図書室に現れたノア?
果心居士と織田信長との戦いは終わった。
そして、法子に新たな試練が?
私は法子。
何かタイムトラベルとかしてたこの前の話から一転、私は学校に復学しました。
私が休学してから2か月が過ぎていて、今は置いてきぼりになった勉強の毎日です。毎日毎日居残りで今までの授業の内容を詰め込まされてます。
「な…何とか、合格ラインまで達した…」
短期間でテストを何度も受けて、再試を繰り返し、漸く合格。あの数々の生死を分ける戦いよりも地獄を垣間見た戦いだったわ…
「女の子が机で寝てるって恥ずかしいわよ?法子?」
ぐったりしている私に声をかけて来たのは私の世話役…じゃなくて同級生で親友の菅田葉子ちゃん。
「葉子~私、今なら葉子に抱かれても抵抗出来ないわ~」
「抱きませんから!」
「放課後は葉子は部活?」
「う~ん。今日は早く終わるみたいだから待っててくれたりする?」
「勿論!」
葉子は合唱部のピアノを担当していて、コンクールなんかで何度も賞を取ってたりするの。
「じゃあ、1時間したら校門の前でね?あっ…それまで法子は何して暇潰してるの?」
「そうね…もう再試もないし、たまには図書室にでも行こうかな?」
「図書室?」
少し怪訝な顔をする葉子に私が聞く。
「私が図書室に行くのがそんなに変?」
「そうじゃなくてね…う~ん。法子なら大丈夫かな?」
「だから、何よ?」
「噂、聞いてない?図書室に女の子の幽霊が出るって話?」
「女の子の幽霊?」
「そう。法子が休んでる間に話題になっていたんだけど、図書室に女の子の幽霊が出るんだって?法子、霊感強いから大丈夫かなって?」
「何か悪さでも?」
「別に被害者が出たわけじゃないのだけど、目撃談があったの。髪の長い私達と同じくらいの女の子の図書室に現れる幽霊の噂がね?」
「ふ~ん。何か面白そうね?」
「駄目よ?首を突っ込んだら?」
心配する葉子に私は大丈夫大丈夫と答えたの。
合唱部に向かった葉子を見送った後、私は
「図書室の幽霊か…」
私はさっそく図書室に向かったの。別に霊の気配は特に感じなかった。
「やっぱり噂かな?」
私は仕方なく図書室の本を手に取り読んでいる。
私が手にしたのは少女漫画…最近の図書室には漫画が置かれていて過ごしやすいわね?
うん。
けど、私は滅多に来ない図書室をぐるぐる回り、そこで異様に気になる本を手にしたの?
『西遊記』
西遊記って確か、お坊さんが猿と豚と河童をお供に妖怪退治をしながら天竺を目指す物語よね?
ドラマやアニメなんかで使われたりするから、多少なりとも知識はあるけど…
私は流すように読んで見て、途中で閉じたの。
「まぁ…女子高生が好んで読むもんじゃないわよね?」
私は本を棚に置く。
「良いの?最後まで読まなくて?」
えっ?
私が振り向いた先に、窓辺に女の子が立っていたの?
いつの間に?
声をかけられるまで気配がしなかったわ?私が本に集中していたから?そんなわけはないわ?
この娘、何者?
「え~と、貴女は誰かな?前に会った事あったかな?私?」
「ないわ?始めまして」
「あ、始めまして?」
突然、挨拶をされて私は反射的に挨拶を返す。
私は彼女を見て観察する。
人間…で、間違いないわよね?特に力は感じないし、普通の女子高生…よね?
あの噂の幽霊じゃ…ないわよね?
「えっと、何をしているのかな?貴女は?」
私は取り敢えず聞いてみる。
「変な事を言うのね?図書室に来たのだから、本を読みに来たのよ?」
「あ~そうね?」
「それと、ちょっと会いたい人がいてね?うん。良かったら私と話さない?」
私は時計を見ると5時ちょうどだった。
「えっ?あ、別に良いわよ?でも友達待たせてるから、あの時計が半になるまでね?」
「ありがと」
私達は椅子に座ると彼女は私の顔を見て微笑む。
「えっと、前に会った事はないって言ってたけど、私の事を知ってたりするのかな?やっぱり?」
「そうね。貴女、有名人だからね?」
「あら、やっぱり?」
つまり彼女は好奇心で私に近付いて来たって事?確かにヤンキー君達を投げ飛ばしたり、学校を休学したりと、色々噂にはなってたもんね?私…あはは。
すると彼女は私に質問して来たの?
「法子さん?貴女、幽霊とか妖怪って信じてる?」
「えっ!?」
突然、何を?
確かに私は裏で妖怪てか、魔物退治をしたり、幽霊なんか日常茶飯事で見えたりしているけど?何で?
