魔家四将!佳夢関での戦い!
ナタクの修行を終えた姜子牙と黄天化。
そして三人の戦いは新生殷国へ
私達(私、黄天下、ナタク)は新生殷国に侵入していた。
この新生殷国は見上げる程の壁に覆われ、東西南北の門でしか侵入出来ない。
王の神殿を中心に第四仙血の力を手に入れた者達が城を幾つも構え、防衛の意味を兼ねて難攻不落の要塞として構成されていた。
「門を抜けてから驚いたよ」
「どうしたのだ?黄天下?」
「そりゃそうだろ?」
確かに驚かされた。
中に入ると、そこはもう一つの国であった。
それは城を任された将軍が統治し、下級のカミシニや普通の人間まで普通に生活していたのだから。
「中に入ったら、もう戦場かと思っていたよ。俺は」
「私もだ」
するとナタクが説明する。
「この地に住む者達は国で生活を送る事を条件とされた労働者だ」
「労働者?」
ナタクが言うには、カミシニの者達は神とも魔物とも違うと言うこと。
食事も必要とし、衣食住は欠かせない。
だから武器や衣といった職人もいれば、食に伴う働き手がいなければ成り立たない。
カミシニは魔物や妖怪とは異なる。
化け物染みた恐ろしきカミシニとは、能力を持った人間だと言う事を忘れてはならないのだと。
「確かに高欄英のいた妓楼も人間臭かったしな。忘れかけていた」
それに今、この地を統治している紂王含むカミシニ達は、転生こそして甦ったとしても元は人間。人間としての習慣は変わらないのだ。我らがいる宿屋も当たり前のように入れたし、何も知らぬ者達から見れば平和な世の中に思える。
「それがお前達が戦うカミシニだ」
「う、うむ」
ナタクが言いたい事は分かる。
私らが行っているのは人間を殺すと同じって事だ。
そして何も知らぬ民を巻き添えにして国を揺るがすと言う事。
「今更か?そんなの当然だろ!俺達が始めたのは国取りだ!俺が必ず紂王を討ち、新たな王となる!そしたら俺が平和な国をつくる!」
忘れていたが黄天下も生粋のカミシニ。
私が戦うカミシニとは何も変わらぬ。
ただ、その成し遂げようとする目的が違うと言う事だけ。
紂王は人の世界を万物の君臨者としようとしている。
対して黄天下はカミシニも人も、神も魔物も関係ない平等な世界を作る王となろうとしているのだから。迷いを捨て去るようにナタクは我らに言った。
「俺にはお前達の目的は関係ない。俺は紂王を討伐する。邪魔をする者達も斬る。その為にお前達を使わせてもらう。紂王を討つ目的が同じなら、お前達にも好都合だろ?」
「嘘偽りないな?ナタクは〜」
私はこの三人の姿が未来の世に見えた。
「だからこそ信じられると言うものだ。神族とカミシニ、それに私みたいなカミシニモドキの異端者。それが相互に協力出来る関係でいられるのは不思議な縁だぞ。まさに黄天下が目指す国造りのようではないか。そうは思わないか?」
「確かにそうだな!ナタク!改めて宜しく頼むぞ」
ナタクは黄天下の差し出された手を握らなかった。
その理由は?
「馬鹿者!その手を握れば俺の力が抜けるではないか!殺す気か!愚か者」
「あ、そっか!忘れていた」
ムスッとするナタクを見て笑う私と黄天下は、戦いを明日に控えて休んだ。
我らは早朝、最初の関門である城を前にしていた。
そこには目の前に見える城の佳夢関を任された魔家四将がいる。
我らはこの城に侵入し、奴達を討つ。
その目的は奴らが持つ血が必要なのだ。
何故なら、この城を越えた先へ向かう為には、奴らの血が鍵となっており、その血を使わねば先に行けぬから。
「魔家四将か・・・」
魔家四将。
魔礼青、魔礼紅、魔礼海、魔礼寿の四兄弟。一人一人が特殊な能力を持ち、一筋縄では突破出来ない相手であった。
同じ第四仙血でも今までの相手とは格が違うのだ。
「行くぞ!」
「おう!」
我々は三方向に分かれた。
奴ら四人を揃わせないようにする為、一人一殺を試みたのだ。
さて、私の相手は?
