犯人は貴女達よ!女子高生の名推理?
法子が再び、事件に巻き込まれた。
それは、自らが通う学園に迫りつつあった。
私は法子。
私は猟奇殺人の現場に直面していたの。
私の目の前に無惨に殺された生徒が二人、そして今、黒板に張り付けにされた女の子が目の前で殺される現場に私はいる。
しかも、その犯人は?
私の学校の私のクラスに転入して来た三人だったの。
「貴女達が犯人なの?」
私の問いかけに無言の三人は、溜め息を付くと、
「見られたようね?私達が犯人ならどうするつもりなの?」
私は一呼吸した後、
「当然…」
『お仕置きした上、拘束します!』
私は飛び出すと、三人に向かって術札を投げつける。
『拘束札!』
札から霊気の縄が飛び出して三人を縛り付ける。先ずは拘束するのがセオリー!
「学習しないわね?」
「えっ?」
霊気の縄は彼女達に触れると同時に消えたの?
やっぱり、間違いない!
彼女達はカミシニ!!
以前、信長率いるカミシニを相手にした。カミシニには神の力は勿論、霊気の術が通じないの。
「一癖あるようね?なら、私も本気爆発よ!」
私は全身に霊気を集中させて肉体の持つ限界値を引き上げる。
肉体強化の術は直接攻撃の基本!以前の戦いでは完成されていなかったけど、この地獄のような課題に予習、復習、再試の間際に修練していたのよ?
直接、ぶん殴る!
私は構えると同時に三人は私を見下すように言う。
「にわか仕込みで笑わせるわ!」
「私もそう思う」
「実戦の力の差を見せてあげようか?」
来る!?
その瞬間、私の眼前に新谷 玲羅さんの顔が急接近して、反射的に躱そうとした直後、それが残像だと解る!?
「しまった!」
直後、足を狩られて私は転ばされたの。
「こなくそ!」
私が立ち上がろうとした時、倒れた私の正面に三人が見下ろしていたの。
起き上がる仕草をしただけで次の攻撃が来る?
そう判断した私は、倒れた状態で霊気を掌に集中させる。
「本当に学習しないわね?そんな攻撃は私達には無駄だと…」
言いかけた時、
「違うわ? 玲羅!彼女の狙いは!」
私は掌に溜めた霊気を床に放ち、崩れ落ちる中で下の階に着地する。
「さぁ?まだまだ、これからよ!」
ん?あれ?
だけど、上の階から彼女達三人は降りて来ないで、そのまま気配が消える?
「あっ!逃げられた!?」
違う。あのまま戦っていたら、間違いなくヤられていたのは私の方だわ…
その次の朝、学校で起きた新たな猟奇殺人のニュースが流れていたの。しかも今回は教室崩壊まで付け加えられて…
私は登校するなり、昨日の件を考えていた。
犯人はあの三人で間違いないわよね?私が直接目撃しているんだから?で、彼女達はカミシニで、私の敵!必ず見つけ出して、次は必ず倒してみせるわ!
と、その直後?
「えっ?あっー!!」
教室の扉が開いて、あの三人が入って来たの??
周りの生徒達が突然私の驚く声に注目する中で、彼女達は平然と席につく。
「貴女達、どうして学校に来たの??」
そりゃ、あの事件の後だから学校に通って来るなんて予想してなかったわ。
「当然でしょ?学生の本分よ?」
「私もそう思う」
「だよな?学生だしな?」
何を当たり前の事を、当然てな感じに、逆に私が変な事を言ったみたいになってるじゃんよ??
何て図太い三人なの?
でも、自分達から来たなら探す手間が省けたわ?
休み時間に尋問する!
けど、休み時間に彼女達の姿はなく、また授業の時に戻って来たの?
「あんた達、何処に行ってたのよ?まさか私を避けてるつもり?」
けど、返答は?
「と…トイレよ!」
「あっ…そぅ?ごめんなさい…」
逆に謝る事になる私。何かあべこべじゃない??
とにかく彼女達からは目を離せないわね?
けど、昼時間に私は葉子に起こされて目を覚ましたの。
「しまったぁー!居眠りしちゃったわー!」
「ダメな娘…」
呆れた顔をする葉子に、私は昨日の事は話せなかったの。だって、こんな事件に巻き込ませたくないし、まして犯人が同級生の同じクラスにいるなんて話したら大変よ?
