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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生変革封神大戦編
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無限血尸解!


無尽蔵に増殖する趙公明の傀儡。


姜子牙と黄天下に生き残れる未来はあるのか?


私は姜子牙だ。


(く、クソっ!)


聞仲との戦いの最中、突然血の雨が降ったかと思うと、死んだはずの趙公明に似た傀儡が何体も出現して襲い掛かって来たのだ。倶利伽羅の力を持つ本物とまでは流石に及ばないが、個人の持つ身体能力や攻撃力は同等。しかもそれが数千体も現れ、襲い掛かって来たものだからたまったもんじゃない。


「ぐはぅ!」


七体の趙公明の突き出す打撃を躱し、受け流すも、全てを受けきれるわけでもなくて何発か受けてしまう。

顔面に、腹部に、背中、受ける度に衝撃が全身に痛みが走る。

しかも倒しても倒しても再生し、更には増殖しては復活して来るもんだから対処しきれない。

これには黄天下も苦戦していた。


「燃やしてしまえばどうだ!」


黄天下は炎で焼き焦がそうとするが、黒焦げになったにも動き出し、再生し始める。

焼いても駄目で、切断して動けなくしたら分裂して再生とか、打つ手なしか??



しかし都合良い事もある。

どう言うわけか?

趙公明の大軍は血の雨の中を生き抜いた聞仲の兵にまで襲いかかり、更には聞仲にまで攻撃していたのだ。



「紂王様、貴方は何故ここまで、するのか」



聞仲は群がる趙公明達に打神鞭を振り回して粉砕するも、増殖する趙公明達には手をこまねいていた。聞仲は知っていた。この能力が発動した地点で対処が無いのだと。



「これが紂王様の持つ能力。無限血尸解むげんけっしかい



無限血尸解とは、死者の魂を自らに取り込み複製を作り出す傀儡術。

しかもその傀儡は取り込んだ者の能力を引き継ぐ。

但し倶利伽羅の能力までは不可能。

しかも趙公明までの魂から作り出したのなら、これ以上最強の傀儡は他にはない。



「「この趙公明の傀儡はやがて世界を覆い尽くすだろう。この能力の恐ろしきは、術者が念じた命令を成し遂げるまで止まらぬ」



目的を果たすまで、再生と増殖を繰り返し続ける不死の軍団。


「紂王様の命令は恐らく、新生殷国を中心に仙界だけでなく、この地上を埋め付くし生きとし生ける全てを葬る事に他ないはず」



増殖は止まらない。増え続けながら進行し、仙界にまで攻め込み、その勢いは止まらず地上界を飲み込みながら天界や世界を埋め尽くす。



「紂王様に合わねばならぬ」



が、その道を塞ぐ程の趙公明に聞仲も苦戦していた。

攻撃の手を止めれば、接近を許してしまう。

この能力にもデメリットがある。

見た目も能力も同じ趙公明の姿をしていたとしても、記憶は失われ、与えられた目的遂行するまで動き続ける。それほど恐ろしき術式は他にない。


紂王の真王たる倶利伽羅の能力。

この能力発動条件には、傀儡になる魂がより優れている程効果的である。

聞仲は忠誠を尽くす為に、万が一は己の魂を捧げると紂王に忠言していたが、その約束を破り、同等の力を持つ趙公明の魂を代理に使用した。


この術式を解く手段は二つ。

目的を終えるか、その身に吸収した魂を取り出すのみ。



「くそぉおおお!」



私と黄天下は消耗とダメージで徐々に押され始める。


「何なのだ!このぉ!死に損ないが!化けて出るにも程があるわ!」



もう、遠く離れた先まで増え続けた趙公明の頭しか見えん。

きりがない、底が見えない。

生き残れる未来が見えないぞ。


「あっ」


その時、私は足を蹴られ崩されると、その場に転がされた。


「や、ヤバい」



踏み付けるために振り上げた趙公明達の足裏が見えた時、私は自分の身体が粉砕される未来が見えてゾッとした。


骨も肉もミンチになる。

頭蓋骨は砕かれ、脳みそは飛び散る。

内臓は潰れて跡形も残るまい。



コレが私の死か?


こんな結末が私の終わりなのか?


