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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生変革封神大戦編
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聞仲出陣!


姜子牙達は迫る聞仲の脅威に待ち構えていた。


この戦いは避けられない。


私は姜子牙だよ。

私らは趙公明の脅威を退けた。

恐らく倒せたと思う。

聞仲が割り込んで来なければ。

聞仲は趙公明が封神される前にその魂を持ち帰ったが、まさか蘇生させるつもりか?

また趙公明が復活などされてたまるか!

しかし聞仲は立ち去る前に言った。


「明朝、また会おう」



つまり日が開けた時に再び我らの前に現れ合間見る事になるとの宣戦布告に違いない。

私らに緊張感が走り、覚悟をする必要があった。



「この新生殷国を覆う血界がより濃くなったようだ。恐らく今は入る事も出る事も叶わぬだろうなぁ」


「つまりも逃げも隠れも出来ないってわけだな?元より俺達は戦うために来たのだ。受けて立つよ!」


「姜子牙!黄天下!甘く見るなよ?恐らく次はあの聞仲が前線に出て来る。心してかかれ」


「ナタク。分かっているさ。あの聞仲は格が違い過ぎる」


「なら、良い。今は俺達が考え得るだけの準備しておけ」



頷く私と黄天下は装備品や治癒薬の用意。

それからイメージトレーニングを繰り返した。

実際の趙公明との戦いから、聞仲を想定して何度も何度も戦った。

全身から大量の汗を流し、息を切らせながら、心拍数が上がる。

呼吸困難になった時に、ナタクが手を叩く。

同時に私と黄天下は目を見開き、そして現実に戻る。



「ハァハァ、ハァハァ。だ、駄目だ〜。千回以上挑んで一度も勝てんかった」


「俺もだ。しかも瞬殺が七割と着たもんだ。八割だったかな?」



かなりの消耗の中で回復の薬を飲み込んでは、今度は交代してナタクがイメージトレーニングを行い、私が二人を見守る。このイメージトレーニングは下手すると現実に戻って来られない恐れがありえる。何度も敗北して死を感じているとイメージでリアルに死ぬ事もあるのだ。

だからこそ誰か一人が見張らないと危険なのだ。

交代を幾度か繰り返した後、仮眠を取ると私らは早朝に待ち構えた。



「覚悟はしていたが、夢であって欲しいと心底思うな」


「やはりアレは夢でないのか。骨が折れそうだ」



紂王神殿の扉が開くと、武人の軍がゾロゾロと出兵して来た。

その目的は間違いなく我々なのだ。


「千、三千か?」

「内部にいる兵を総動員ってことか。我々三人相手に大掛かりだな」



するとナタクが私と黄天下に念押しした。

その内容は、



「俺は聞仲の相手をする。その為に俺は力を温存する必要がある」


「ナタク、任せておけ。軍兵は私と黄天下が受け持つ」



イメージトレーニングで唯一聞仲と渡り合えるのはナタクだけだったから。



「と、言っても俺も千回戦って勝てたのは一度だけだったがな。ふふふ」


「ふふふ。って本当に良いのか?あの聞仲に任せてしまって?」


「元より奴は俺の獲物だ」



そこに黄天下が割って入る。


「本音で言えば俺はもう一度戦ってみたかった。しかし目的の為にはナタクに任せるのが一番だ。頼むぞ」


すると私は四不象を呼び出したのだ。


「うほぉ〜い!お任せくださ〜い!ご主人様と、その御友人」


「頼むぞ!」



私と黄天下が四不象に飛び乗ると、宙に浮遊して進軍して来る軍兵へと飛び立った。


「奇襲だ。一気に蹴散らすぞ!」


「任せろぉ!姜子牙!」



私は忌眼の力を打神鞭に込めて、頭上に向けると避雷針のように雷を集めて放電する。そして黄天下は大軍の真ん中へと飛び降りると、その中心に向けて拳を打ち込んだのだ。



「爆裂せよ!噴火撃!」



陥没した亀裂から燃え盛る炎が噴き出して、聞仲の軍兵を炎の中に閉じ込める。


「忌眼・打神鞭・雷槍雨」



降り注ぐ雷の雨に打たれ、乱れる敵軍の進行に更に私は何度も何度も雷を落とす。


「ぬっ!?」



そこに剣を抜いたカミシニ兵が燃え盛る炎を抜け、地上から飛び出し、私の雷を躱しながら攻撃して来たのだ。



「やはり容易くは終わらせてくれないようだな」



斬りかかるカミシニ兵に私は四不象を急降下させ躱すと、

追いかけてくる連中に向かって振り返る。



「追ってくるなら追ってこい!その代わり地獄への片道切符だぞ!」



私は打神鞭を円を描くように振り回すとカミシニ達を覆うように閉じ込める。


「雷束縛」


中にいるカミシニ達は雷の雨に焼かれる。

地上でも新兵に囲まれた黄天下が交戦していた。


「奇襲で一割未満か。やはり手練揃いだな。簡単にはいかんか!」


「何処からでも、かかって来い!」



私と黄天下の今の実力は見積もって第五か第六仙血にまで成長しているようだ。

倶利伽羅の器の連中を抜けば、最長出来る最上ランクに位置している。

数で仕掛けられても、そう容易く負ける事はないとナタクは言っていた。

それに聞仲を想定してイメトレしていた事と、実戦で趙公明と戦った事が経験値を引き上げてくれたようだ。肉体と精神が追い付くごとに感じる。



「嘘のように身体が軽いぞ!」



私の動きはまるで別人だった。

ナタク曰く、極限状態の戦いの後だったため、神経が研ぎ澄まされたままだったから。

その状態でのイメージトレーニングは死線をリアルに感じ、私と黄天下の潜在能力を引き上げたのだ。これ程までの覚醒を成し遂げられたからこそ、ナタクは私らに任せてくれた。



