太公望の戦い方!?
消息不明だった太公望が戦場に現れる。
しかし趙公明相手に何が出来る?
俺は黄天下
桁違いの力を持つ趙公明を相手に、突如現れたのは伝説の太公望だった。
しかも太公望と趙公明には因縁があり、生前の趙公明を討ったのが太公望なのだと言う。
しかし今の太公望に倶利伽羅の王と化した趙公明を相手に出来るのか?
それに話しに聞く太公望は神仙だと聞く。
神にとってカミシニは天敵。
勝てる相手ではないではないか。
「たとえ伝説の仙人であろうと、無理だ。相手が悪すぎる」
しかし太公望は悠然とした佇まいでいた。
「確かに神仙である今の私にはカミシニを相手に戦う事は自殺行為と言えよう。しかし私が封神大戦を生き抜いて今ままで存命しているのには理由がある」
すると太公望は瞼を綴じて、
「忌眼転移」
見開くと、その右目が姜子牙と同じく忌眼が出現したのだ。
「姜子牙と同じ右目の忌眼?」
私の言葉に太公望は答える。
「正確には私の忌眼を姜子牙に貸し与えていると言った方が良い。趙公明を討つ間、暫し返して貰ったぞ」
「!!」
姜子牙の忌眼は元は太公望のもの?
太公望と姜子牙の関係は?
姜子牙はよく太公望に間違われると度々愚痴っていたが、会った事も無ければ完全に赤の他人と言っていたぞ?全く分からない。
「ふふふ。太公望!お前がかつて、その忌まわしき眼の能力で地上界に増えた神仙を狩る執行者だったな」
何だってぇえええ??
かつてカミシニなる異端が存在しない時代に忌眼の力を持った者がいれば、それこそ封神大戦で革命出来たとしても頷けると言える。それこそチート過ぎる力なのだから。
しかし、今相手しているのは同じ能力を持ち、そして王の資質を持つ趙公明。
かつて力を無効化させ無力のまま倒せたとしても、勝手が違う。
「ふはははは!俺は昔、お前のその力を前に散った。長年培い、磨きあげた仙術が全て通用せず、戸惑い、焦る俺を、お前は嘲笑うように殺した!いや、殺しただけでなく、その魂を時の牢獄に封神し、我等の魂を削り取っていたのだからな!恨めしいぞ!太公望」
「それは悪かったな。しかし私もまだ死ぬわけにはいかぬのでな、お前には再び退場してもらうぞ。趙公明よ」
「嘗てのお前には恐怖も感じた。しかし今となっては同等の、否!それ以上の力を俺は手に入れた!恐れるに足らん」
趙公明の姿が消えた。
同時に太公望の姿を見た時、その間合いに趙公明が出現して手刀を振り下ろす。
「その首、落としてやろう!」
が、振り下ろされた手刀は空を切り、今度は太公望の姿が消えたのだ。
「何処だ!」
見回す趙公明は、怒りに倶利伽羅の力を暴走させて辺り一帯に攻撃を放つ。
「くぅつう!」
姜子牙を庇う俺はその攻撃を受ける力は無かった。
しかし突如、目の前に足下から血流が噴き出して壁を作り身を守ってくれたのだ。
「この血界?特殊血界か?」
倶利伽羅の力を持っても破壊出来ない防壁だけでなく、この血界の壁から天井全てが傷一つ付いてないのだ。
「この血界は太公望を倒すまで消えないのか?だったら逃げ続けている間は趙公明を拘束出来るわけか?しかしこれでは時間の問題?俺達も閉じ込められているわけだから意味が分からない」
それには趙公明も気付いていた。
「何のつもりか知らんが、逃げてばかりいては意味無かろう?それとも時間稼ぎでもしているのか?太公望!」
すると太公望が姿を現して答えた。
「準備は整った」
「何?」
「そろそろ戻って来い。四不象」