「どうして、そんな事を聞くの?もしかして…」
貴女も見えたりするの?って言いかけた時、
「だって、法子さんさっき西遊記の本を手にしていたでしょ?」
「えっ?あ~成る程!」
危なく余計な事を喋る所だったわ。
私が霊感あるなんて話したら、またまた噂が広がって変人扱いだもんね?
「西遊記か…やっぱり運命かしらね?」
「えっ?」
「法子さん?ちょっと私の話を黙って聞いてくれますか?」
「別に良いけど?」
すると彼女は私には全く理解出来ない話をし始めたの?それは雲を掴むような妄想話みたいな?
「私ね?思うの。この世界は幾重にも同じ時間軸を繰り返された世界だって…」
「アへ?」
「一度世界は終わって、また一からやり直して、そしてまたやり直して…それを数千、数万…いや?もっと数えきれないほど繰り返しているんじゃないかって」
「あの~私には全然理解出来ない話なんですけど?」
「世界には自分に似た人が三人いるって聞いた事ある?」
「えぇ?まぁ…」
「それからドッペルゲンガーって聞いた事があるでしょ?」
「確か自分に似た自分が現れて、見たら死ぬとかって怪談よね?」
「もし繰り返す世界に何らかの歪みが出来て、別の時間軸の自分がこっちの世界に迷い混んだら?でも、それは許されないから、世界の理から消されているとしたら?」
「どうなんでしょ?」
「全部辻褄が合うと思うの。でしょ?」
でしょ?って言われても困るわ~。
取り敢えず苦笑いしながら話を聞く私。
「繰り返された世界の中には私達が知っている歴史とは別の歴史があったと思うの」
「えっ?」
「例えば妖怪や化け物がいた世界なんてのもあったかもしれないわね?その西遊記の物語みたいに?」
一瞬、私は果心居士の記憶を思い出したの。果心居士は過去に流されて、化け物が跋扈する世界にいったとか?でも、そんな世界なんて過去の歴史上なかったはずだわ?私の中で変に真実味がわいてきたの…
「法子さん?デジャビューって知ってる?」
デジャビューって、確か前にも起きたような感覚に陥る現象よね?
大体が気のせいなんだろうけど?
「デジャビューって夢で見たとか、脳が無意識に未来を予測したとかって話はよく聞くけど、もしさっきの繰り返し世界のために、魂が一度体験した事を記憶していたらって考えたら辻褄合うわよね?」
「あ~まぁ…」
しまった。もう意味が解らないわ。
これってヤバい話だわ?
私にはついていけない話に違いないわ!
彼女は痛々しいまでに現実とリアルがごっちゃになってしまった創作好きな妄想少女なのかしら?
「繰り返されて、やり直された歴史も、全てがリセットされたわけじゃなく、私達の魂の中にはほんの僅かな記憶の欠片が残っていくの…」
「………」
「それが記憶として微かに残って神話や物語として今の世界に語り継がれていると思ったら、何かロマンチックじゃない?」
ここに来てロマンチックですか?
「そ…そうね?ロマンチックね?」
すると彼女は真剣な目で私を見ていたの??
あ、私が話に飽きたのが見透かされたの?
ごめんなさ~い!
「ふふふ。そしたら、その西遊記の物語も過去に実際に起きていた歴史かもしれないわね?」
「えっ?」
私は手にした西遊記の本を見て、思った。
そんな馬鹿な~
ないない!あり得ないから!それは~
彼女が男の子だったら、ツッコミ入れてたわ!
すると彼女は立ち上がり、私に背中越しに言ったの。
「いつか誰かが、この輪廻を断ち切らなきゃいけないわ…運命を変える者が!」
えっ!?
私が彼女を見た時、そこに彼女はいなかったの!
まさか、本当に幽霊?
確かに彼女は私の前にいて、私と会話していたはず?
そして私が見た時計は、さっきから1分も変わらずに5時のままだったの。
私は完全に気配を消した彼女に、まるで狸に化かされた感じになった。
私は立ち上がり彼女を探している時、校舎の屋上に彼女はいた。
「あまり今の彼女に関わってはいけませんよ?」
「そうですね」
彼女の他にもう一人?マント姿の顔を仮面で隠した青年がいた。
「私達は彼女を見守るのが役目…彼女の動向が未来を変える鍵なのだから」
「そうですね。少しお節介過ぎましたね?でも彼女には頑張って欲しいのです。うん。彼女なら大丈夫…何せ彼女は、」
『時の因果率から世界を解き放つ最後の救世主…
神を導きし救世主なのですから!』
すると彼女の髪が緑色に光輝き、手にした折り紙がひとりでに折り畳みながら大きくなって舟の形になって宙に浮く。
『ノアの方舟』
二人は舟に乗ると、目の前に現れた時限の穴へと消えていった。
彼女は何者だったのか?
そして、私の未来にどう関わるのか?
この時の私は分からないまま、
そんなこんな。
次回予告
学園生活に戻った法子に新たな事件が?
最終章の始まり!?