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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生変革封神大戦編
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黄飛虎の覚醒!?

姜子牙と黄天化は玉面乙女を撃退出来た。


しかし今、黄飛虎は戦っている。


倶利伽羅の力を覚醒させた張奎ちょうけいを相手に。


俺は黄飛虎。


俺は張奎ちょうけいなる武人と戦っていた。

奴は強い。

間違いなく強く、桁違いだった。

奴の振るう剣を受け止め、弾き飛ばされる度に全身に強烈な痛みを感じる。


「何故、そこまで姜子牙を庇う?奴は人間、お前はカミシニだろ?奴がカミシニを殺して回る執行者である事を知らないのか?」



「それがどうした!」


俺は薄々気付いていた。

風の噂でカミシニ殺しの執行者なる者が存在している事を。

それが姜子牙であると気付いたのは、奴の忌眼を見た時だった。

人の身でカミシニの能力を使い、殺す事が出来るなんて、そう他にいまい。


「俺を気遣うとは舐められたものだ。俺の屍を越えていかねば姜子牙は追えんぞ?張奎ちょうけいよ!」


「ならばお前を先に始末して姜子牙をこの手で屠るだけよ」



その手に握られた剣から障気が噴き出して振り回すと、視界が消えたと同時に俺の間合いに入り込み斬り込む。


「ウォオオオ!」



俺は拳を剣の側面に当てて軌道を変えて防ぐが、直ぐに第二の連撃が繰り出される。

しかし俺も負けずと拳打で対抗するが、次第に間合いの差で全身に傷が増えて血が流れていく。


「ぐぅうう!」



カミシニの攻撃は同じカミシニの再生力を蝕む。

焦げ焼けるような痛みと、削れていく命の消耗。


「終わりにしよう。諦め尽きろ!」



突き出した剣が俺の腹部を貫いた。

吐血して膝をつく俺に、張奎ちょうけいは首を落とそうと剣を振り上げたのだ。


「これで終わりにしよう。一瞬で終わるから覚悟するが良い」



振り下ろされた剣は俺の首を切断する直後、飛び込んで来た者達に弾かれる。


「父上ぇえええええ!」



烈火の拳が振り下ろされた剣を弾き、背後から姜子牙が飛び出して来て打神鞭を振るうと、張奎ちょうけいは飛び上がり躱し、地面に削れた跡が出来る。


「お前達!何故、戻って来た?」


「父上!俺は父上を真王にする!だからこんな場所で死なすわけにはいかぬ!」



そして姜子牙も着地して答える。


「夢見悪いだろ?お前が私の代わりに死んだら。死なないとか吐かすなよ?現に私達が飛び出さねば、お前の首は今頃何も言わずに転がっていたのだからな」


「だが、お前が戻って来たら奴に狙われるのはお前だぞ?」


「だから敢えて言う。お前達の力を私に貸してくれ!一人じゃ確実に殺されてしまうし、それも嫌だからな」


「仕方あるまい」



だが、姜子牙が戻って来た事で張奎ちょうけいの目の色が変わる。


「ぐ、ぐふふふ。ぐははははは!戻って来るとは探す手間がなくなったぞ?姜子牙!良い心掛けだ!俺の高蘭英を手にかけたお前に、最も残酷な殺し方で八つ裂きにしてやるぞ!」


張奎ちょうけいの鎧から倶利伽羅の紋様がより色濃く浮かび上がると、その剣から発する障気が重く深く、より濃密になる。

足下から広がりながら大地が枯れ、生命力を失わせていく。


「父上は真王になる男だ!お前なんかに殺されてたまるか!」



黄天下の拳にカミシニの血が凝縮し真っ赤に変色すると発火した。


「息子に煽てられて立ち上がらねば父親の威厳も地に落ちよう!」


俺も気力で立ち上がると、拳に凝固した血を纏い並び立つ。


「我らが三人で力合わせれば負けるはずない!打神鞭!」



姜子牙が打ち込んだ打神鞭が張奎ちょうけいを直撃しようとした時、張奎ちょうけいは既に踏み込み飛び出していた。その標的は?


