呪われた蚩尤鬼神誕生!動く総本山!
法子を守ったのは犯人だと思っていた転入生?
彼女達は総本山からの助っ人だった。
私は好き…
私はいわゆる歴女って呼ばれるのだけど、付け加えて二次元歴オタなの。
リアル歴史とは違う創作の歴史を、斜め横から見ては刺激的な事を妄想して楽しんでいた。
特に好きなのが新撰組!
土方とか斎藤、沖田の絡みなんか創造しただけで鼻血が出てくるくらい興奮出来る。
至福の悦び。
だからこそ、
そんな私にリアル恋なんて有り得ないと思ってた。
それが、あの出来事から一変して人生が変わったの。
突然、クラスがある話題で持ちきりになった。私の教室に新しく若い先生が副担任として入って来たから。
それはそれで私には興味ない話。私はノートに新撰組美麗イラストを描いて待っていた。そんな私がペンを落としたの。
入って来た副担任の先生は24歳と若く、周りが騒ぐくらいに美形だったから。
私も見惚れはしたけど、直ぐに自分自身と先生を頭の中で並べて落胆する。
「ないわ~」
私はオタ女。そもそも年上の先生と生徒って事でも有り得ないのに、こんなオタ歴女と恋愛なんて有り得ないと現実を知る。
先生は人気があって運動神経抜群。話も若い生徒と同じ目線で語って、私のクラスだけじゃなく、他のクラスや上級者の女生徒のファンが付く程。私も無理とは思いつつ視線で追ってはノートに生徒のイラストを描いていた。
それから少し経って私は一人放課後の図書室で資料を探していた。
「コミケに出す同人誌の資料が学校の図書室にあるって便利よね」
と、高い棚の上の本を取ろうとしたけど、届かな…
「あっ…」
私の取ろうとしていた本を背中越しに他の男性が腕を伸ばして手に取り、
「これが取りたかったのかい?」
私に手渡してくれた。その相手がまさかの…
「せ…先生!?」
こんな少女漫画みたいな事ってあるのかしら?
私は先生を凝視している事に気付いて、直ぐに背けたの。恥ずかしい…
「うちの生徒だよね?歴史に興味あるんだ?これは新撰組だね?」
「は…はい」
顔を見て喋れない私に先生は話を続ける。
「僕も歴史は詳しくてね?新撰組も好きなんだよ」
「えっ?本当に?」
まさかの趣味のブッキングに私は先生に自分の知識を語り出してしまった。だって同じような趣味を話せる友達もいなかったから。
それから私と先生は人目を気にしながら、たまに趣味の話をするようになり、
気付いた時には…
「あっ…」
キスをしていたの。
その後は私の人生には有り得ないような大人の階段を上がっていた。全て先生に任せていれば良い。優しく頼りになる先生に、私は次第に趣味の世界を忘れるくらいに夢中になっていた。
それから数月過ぎ…
先生に呼ばれた私は夜中の学校に忍び込んで、待ち合わせ場所の図書室の扉を開けたの。
「先生?何処?」
すると物音がして、
「先生?」
そこから現れたのは数人の男子生徒だったの?
「えっ?どういう事?」
慌て驚く私に男子生徒達は近付いて来て、嫌がる私を押さえ付ける。
「何をするの?ちょっと?嫌、止めて!」
私の抵抗は虚しく制服を力ずくに脱がされ、肌を露にされ、数人の男子生徒達に襲われた。
現実なのか?悪夢なのか?何が起きてるか解らない状態で、私は先生に助けを呼んだの。
そこに扉が開いて先生が入って来たの。
「お前ら!」
先生が助けてくれる。
そう思った時、先生から信じられない言葉が?
「どうだ?お前ら?来て良かったろ?」
「はい!先生。これで童貞卒業ッスよ!」
「ちゃんと一人、一万払えよ?」
「当然。未成年じゃ店に行けないっすからね?それに、コイツはオタだけど顔と身体は良いから需要あるんすよ?」
下卑た男子生徒が私を見て笑っていた。
そして私は理解する。
私は先生に売られたと…
私は夜の校舎で数人の男子生徒に好きにされ、抗うことを止めた…
だからリアルなんて嫌なんだ…最初から妄想だけ見ていれば良かったんだ…
ふふふ
妄想の世界の男子は私をこんなに痛くしないし、乱暴はしない。
そして決して裏切らない!
私は現実逃避をし、口元が笑む。その様子を男子生徒達は気味悪がった。
その時、私の耳に声がしたの?
『良いのか?奪われ、失うだけで?願うならお前に力を与えよう…お前を傷付けた者達に償わせる力を!そして、お前だけの世界を与えよう!』
私の世界を?
くれるの?
その時、私は願ったの。
私だけの世界が欲しいと!
その直後、私に白い蜘蛛が糸をつたり首に止まると、
「アァアアアア!!」
私の奇声が夜の校舎に響き渡ると、私は全身から血を垂れ流し始めたの。目や耳、鼻や口、全身の毛穴から血が流れる。
それは生徒達だけでなく先生も恐怖する。
「アハハハハハ!」
私が気が狂うように笑い始めると、男子生徒の一人が恐怖で逃げたの!続いて他の男子生徒が逃げようとした時、
「うぎゃあああ!」
男子生徒の首が床に落ちた。そして皆の前に刀を持った男性がいつの間にか立っていたの。しかも、その男性は羽織に『仁』と書かれていたの。
月明かりに浮かぶ彼は美しい若者。
そして背後にまた同じ格好の刀を持った男性達が現れたの?
