絶対絶命!?姜子牙の危機!!
姜子牙に迫る追手に追いつかれ、ついに戦う事に出るが・・・
相手は力量も数も勝ち目がなかった。
私は姜子牙だ!
私は一か八かで忌眼の力を完全解放させたのだ。
私を囲む第五仙血級のカミシニ連中に、打神鞭を振り回して接近を阻止していた。
しかし長くは保たないぞ?
忌眼の力は諸刃の剣。
下手をすればまた暴走して、力尽きるまで見境なく暴れて、そのまま息絶える。
何とか意識を留められている間に奴らの数人を始末し、そのまま黄天下とナタクと合流出来れば生き残れるかもしれん。
しかし奴らは私を警戒して不用意には接近しては来なかった。
「その忌眼、制限を外せば己が力に喰われるのだぞ?なぁ?太公望!」
「私は太公望ではない!誰だ!ソイツは!私の名は姜子牙だ!」
しかし私の記憶に残るのは、あの遺跡で読んだ封神大戦の歴史の中心人物であった男の名だった。確かその者の名が太公望だったような。
かつての封神大戦で仲間達を引き連れ、先導し、地上界を跋扈する悪仙を封印した英雄の名だった。その者が私とどういう関係が?
まさか私の父親?いや?先祖とか?
いやいや、ないない。
すると敵のリーダー格の申公豹が私に告げたのだ。
「忘れているようなら教えてやろう。太公望とは天界の神々と結託し、仙界大戦を裏で操り、そして邪魔になった仙を大量虐殺した張本人だよ」
「はぁ〜?何故、お前がそんな事を言える?」
「何せ僕は太公望とは兄弟弟子だったからね。だから知っているのさ。もし太公望が行わなければ、この僕が太公望に代わり、その大量虐殺をするかもしれなかったのだから」
「!!」
申公豹の言葉に嘘は感じられなかった。
その太公望って奴は歴史とは別に非道な奴だったのかもしれない。
「が、しかし!私と太公望とは無関係だぞー!私を付け回すのはよせ!」
「そうはいかない。お前が太公望である事は、お前のその眼!忌眼が証明しているのだからな!」
「な、なぬ?」
「忌眼体蝕者。聞いた事はあるだろ?」
「ないぞ?」
「・・・・・・」
すると申公豹は私に語ったのだ。
かつて天界の神々が忌眼を与えるべき者を、数々の種族の中より選別したと。
忌眼には適合者が必要で、その力に耐えられる者が忌眼体蝕者と呼ばれる者。
かつて神々は様々な種族から四人の子供を選び抜き、その忌眼を与える事にした。
龍神の姫、獣神、精霊、人間。
そして最終選考で選ばれたのが、獣神の妲己、そして人間の太公望であった。
適合率は高く、その力を使いこなし、二人は地上に降りて世界を分けた。
そして互いに争いを始めたのだ。
数多くの神に近しい力を得た仙を巻き込んで。
それが仙界大戦、後の封神大戦。
この大戦の目的は神に等しく力を得た人間や妖怪達の討伐・・・とは別の陰謀が隠されていた。
「な、何だ?その陰謀とは?その太公望とやらと私は無関係だが、少し気になるぞ」
「ふふふ。ここから先はお前からその忌眼をくり抜いた後に教えてやるよ」
「!!」
すると奴らが動いた。
「喰虫・発手群石!」
「襲撃蜂!」
竜鬚虎と高継能がイナゴと蜂の大群を作り出して空を覆い、私目掛けて急降下する。
「ヌウォおおおおおお!」
私の打神鞭が一匹残さず打ち込み、寄せ付けずにいると、
「コレでもくらぅえ!」
土行孫が地面から岩石を鋭い爪でくり抜き、私目掛けて投げつける。
「奴らの攻撃が止まなければ、奴らに攻撃が出来ぬ。防戦一方にして時間稼ぎするつもりだな?この私の限界の!」
このままでは確かに時間の問題。
ど、どうしたら良いのだ?
考えろ!必ず突破口はある。
必ず、絶対に死んでたまるものか!
「!!」
その時、私の視界がボヤけ、そして力が徐々に抜け始める事に気付いた。
「本格的にヤバいぞ。こうなれば仕方あるまい!攻撃あるのみだ!」
私は打神鞭の軌道を変えて防御から攻撃へと転じると、雷の如く無数の攻撃が奴らを襲う。
「忌眼・打龍雷!」
まるで雷の龍が私を中心に枝分かれしながら、敵陣に襲いかかる。
「この程度ですか。太公望。なら僕が君の実力を否定してやろう」
申公豹の周りに何か珠のような物が弾み、跳ねながら増えていく?
アレは何だ?
「跳ねて弾けて穿け!真紅の開天珠」
すると無数の珠が弾丸の如く私に向かって飛んで来たのだ。
「そんなもの!」
その時、私は驚愕した。
申公豹の撃ちだした開天珠が私の雷撃を帯びた打紙鞭に触れた時、まるで弾けるように打神鞭が粉砕した。
「エッ?」
何が起きたか頭では理解出来た。
同時に防御を失い全身を珠が貫通した。
「ぐぅほ!」
吐血し、力が抜けるように私はその場に倒れると、忌眼の力が消えていく。
「もう少し抗うかと思っていたが、所詮は出来損ないと言うわけか。お前達、その男の息の根を止めて良いぞ?そうそう。忌眼をくり抜くのは忘れるなよ?」
申公豹の圧倒的な力の前に、その場にいた者達は初めて自分達のボスの真の強さを垣間見た。
それは第五仙血の力を手に入れたにも拘わらず、この申公豹には及ばないと己の血が告げたのだ。
「申公豹よ。俺はアンタに付いていくぜ」
「どちらでも構いませんよ。僕の目的はソコに転がっている期待外れの始末と、もう一つやらないといけない事がある。それまでお前達は僕直属で働いてくれさえすればね」
高継能は、この申公豹に対して本能的に従僕する事を誓っていた。
「さてと〜なら、先ずはその男の眼をくり抜き、その首を紂王に持って行くか」
そこに竜鬚虎が割り込む。
「待て待て!ソイツは元は俺とも因縁がある。俺に殺らせろ」
「なら、ご一緒に」
「そうしましょう!」
と、高継能と竜鬚虎が倒れて動かない私に向かって、無数の鉢とイナゴを放ったのた。
このカミシニ昆虫に私は頭だけ残して、喰い殺されてしまうのか?
その時だった。
突如、上空より業火が急降下して来て、無数の鉢とイナゴを焼き消したのだ。
炎?
今のは、まさか?黄天下か?
だが、意識が朦朧とする私の前に現れたのは、私の見知らぬ者であった。
「弱い者イジメは俺様が許さないぞ!お前ら!」
その者は燃えるような紅い髪に、額に角がある若者だった。
そしてその手に炎を灯し、奴ら相手に笑みを見せて威嚇していた。
「勝手に先走るな!」
「父上〜すまぬ。けど、ギリギリだったと思うけどな〜?俺様」
更に大柄の大人の男と、褐色の肌の女が現れたのだ。
「お前ら?何者だ?邪魔するなら殺すぞ?いや、そうでなくても殺す!見たところお前らは妖怪族か?」
高継能が指差すと、三人は答えた。
「俺達は通りすがりのお節介だ」
何だか分からないが、命拾いしたのか?
しかし、この者達は何者なのだ??
次回予告
姜子牙を救った者達は何者なのか?
法子「うふふ」




