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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生変革封神大戦編
537/713

崑崙城!激震??恐るべき金光聖母!

倶利伽羅の王が揃いし新生殷国の最強の猛者。


対立する仙界との戦いに新たな動きがあった。



それは突然起きた。


人間界と仙界の狭間に存在する難攻不落の門が破壊され、崑崙城の上空より凄まじい力が、西王母の居城にいる全ての者達を気圧されたのだ。


「な、何事じゃー!」


西王母を守護する太白金星とサクヤ龍王は、突如現れた侵入者に翻弄された。


「!!」


直後、城の壁が粉砕され、その奥から何者かが正面から侵入して来たのだ。

その者は物色するように周りを見回すと、先程放った自分の力を受けても意識を持ち堪え、立っている者達を見る。


「ほぉ〜?この私様の血気陣を受けても立っていられた者が十人も居るとはな?お前ら、西王母など捨て置き私様の配下にならんか?今なら特別枠で可愛がってやろう?」


「お前、何者だ?この曲者が」



それは西王母率いる八仙の者達。


李鉄拐、韓湘子、曹国舅だった。


「崑崙城全体に張った私の結界を破壊して侵入して来るとは!」


八仙の曹国舅は誇りを傷つけられ、その手にした玉板に力を籠める。


「お前の道はもう我が手中にあり!」



手にした玉板を媒介にした血気術。

血界が侵入者の周りを覆うと、重なり合いながら層を増やして縮んでいく。


「潰れてしまいなさい!」


血界が侵入者を押し潰す。


「多少力があったようたが愚かにも単独で侵入して来た事が身の程知らずと知れ!誰もお前を助けに入れぬからな」


「!!」



が、曹国舅の血の気が引く。

目の前の最硬血界が中から拳が突き出し、そして強力な血気により中より粉砕されたのだから。


「ば、馬鹿な!?な、何者だ!」


が、気付いた時、その胸に拳が突き刺さっていた。


「あっ?」



そして見上げた侵入者は笑みを見せて曹国舅を抱き締めると、


「せめてもの情けだ。私様の豊満な胸の中で死にな」



と、締め付け消滅させた。

一瞬の惨殺劇。

その脅威に八仙のリーダーである鉄拐李は片手を上げて合図する。


「!!」


すると気配を消して侵入者に向かって落下して来た藍采和と何仙姑が暗殺を試みる。


「私様の間合いに入るには実力不足だ」


接近した藍采和と何仙姑は侵入者を覆う見えない膜のような防御壁に弾かれ、


「退きなさい!」


壁際まで飛ばされ衝突して動けなくなる。

圧倒的な力を前に鉄拐李は格の違いに西王母に向かって叫んだのだ。


「西王母様!お退きください!この者は危険であります」



そこに張果老が覆うマントを翻して無数の蝙蝠を飛ばして闇をうみだし、侵入者目掛けて襲いかからせる。


「時間稼ぎ致します!」


しかし侵入者は群がる蝙蝠の中で笑みを見せると、その掌に力を込めて爆発させた。


「!!」


消し飛ぶ蝙蝠は消滅すると、侵入者は張果老に向かって指先を向ける。


「ぐぅはぁ!」


張果老は半身を焼かれるように消し飛ばされると、その身が塵と消えて逝く。


「おのれぇー!」


飛び込む鉄拐李は懇親の蹴りを繰り出すが、侵入者はその義足の足を掴み止める。


「噂に聞く八仙も容易いな?」


そして義足を握り潰すと、その場に倒れた鉄拐李を踏み潰す。


「て、転身!」


砕かれる鉄拐李の身体から飛び出す魂が侵入者の身体に入り込む。


〈ふふふ。お前の身体を奪い我が物としてやろう!〉



これが鉄拐李の奥の手だった。

その身の魂を、侵入者の身体に寄生させる奥の手を持っていたのだ。


