総本山の戦い!過去の脅威再び!
総本山に起きた事件!
卑弥呼の前に現れた化け物とは?
私は法子、
総本山では今、大変な事件が起きていたの。
地下の祭壇、礼拝堂にて卑弥呼様が化け物に襲われたの。この幾重にも張られた強力な結界に化け物が現れるなんて誰が予想出来たのか?
総本山に緊急招集がされた。そこには既に座主様の前に四人の守護者である晴明師匠、仁王さんに坂上田村磨呂さん、黄龍の巫女様が揃い踏みしていたの。
更に百輝夜行と呼ばれる晴明師匠直属の精鋭が待機する。
「皆の衆、よく集まってくれた。この度の件は我々にとって全勢力を持ってかからねばならない」
座主様の顔が厳しくなっていたの。
「まさか化け物が総本山に入り込むとは信じられん」
仁王さんの言葉に田村磨呂さんも頷く。
「だけど卑弥呼様は無事だったんですよね?」
その言葉に晴明師匠が事の全てを告げたの。
あの時、総本山の五重塔の地下にある礼拝堂にて、卑弥呼様は化け物に襲われた。けど、化け物が現れたと同時に二人の影が現れて化け物から卑弥呼様を守る。
それは私と同じか少し上くらいの歳の男女。少女は卑弥呼様庇うと、少年の方は化け物に向かって蹴りを入れる。その破壊力は化け物を反対側まで吹っ飛ばしたの。
「嫌な感じがして来てみたら、化け物が何でいるんだよ?」
少年は無防備に構えると、現れた化け物達を睨み付ける。化け物の数は四体。
「何だ?この化け物達から嫌な感じがするぞ?もしかして、コイツら?」
それに気付いた時、化け物は一斉に襲い掛かる。
「かかってこいや!」
二体を相手にする少年。その他の二体が卑弥呼様と少女の方に向かって襲い掛かる!!
卑弥呼様を庇う少女は前に出ると、化け物が掴みかかろうとする爪を前にして?
「アァアアアアアア!」
声を発したの!
それは化け物の身体にヒビを入れていく?それは振動?超音波??
化け物は一瞬怯むも、耐え堪えて襲い掛かって来る。
「もう大丈夫です」
すると卑弥呼様が少女の肩に手を置き、代わりに前に出たの。
卑弥呼様は指を噛むと血が異様な動きをしながら流れ、赤い鞭になる。
「鮮血の鞭」
その鞭の先端が消えると同時に化け物の身体は細切れになったの。
あれ?
血を武器に使うって、卑弥呼様?それってもしかして?あのカミシニじゃ??
「二人共、油断しないで?この化け物達は本命じゃないわ?この化け物を操る者が何処かで私達を見ている筈?」
二人は卑弥呼様を囲み、周辺に意識を高める。
何処?
その時、三人に向かって天井から巨大な蜘蛛の糸が落ちて来たの?
躱す事が不可能と感じ、鞭で裂こうとするけど
「切れない!?」
蜘蛛の糸は三人にのし掛かり身動きを封じられたの。怪力の少年も抵抗するけど蜘蛛の糸はびくともしない。なすすべが無くなった三人に、ついに親玉が現れたの?それは色白の密教僧?その者は三人の前に姿を見せると、
「噂は本当でしたね?今、総本山を動かしている卑弥呼様は偽者で、かつての総本山襲撃の際に死んだと言うのは?」
「お前、何者ですか!何が目的なのですか?」
すると密教僧の下半身が膨れ上がり裂けると、巨大な白い蜘蛛の身体が現れる。そして上半身の男は答える。
「かつて総本山に封じられし我等が王を目覚めさせる!」
「!!」
かつて総本山は魔物の軍勢の襲撃に合ったの。それは只の化け物であらず、神の力が通じないカミシニの力を持った化け物の総攻撃。
当時の四人の守護者や座主様が応戦するも、総本山は壊滅したの。
でも座主様と卑弥呼様が存命だったために総本山は立て直し出来たはずなんだけど?
どういう事?
