最強の信長!打開策は赤い糸??
果心居士の死を看取った法子
その最期に果心居士の過去を知る。
そして残るは信長!!
私は法子、
私は果心居士の過去を見た。
それは娘を思う父親の葛藤と誓いの生き様。愛する娘を魔物が跋扈する異世界に一人残して来てしまい、そこから抜け出すためには力が必要だったの。
そのために信長が必要だった。
そのために見境ない暴挙に出た。
そのために父親は一人で戦い続けて来た。
私には果心居士を悪として見れなかった。確かに数々の行為は間違っていたけれど、その思いは純粋な娘への愛だったから…
私は果心居士の過去を知り、その目的を知って涙して最期を見届けていた時、信長を相手に戦うのは不動明王の姿をしたゲンさんと、十二体の鬼神の力を身に纏った晴明師匠だったの。
二人は信長を中心に同時攻撃を仕掛ける。二人の力は遥かに人間離れした超人?いや、神憑りな力なのに、カミシニであり、最強級の信長は神の力が通用しないの。
「くらえ!不動火炎連弾!」
炎の神気が籠った火炎弾が信長に直撃するけれど、信長の鎧に触れた途端に消滅する。
そこに晴明師匠が飛び上がって、
『鬼神連弾!』
鬼神の気を籠めた弾丸が雨のように降り、信長を襲う。アスファルトを貫き、足下が崩れる。
「ぬぅ?」
信長が体勢を崩した所にゲンさんと晴明師匠が同時に突っ込む。晴明師匠の両腕には太陽神の加護のある札が貼り付けてあった。
「カミシニを倒すには太陽神の加護を持った武器が必要だ!」
『鬼神太陽剣』
ゲンさんもまた太陽神の加護のある術札を両腕に貼り付けていたの。
『太陽神・不動炎剣!』
二人は同時に太陽神の加護のある剣で信長に斬りかかる。信長もまた刀で受け止めながら二人の攻撃に苦戦し始める。
「アマテラスに貰った奥の手の加護札が役にたったぜ!」
「そのような奥の手があったなら、早くに出せ!馬鹿者が!」
「貸してやったんだから文句言うなよ~?」
ゲンさんは信長と戦う寸前に晴明師匠に手渡して置いたのね?
二人の攻撃は確かに信長の鎧を傷付けていた。
だけど、何か変?
「ふふふ…太陽神の加護か?並のカミシニなら確かに有効だっただろうな?だが、余はカミシニの王!このような子供騙しが通用すると思うなぁー!愚か者めらがぁー!!」
信長を中心にゲンさんと、晴明師匠が吹き飛ばされたの。
「うがぁあああ!」
ゲンさんは吹き飛ばされながら何とか体勢を整える。そこに信長が襲い掛かって来たの!ゲンさんは炎の剣で受け止めるも、手首に貼り付けていた太陽神の加護札が少しずつ腐り始める。
そして消滅と同時に炎の剣まで消えると、信長の刀がゲンさんの額を斬った!?
「ぐわぁぁぁツ!」
でも、僅かに額を斬られただけで、辛うじて躱せたの。額から血を流すゲンさんは急激に神の力が抜けていく。
そこに信長が追い討ちをかけてくる。
「させるかぁー!!」
晴明師匠が信長に向けて鬼神達を襲わせる。
「邪魔くさい!」
信長の振り払う一刀で鬼神達は消滅する。その隙をみてゲンさんが脱出する。
「助かったぜ?」
「油断するな!油断一つで命を狩られるぞ?」
「解ってらぁ!」
二人は警戒しながら信長を威嚇する。
「どうやら太陽神の加護も通用しないようだな?」
「そのようだ。万策尽きたか?晴明?」
「尽きたな…しかし、諦めたりはせん!」
「俺も諦めちゃいねぇよ?それに、俺にはまだ戦う敵が残ってるしな?」
ゲンさんは、神の転生者達と一緒にカミシニの王達と戦争している最中なの。
「だから、ここでおっ死んでたら先に向かったスサノオ達に顔向け出来ないからな?」
「私もお前を殺すまでは死なないつもりだ!」
「マジにシツコイな?だが、あの信長には必要条件だ!それに、あの娘に任されたんだからな?格好いい所を見せなきゃ相手にしてくんないぜ?」
二人は再び構える。
二人は決して戦いを諦めてはいなかったの。
「雑魚に時間を費やすほど余も暇ではない。余の相手が出来るのは、あの小娘だけだ!」
私、指名?
私は二人に参戦して信長と戦おうとしたけれど、足腰に力が入らなかったの?
これは、果心居士を目の前から消した時に私の瞳が金色に光輝いた事が原因だったの。
私は知らなかったけれど、果心居士の身体を娘さんのいる世界へと送り届けた力は、私の力を根刮ぎ削ったの。
「あれ?何でこんなに私、疲れてるの?」
私は膝をつき息を切らし始める。
そして信長はそんな私を見て、ほくそ笑む。
「あの娘も他愛もない」
信長は突然飽きた顔になって、
「余を楽しめさせられぬなら、今より瞬殺してやろう!」
信長の身体から障気が高まっていく?そして刀を構えると、
「その命、誠に余に抗えるなら生きて証明せよ!」
信長の刀が真っ赤に燃え上がり、振り回すと炎の刃が上空から幾つも降って来たの! それはカミシニの障気を纏った炎の刃?多少なりとも触れただけで身体は腐り、消滅してしまうわ!