私は一人で解決しようと考える。
私は放課後を待って、彼女達が動いたのを見て後を付ける。彼女達が人目がつかない別校舎の裏に入った所で私は声をかけたの。
「まんまと、誘き寄せられてあげたわよ?」
私は彼女達が私を誘って体育館の校舎裏に来たのには気付いていたの。
すると、彼女達は私に向かって溜め息をつく。
「貴女、死にたいの?見逃してあげたんだから、余計な事に首を突っ込まないでくれない?」
「私もそう思う」
「それとも怪我しないと解らないのかい?」
三人の余裕気な顔に私はプライドが傷付く。
「あんた達、あんまり私を甘く見ていると…怪我するのはどっちか教えてあげるわよ!」
私が構えると、彼女達は突然真面目な顔をして、
「どうやら現れたようね?何処か解る?」
「私の血を校舎中に撒いて来たから、反応があるはず!」
私は彼女達が何を言ってるか解らなかった。
けど、
「見つけたよ?音楽室だ!二体はいるよ?」
「待ってください?もう一体…二体?体育館にいるみたいです」
「合計、四体ね?やっぱりこの学園に集まって来たようね?」
三人の会話に私は置いてきぼりになっていた。
「何を話してるの?何が起きてるって?」
彼女達は私にまだいたのか?って顔をした後に、
「ここから先は私達の仕事。死にたくなかったら下校しなさい?」
「なぁ??」
彼女達はそれだけ言うと、再び校舎に向かって駆け出したの?
「どういう事?」
私はポカ~ンとしていると、彼女達の台詞を思い出す。確か音楽室に二体?二体って何が?ちょっと待ってよ?音楽室には今、葉子がいるじゃないの?
私は嫌な感じになる。
不安と恐れ…
私は飛び出すように彼女達を追って、音楽室へと向かったの。
「な…何?」
鳥肌が全身を廻る。
音楽室の中から物音一つしない?合唱部は?吹奏楽部も一緒よね?楽器の音は?だって、まだ部活の時間のはずよね?
なのに、この状況は奇妙としか思えないわ?
私は音楽室の扉を力任せに開く。中にいる生徒は?
私は音楽室の中に入った瞬間、嫌な感覚になる。
まるで結界の中に入ったような感覚だわ?それに中にいたはずの生徒は何処に行ったの?
葉子は!?
その時、気配を感じる。この気は人間?生徒がいるのね?でも、私の視界には映らない?幻術?
私は印を結ぶと、
「幻破」
幻術破りの術を唱えると私の見えていた視界が硝子が割れるように砕け、真実の音楽室の風景が姿を現す。
「来てしまったようね?せっかく外部に見られないように結界を張ったのに」
そこには新谷 玲羅が一人で立っていたの?
「貴女の仕業だったのね?今まで事件の目撃者が一人もいなかった理由が解ったわ!」
結界で目撃者がいなかったわけね?
それよりも、私は今、この場で起きてる現状に言葉を失ったの。
「あっ……!!」
音楽室は血だらけで、生徒達が怪我を負った状態で倒れていたの。
「あ…貴女がやったのね?」
好都合に他の二人はいないようね?
「これ以上、好き勝手にさせないわ!」
私の怒りに、彼女は
「少し黙っていてくれないかな?これからが肝心なんだから」
「何を?何を言ってるのかな~?私は怒ってるのよ!」
「二度も言わせないで?黙ってなさい!」
「なぁ??」
どうして私が怒られてるの?逆でしょ?
倒れている生徒達を見回して、葉子がいない事を確認する。
どうやら、この現場に遭遇しなかったようね?
すると、私達の言い合いに意識を失っていた吹奏楽部の生徒達が目を覚まし始める。そして一人一人少し前に自分達に起きた出来事を思い出すと、悲鳴が合唱のように起きたの。
「どうしよう…パニック状態だわ…」
その時、私は何かとんでもない化け物がいる事に気付く。音楽室の壁の至るところに大型獣が暴れたような爪痕が幾つも残っていたから。ここで、何が起きたと言うの?
でも変だわ?
彼女が犯人にしては事態が起きてからの時間が合わない?
まさか別に犯人がいると言うの?
私は悲鳴が響き渡る中で敵の気配を探る。
これだけの獣がいて気を感じないのは、敵がカミシニだから?
とにかく生徒達を避難させなくちゃ!