再び場所は変わります。
座主様の前に座している現在の四人の守護者達は、今の座主様が偽者である事は知っていたけれど、卑弥呼様も偽者であった事は始めて聞かされたの。
「すまぬ。お前達にも秘密にしていた事は何も言い訳出来ぬ」
そこに晴明師匠が答える。
「それは私が進言した事。罪は私が負います」
「では、今の今まで卑弥呼様だと思われていた方はどなたなのですか?卑弥呼様と同じく未来を予知して世界中の危機を予言なさってではないか?」
その時、座主様の背後の扉が開き、卑弥呼様が二人の従者と共に現れたの。
「!!」
その女性は美しく、高貴なオーラを漂わせていた。
「紹介しよう。この方の名はクシナダ様。神の転生者であり、ヤオヨローズの数少ない生き残りだ」
座主様の紹介にクシナダさんが頭を下げる。
「クシナダと言います。かつての恩義にて卑弥呼様の代わりを務めていました」
クシナダ様には未来を予知する能力があり、そこを晴明師匠に助力を頼まれたの。
そして二人の従者は、
「俺はリキッド!こっちのはウズメだ!訳あって声は出ないから俺が代わりに紹介しとくぜ?」
二人もまた神の転生者であり、リキッド君は力の神で、ウズメさんは祭事の神なんだって。
「俺は別に騙されていたとは思わねぇよ?それより壊滅的な状態の総本山を今日まで持ちこたえた座主様と晴明さんには頭が下がるぜ?」
田村磨呂さんに続き、仁王さんも答える。
「うむ。俺も文句はない。今日までの苦労は想像しただけでも頭が下がる。これからは俺達も頼って欲しい」
「私も…はい!まだ総本山に入って、こんな役職付いちゃって右も左も解らないまま足を引っ張ってますが、出来る限りお手伝いします!」
女子高生であり、まだ若い黄龍の巫女様も同感したの。
「三人共、感謝する。私も…いや、俺も座主様の代わりを背負う覚悟はしたが、お前達がいてくれたからこそ今があるのだ」
座主様はかつての総本山の守護者の生き残りで、座主様の親友だったの。座主様は化け物の襲撃の際に姿を消し、その代わりを晴明師匠と共に繋いで来たの。
「総本山の実態を曝したからこそ、本題に戻そう」
クシナダさん達が何者かの襲撃にあった話。
密教僧の姿をしていたが、確かに化け物に変化した奴。
「あの者は人間です。いえ、人間だった者です。数年前に総本山を破門にされていた男です」
「それが何故、化け物に?しかも話を聞けば?」
「はい。あの化け物は私の攻撃が通じませんでした。私のカミシニの力が!つまり、あの者は…」
「カミシニの力を持った化け物??」
それは、まさかの話。
かつて、総本山を襲撃した化け物達はカミシニの力を持った化け物だったの。
「では、その生き残りが復讐に来たのかよ?」
田村磨呂さんが殺気立つ。
「あの者達の目的は、かつて総本山を崩壊へともたらし、今は封じられている魔王の復活です!」
「!!」
最強最悪の化け物を復活させるですって?
その魔王の名は…
「蚩尤」
その場にいる全員に衝撃が走ったの。
「魔王は生きているのですか!?」
「あぁ…蚩尤はカミシニの力を持ち、更に不死の化け物。殺す事は叶わぬと、卑弥呼様は我が身と引き換えに蚩尤を時の封印で二度と目覚めないようにしたのだ」
蚩尤は本当の卑弥呼様の魂と一緒に、地下の祭壇の地下にクリスタル状の結界の中で封印されているの。
「そのクリスタルが侵入者に盗まれた」
座主様は怒りで拳で床を殴り付ける。
「申し訳ありません…私達がいたにも関わらず」
「クシナダさんを責めているわけではありません。むしろ、命があった事に喜ぶべきでした」
「あの者のお陰です」
すると、座主様と四人の守護者しか入る事を禁じられている座主の間に、新たな人物が入って来る。
《なぁ?私の言った通りだったろ?》
「でもさ?突然、禁じられている五重の塔の地下に入ろうなんて、心臓が幾つあっても足りないよ~下手したら拷問だよ?」
《馬鹿言うな?私を誰だと思ってる?神だぞ?神!しかも、先代の守護者達のお守りまでしていた偉い神様なんだぞ?拷問になんかされるものか?バカタレ!》
「本当かなぁ?」
それは頼りなさそうな普通の高校生?一見、何の取り柄もないような少年が一人言をブツブツ言いながら入って来たの?