「愚かな。私様の身体にお前のような男を入れてやるほど気安くはないぞ?強引なのは嫌いではないがな」


「!!」



その時、鉄拐李の意識は侵入者の身体から込み上がる漆黒の龍が迫る。


「あ、あれは、まさか!く、倶利伽羅の力なのかぁ!」



そして力の渦に飲み込まれたのだ。


「うふふふ。容易い。仙界を落とすなど、本当に容易くて退屈だわ。それもこれも私様の力あってのもの」



圧倒的な力を前にして、仙界の強者達は殲滅寸前だった。


「まさかあの者は金光聖母 (きんこうせいぼ)か?」



その正体を太白金星は知っていた。


「このタイミングであの伝説の金光聖母 (きんこうせいぼ)が現れるとは思わなかった」


予想だにしなかった最凶の襲撃にたじろぎながらも、太白金星は既に悟っていた。

このままでは仙界はたった一人の襲撃者に落とされると。


「あの女仙は何者?太白金星」



サクヤ龍王も、桁違いの存在を前にして動けずにいた。



「少なからず我らの中であの者を退かせられる者は存在しない。何せ奴は聞仲をも上回る化け物なのだからな。まだ聞仲が来た方が勝機があったと言えよう」


「そこまでなの?」


「気付いていよう?奴は器だ」


「!!」


器とはカミシニの中では王を意味していた。

それはカミシニの頂点であり、真血王と呼ばれる。

敵国には既に王の器が紂王を中心に四人存在している事は噂になっていた。

その中の一人が、先陣をきって進撃して来るなど誰も思わない。


「さてと、歯向かう者から掃除させて貰うわ。誰も邪魔しなければ私様は西王母と、あの忌眼の小娘の首だけ頂いて帰ってあげる」




金光聖母 (きんこうせいぼ)は蹴落とすような殺気を放ち、薄ら笑いする表情とは逆に威嚇するように一歩、一歩と西王母に迫る。



「聞仲の奴、手荒な真似をしおって。この西王母である私の首を取れると本当に思っているのか!」


すると金光聖母 (きんこうせいぼ)の前に太白金星と剣を抜いたサクヤ龍王が立ち塞がる。


「たとえ器であろうと簡単に行かせると思うな」


サクヤ龍王はその力を解放させる。

その力は魔眼にて先の未来を見通す。


「この魔眼を前にすれば全てがお見通しですわ!」


が、サクヤ龍王の構えた剣が目の前で突然粉砕したのだ。


「えっ?」


直後、強い力を全身に浴びるように受ける衝撃が走った。

そのままサクヤ龍王は吐血しながら、その場に倒れたのだ。

その様を見ていた太白金星は、見抜いていた。

今、起きたことを。


「居合いの倶利伽羅とでも呼ぶべきか?一瞬、ほんの一瞬だけ力が跳ね上がって消えた」


「ほぉ〜?お前、一度見ただけで私様の力を見抜いたか?」



カミシニの器である追うは倶利伽羅と呼ばれる破格の力を解放させられる。

それは暴走する激龍のような荒ぶる力と言うが、金光聖母 (きんこうせいぼ)はその力を完全に制御し、攻撃の一瞬だけ解放させた。それは無駄のない、効率的な力だった。

この金光聖母 (きんこうせいぼ)が聞仲よりも強いと言われるのが、

この倶利伽羅の制御力と言える。


「死にたくなければ動くなよ?私様の邪魔をして早死にしたくなければな」


しかし太白金星は前を塞いだまま動かなかった。


「そうはいかぬよ。私もまた役目があるのでな?ここで西王母様を死なせるわけにはいかぬ」


「そうか、なら早死になさい」


金光聖母 (きんこうせいぼ)の倶利伽羅の力が飛躍して身動き出来ずに立ち止まっている太白金星の身体を貫く。


「!!」


しかし金光聖母 (きんこうせいぼ)は手応えがない事に気付き振り返ると、太白金星は無傷でその場に立っていた。


「手品は教えんよ」


「構わないわ」


金光聖母 (きんこうせいぼ)は再び力を解放させ、今度は太白金星の動きに意識した。


「!!」


すると拳が太白金星をすり抜けているではないか?


