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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生救世主編!
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美少女転入生の正体は、やっぱり??


法子の通う学園に魔物が現れた。


しかも謎の転入生の正体もわかったのだ。


私は法子。


私は犯人だと思っていた新谷 玲羅と一緒に、学校に現れた化け物と対峙する。


実は玲羅は総本山からの隠密なんですって?隠密って言えば田村磨呂さん管轄の部隊よね?


「私達はカミシニの力を持つ化け物を専門にする退治屋よ!」


カミシニ専門の?


彼女達はカミシニの力を持っている。だからなの?


「さて、先ずは目の前の敵を倒すわ!」


「なら、私も!」


「あんたは、倒れてる生徒を外に逃がして?巻き添えになるわよ!」


「えっ?私が??」


「早く!」


「も~う、解ったわよ!」


私は倒れてる生徒を担ぎ外へと逃がし始める。


「餌を…取るな!腹が減った…餌ァアアア!」


「お前の相手は私よ?私に勝てたなら好きに食事すると良いわ?」


「餌ァアアア!!」


白い身体をしたカミシニの力を持つ化け物が襲い掛かる。その細い腕が伸びて来て掴みかかる!?


玲羅は一歩二歩と後退しながら掴みかかる腕を躱す。化け物は壁と天井を足場に素早い動きで移動している。人間離れした動きに玲羅は部屋の中心で立ったまま動かない。


「餌ァ!餌ァ!餌ァ!餌ァアアア!」


「餌とか煩いな?馬鹿でしょ?一つ覚えの鹿頭!」


化け物が玲羅の隙をついて襲い掛かる。その爪が玲羅に向かって貫かんと伸びていく。


「!!」


玲羅は紙一重で躱すと、その爪が両断される。


「フギャアアア!」


見ると玲羅の手には真っ赤な日本刀が握られていたの。その刀は自らの血で構成したカミシニの刀!


「私がお前に引導を与える!私はお前を殺しに来た死神よ!お馬鹿さん?ふふ…」


化け物は目の前の玲羅に対して、


「お前か…次々と仲間を殺し回る者達とは?」


「噂になっていたのね?なら怯えて姿現さなきゃ良いのに、飢えには耐えられなかったのね?本当に馬鹿」


「ち…違う…誘き寄せられたのは、お前の…方だぁあああ!」


すると音楽室の楽器が浮かび上がっていく。


な、何?


『合唱鬼浴』

※ガッショウキヨク


突然、楽器がひとりでに鳴り響き、部屋中が大反響する。


堪らず私は耳をふさぐ。


倒れていた生徒達も突然の出来事に目を覚まし、耳をふさぐ。けど、この反響音は両手で覆っても防ぎきれなかったの。


「わ…私達の両手を封じるのが目的ね?少しは馬鹿じゃなかったみたいだけど…やっぱり馬鹿だわ!」


「餌ァアアア!」


化け物が両手を封じられた玲羅に向かって襲い掛かって来た時、玲羅は手にした刀を落としてしまったの。万事休す??


私が助けに入っても間に合わない!


その直後、落下した刀を玲羅が蹴り飛ばしたの!?


刀は突進して来た鹿頭の化け物の額を貫いたの!


額から血を噴き出しながらぶっ倒れる化け物に、玲羅は両手を耳から離す。


化け物が傷つき倒れたと同時に音楽室の楽器が嘘のように静まり、止んでいた。


「楽器を操る程度の能力者だったようね?しかも音楽の才もないわ?全然。ただ陰湿な感情をぶつけたに過ぎない汚い演奏よ!」


「ウギギ…お前に何が解るもんか?ぼ…僕の演奏の何が…解る?皆、解らないんだ!だから、皆、喰ってやるんだ!」



その時、私は違和感を感じる?


あの化け物…は?


まさか人間なの?


「だって、お前、演奏嫌いだろ?嫌な思い出しかないんだろ?そんな演奏は誰も喜ばないわ!」


「なぁ…なぁに?」


化け物が厳しく叱咤する玲羅に対して激情を現した時、


「あっ…」


突然、私に化け物の感情が?記憶が流れ込んで来たの?


これは化け物の…化け物になった生徒の記憶?