「お初になります。えっと、僕は…真坂正義と言います。何か場違いですみません」
彼の右手首には赤い水晶が埋め込まれていたの。
「お前、誰?」
田村磨呂さんに眼を付けられて泣きそうになる正義君に、晴明師匠が代わりに紹介する。彼を呼んだのは晴明師匠?彼は誰?
「彼は、カミシニの残党を倒す事が出来る少年だ」
「この少年が?信じられん?特に力は感じませんが?」
「彼の手首に嵌め込まれた水晶は、最高神が封じられている。その神が宿れる選ばれし少年なのだ。ツクヨミ殿を侵入者から命を救ったのも彼のお陰だ」
「何と?」
すると手首の水晶からボンヤリと少年神の霊が姿を現したの。
《うむ。崇めよ!私は最高神アータル!ジャスティス[正義]の象徴なのだ!》
「止めろよ?恥ずかしい」
最高神アータルはどうも、少年の肉体を共有しているようね?そして、このアータル神も総本山襲撃時にて共に戦い、肉体を失ったの。
しかし魂を水晶に変えて延命させ、この宿主である正義君と同調して再び目覚めたんだって!
で、話を戻すわね?
侵入者が現れ、ツクヨミ様と従者が掴まり、命を奪われそうになった時も…
「待てぇーい!この総本山で私の目が黒い間は、魔物の好きにはさせーん!それが、ジャスティスだぁー」
その時、正義君はアータル神と魂を共有し、一体となっていたの。二人がシンクロした時、アータル神は真の力を発揮出来るの。
「ジャスティスソード!」
正義君の手には立派な剣が握られていた。その剣はカミシニの博士が作りし忌まわしき剣。けど、アータル神は誇りを捨ててまで正義のために己の武器としたの。
正義君は化け物の足を一瞬で斬り落とすと、糸で絡められていたクシナダ様達の糸を切り裂く!
「さぁ?覚悟しろよ?私のジャスティスでお前を裁く!」
しかし、化け物は正義君を前に戦う訳でもなく、
「用は済んだ。お前達の死は延期にしてやろう」
すると天井が崩壊し、化け物は事もあろうに卑弥呼様と蚩尤の魂が封じられた水晶石を持ち上げて飛び去ったの!天井崩壊で追う事も叶わない正義君とクシナダ様達は苦汁を飲んだの。
「その侵入者が過去に総本山から逃げた化け物の一匹と言うのですか?」
座主様が語る。
「あの惨劇の後、魔物達の王が倒れ、その残党は日本各地にと姿を消した。その数は80体と言われている。しかし、奴等はカミシニの力を持った特種な化け物のために妖気といったものが無く、探し出す事が困難であった。その時に助力を頼んだのがクシナダ殿で、クシナダ殿はカミシニの反応を探知出来る能力を持っていた」
詳しくは、クシナダさんもカミシニの力を持っているの。カミシニ達は同属であるカミシニの居場所を気ではなく特殊な匂いで探知出来るらしいの。
「そのお陰で三十体は我々で討伐出来た。しかし奴等は知能を持っていた。我々からも、カミシニからも身を隠すすべを手に入れたのだ」
「身を隠すすべ?何ですか?それは?」
「人に寄生するのだよ!しかも特殊な力を持つ特殊体の人間に寄生し、その能力を得てな?」
特殊体とは人間が稀に持つ特殊な能力なの。私達みたいに修行をして得た能力でなくて、産まれついて持つ特殊な能力。
超能力みたいなものね?
その能力は持つ人間の個性によって様々な力があるために、悪事を働いたり危険だと判断された場合は総本山も動くの。
その人間の能力者に寄生し新たな力を得て、更にカミシニの力を持つ化け物は…
『蚩尤鬼人』
と、呼ばれた。
人に寄生したカミシニの能力を持つ化け物?
ん?
深夜の学校で猟奇事件の現場にて、私の前にはカミシニの能力を持った私の学校に転入して来た三人の女子高生と対峙中。
そんなこんな。
次回予告
法子の前で起きているのは?
三人の転入生の正体とは?