「避けろ!天下ぁー!」


「えっ?」



完全に反応が遅れた。

張奎ちょうけいの振り払う剣は黄天下の肘から切断し、その腕が地に落ちる。


「うがぁあああ!」


そして腕から噴き出す出血に叫ぶ黄天下の胸に剣を突き刺して蹴り倒した。


「天下ぁああ!」


駆け寄る俺に、衝撃が走る。


「ぐぅう!」


膝から下が切断されたのだ。

俺はそのまま体勢を崩し倒れると、動けなくなった俺達親子を無視して張奎ちょうけいが姜子牙に迫る。


「邪魔者は後で始末する。俺の剣はお前の首を斬り落とす事に飢えている」



その眼は復讐の鬼だった。


「ふ、二人共・・・私の巻き添えにして済まぬ。やはり張奎ちょうけいとの決着は私がつける!付けねばならぬ!」



姜子牙の右目の忌眼が銀色に光り輝くと、打神鞭から赤い雷撃が放電する。


「忌眼・雷血打」



振り払う打神鞭が枝分かれし、頭上から雷の如く張奎ちょうけいの頭上に降り注ぐ。


「この程度で俺の足を止める事は出来ぬ。キョウシガーー!」



張奎ちょうけいの振り降ろした剣が姜子牙の胸を斬り裂いた。


「あ、あぁあ」


俺の目の前で姜子牙が膝から崩れて倒れると、その血が広がる。


「姜子牙よ?楽に死ねると思うな?今から俺はお前を千度死なぬ程度に斬る。死なせて欲しいと願うほどにな」



だが、姜子牙は恐れる事なく倒れた状態で張奎ちょうけいに言った。


「千度か?なら一万回私を斬れ!その代わり、そこの親子は見逃せ!奴らは私にとっては無関係だからな。頼むとは言わん。お前に武人としての誇りが僅かにでも残っていれば、その情けに願うまで」


「良かろう。ならば一万回斬られて首を落とされるまで生き延びてみろ!」



すると張奎ちょうけいは容赦なく姜子牙の倒れた背中に剣を突き刺す。


「うぎゃああああ!」



姜子牙の悲鳴が崩壊した神殿に響き渡る。

このまま全滅なのか?

俺には何も出来ぬのか?


その時、俺の鼓動が鳴り響く。

まるで呼び起こされるように?

すると俺の視界に記憶無き情景が浮かんだのだ。


そこには俺の知らぬ兵士達が俺に従い軍となし、対する敵軍と戦争をしていた。

その渦中で俺は隣りにいる若き軍師に言われた言葉が頭に響く。



「オマエは儂の為に戦え!あの者達を滅ぼし、全ての神仙を封神するのだ」


「あぁ」


「お前の主だった紂王、それに親友であった聞仲。そして奴等を陰で操る妲己を討ち滅ぼせ!黄飛虎よ!」


「ォオオオオ!」



俺はその者の言魂に抗えず、そして戦い、戦い抜いて戦死した。


(これは俺の前世の記憶か?)


そして死ぬ間際に俺は悟る。

この俺達は操り人形だったのではと?

封神大戦とは神が人間を駒にした戦場ゲームだったのではないかと?

そして俺の駒としての役目が終えた時、俺の魂には憎悪が残った。


『神を許さぬ!この燃えたぎる魂が消えぬ限り必ず殲滅してやる!』



その記憶が俺の魂を揺れ動かした。



「ウォオオオオオオオ!」



雄叫びと共に俺は立ち上がったのだ。


「な、何事だ!まだ戦える力が残っていたのか?奴は!」



張奎ちょうけいもまた俺の変化に気付く。

失われた足が流れた血で凝固し新たに足を再生し、そして俺の身体に浮かび上がるのは?

昇るように蠢く血が浮かび上がり、龍のような紋様が現れたのだ。


張奎ちょうけいと同じく倶利伽羅の紋様!

それはカミシニの真王たる力の覚醒。


「俺が甦った意味を思い出したぜ」



その為に、今邪魔な奴を討つ。


次回予告


黄飛虎の覚醒。


その力は張奎ちょうけいと同じく倶利伽羅の王の力であった。



法子「えっ?これってば、どういう事なの?」

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