すると四不象が姜子牙から抜け出して太公望へと吸収されると四不象の聖獣変化の鎧を纏う。
そして太公望は足下を擦りながら陣を作り上げると、その発動を起こした。
「封神演技・森羅万象絶無」
踏み込むと同時に趙公明に向かって突っ込むと、その指先が忌眼に同調して銀色にうねりながら光り輝く。
「!!」
趙公明は本能的にその攻撃を受けるのではなくて、躱していた。
それは正解だった。
微かに触れた右肩の鎧が塵となって消えたのだ。
「ぬぅう?俺の倶利伽羅の鎧が破壊されただと?そんなあり得ぬ!」
「有り得ぬ事が起きた事に驚いたか?これが森羅万象絶無だよ。趙公明よ私の奥義・森羅万象絶無とは忌眼の力を指先に集中させ、点欠で触れた者を破壊する・・・」
「嘘を付くな!この俺を謀るつもりか?太公望!」
「ありゃ?バレた?」
趙公明は己の鎧が破壊された理由を身をもって味わって理解した。
「破壊ではない。お前の奥義とはカミシニを喰らう能力だな。お前に触れた途端、力が吸収されるように抜けていったわ」
「正解だよ。流石は趙公明」
つまり攻撃を当てているのではなく、触れた相手の力を奪い取る奥義なのか?
「お陰でお前の倶利伽羅の力をご馳走になったぞ。失われた力が戻ってきた」
「ならば触れられずに始末するだけの話だ!それに俺の倶利伽羅の力は無限!今度こそお前を始末する!」
二人は互いに踏み込むと、お互いの拳と手刀、蹴りを繰り出す。
互いに相手の攻撃を受け止めずに、残像が現れては消えて、躱して避ける防御術は完全に桁違いの攻防戦だった。
「あの太公望、趙公明と互角に渡り合っているだと?」
俺の感じる違和感には趙公明も気付いていた。
「俺の力が奪われているのか?」
その時、自分達のいるこの血界の空間から発する不快感に気付く。
纏わりつくような力が作用している。
「ま、まさか?この空間は!」
改めて辺りを見回す趙公明は身震いした。
「まさかここは、お前の!」
その時、太公望は妖しい笑みを見せた。
「忌眼の中なのか?」
「正確には繋がっている空間だよ」
今度は太公望が指先から血を垂らしすと、足下に達した時に印を結ぶ。
「何をするつもりだ?」
「見ていれば分かるさ。クククっ」
すると趙公明に向かって逆方向から攻撃が放たれたのだ。
「油断した!黄天下か!?」
が、その攻撃は俺じゃなかった。
そして俺も見たのだ。
そこに立つ別の存在は見た事もない男だった。
いや?他にも何人か人影が?
中に、俺の知る者の姿もあった。
「あいつは魔礼青?それに余元も?あいつらは死んだはずじゃ?しかも何故、趙公明に攻撃する?」
趙公明はカミシニ達に囲まれていた。
「お前達、何のつもりだ?」
が、誰一人返事しなかった。そして襲い掛かって来た者達を一撃にもとに粉砕していく趙公明は、その感触に違和感を感じた。
「死者を傀儡として使っているのか?お前はその忌眼に取り込んだカミシニ達を己の力とし、更には死者を弄ぶか?」
「そこまでしなければお前のような化け物相手に出来ぬのでな。お主も配下だった者達を手にかけるのに躊躇ないな?」
「鬼畜な!太公望!」
「鬼畜か。何とでも言うが良い。お前も始末した後は、その亡者と同じく私の糧となるが良い」
群がる亡者に紛れ、盾にして、攻撃を仕掛ける太公望の戦い方に、この俺も不快感がある。
何なのだ?
この太公望と言われる男は?
次回予告
太公望と趙公明の戦いは?
姜子牙の生死は?
法子「もう!血界の中が見えないわよ!叩いたら見えるようになるのかしら?」




