第四仙血、魔礼海の血解!
魔家四将との戦いの一番手は姜子牙。
相手は三男の魔礼海だった。
私は姜子牙だ。
私は魔礼海を相手にガチ勝負していた。
何せ相手は魔家四将であり第四仙血。
手加減も油断も隙一つ見せられん。
「忌眼!」
私の右目の忌眼が銀色に光り輝くと、私はカミシニの力を発動させる。
この力を打神鞭に流し込み、破壊力を倍増させ、更には雷撃を兼ね、不規則に相手を翻弄させる。
「面白い攻撃だな?しかし相手が悪かったな?」
魔礼海は座したまま手にした琵琶を鳴らすと、私の周りを炎が渦巻き行く手を阻んだのだ。
「このような炎など、私の打神鞭で蹴散らしてやろう!」
しかし打ち込んだ雷撃の打神鞭は急激に力を失って雷の力が消えたのだ。
「な、何が?」
私は周りを見回すと、気付いたのだ。
私の入った部屋をも覆う四角い結界。
それは魔礼海の血が広がり、部屋全体を覆う結界となっていたのだ。
そして私は完全に、この中に閉じ込められていたのである。
「お前を捕らえると褒美が貰えるのでな?逃がさん為に閉じ込めてやったまでのこと」
「そ、そうですか?あら、なるほど。けど、こうなれば外からの救援が入って来られないと言う事だよな?」
「その通り。お前には助けは入って来れんぞ!あははは!」
「あはははは!」
「?」
魔礼海が笑うと、私も一緒に笑い出したのだ。
「恐怖で気でも狂ったか?それとも諦めたのか?」
「いやね、私が笑ったのはお前にはもう助けが入らないって事を自ら招いてくれた事に感謝しての笑いだよ」
「何だと?」
魔家四将は四兄弟だと聞く。
我らは三人で戦うに当たり、一人に二人かがりで来られては太刀打ち出来なかったわけで、一体一のこの状況は願ったり叶ったりなのだ。
「この俺を倒せる自信があっての発言だろうな?その舐めた口を今、閉じさせてやろう」
「そう簡単にはいかんぞ?何せ私はお前らカミシニを殲滅するために生まれた執行者だからな」
「ぬかせ!」
魔礼海は琵琶の音を強く奏でると、迫る振動が私を吹き飛ばす。
「ぐぅうわあああ!」
私は結界の壁に衝突すると、私の脈が浮き上がり血が吸い出される。
「言い忘れたが、私の結界は蛭のようにお前の血を吸い上げ、干からびさせるぞ?」
「先にい、言えゃあ!」
私は身体を貼りつく結界から力任せに離れて中央に移動すると、奪われた血の量に目の前がクラクラしてきた。完全に貧血だぞ?これ?
「しかし、ここで負けたら修行をした意味が無くなるではないか。あの鬼畜のナタクに虐められたあの日々が無駄になるなんて、そんなの私が許さん!」
私は意識を高めて己に集中する。
「イザっ!」
私は魔礼海に向かって駆け出すと、至近距離からの攻撃へと変更する。
「愚か者めが!」
魔礼海の琵琶が強く弾かれると、指先から飛び散る血が無数の刃のように私に向かって飛んで来たのだ。
「!!」
魔礼海は驚愕していた。
何故なら無数に放った攻撃を擦り抜けるように、私が接近して来たから。
躱す!受け流す!防御する!