「何て花火を降らしてくれてんだよ?あの派手好きな信長さんはよ~」
「減らず口叩いてると死ぬぞ?」
「おっ?優しいんだな?俺の身の心配か?」
「お前を盾にしても良いのだぞ?」
「それは、勘弁してくれ」
二人は降り注ぐ炎の刃を躱していた。私も巻き込まれないように、戦場から離れたの。
「今の私じゃ、足手まといだわ?先ずは体力を温存しなきゃ!」
全ての炎の刃を躱したゲンさんと晴明師匠は、疲弊しきっていた。今の攻撃はまともに当たれば命取り。だから、異常な集中力を必要としたからなの。
「はぁ…はぁ…」
二人は軽口を叩く余裕も無くなっていた。
「運良く生き残れたようだが虫の息か?何でも良い。何か申してみよ?」
しかし、二人は体力を温存して何も答えない。呼吸を整える事のみに集中していたの。
「減らず口も出ぬか?なら、鳴かぬなら殺してしまおうホトトギス!」
信長の振り回す斬激が二人を襲う。近付く事も叶わず、打開策も見えない二人は防戦一方でしかなかった。
「こうなったら!」
ゲンさんは覚悟する。こうなったら信長に特攻をして自爆?その後は晴明師匠が何とか信長を封じてくれるはず?と、無茶な考えが思考を廻る。
「それしかないかな?やっぱりよ?さもなきゃ、ここにいる全員が無駄死にするのも時間の問題だ…」
「お前、何を!?」
晴明師匠の制止をも無視してゲンさんは一人飛び出し信長に向かって行く!
「後は頼むぜ?晴明!」
印を結び、ゲンさんの身体から強烈な力が膨れ上がる?けど、これは危険な膨れ上がり方?
「信長!俺と心中してもらうぜ?」
「虫けらが余と心中だと?無駄死にだ!」
信長が刀をゲンさんに向けて構えると同時に、ゲンさんは飛び掛かる。
「信長ぁあああ…グッ?」
飛び掛かるゲンさんの首に糸がかけられ、後方に勢いよく引き戻される。
地面に転がるゲンさんは、その決死の行為を邪魔した者を見る。
「せ、晴明?」
「馬鹿な真似をするな?お前を始末するのは私だ!」
そして晴明師匠は、
「私も用意が出来た!お前は黙って見ていろ?」
「へっ?」
晴明師匠はニヤリと笑むと何か勝機があるみたい。
「余を倒すと?見せてみよ?次で叶わぬなら、その命を失うまでだ!」
「既に準備は出来ていると言ったはずだ!」
晴明師匠は印を結んだ後、術札を右手でばら蒔く。散らばる札から鬼達が出現して信長を襲う。
「何事かと思えば今更式神頼みか?つまらぬ!」
信長は刀のヒトフリで式神達は全て消え失せる。
「約束通りつまらぬ物を見せたウヌに死をもって償わせよう?」
「信長!お前は前世同様足下が見えてないのだな?」
「なに?」
その時、信長に向かって地面から糸が飛び出して来て信長を拘束する。
「こ、これは?」
信長は指一つ動かないでいたの。
「この糸は何だ!?」
晴明師匠は答える。
「霊糸です!」
「霊糸だと?」
「本来、霊糸は霊気を糸に流し、その強度を増す。だが、お前を拘束しているその糸には…」
その糸は真っ赤だった。
「カミシニの糸を吸わせた特注品です!」
カミシニを倒す手段は太陽神の加護を持った武器を使う他に、カミシニの血で傷付けられると言うの。
そしてカミシニの血を吸わせた霊糸で、カミシニは拘束出来るってわけ。
流石、晴明師匠!
無鉄砲なゲンさんとは違うわよね?
「ふふふ。面白い…だが、所詮は猿知恵よのう?秀吉を甦らせた時に余と手合わせした状況と同じ」
「何だと?」
すると目の前の信長が血の塊となって、崩れるように消えたの?
同時に晴明師匠の糸が対象を失う。
そこに離れた位置から凄まじい覇気を感じ、そこから信長が弓を構えて晴明師匠を狙っていたの!?
「余が狙うはお前ではない。そう。お前の中途半端な攻撃はお前の大切な者を死なすのだ!」
信長の矢先の的が晴明師匠からゲンさんに向けられ、矢が放たれたの!!
矢は閃光の如くゲンさんを貫く……
「させん!」
「なぁ?」
矢がゲンさんを貫く瞬間、晴明師匠がゲンさんを庇うように飛び出し、矢が晴明師匠を貫いたの!!
晴明師匠の鬼神達が消え去り、晴明師匠は元の姿に戻りながら血を吐き、倒れる。
その一瞬の出来事を見たゲンさんは、信じられない顔で叫んだの!
「晴めぇーーーい!!」
私も、その一部始終に青ざめる。
「まさか晴明師匠?晴明師匠が…死ぬ?そんな…」
晴明師匠が倒れ、信長の脅威に
私とゲンさんに何が出来ると言うの?
そんなこんな。
次回予告
晴明が倒され、法子とゲンさんは?
負けるな!
主人公!!