私は悲鳴をあげてパニックってる生徒達の頬を叩いて、
「気をしっかり持って!大丈夫。大丈夫だから、ここから直ぐに避難して?」
私は倒れて気を失った生徒も、起きた生徒に任せると全員避難させようとしたの。
「勝手な真似はしない!」
彼女は突然攻撃的な霊気を教室一帯に放つと、起き上がったばかりの生徒達が気当たりで一人一人再び倒れていく。殺されたわけじゃない?ただ気を失わせるのが目的?
「何て事を?邪魔したわね!」
「………」
「学校に入り込んで目的は何?生徒を餌食にするためだったのね!私がいる限り、これ以上の狼藉は許さないんだから!」
「少し黙ってなさい!」
えっ?あ、はい。
あれ?
「そうじゃなくて!」
その時、新谷 玲羅は呟く。
「どうやら今ので犯人が解ったようよ?」
「えっ?」
倒れた生徒達の中で、一人だけ平然と立っている生徒がいたの。見るからに弱々しい眼鏡をかけた男の子。
「あ、あれ?何が起きてるんだよ?お前達は何者だ?さっきの化け物なのか?」
取り乱す彼に私が近付くと、彼は震えながら私から遠ざかるように壁際に逃げる。
「待って?ここで何が起きたの?私の友達の葉子は知らない?」
問い続ける私に、彼は怯えながら答える。
「化け物が、現れたんだよ?そして皆を襲ったんだ!」
襲われたのは三名。吹奏楽と合唱部が合同で練習をしている時、何度も失敗する子に文句を言っていた先輩達が突然襲われたらしいの。ミスしてばかりの生徒が喧嘩腰になった時に先生を呼びに行った数人以外はこれから惨劇に遭遇したの。その生徒が「ウルサイ…餌が!」と呟くと目の前の先輩が驚く間もなく頭が飛んだの!血が噴き出す現状に他の生徒達は我に返り悲鳴をあげたの。
その直後、化け物と化した生徒は逃げる生徒達を弄ぶように一人一人捕まえては丸飲みにしていった。
惨劇の状況に普通の生徒達はパニックを起こし、この音楽室は地獄と化したの。
「僕も…恐くて恐くて…」
怯える彼に私は笑顔を見せて言ったの。
「もう大丈夫だから?後は私が…」
「君は一体?」
「私は~正義の味方よ?」
そして安心させると、外に逃げるように促す。
「あんた、馬鹿なの?」
一部始終私達のやり取りを見ていた新谷 玲羅が私を馬鹿にしたの。
「何を勝手に逃がそうとしているの?そいつは私の獲物よ?」
「ついに本性現したようね?次は化け物になるつもり?相手になるわよ?」
「ふふっ…化け物は」
彼女は私を指差したの?
「えっ?」
私が化け物?何を?ん?違う?私の後ろ?後ろ?
すると私の頭上を覆う影が?私は真上を見上げる。
「ウグルルル?」
えっ?
私の背後に化け物が?
「きゃっ!」
私は慌てて飛び退く。
いつの間に?
私の後ろには、あの怯えていた彼しかいなかったはずだけど?あれ?彼は何処に?いない?
「まだ気付かないの?さっきの彼が化け物だって?」
「えっ?えぇええ?」
「馬鹿なの?だから化け物を見付けるために私が気を放ったのよ!」
「はっ!」
カミシニの化け物には霊気を使った攻撃が通じない。つまり彼女がさっき霊気を教室に放って何も感じなかったのは彼だけだった。他の生徒達は皆、意識を失ったって言うのに?それってつまりどういう事って考えれば??
「さっきの彼が化け物だったのー??」
「だから、さっきから言ってるでしょ?」
「あぅ…」
私達の目の前には鹿のような角を生やした白い身体の化け物が獲物を狙うように臭い息を吹いていたの。
「この化け物が事件になっている学校荒らしの化け物なの?じゃあ、貴女達は何者?」
すると彼女は言った。
「やれやれ…隠密で入って来てるんだけど仕方ないわね?あんまり邪魔されるのも嫌だし…」
彼女は私の前で制服姿から密教僧へと一瞬で早着替えする。
「私は総本山の隠密衆・新谷 玲羅よ!」
驚く私。
その頃、体育館に現れた化け物の前に、白石 雪と鈴木 美和が密教僧の姿になって対峙していたの。
そんなこんな。
次回予告
法子の通う学園がまさかの化け物の襲来!
学園が今、地獄と化す!!