私は潜むように四兄弟の一人がいる部屋に忍び込み、そして扉を開ける。
寝込みを襲うのは心苦しいが、楽して倒すには一番効率良い。
何故なら?奴らが低血圧だと言う事は既に調査済みだから。
それはこの地に住む民から聞いた事だが、毎朝毎朝、朝礼には現れず、現れてもボォ〜としていたり、日光に当てられ気分悪くなる事は有名。
「ふふふ。楽して勝つ!」
そして部屋の扉を開けると、
「あ、あれ?」
そこには入って来た私を見て、まんまと罠にかかったな?
と言わんばかりに笑っていたのだ。
「あはははは!愚かにもほどがあるぞ!お前達が侵入して来た事はお見通しだ。クククっ。それにしてもこう簡単にも思い通りになるとは笑える。全て兄貴の言った通りではないか」
「な、何を言って?」
つまり私らは罠にかかったと?
全てお見通しだと?
笑えるくらいに?
「仕方ないの〜。やはり手っ取り早く力ずくで倒すのが分かりやすいだろうな。それに・・・」
私は修行で身につけた力を試してみたかったのだ。
「先に名を聞こう!私の名はキョウシガ!こう見えても私はお前達カミシニを殲滅する執行者だからな」
すると目の前のカミシニは私に名乗る。
「俺は魔家四将三男の魔礼海だ!執行者?笑わせるな。俺はお前の持つ、その忌眼を手に入れ紂王様に献上する」
い、忌眼?
奴らの目的は私の忌眼だと?
同時刻、
「やはり罠だったか」
ナタクの前には末弟の魔礼寿が道を塞いだ。
「おぅ?お前、何?侵入者って奴?あ〜そう言えば、そんな奴らが入り込んだって兄貴達が言ってたなぁ〜」
「・・・・・・」
「でよぉ〜。俺、お前を通すと面目丸潰れになるわけよ〜。だから殺しても良いよなぁ〜?なぁ〜?」
ナタクは返答せずに鞘から剣をゆっくりと抜く。
「お前、無口だなぁ〜?つまりソレが答えで良いよなぁ〜?うん。殺す!」
魔礼寿から血蒸気が噴き出すと、その背後に巨大な影が出現する。
「斬る!」
その何かが完全に出現する前にナタクが飛び出し、剣を魔礼寿に突き出した直後、巨大な影が魔礼寿を庇いナタクの剣の前に壁となり弾き返したのだ。
それは大鼠の化け物。
「聞いた事がある。仙界大戦にて生前の魔礼寿は化け物大鼠を召喚し操っていた奴がいたとか。カミシニとして甦っても能力的に同じなのだな」
そして黄天下の前には、
「俺はお前を倒して強くなる!」
「そうか、俺を倒すとは大きく出たな?俺の相手は小物か?力量もはかれぬとは小物以外考えらねぬ。俺は引き運が悪すぎると言うしかないな。俺は魔礼紅!このカミシニの炎で焼かれて消えろ」
その手が赤く染まると、その手に炎が灯る。その炎を見た黄天下もまた目の色が変わっていた。
「俺と同じ炎使いか?やりがいが出て来たぞ!」
黄天下もまた拳の肌が赤く染まると、耐熱から温度が上がり、発火した。
互いの炎が混じり合い、その熱は打撃の衝突と共に爆発する。
二人は相手の威力に吹き飛ばされないように堪え、次の拳を繰り出す。
「悪かったな!お前、そこそこやるな?そこそこなぁー!」
「お前こそ俺に倒されるために現れた事、その運の無さに後悔しろよ!」
高熱の戦いが繰り広げられる。
そして魔家四将の長男である魔礼青が、水晶に映し出されている三人の侵入者来訪に刀を肩にかけ、笑みを浮かべていた。
「俺達の領域に入った以上、誰一人生きて逃しはしない。俺達の下に来た以上、それなりのもてなしをしてやろう」
今、我々の戦いが始まった。
次回予告
魔家四将との戦い。
姜子牙達はどう戦うのか?
法子「頑張ってよね~」