その生徒は中学時代から吹奏楽を続け、高校に上がっても吹奏楽に入った。


中学時代は特に周りに出来る子もいなかった。ただ演奏するのが好きで楽しかった。だけど高校の吹奏楽に入ったら周りには自分とは桁違いの子達ばかりだったの。


ダメ出しや注意。出来ない事で周りからは疎まれ厄介者扱いにされていった。楽しかった吹奏楽がやがて苦になっていく。


そんな時、彼は1人吹奏楽が終わった後に残る。その手には退部届けを持って。


「もう辞めよう…」


その時、声がしたの。


『悪いのは本当にお前か?それとも奴らか?』


その声に彼は驚きつつも辺りを見回して、幻聴だと思うと答えていた。


「悪いのは全部、あいつらだ!あいつ達がいなきゃ僕は…もっと楽しく吹奏楽が出来たんだ!」


すると再び声が?


『なら、奴等を消せば良い?奴等がいなければ全て上手くいくのだろう?』


「えっ?だっ…誰?」


次第に恐怖を感じ始める彼は、教室を出て行こうとする。



『逃げるな!もし立ち止まればお前に力をやろう?お前の世界を作る力を与えてやろう?邪魔者を消す力を与えてやろう?お前に自由をやろう!』



その言葉に彼は恐怖よりも願望を叶えるための誘惑に乗ったの。


「僕は…何をすれば良いんだよ?」


少年の問いに、声の主は天井から姿を現す。それは白い蜘蛛?蜘蛛は少年の額に傷を付けると、少年は突然身体が張り裂けそうな痛みに襲われる。


「ウギィヤァアア!!」


肉が盛り上がり制服が破れ、身体の皮膚が白く変色し、頭上が張り裂けて角が伸びていく。血が白い皮膚を染めつつ、その少年は化け物へと転じたの。



ハッ!


私は我に返る。


「あの化け物が人間に化けていたのじゃなくて、人間が化け物になったの?」


しかも、私が今まで討伐して来た化け物と違うのは、化け物の姿をした人間だって事なの。


玲羅が自らの血で新たな刀を構成しながら、倒れて動けない化け物へと近付いていく。


トドメをさすつもり?


「ちょっと待ってー!」



私が化け物を庇うように道を塞ぐ。


「何のつもり?馬鹿なの?」


「だって、彼は人間よ!化け物の姿をしてはいるけど、歪んだ心に唆されて化け物になっただけ!」


「だから何?私は目の前の化け物を狩るだけ!」


「だから!」


その時、玲羅が私に向かって激怒する!?


「汚れる覚悟がないなら二度と首を突っ込むな!私らは遊びでやってるんじゃないんだー!」


「!!」


「人間だったから何?ソイツは罪を犯した!それに一度でも人間の肉を喰らえば、その欲求には決して逆らえない!また人間を襲うぞ?そしたらどう責任取るんだ?」


「それは…」


「あんたみたいな平和ボケした奴等が殺れないから私みたいのがいるんだ…」



それは彼女がそういう世界で生きて来た事を意味していた。


彼女は一体?


「退きなさい!」


彼女は私の肩を掴んで退かすと、化け物に刀を振り上げる。


「アンタに恨みはないけど、その血を受け入れた事が運の尽きだったのよ?せめて痛みなく殺してあげるわ!」


化け物は自分自身に向けられた刀に恐怖して震えだす。


「嫌だ…死にたくない…助けて…助けて?助けて!」


その怯える姿を見て私は玲羅の刀の前に飛び出して、化け物を庇う。



「やっぱりダメ!私が何とかしてみせるから!」


「言わんこっちゃない!馬鹿ぁー!」


「えっ?」


私の背後で怯えていた化け物が口から舌を伸ばし、それは鋭い槍のように私目掛けて向かって来たの!?


不意をつかれ、私は身動き出来ないまま…撥ね飛ばされる?


「!!」


直後、私を弾き飛ばし庇った玲羅が私の代わりにその舌に貫かれたの!!


「餌さぁ…お前、不味い…こんなんじゃ、僕は助からない…別の餌が欲しい!」


舌が抜かれると同時に倒れる玲羅を支える私は、


「どうして私を庇ったの!?」


「馬鹿?あんたは早く私の連れに匿って貰いな?私は大丈夫。こんな事はよくあることよ!」


よくあるたって?