コレがナタクとの修行で学んだ技術。
たとえ強き相手の強き攻撃だとしても、当たらなくては意味がない。
そして当てさえすれば、私の攻撃は十分に通じるのだ。
「打神鞭・雷光突」
突進からの突き出された鞭は槍の如く魔礼海の喉元に迫る。
「クッ!させるものか!」
魔礼海は琵琶を奏でる手を強めると、激しく結界が揺れ始めて私の突き出した軌道が逸れる。
「クソ!躱されたか!惜しい」
私は咄嗟に防御すると、魔礼海の追撃が私を襲った。
まるで濁流の如く押し寄せる波動が私を吹き飛ばしたのだ。
「ぐぁあああ!」
危なかった。
咄嗟に打神鞭を振り回して私を中心に防御陣を張ったおかげで、吹き飛ばされ、壁への衝突も防げた。ナタクの修行は完全に私を成長させ、そして命を守ってくれている。
「さらに活路を見いださせてくれたぞ!」
この前までの私なら、確実に今の攻撃でダウンしていただろう。
それに私がレベルアップしたのは防御術だけでない。
アレだけナタクに何度も何度も殴られていたせいで、肉体的に頑丈になっていたようだ。
「ナタク様様だな」
つまり私が言いたいのは、今の私なら耐えきれると言う事だ。
私は瞼を綴じ、ゆっくりと開く。
「忌眼・段階解放!」
私は忌眼の力を最大源にまで解放させたのだ。
それは今の私の肉体が耐えきれるギリギリの段階スレスレで。
「ウォおおおおおお!」
私の身体は銀色に光り輝くと、その動きが桁違いに倍増した。
その動きは残像を残しつつ、確実に魔礼海に迫ると、踏み込んだ打撃が打ち込まれる。
「なぁ、う、うわぁああ!」
魔礼海は咄嗟に躱すと、手にした琵琶が粉々に粉砕したのだ。
「俺の琵琶がぁ??よくもー!」
「このまま叩き込む!」
「そうはいかん!お前は終わりだぁ!」
「!!」
すると私達を囲んでいた血界が狭まり、徐々に空間が縮まっていく。
「ふふふ。このままお前に敗れ、逃がす失態を犯すくらいなら、このままオレ共々、潰れ死にやがぁれぇえ!」
それは私を巻き添えにした自爆。
このまま自分共々、押し潰すつもりか?
「死んでたまるかぁ!こう見えても私はしぶといのだからなぁ!」
私は忌眼の力を打神鞭に集中させ、狭まる血界目掛けて力任せに打ち噛ます。
ブチかます!ぶちかます!ブチカマス!
私の振り回す打撃は加速し、加速し、さらに加速して血界に当たる衝撃が強く激しく、重く強くなっていく。
私の雷と打神鞭の相性は他にないくらい良かった。
打神鞭の不規則かつ力強い攻撃力に雷系が上乗せされる事で、繰り出す度に力が過剰されるらしい。それもこれもナタクから聞いたのだが、ナタクも私と同じ雷系の属性のため、そのコツを学んでおったのだ。
指先から打神鞭へと流れる血と雷が、その先端に達する地点で弾けさせる。
「私の打神鞭は打てば打つほど威力を増すのだぁーー!」
打神鞭が衝突する度に血界が揺れ、亀裂が入っていく。
「ば、馬鹿な!俺の血界が崩れかけているだど?さ、させてたまるかぁ!縮め!縮め!押し潰れよ!!!」
魔礼海の血界が一気に押し迫って来たが、それは返って打神鞭の衝突する威力を増したに過ぎなかった。
「これで、どうだぁ!」
次の瞬間、衝撃波と共に血界が弾け砕け散った。
「ば、馬鹿な!」
怯む魔礼海は次の瞬間、加速して威力の増した打神鞭を全身に受けたのだ。
「つ、ぅうぎゃあああ!」
打神鞭は魔礼海を細切れにした。
「封神」
すると血瘴気となった魔礼海の魂は私の忌眼の中へと吸い込まれたのだ。
私は勝利した自分自身に驚きを隠せないでいた。
確かに強くなったとは思ってはいたが、第四仙血を相手に戦い、勝利した私は間違いなく強い!
もしかしたら私は、主人公なのかもしれないと実感し始めた今日この頃。
次回予告
次の戦いは黄天下。
黄天下の修行の成果は?
法子「皆、成長しているのね?」