確かに人の死とは儚い。


そもそも死に方がどうあれ、後は無になるのだろうな。



直後、外れた蹴りが頭のこめかみをかすり、脳が揺さぶられた。

仰向けになりボヤける視界が空を写し出した。



流れる雲は結界の中でどんより暗く、赤い雲が渦を巻きながら流れる。


わ、私は地獄に来ていたのだな。


その時、私は湖で釣りをしていて写る青い空が綺麗だった。


見上げて流れる白い雲が美しく、広がる空に心が踊った。


雲の隙間から差し込む光に、私は神秘的な幻想を抱き、見果てぬ世界に待ち受ける未来に希望を持ち、広大な夢を見た。


終わりなんてない。


未来はまだ始まったばかり。


美しく輝かしい光の道。


そう、あんな感じの差し込む光に。


「えっ・・・!?」



その時、私は見たのだ。

この新生殷国の血界を破り、亀裂から見上げる空の隙間から差し込む光。

その光の中心に見え隠れする人影。


あ、アレは?


誰かが何かの生き物に乗騎して、天から降りて来たのだ。

そして人影が立ち上がり、私にも聞こえる程に叫ぶ。



「ようやく突破出来たわ!皆、立て込み中みたいだから頑張ってちょうだい!」


「えっ?」



すると差し込む光が枝分かれして趙公明が溢れる地上に落下すると、凄まじい力が吹き飛ばしていく。な、何が起きていると言うのだ?



「ウラァアアア!なんぴたりともオラを止める事は出来ねぇらよ!釘鈀!」



その者は褐色の肌の若者。

手にした漆黒の鎌を使い、趙公明達を薙ぎ払う。

更に別の場所でも轟音が響いた。

それは二人の男女。



「私がサポートします!」


「任せて!吹き飛びなさい!芭蕉扇」



巻き起こる突風が吹き起こり、趙公明を吹き飛ばしていく。

同時に後方で暴れる者もいた。



「伸びろぉー!如意棒!」



伸びる棒で趙公明達を殴り飛ばす若者は金色の髪を靡かせ、振り回す棒を武器に趙公明達を寄せ付けないでいた。


「僕に触れたら消えるよ」



更に漆黒の炎が趙公明達を燃やしていく。

そこには褐色の肌に銀色の髪の若者が言葉通り触れた趙公明達を燃やす。



「あ、あの者達はい、一体、何者なのだ?何でカミシニである趙公明を倒せるのだ?」



そこに私を囲む趙公明達を殴り倒し、私の肩を抱える黄天下が起こしてくれた。



「見ろ!奴らの眼はナタクと同じじゃないか?」


「えっ?あ、本当だ!」



私らを救った者達は金色の魔眼を持ち、カミシニである趙公明達を倒していく。


彼らはナタクの仲間なのか?

だが、しかし。

趙公明達の数は無尽蔵。

たかだか五人程度の加勢でどうにかなるとか考えられない。

すると、上空の声の主が私と黄天下に向かって叫ぶ。



「あんた達!ここは私達が引き受けてあげる。だから元凶を何とかしてきなさい!」



その声は女子オナゴの声だった。

そしてその声に対して私は無意識に反応してしまい、逆らう事なく返答した。



「わ、分かった。頼むぞ!」



私と黄天下は互いに顔を見合わせ頷くと、城に向かって走った。

その道を開けるように、



「お前、力を貸すぜ!」


「オラもだ!」



振り向くと、如意棒なる武器を持つ者が、褐色の少年と共に私と黄天下の前方を駆け抜け、群がる趙公明達を押し退けるように道を作ってくれた。



「行かせるものか!」



しかし突然の騒動に私と黄天下の城内侵入を阻もうと、黒麒麟に乗騎した聞仲が打神鞭に力を込めて振り払う。



「!!」


しかしその力は目の前で拡散した。



「小娘、俺の道を塞ぐつもりか?」



その視線の先には、白銀の麒麟に乗騎した女子おなごが奇怪な武器(棒状の先端が逆三角形の平板に止まると描かれた武器)を手に道を塞いでいた。



「ここから先には私が行かせないわよ!ここから先は私達が受け持ったからね!」



同時に前方の道の先に見える城の門が、


「ぬぅおおおお!」


二人の若者によって僅かに人が入れる程度に開かれていく。



「後は頼んだぜ!」


「お、おぅ!何者か知らぬが礼を言う。先に向かわせて貰うぞ!」


そして私と黄天下が飛び込むと、その門は再び閉じてしまった。



「あの者達はいったい何者だったのだ?」


「今は俺達が出来る事をやろうぜ!」


「そ、そうだな。黄天下」




そして私と黄天下は遂に城内へと入り込んだのだ。


ここから先に待つ紂王を討つために!


次回予告



突然現れた助っ人は何者なのか?


敵か味方か?


それとも・・・




法子「主人公よ!」

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