戦国最終バトル!信長を倒せ!!
信長の前に晴明が倒れ、残された法子とゲンさんは、
信長に怒りをぶつける!
私は法子。
私は果心居士の過去を知った。
そして、信長と戦うゲンさんの前で、自分を庇い倒れる晴明師匠が?
私の怒りが爆発した時、私の瞳が再び金色に光輝いたの!?
「信長ぁああああ!!」
私の爆発的な力で今まで傷ひとつ負わなかった信長の側頭部を蹴り、ぶっ倒すと、信じられないダメージを食らった信長が私に怒りを向ける。
だけど、
「ちょっと待てよ?おぃ?コラァ!信長さんよ?お前の相手は俺だろうがぁ?」
「雑魚は引っ込んでいろ?余の敵はその娘のみ!」
「連れない事を言うなよな?俺がお前を許せねぇんだよ?なぁ…」
晴明師匠を傷つけられたゲンさんが再び顔を上げた時、信長だけでなく私も驚いたの!?
ゲンさんの瞳が?
私と同じように光輝いていたのだから?
「おぃ?お嬢ちゃん?野郎は俺が相手する。だから晴明の事は任せたぞ?」
「えっ?あ、うん」
私はゲンさんの言葉に無意識に頷く。
何だろう?逆らえないし、その熱く真剣な目に不意にも胸が…
えっ?嘘?何?
却下!
今の私、ちょっと変!
あ、顔が熱いわ~
ゲンさんは私に負傷した晴明師匠を託すと、信長に向かって駆け出す!
「ふん!愚かな?無駄だと言うのが解らないのか?お前の力は全て余の前では無力!!」
「リャアア!」
ゲンさんの拳にも金色の光が灯ると、力任せに信長に向かって殴りつける!
それは全く相手にしていなかった信長のカミシニの障気を貫き、直接信長の胸元に抉るように直撃した。
「ぐはぁ!」
油断していた信長は信じられぬ顔で、血を吐き出す。胸元の鎧は砕け、信長に始めてダメージを与えたの。更に蹴り上げると、信長はたまらずに後方へと退き躱す。
「ぐんぬぅ…」
ゲンさんは信長に向かって行く。その力は先程とはスピードも破壊力も桁違いだったの。まるで私の瞳が輝いた時とそっくりな状態…
「まだまだこれからだぜ?信長ぁ!」
すると、ゲンさんの全身が金色のオーラに包まれ、更に信じられない力を発したの?
「な…何が起きた?あ奴に突然何が起きたと言うのだ!?」
信長も目の前で変貌したゲンさんに驚異を感じる。
「あの小娘だけではないと言うのか?余を傷付けられる者は?」
信長の破壊された鎧が修復していない。つまり致命的な攻撃をくらえば危険だと気付く。
「ふふふ…久しい…」
突然、笑い出す信長にゲンさんは不快な顔をする。
「何が可笑しい?気でも変になったか?」
「いや、久しく感じていなかった生の戦場を思い出したのだ。命の駆け引き、痛みに、魂が磨り減る感じ…うむ。悪くない!」
「ほぉ~?」
「何だ?」
「お前、突然良い顔になったな?今までは自分の特殊な力にオンブに抱っこだったからな?それが、漸く赤子が一人で歩き始めたようだぜ?信長さんよ?」
「好き勝手に無礼を言いおる。この信長に?だが、否定はせぬ。忘れておった。権力やカミシニの力に頼り過ぎていたのは確か…だが、今よりこの信長自身の力でお前を始末しようぞ!」
「楽しみだぜ?じゃあ、ヤろうぜ?命の駆け引きって奴を!」
同時に動いた。二人は大都会の真ん中を戦国に変える。
信長の刀に対して、
「炎よ!」
ゲンさんの金色の炎が剣と化して受け止める。
刀と剣が激しく衝突し、その余波が大地を震わす。
私は二人の戦いに気を奪われていた事に恥じる。
「私が今やるべき事は晴明師匠を救う事だわ!」
私は晴明師匠の懐にある術札を抜いて手に取ると、
「あった!」
治癒札を数枚用意する。そして自らの霊気を籠めながら晴明師匠に貼りつけていく。治癒札は私の気を傷付いた相手に流しこみ、自然治癒力を活性化させる札なの。但し死者には無効で、生きてさえいれば多少なりとも効果があるの。
「一つ問題なのは…」
この治癒札は繊細な霊力操作が必要なの。力を入れすぎると負担を与えてしまい逆効果になるし、弱すぎると効果出ないの。貼れば良いわけじゃないのよ?