「シンセングミ…マイル!」
新撰組?
直後、彼等は男子生徒達を一刀両断に斬りさいた。
噴き出す血は全て彼等の刀へ吸収されて、跡形も残らない男子生徒達。
そして拝むようにして残っていた先生は、彼等を前にして私の肩を掴んで突き倒したの。
逃げようとする先生に私は倒れながら足を掴む。
「先生?逃げなくても大丈夫よ?先生はもう死んじゃうからさ?大丈夫よ?」
「うわぁああ!」
その瞬間、背後から背中から刀を突き刺され、痙攣を起こしながら声に出ない声を出していた。
「せめて苦しめないように逝かせてあげ…」
『ない!』
新撰組達は先生を削るように痛みを与えつつ、時間をかけて殺してくれた。
素敵…
私を守る王子様
しかも、私のイメージ通りの、憧れの新撰組達が全員、一度に私だけの王子様になってくれたの!
私はこの日、人を捨てて自分の世界を手に入れた。
ケース2
僕は人より少しデブだった。周りからもアダ名は豚とか言われ、嫌な顔をせずにニヤニヤしている。
これが自己防衛。
下手に嫌な顔をしたら余計に何か言われるし、虐められるのは目に見えてる。
だから平静を装い、豚の真似をしては周りを笑わせる。プライドなんていらない。必要なのは今日を乗り切る事。
その日も昼になると僕の弁当箱の上から、
「ほら?残飯だぞ?喜べよ?豚!」
と、男子生徒達が弁当の余りや、弁当のゴミを溢す。他の男子も並んで同じように弁当カスを溢していくと、僕の机はゴミだらけになった。それを見る女生徒達は虐め行為を嫌悪するよりも、僕の今の状態を嫌悪して嫌な顔をする。
精神的に僕が耐えれば良いんだよ…
こんな世界は嘘っぱちであって、卒業しちゃえばこんな連中からオサラバだ!
けど、暴力だけは…
「おぅら!肉のサンドバッグだ!豚サン!豚サン!」
と、少し喧嘩に自信がある男子生徒達が僕の腹を何度も殴る。遊び道具のように他の男子生徒も僕の腹を殴った。
途中で僕がゲロを吐いて終了。
先生は頼れない…
もう何度も頼った。けど中学の時はそれが原因で虐め行為がエスカレートした。
より陰湿に…
一人で吐いた汚物掃除しながら僕は流れる涙を何度も拭いていた。
「もう…嫌だ…楽になりたい…」
その時、声がした?
『お前のせいか?違うであろう?悪いのは誰だ?何故お前だけが耐えねばならない?望むなら力を与えよう…お前を見下した者達に支払った罪の分の見返りを奪う力を与えよう!』
その言葉の誘惑は僕にとって神から差し伸べられた手に…いや?悪魔であろうと、その手を掴んだに違いない!
次の日、僕は登校した。
同じように虐めは続けられたが、苦にならなかった。サンドバッグにされながら僕は呟く…
「今日の分と今までの分は…どのくらいの返済かな?計算しても解らないから…」
『全部、いただきます!』
次の瞬間、悲鳴が響き渡った。僕を殴った男子生徒の肘から先が消えてたのだから?
「うん。グルメだ…こんなに美味かったんだ?お前?そうか…なら、もっとお代わり欲しい…それだけの代金は今の今まで払ったんだからさ!」
僕の腹が裂けて、真っ赤な血が大口を開けた化け物となって目の前で泣き叫ぶ男子生徒を丸飲みした。
「化け物だ…」
周りから泣き叫び、パニック起こすクラスメートに僕は答えた。
「同罪だ…皆、その罪は美味しくいただくからね?」
その後、僕のいた教室には一人も生徒は残っていなかった。
『僕を残して…』
場所は代わり総本山の座主の間。
「つまり何者かが化け物を生み出していると言うのか?」
「しかもカミシニの力を持つ化け物…かつて総本山を襲撃し、崩壊させた魔王・蚩尤の残党。奴等は自らを人間の特殊能力者と合体する事で、この時代の事を学び、人間世界に溶け込みながら潜み時を待っていたのです」
人間の特殊能力を奪いしカミシニの力を持つ化け物は、蚩尤鬼神と呼ばれた。
その目的は魔王蚩尤の復活であり、総本山より第一討伐対象とされていたの。
「あの忌まわしき事件が再び起ころうと言うのだな?」
「しかも、その復活の場に選んだのが・・・」
そこに、新たな伝令が入る?
「大変です!複数の蚩尤鬼神が例の地に集結を始めたとの事です!」
「なぬ?目的は総本山ではないのか?まさか他の地だと?何処だと言うのだ?」
「それが・・・法子の通う学園です!」
「なぁ…何だと!?」
「すでに三人、学園に送り込んでいます」
時が迫り、既に奴等は動き出した。
「ならば総本山の全ての戦力を持って、討伐せねばならない!
即刻皆の者達に告げよ!総本山が動くとな!」
今、私、法子の通う学園でとんでもない戦いが始まろうとしていた。
そんなこんな。
次回予告
魔の手が迫り、学園は地獄と化していた。