「器用な。なるほど」


「見抜かれたか。これが私の仙術・無透化の体現」



それは超高速で身体を小刻みに動かし、その身を原子レベルまで分解しつつ、存在を維持して戻る高難度の奥義。

たとえ格上の攻撃であろうが、奥義発動状態では全てが擦り抜けてしまう。


「無透化の手刀!」



それは防御不可能の攻撃。

ガードを擦り抜けた手刀に、金光聖母 (きんこうせいぼ)は後退して衣が裂かれた事に気付く。


「まさか器でもないのに、この私様に傷を負わせる者がいようとは恐れ入ったわ。改めてお前の名を教えな?」


「私の名は太白金星。お前の名は知っているから名乗らずとも良いぞ」


「良かろう。私様を相手にして、何処まで戦えるのか見せて貰うぞ」


「残念だが、お前の相手は私ではない。それにお前の力はもう十分に見せられたからな」


「何を?ん!!」



直後、頭上から自分を見下ろしている存在に気付き、不覚にも鳥肌が立つ。

そして見上げた先に、笑みを見せて飛び降りて来た者が姿を現したのだ。


「アレは!」


その者は、


「太白金星、良く見せて貰ったわ。後は妾が遊ぶ番よ」



玉面乙女であった。

直後、振り下ろした玉面乙女の鞭が金光聖母 (きんこうせいぼ)に直撃し、金光聖母 (きんこうせいぼ)もまた倶利伽羅の力を解放さて迎え撃つ。



「ぬっ?まさか私様に奇襲で勝てると思ったら甘々の小娘だわ!」


「黙りなさい?妾が遊んであげるから」


「生意気な!」



すると金光聖母 (きんこうせいぼ)は倶利伽羅の力で抵抗しているにも拘わらず、玉面乙女が互角の力を持って攻撃をして来るのだ。

そして衝突と同時に金光聖母 (きんこうせいぼ)は玉面乙女の左眼に宿る忌眼の力の成せる能力だと理解した。


「太白金星め、この妾にお前の戦いを忌眼で見ていろと言うものだから、じっくり見させて貰ったわ。倶利伽羅の力、この妾の忌眼の力とどちらが上かの?」


「小娘、格の違いを見せてやろう」



金光聖母 (きんこうせいぼ)が本気になった。

その目は強敵を前にして歓喜していた。


「まさか私様を相手に本気を出させてくれる猛者が、正直いるとは思ってもみなかったわ」



金光聖母 (きんこうせいぼ)の衣が裂け、見える肌から倶利伽羅の紋様が浮かび上がると、噴出す血が硬血して鎧と化す。


「血咒の忌鎧装けつじゅのいがいそう



すると金光聖母 (きんこうせいぼ)がまるで脅えるかのように揺れ出し始める。

その様を見て玉面乙女は余裕を見せていた。

まるで倶利伽羅の力に呼応するかのように左目の忌眼が銀色に光り輝き、力が湧き上がる。



「妾の忌眼が王の器を喰らいたがっているわ。お前をこの瞳に封神すれば妾はもっと真王に近付けるのよ」



その忌眼の輝きに金光聖母 (きんこうせいぼ)は呟く。



「忌眼。それがかつて妲己と太公望が手にし、封神大戦と称した神殺しの大量虐殺に使われた忌み呪われし力」


「お、お前、何故ソレを?」



玉面乙女はその二人の名を耳にした時に、全身の血の気が引いた。


「た、太公望、妲己・・・」



その二人の名を玉面乙女は知っていた。

そして、身体を震わせ始めたのだ。


「どうした?どうやら気でも触れたか?まぁ、良い。お前の首を跳ねて終わらせてあげる」



金光聖母 (きんこうせいぼ)が突如動かなくなった玉面乙女に近付いた時、玉面乙女の姿が視界から消える。そして再び現れた時、玉面乙女を背後から抱きしめる者がいた。それは倒されたはずのサクヤ龍王だった。



「ようやく思い出したわ。玉面、お前は私と同じく忌眼の力から解き放たれた忌眼体蝕者。あの二人がいなければ私達は愛を知らずに人生を終えていたのよ」


「!!」


「私は一角鯨龍王、お前は牛角魔王を愛する事を第二の生で味わえたはず。けれどお前は記憶を失って再び忌眼の力をその身に宿した可哀想な娘」


するとサクヤ龍王はその指を玉面乙女の左目に入れ込む。


「お前の忌眼は同じく忌眼体蝕者である私が貰い受けるわ」


「うぎゃああああ!」



そして忌眼を引き抜こうとしたその時、背後から鋭い衝撃が背中を打たれて悶絶して、その指を離してしまう。


「勝手な真似は許さんぞ?サクヤ龍王」



それは太白金星だった。



「よくやったぞ?太白金星。まさか私の洗脳が倶利伽羅の力に打ち消され、正気を戻しおったようだな」


「ここで仕留めますか?」


「否、サクヤ龍王はまだ使える駒。死なせずに再び洗脳する。生かしておけ」


「承知致しました」


その仲間割れを見ていた金光聖母 (きんこうせいぼ)は無視されて腹を立て始める。


「お前達、私様を前にして仲間割れをしている場合か?」



その問いに西王母が答えた。


「金光聖母 (きんこうせいぼ)、お前は分かってはいないのだな?例え倶利伽羅の力を持つお前など、忌眼を持つ者の前では贄に過ぎぬと言う事をな」


「私様が贄だと?意味の分からない事を吐かす。きょうが冷めたわ。まぁ、良い。長居せずにお前と、その小娘の首を持って帰るにしよう」



この状況下で、金光聖母 (きんこうせいぼ)を相手に戦える者はもう残ってはいなかった。


今の今まで・・・


その直後、崑崙城が再び、揺れ始めたのだ。

それは金光聖母 (きんこうせいぼ)の放つ倶利伽羅の力とは別の強き力に。

その力の存在に西王母は勿論、太白金星も予想だにしていなかった。



地下の拘束牢より、その異変は起きていた。

そこには血塊で肉体を凝固されて動けずに封じられていた呂洞賓の姿があった。

結解に亀裂が入り、その血塊が砕け散り、その中から呂洞賓が雄叫びをあげて抜け出したのだ。

そして頭上を見上げ、呟く。


鍾離権しょうりけんの仇である玉面乙女を討つのは俺だ!何者も渡しはせん・・・」



そしてこの揺れの正体こそ、呂洞賓の放つ力であり、その身体に紋様が浮かび上がる。

その紋様は間違いなく倶利伽羅の龍の刻印?

倶利伽羅の力を覚醒させ、呂洞賓がこの戦場に新たな激動を起こしたのだ。


次回予告


金光聖母の襲撃、そこに呂洞賓の異変?

何が起きたのか?



法子「ごめん。後、五分、寝かして~zzz]

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