私は意識を集中させて霊気を晴明師匠に流す。
私も頑張るから、ゲンさんも負けないでよね?
そして信長とゲンさんは互いに一歩も退かなかった。
「腕が痺れるぜ?いや、魂が痺れる!これが命の駆け引きってやつか?」
「認めよう。戦国時代には数々の武将がいた。だがウヌは余が相手した者の中で、一番の強者よ!」
「ありがとーよ?褒め言葉として受け止めるぜ!」
互いに構え合う。
次の一撃に、全てをかけるつもりなのね?
「名を聞いてなかったな?余に言ってみよ!」
「俺か?俺は…
『三蔵 玄三だ!』
カミシニの障気を纏った信長と、金色の炎を纏ったゲンさんの覇気が極限にまで高まったその瞬間、二人が同時に動いたの!
ゲンさんの炎の剣が!
信長のカミシニの刀が!
同時に振り払われる。
一瞬の決着!?
ゲンさん金色に光り輝く剣が信長のカミシニの刀を折り、そのまま信長を一刀両断にしたの!
「ガァアア…」
地面に転がる上半身に、ゆっくりと倒れる下半身。
信長の身体は金色の炎に焼かれていく。
か…勝ったの?
「ふぅ~やっぱり俺は強いぜ!」
ゲンさんは勝利を確信すると私に向かって駆け寄る。
「晴明はどうなった?」
心配するゲンさんに私は答える。
「親の仇みたいな事を言ってたわりに、心配なのね?それに晴明さんも貴方を庇って倒れたわけだし?仲直りすれば?」
「うるせぇー!そんな事は…もう、出来ねぇんだよ…もう…」
「?」
「それで晴明は?」
私は自慢気に親指を立ててニコリと笑んだの。
「治癒は苦手だけど、やってのけたわよ?褒めなさい!」
「よくやった!」
「えっ?」
ゲンさんは私を抱きしめて喜んだの。
「ちょっと?離してよ?離しなさいってば!」
私はポカポカとゲンさんの頭を殴るけど、気にしないゲンさんは本気で晴明師匠の事を喜んでいたの。
本当に、この二人に何があったんだろ?
と、その時!?
『人間五十年
下天のうちをくらぶれば
夢幻のごとくなり
ひとたび生を受け
滅せぬもののあるべきか』
詩が響き渡る?
これは確か?
かつて信長が本能寺の変にて最期に読んだと言われている有名な詩の?
って事は…
「信長が生きてるの!?」
私とゲンさんが信長が倒れていた場所を見ると、そこには血の塊が膨れ上がりながら宙に浮かんでいく?
「何?あれ?何か嫌な感じがするわ」
「あれはカミシニの血をこの一帯にばら蒔く爆弾みたいなものらしいな?それってヤバいだろ?」
この一帯には、私達の他にカミシニの大ボス率いるカミシニの軍勢と、神の転生者のヤオヨローズ達が戦っているの。
未来から来た私は断片的に聞いてはいたけど、多くの犠牲の下で神の転生者側が勝利したって話だけど…
もし、この信長爆弾が一帯を覆ったら?
カミシニの血で神の転生者達は全滅?歴史が変わってしまうわ?
