神殿遺跡?黄飛虎の生涯!
黄飛虎と姜子牙の協定。
そして向かった先は?
私は姜子牙だよ。
私は何の縁だか分からないが、カミシニの親子と共に旅をしていた。
黄飛虎と黄天化。
そこで私は黄飛虎に頼まれていた事を調べていたのだ。
伝説や歴史書から、かつて地上界で起きた仙界大戦について。
私らが立ち寄ったのは神族が地上界で拠点にしていた荒廃した遺跡だった。
ほんの少し前まで、この地には神族がカミシニ相手に戦争していたようだが、神力が通用しないカミシニ相手には無力。
泣く泣く天界へと退散したとか。
「この遺跡には神族が残した書物がたんまりあるからな〜。何かしら情報があるかもしれん」
「お前を信用して着いて来たが、確かに何か有りそうだな。無駄足にならなそうだよ。姜子牙」
すると黄天化が貯蔵庫から食べ物を見つけて声を上げた。
「父上!なら俺は今のうちに食事の支度をしています」
「おぉ、そうか?頼むぞ」
そう言えばカミシニも人間と同じ食べ物を普通に食すのだ。
てっきり人の血肉を食べるかと思っていて、非常食にされないか冷や冷やしていたのだが、取り越し苦労だった。
それから私と黄飛虎は歴史書が置かれた書物庫を見つけて、本を読み漁った。
「お前、よく天界の文字が読めるな?俺にはさっぱりだよ」
「そうなのか?私は大上狼君から一から書物を読まされ叩き込まれたからな。それに特技と言えるか分からないが、物覚えが良いのだよ。一度見たモノは記憶にいつまでも残っているのだよ」
「凄いな?お前?やはり俺の目は見誤ってはいなかったな」
「褒めてくれて有り難うよ」
私を残して出て行く黄飛虎を見届けると、私は歴史書を読み漁る。
「なるほどな。やはりそうか」
私が知り得た情報は過去にあった神々と地上界の仙術を使う者達との間で起きた仙界大戦なる戦の事。そこには私が過去に相手したカミシニの名前まで記されていた。
姫伯邑考、高継能 、高蘭英 、陳奇の名前もあった。
「甦り?現世に現れたカミシニは過去に封神された者達が転生した姿なのか?」
甦ったカミシニの中には見た目が変わった連中もいた。
それは老いた者が新たに若々しい肉体を手に入れた者達。
それに強靭な肉体と共に進化した者。
この者達は神仙としての力は失われたが、カミシニの血の力に応用して似た能力を使っているようなのだ。
「名前から能力が分かるかもしれん。記憶に残しておこうか」
そこで仙界大戦での一番の戦いについて読み解くにあたり、黄飛虎の名前が渦中にあったのを見付けたのだ。
「やはり過去にも大物だったようだ」
私は黄飛虎と黄天化を呼び寄せ、食事を取りながら過去に起きた仙界大戦と、
二人の生涯を告げたのだ。
「本当に良いのだな?」
「俺に二言はない。俺は俺が何者だったかを知りたい。いや、知るべきだと思っている。そして過去の俺から今与えられた新たな俺の生をどう生きていくかを見定めるためにな」
「なら話すぞ?」
私は語る。
それは過去の仙界大戦。
黄飛虎は殷国の名高い武人で、王である紂王の信頼出来る側近であった。
しかし紂王の前に現れた妲己が現れた事で殷国は揺れ始めた。
妲己とは九尾の妖仙であり、紂王を惑わして影で操り地上界支配を目論んだのだ。
そこで生前の黄飛虎は紂王を説得したが、時遅く狂気の虜となった紂王に命を狙われる事となった。黄飛虎は新たな抵抗軍を作り、勢力を集め戦争が始まったのだ。
そこで親友の聞仲とも対立し、幾度と交え武勇は世に広まった。
しかし黄飛虎は道半ばで戦場で散ったのだ。
黄飛虎亡き後も戦争は続き、黄飛虎の仲間達が奮戦し勝利した。
「そうか。ならば俺は親友の聞仲なる武人に討たれたのか?」
「いや、それがな?お前を討った武人の名は張奎。聞仲と肩を並べるほどの猛者と記されておるな」
「張奎?」
黄飛虎は己の生き様を知り、納得した上で何度も頷いていた。
「姜子牙よ。礼を言うぞ?俺の喉に引っかかる魚の骨が取れた気分だ。俺は過去を知り、その上で与えられた新たな生をどう生きるか決めようと思う」
「そ、そうか?そうだな」
出来れば対立したくないのだが。
その選択でどうなるのか不安だった。
黄飛虎は律儀な奴で、己の目的を果たした後も、私の実験に協力してくれた。
それはカミシニの血の研究だった。
生憎、この神殿には神族が残した実験道具なんかが玩具のように置いてある。
透明の瓶なるモノから、神力を注ぐ事で起動する分析装置。
神とは不思議なモノを持っておるのだな?とても興味深い。
私は一つ一つ道具の扱い方を調べ、使えるようになったところで、黄飛虎に協力して貰い血を分け与えて貰い、色々と調べた。
私は黄飛虎から血液を採取して瓶に入れて保管し、その血の研究を始める。
そもそもカミシニとは何なのか?
その秘密は血にある。その特徴としては?
意思で増殖や操作が出来る。
これが能力開発に繋がるのだな。
神力を無力化する。
神族の天敵と言われる所以だな。
呪縛で主従の契りが存在する。
カミシニ同志の上下関係と言う事か?
この辺りは戦いながら多少知っていた事だが、面白い事も分かった。
それは太陽光に対して力が弱まわるようだ。その為にカミシニは昼間に活動する際に全身に薄い膜でコーティングしている事は驚きだった。
「あの高蘭英の太陽神針がカミシニの弱点と言うのはこれが理由か」
太陽神針は全身を覆う膜を貫き、太陽の力を体内に流し込む事が出来る。
今は高継能がその力を引き継いだようだが、厄介なのだな。
私が一息ついたその時だった。
「!?」
すると足下がふらつく?
周りに置かれていた物が落下し、気付いた。突如遺跡が揺れ始めたのだ。
「一体、何が!?」
私は慌てて外に出て、空を見上げた。
「何だ?アレは!」
「ウゴぉおおおおおおお!」
雄叫びに遺跡が揺れて崩れ落ちる中、黄飛虎と黄天化も中から飛び出して来た。
「寝てる最中に何事だ?姜子牙!騒音どころじゃないぞ!」
「ち、父上!上を!アレを見てください!」
下から順に見上げるその物体は光に反射し、輝く身体を持った巨人だった。
しかも神殿を囲むその化け物は、私達をこの場から逃さないように四方を囲む四体の金剛魔王の姿であった。
次回予告
まさかの襲撃?
一体、何者が?
姜子牙達に迫る脅威とは?
法子「あれ?この遺跡?何処かで見覚えがあるわね?」