その時、化け物は音楽室の窓を割って廊下へと飛び出して、逃げようとする。


「ダメ!逃がさないわ!」


私が追おうとするけど、腕を引っ張られ止められる。


「アンタが行って何が出来るの?ここで黙って待ってるか、何かしたいなら私の仲間を連れてきな!それともまた逃がすつもり?」


「くぅ…」


私は何も言えなかった。


けど、その時?



「きゃあああああ!」


女生徒の悲鳴が聞こえたの?しかも聞き覚えのある声?まさか!?


「葉子なの?」


それは最初に音楽室を出て喧嘩の仲裁に先生を呼びに出た葉子だったの。


葉子の目の前で、連れて来た先生が化け物に襲われて首を掴まれた状態で血を流して吊るされる。


「い…いゃあああ…」


腰を抜かして動けない葉子に気付いた私は音楽室を飛び出していた。


「今、行くわ!」


私の動きは雷の如く、玲羅もまた私の今の瞬発的な動きにその姿を見失ったの。


「あの娘…何なの?」


私は廊下を駆け抜け、その先に見えた葉子と化け物を見付けると、


「さぁせるかぁああ!」


踏み切った足で飛び上がって化け物の頭を蹴り飛ばしたの。角がへし折れ、化け物がよれた所を私は葉子を抱き締める。


「もう大丈夫だから!」



葉子は私を見て気を失う。


うん。


これで良いわ…


今から私は…


「情けを捨てるわ…」


あの化け物は人間が化け物になったんじゃない。人間の記憶を持った化け物だと私は自分自身を言い聞かせる。もう人間に戻れないなら…本当に戻せない?


「ダメだわ…」


迷いを捨てなきゃ、また新たな被害者が出てしまう。


私は葉子が連れて来た先生の無惨な死体を見て悔やみ顔を伏せた。もし私が最初に倒していれば…



「もうこれ以上、犠牲は出させないわ!私が引導を与えるんだから!」


再び顔をあげた私の瞳は金色に光り輝いていたの。化け物へと突っ込むその動きは化け物の機敏な動きでも見切れず、その腕を掴まれた瞬間に床にひっくり返されたの。


「合気」


私の合気が化け物をひっくり返し、更に私の手には金色に光り輝く錫杖が握られていた。金色に光り輝いた金の錫杖は化け物の顔面に向けて突き付けられたの。


「タスケテ…」


「!!」


化け物の声が少年に変わって命乞いをした瞬間、私は手元をずらして金の錫杖が化け物の顔を逸れて床に突き刺さった。


無意識の甘さから来た判断が私を危機に陥れたの。


化け物の口から吐かれた血が私の全身に降りかかり、私霊力が一気に消耗して膝をついた。


私の後ろには葉子が倒れたまま、私が倒れたら次は葉子が襲われてしまう。


「本当に馬鹿なのね?」


えっ?


その時、私に追い付いた玲羅が姿を現したの。


「甘ちゃん過ぎて見てらんないわ?ここから先は私の仕事よ!」



その瞬間、玲羅は私を飛び越えて化け物の前に出ると、刀を斜めに構える。


「私は甘くないわよ?命乞いをしたければ地獄の閻魔に言う事ね?」


化け物は四つん這いになって、後ろ足で廊下を蹴ると玲羅に向かって突進する!



「出でよ!南瓜の馬車!」

カボチャのバシャ


えっ?


玲羅の身体から血霧が噴き出して目の前に南瓜のような馬車が出現したの?


何、あれ?


玲羅は走る馬車の上に飛び乗って刀を構える。そして向かって来た化け物を逆に轢いたの!同時に振り払われた刀は化け物の首をはねる。化け物も自分の胴体と首が離れた事に気付く間もなかったくらいに。


「ギィェエエエエ!」


残された胴体の首から血が噴き出し、飛ばされた頭は悪あがきにと落下しながら口を広げ襲い掛かる。


「これで止めよ!」


玲羅の右足に血が集まって来て凝固する。


それはカミシニの血で出来た硝子の靴!?


「!!」


落下して来た化け物の頭をその硝子の靴で切り裂くように振り蹴る!


化け物は赤い霧に喰われるかのように消滅した。


私は彼女に問う?


もしかして…


彼女は?


私の予想が当たっていれば間違いないわ…


彼女は答えた。



「私はプリンセス・シンデレラの転生者よ!」




あ…


やっぱりこのパターン?


そんなこんな


次回予告


化け物の、蚩尤鬼神とは?



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