「そんな事はさせないわ!」
私の肩をゲンさんが腕を置く。
「あの爆弾を俺達で消し去るぞ?」
「でも、どうやって?」
「策はある!俺とお前なら出来るはずだ!」
「本当に?どうやって?」
「先ずは子作りだな…うむ」
真面目な顔をして答えたゲンさんの顔を殴る。
「真面目に答えない!」
「冗談だって?イテェ~マジ殴りかよ?」
「あんたが馬鹿言うからよ!」
「つまり、さっきの俺の金色の炎で、あれを焼き消す!だが、俺の力だけでは無理だ…お前の力を俺に上乗せさせる!」
「私の金色の力?でも私のは自分の意思で出せないわよ?」
「馬~鹿?無理でもやらなきゃ駄目だ!てか、俺もさっきの力は初めてなんだぜ?だが、それしかないんだ!気合いみせろ!!」
「解ったわよ!」
私とゲンさんは互いに手を繋ぎ、意識を集中させる。二人の呼吸を合わせ、さっき出せた自分自身の姿をイメージする。
大丈夫…
出来るはずよ!
その時、ゲンさんの言葉が私の中に響く?
『自分自身を信じろ…お前なら出来ると信じている!この俺が信じてやる!』
その言葉が私の迷いを消した!
その時、私の瞳が初めて自分自身の意思で金色に光り輝いたの!
「!!」
同時に私の隣にいるゲンさんの瞳が金色に光り輝やく!
「なぁ?出来ただろ?」
「うん」
「後は、あれを掃除するだけだ!いくぜ!」
「はい!」
私達は同時に飛び上がると、ゲンさんの身体が金色の炎に包まれながら不動明王の姿へと変化する。
不動明王に左腕で抱き抱えられた私は印を結ぶと、ありったけの力をゲンさんに送る!
「漲って来たぜぇー!」
不動明王と化したゲンさんは拳に金色の炎を集中させると、巨大化した信長爆弾に向かって突っ込み…
ぶん殴ったの!!!
直後、信長爆弾は上空にて炸裂した。その忌まわしいカミシニの血は一滴も残さずに金色の炎に完全に焼かれて消滅したの。
そして?
無事に着地した私とゲンさんは、ビルの上で息を切らしながら横たわっていた。
「も…もう立てないわ…足腰立たない…」
「あはは!やらしいな?お前?まだ俺はお前に手を出してないんだぜ?」
とりあえず殴った。
足腰立たないけど、ツッコミと拳は大丈夫だったみたい。
これで信長の驚異は去ったわけだけど…
う~どうしようか?
「何を悩んだような顔真似をしてんだ?」
「本気で悩んでるの!」
「何をだよ?」
「だから~!私は果心居士を追って過去に来たって話したでしょ?果心居士が死んじゃったから元の世界に戻れなくなっちゃったのよ…困るわ…」
「何も困らないだろ?」
「だって、ここじゃ私を知ってる人だっていないのよ?どうやって生きていけば良いのよ?」
「だからよ?俺がお前を養ってやるって言ってるんだよ?」
「えっ?」
私は改めて顔を赤らめる。
って、マジに?マジに?
するとゲンさんが私の肩に手を置くと、ゆっくりと顔を近付けて来たの?
こっ…これって?まさか?このシチュエーションって?マジかぁ~?
私は震えながら、目を綴じてしまったの?
あ、抵抗しなきゃ?
でも手遅れ?
と、その時ゲンさんが私に言ったの?
「そういえばお前の名前を聞いてなかったな?」
「えっ?」
「教えてくれよ?お前の名前?」
「わ…私は、法子よ」
「法子か?良い名前だな?じゃあ、続きを始めるぜ?」
「えっ?あっ…」
ゲンさんの顔を私に近付き囁く。
「好きだぜ…初めて会った時から…何故か胸がざわめいたんだ…」
「わ…」
私も何故か同じく胸が締め付けられた気持ちになったの。
そして力を抜いて身を任せていた。
あれ?
まだかな?
