聞仲帰還!!
姜子牙の前に現れた聞仲。
しかし聞仲を相手していた聞仲はどうなった?
私は姜子牙だよ。
う〜まさか、このタイミングで再び私の目の前に聞仲が現れるとは思わなかった。
ん?と、言うことは?
「聞仲!まさかお主、あの娘を殺したのではないだろうな?」
「どうであろうな」
聞仲は思い出していた。
自分の行く手を阻んだ娘。
人間であるのに、カミシニの、しかも最強の倶利伽羅の王である聞仲を相手に互角の戦いを繰り広げたのだから。
確か名前を「法子」と名乗っていたな。
「あんたはこの私が行かせないわー!」
法子は白銀の麒麟に跨がり、先端が赤い逆三角形の文字が描かれた武器を正面に向けている。
その文字は「止まれ」と描かれていた。
如意神向。
軌道を変える特殊な能力を持つ武器で、使い方次第でとても厄介な武器。
「打神鞭・崩圧」
私の打神鞭は雷を纏うが、聞仲の打神鞭は振動と重さを操る属性。
その一撃に大地は震え、一帯は急激な重圧に襲われる。
「きゃあああ!」
落下する法子は乗騎する麒麟に叫ぶ。
「ぎ、玉龍く〜ん!」
「は、はい!今!」
突如、押し込む重圧が消えてUターンして上昇すると、
「こんにゃろ〜!」
法子は如意神向を振り回して無謀にも聞仲に殴りかかる。
「特別な力を持っていようが、武器の使い方が並程度だぞ」
如意神向を腰から抜いた剣で受け流すと、振り上げる鞭を法子に向けて振り下ろす。
が、二人の中心に珠が放り投げられていた。
「ヌッ!」
珠は炸裂して閃光を放つと、聞仲は油断して法子の居場所を見失う。
「伊達に私も修羅場潜ってないわ!閃光弾よ」
そして如意神向を聞仲の胸に押し当て、
「今度はあんたが落ちなさい!」
「!!」
如意神向の力が聞仲の力の軌道を捻じ曲げるように、その重圧が自分自身にのしかかり、そのまま地表に向かって落下する。
「小賢しい娘だ」
聞仲は地面に急降下しながらも身を返して着地すると、その一帯がクレーター状に陥没した。
しかし聞仲は用意に立ち上がり、法子を見上げると睨みつける。
「クッ!べ、別に恐くなんてないんだからね!ちょっとだけよ!」
強がる法子だが、聞仲は並の猛者ではない。
湧き上がるように凄まじい力が解放されると、額が割れ、第三の眼が出現したのだ。
その直後、世界が震撼したような感覚に襲われ、法子はたじろぐ。
「嫌ね、一歩でも動いたら斬られるわ。私。多分ね」
「の、法子様は僕が守ります!」
「有難うね。玉龍くん。けど、う〜ん」
動けなかった。
「蛇に睨まれた蛙の気分だわ」
「法子さん」
「けど、私達は蛇神相手に喧嘩売ったのよ?私の持ち前は無鉄砲さが売りよ!」
「何処までもついていきます!」
が、二人が動いたその瞬間。
聞仲は完全に間合いに入っていた。
あの一瞬で飛び上がり、振り下ろす剣が法子の額に迫っていた。
衝撃が走った。
「ぬぅおおおお!バカヤロー!法子!命知らずで無鉄砲って、何処まで世話やかすつもりだ!コノヤロー!」
それは聞仲の振り下ろす剣を寸前で如意棒で受け止めた孫悟空だった。
そして弾くように聞仲の剣を跳ね返すと、
「俺様が相手になるぜ?」
「俺の本気の一刀を受け止めるとはな」
が、孫悟空だけでなかった。
今の瞬間、聞仲に対して凄まじい殺気がその動きを止めていた。
「法子に傷一つ付けたら、殺すよ」
それは阿修羅と呼ばれる若者。
「別に命知らずじゃないわよ。私の命は安くないわよ?ちゃんとあんた達が来てくれるって信じていたから無茶出来るのよ」
「止めてくれよ〜そう言う思考」
「あはは」
三人に囲まれた聞仲は、三人をその第三の眼を含んだ三つの眼で見透す。
「この俺を震わす猛者がまだ三人も存在していたとはな。だが、俺が今先にやらねはならぬ事が無ければ相手してやりたかったぞ」
「先には行かせないって言ったわよ!」
止めようとする法子だったが、新たな動きがあった。
増え続ける趙公明の傀儡体が波のように法子達に向かって飛び上がって来て覆うように襲いかかって来たのだ。
四方八方を塞がれ逃げ場のない状況に法子達は飲み込まれ足を止められる。
「俺様と阿修羅が助けに入ったから!コイツら食い止めきれなかったか〜」
「だから僕だけで良いと言ったのに」
「身体が先に動いたんだよ!」
そして趙公明達に行く手を塞がれ、自由になった聞仲は黒麒麟に飛び乗った。
(聞仲様、戦いますか?)
「城内へ帰還する」
(分かりました)
そして聞仲は黒麒麟と共に私のいる戦場へと戻って来た。
「この私の目の前にな〜!」
どうやら聞仲との再戦のようだ。
此奴を倒さねば先には行けまいな。
次回予告
聞仲相手に姜子牙が一騎討ち。
この最強のカミシニを倒さなければ先には向かえない。
法子「も~う!私が倒す予定だったのに~」