「俺と姜子牙がいれば三千の兵等、造作もない・・・気持ち的には!何とかさせる!」



黄天下は拳を広げると身体を回転させて炎を振り回す。

突風と炎が兵士達を寄せ付けずに吹き飛ばした。



「ナタクが戻るまで俺達が!」



今、ナタクは精神集中の間にいた。

聞仲相手に戦う為の最終調整をしていたから。

一晩のイメージトレーニングでは唯一聞仲相手に一度の勝利を勝ち得たのだ。

その勝率を上げる為に、今も尚イメージトレーニングの中にいた。


「打神鞭を躱すか!クソぉ!」



雷と炎が巻き起こる中で、残る兵士達は簡単には倒せずにいた。

振り払われる鞭の攻撃を潜り抜け、間合いに入り剣を突き出して来る。



「こう見ても私はお前らカミシニを狩る為に生まれて来たのだ!何人でもかかって来い!」



直後、私は突然の重圧に圧し潰されるように落下させられたのだ。


「うぐぅううう!」


地面に着地した私は重圧に耐えながらも、気合いで撥ね退ける。

そこに私の隣に黄天下が駆け寄る。



「姜子牙!思ったより早く来てしまったぞ?どうする?やるか?」


「計算狂ったが、ナタクが戻るのを待っていられないかもな」



私らの頭上には黒麒麟に跨がる聞仲が見下ろしていた。



「お前達を一人足りとも生かしておくつもりはない。趙公明の仇だ!覚悟するのだな」



聞仲は手にした鞭を振り上げる。


「あ、アレは!」


見て直ぐに分かった。

あの鞭も打神鞭であると。

打神鞭は特殊な宝具で、私のは雷属性で、趙公明のは風属性だった。

そうなるとあの打神鞭の能力は?


「打神鞭・震」



聞仲の鞭が破裂音を起こす度に、振動が波紋を広げ、私と黄天下を押し潰す。



「うがぁあああ!」

「うわぁあああ!」


脳を揺さぶられ、五感が働かない。

何て打神鞭だ!?

まさに最強の打神鞭か?



「立っていられぬ!」

「耳を塞いでも頭が割れそうだ!」



しかし私は衝撃に耐えながら、



「しかし私の打神鞭も中々使い勝手が良いのだぞ!」

「ど、どうするつもりだ?」

「こうするまでよ!」



私は打神鞭を地面に向けて何度も打ち込むと、その衝撃が破裂音を起こし震動を生み出し衝撃波が広がる。



「どうだぁ!」



私の起こした衝撃波が聞仲の起こした衝撃波と衝突して中和される。



「俺の打神鞭を無効化させたつもりか?しかしコレならどうだ」



振り下ろされた打神鞭が一直線に振り下ろされると、私は躱しきれずにいた。


「任せろぉー!ウォおおお!」


黄天下が右腕を盾に受け止めると、


「んなっ!?」


足下が地面に沈み込み、筋肉を膨張させながら耐える。

それでも押し潰されそうになりながらも、



「まるで大木?いや国一つ支えているようだよ!持った事ないけどなぁー!」



黄天下の腕が脈打ち真っ赤に染まっていくと、倶利伽羅の紋様が浮かびあがる。


「うぉらあああ!」



気合いで弾き返すと、聞仲は打神鞭を戻して私と黄天下を見下ろしていた。



「腐っても我が友趙公明を倒しただけの力を持っていると言う事か」



すると聞仲は、


「お前は待機していろ。黒麒麟」

「御武運を。主様」



飛び降りた聞仲に私と黄天下は構える。



「ナタクが来るまで堪えるぞ!」


「馬鹿言え!俺達で倒す気でいこうぜ」


「そうだな。二人がかりで死ぬ気で戦って生き延びられる確率は半分以下だがな。生き抜こう!私はお前を王にする約束があるのだからな」


「当然だ!」



着地した聞仲は仲間の兵を待機させ、単身で刀を抜き近付いて来る。

何て威圧感だ。

直ぐ様、この場から逃げ出したい。

格の違いってのは、天地ほど差があるように感じられるものなのか?

だがな!



「こう見えても私は、カミシニを終わらす為に生まれて来た執行者だ。それに」


黄天下も私に乗じて、


「この俺は父、黄飛虎の跡を継ぎ、この新生殷国とは違う新たな平和な世を造る真王となる男だ!」




今、私らの命懸けの戦いが始まる。

次回予告


聞仲相手に姜子牙と黄天下が挑む。


この戦いに全てが決まる。

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