


その時、私に向かって時計ウサギが時計を投げて来たの!一瞬、頭に過る。あんなのバットがあれば打ち返せられるのにと…


「!!」


そしたら私の手に金属バットが握られていたの?


えっ?


私は迷いも躊躇もなく金属バットで時計を打ち返すと、時計はウサギに直撃して爆発した。更に背後から忍び寄り近付いて来ていた玉子男をフルスイングで粉々にした。


「ふぅ~」


「ふぅ~って、恐いよ!君!ちょっとグロいから!えっ?何?その金属バットどうしたのさ?」


太子君は私に面食らっていた。更に、


「何か掴んだかも?」


「へっ?」


私は懐から術札を取り出して見せた。しかし術札は既に無くなっていたはず?でも私は至極当然、あたかもまだあったかのように出して見せた。


「つまり、思い込みよね?あるって信じてしまえば、それが現実…いえ、夢の世界でだけど、出したり消せたり出来るのね?」


「いやいや、間違ってはいないけど…それを理解して行動に移せるなんて…君は何者なんだ?まさか夢術師?」


「違うわ!私はただの夢見がちな女の子よ!」


「えっ?」


「お喋りはおしまい!取り敢えず目の前の問題を解決させるわよ?」



私は丸めた術札を空に向かって投げると、まるで花火のように炸裂して、その火花が落下しながらトランプ兵を貫いた。それは本来の私の能力よりも威力があったのは、これも思い込みの力みたいね?


「迷いも疑いもないのか?完全に夢を支配しているじゃないか?なんて娘だ?」


太子君はため息をつくと、キザにカッコつける。


「そうだったな…夢の世界に入って来た地点で、ただ者じゃなかったしな。それならば真の夢術師としては負けてはならないぞ!見せてやろう!私の夢物語を!」


太子君は笑顔を見せると上空から風船が降りて来て紐を掴み、ぶら下がりながら浮かんでいく。そして手品のように指からナイフを出すと、私に襲い掛かる猫の化け物に向かって投げる。


「ニャアアア!」


猫の化け物にナイフが突き刺さると、風船のように割れて三味線になった?


「さぁ~て!今より私のドリームショーを見せてあげよう!」


太子君の背後からハサミを持った女王が襲い掛かるが、太子君は切られる前に箱の中へと隠れる?そして真っ二つになった箱の中からは、太子君でなく小さな爪切りハサミを持った王様が両断されて出て来た。


怒り狂う女王の上空から赤、青、黄色の風船が降りて来ると、割れた拍子に太子君が現れる。


しかも三人?


「本物はどれかな?」


迷う女王だったが、風船から現れた三人の太子君は女王の周りを囲み膨らんでいく?


「うごぉおぉお…」


そして膨らんだ太子君が女王を圧死させた。


パチン!


同時に指を鳴る音が?


音のする方向に太子君がシルクハットを脱ぎ、挨拶をした。


何処からともなくカラフルな紙が桜のように降っている。


まるで手品かサーカスを見ているようだった。


私は拍手喝采でこたえる。


「御覧頂き、ありがとうございます~」


と、顔を上げた太子君はウインクする。



さて、夢の住人は片付けたわけで、後は元凶の獏を倒すだけね?


私は有りったけの術札を獏に向けて投げつける。


「ちょっと待ったぁ!」


そこに太子君が巨大な網を降り投げて、私の投げた術札を全て捕らえたの。


「何をすんのよ?邪魔は止して!」


しかし太子君は真面目な顔で私に説明する。


「あのまま貘を倒してしまったら、取り込まれてる彼女も死ぬ事になるんだよ!」


えっ?


「夢の中で守らなくてはならない三つの約束の一つ!夢の宿主を外部の物が傷付けてはならない!」


「どういう事?詳しく教えてよ?」


「簡単に説明する。夢の世界は魂と繋がっている。魂が夢を見ているんだ!そして獏は彼女の魂を縛している。つまり獏と繋がった状態の彼女が、夢の中で命を落とせば…」


「有栖さんの本体にも影響があるわけね?」


「理解が早くて助かる。その通りだよ!」


「なら、救う手立てはないの?このまま彼女を獏に取り込ませておくの?」


太子君は一呼吸すると、私に向かってウインクする?


「そのために私がいるのさ!獏を殺さずに、彼女を助けるすべを私は可能にするのさ!あははは!」



つまり獏から彼女の魂を引き離し、倒すって事?どうやって?


太子君は後は任せなさいと親指を立てる。



「夢の中で、唯一の直接攻撃…あんまり好まないが、救う唯一の手立て!あんな化け物にいたいけな女子高生をいつまでも自由にさせてたまるか!」



太子君は飛び上がると、巨大な獏の足下に着地する。そして印を結び腰を下げて構え、その力を自分の指先に集中させた。何をする気なの?


すると足元から結界が出現し、それは広がっていきながら獏の巨体をも囲む。


太子君の指先が光り輝いて、それはまるで錠のような形になる。同時に獏に向かって飛び上がると、その錠を連続で突き付ける!


『拳法十七錠!』


十七箇所に光る錠が獏の身体に埋め込まれると、光る鎖が飛び出して拘束していく。更に獏の身体が見る見ると小さく萎む?あの錠が獏の力を浄化しているの?


「さぁて?準備は終えたよ?もうあの獏は身動き出来ない!」


更に上空から十二色の玉が降りて来て獏を囲む。確かに拘束された獏は逃げる事が出来なかった。


「あの玉は獏を封印する」


太子君が掌を挙げると玉はぐるぐる周りながら煙を噴き出す。


『完囲獣荷戒』

※カンイジュウニカイ


煙が全て消えた時、そこには獏の姿は消えて倒れかける有栖さんがいた。


「おっと?」


倒れる有栖さんを太子君が抱き止める。


「これが私の、夢術師の獏を封印する手段さ!」


太子君の手には玉があり、その中に獏が閉じ込められていた。



「さて、これで一件落着!早く戻らないと、今度は私達の身が危険だよ?」


「どういう事?まだ何かあるの?」



太子君は夢世界の二つ目のタブーであり、注意を教えてくれた。


夢の宿主が貘から解放され、目を覚ますと…


その夢は忘却と共に消え去る。


つまり、その時に夢の中に入っている夢術師も消滅してしまうのだ。だから宿主が目を覚ます前に夢世界から脱出しなければならない。万が一、何かのショックで起きたら…ゾッとする。



「は…早く脱出しなきゃ?でも、どうやって?入る事は出来たけど出る手段解らないよ?私?」


「そのために迎えに来たんだよ?私は!」


「えっ?」


「えっ?あ、いや、何でもない。うん!さぁ?私の手を繋ぐんだ!」


私は差し出された彼の手を繋ぐ事に躊躇した。


「て、何を恥ずかしがってるんだよ!急がないと危ないんだって!」


「仕方ないわね…あんまり強く握らないよね?」


私は嫌そうな顔をした。


「うわっ!命懸けで助けたつもりなのに…何て扱いだよ…全く」


太子君は落ち込みながら私の手を取ると、


「解夢!」


瞬間、夢世界が視界から消えて私は何か…まるで掃除機に吸い込まれるかのような感覚に陥る。


そして目が覚めると、私は有栖さんの部屋にいた。


「これで解決…なのかな?多分…」


私は消化不良な気持ちで有栖さんの部屋から飛び出して、出て行った。



う~ん…


それにしても聖徳太子の転生者?


夢術師、聖 太子って何者だったのだろう?



そんなこんな。


次回予告


まだまだ事件は解決はしていなかった。



この事件の現況は一体?

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