いつになってもゲンさんが私の唇に触れない?
私は薄目を開くと、そこにゲンさんの姿は無くて、黒髪の長い密教僧の姿をした綺麗な女性が立っていたの?
あれ?
場所も私がいた場所と違っていて?
この女性は誰?
「ずっと彼の姿を通し見していたけど…もう我慢出来ませんわ」
へっ?
「やっぱり年下の若い娘が好きなのかしら?」
「えっと、貴女はどなたですか?」
すると彼女は私を睨みながら顔が引き攣っていたの。
綺麗な顔だから、余計に何か恐いわ…
「彼の好みなのかしら?髪が短いけど、私も切った方が良いのかしら?」
「…って、人の話を聞きなさい!」
そしたら私を再び見る。
「ごめんなさいね?ちょっと考え事を口にしてしまっただけだから?あ、でも?テレパシーだったわね?感情が露になって伝わってしまったのね?」
えっ?
テレパシー?
確かに彼女からの言葉は全てテレパシーから聞こえて来たものだったの。
「貴女は未来から来たって言ってたわね?」
「えっ?どうして、それを?」
「えっ?見て聞いてましたから?」
「えっ?見て?聞いてた?私を?」
「いえ、彼をですわ?」
「彼って?ゲンさん?」
「ゲンさん?あ~ゲンさんね?そうです。彼をですわ」
「つまり、貴女は彼のストーカーさんですか?」
「違います。私情で監視をしているだけです」
「って、同じよ?それ!てか、貴女みたいな綺麗な女性が何で、あんな男を?」
「だって、彼は私の運命の殿方ですから?」
「ヘッ?」
恥ずかし気もなく、言い切った彼女に私は言い返す事事態が恥ずかしくなった。
「で、貴女の目的は?私を彼のもとに戻してよ!」
「それは出来ません。貴女には元の世界に帰って貰います」
「えっ?そんな事が出来るの?」
「今なら可能です」
「今なら?」
「貴女が来た時限の穴が完全に消滅する前に、貴女を再び穴から元来た場所へ送り届けます」
「本当に?あ、でもゲンさんと晴明さんに挨拶しなきゃ?」
「それは駄目です」
「まさか嫉妬?イジメね?私を追い出すのが目的なのね?貴女、綺麗な顔してやる事が陰険よ!」
「それだけでは有りませんわ。ちゃんと他にも理由があります」
「今、それだけではって言ったわよね?」
「先ず、貴女はこの時代に干渉してはいけません。晴明にも彼からも記憶は消させて貰います」
「そんな?」
「それに穴が閉じたら二度と戻れなくなるのですよ?もう時間がありません。選択をしてください」
もう二度と帰れないなんて駄目だわ…
確かに私はこの時代の人間じゃないのも確か…
「解ったわ…お願いします」
すると、
「!!」
彼女の瞳が私とゲンさんと同じく金色に光り輝き、私を覆ったの?すると私の目の前にあの時限の穴が出現した。
「その穴を潜れば、貴女のいた世界へ繋がります」
「えっと、何処の何方か存じませんが、有り難うございます。けどね?」
「?」
「いつか未来でゲンさんに再び会えたら、彼をかけて貴女と勝負させて貰うからね?」
と、あっかんべーして私は穴に向かって飛び込んだの。残された彼女は…
「負けませんわ?いつか未来で会いましょう」
そして私は時限の穴を抜けて出て来た場所は?
えっ?
あれ?
そこは総本山の五重の塔?目の前には仮面を被った座主様に、その前には晴明師匠と田村磨呂さん、鈴鹿さん、仁王さんだったの。
私が突然現れた事に驚く皆に、私は…
「ただいま~」
と、そんなこんな。
次回予告
戦国歴史改変バトルは終止符した。
そして法子は再び、学園生活へと戻るのだった。
※今回の戦国歴史改変バトル編は、第一部の転生記と、第二部の神を導きし救世主とリンクしています。




