狂気と狂喜の戦い!待てよ?撤回しろ!
覇王と百獣王の一騎打ち
その場にいる孫悟空は・・・
俺様は孫悟空
百獣王の魔眼覚醒!
金色の獅子の咆哮が響き渡る。
「ウゴォオオオオオオ!」
しかし今の百獣王は確実にイッてやがる。
完全に闘争本能あるがままの無意識。
「凶戦士の魔眼!」
無防備に覇王に向かって飛び掛かると、鋭い爪を立てて殴りかかる。
過去に俺様が地上全土を牛角魔王、蛟魔王、鳳魔王とアイツと共に義兄弟として駆け回っていた時代、一度だけ暴走状態になった百獣王を止めた事があった。
正直、全員で総がかりになっても止まらない。
マジに奴に殺されるかと恐怖したもんだ。
今でも仲間であって本当に良かったと思っている。
そんな状態の百獣王の強さは覇王相手にも通用していた。
覇王は防戦一方だった。
その鋭くも破壊力のある一撃をマトモに受ければただでは済まない事を理解しているから。
覇王の頬に冷や汗が垂れた。
百獣王は武器を持たない肉弾戦に対して覇王は大剣を持ってしても捌くのがやっとだった。
しかも覇王は剣を防御から攻撃に転じて突き出すも、百獣王は紙一重で突き出された剣を潜り抜けるように迫って来て、鋭い爪を繰り出す。
躱した覇王の背後がその斬撃に大地が裂かれながら轟音を立てた。
百獣王は覇王の動きを見切っているのではない。
野性の感で躱しているだけ。
対して覇王の奴も歴戦の戦場で培った戦闘センスで対応してはいるが、この百獣王の攻撃は対人物を相手にした戦いが通用しない。
しかも覇王相手に怯まずに恐怖を感じずに襲って来る相手と今の今まで戦った事があるだろうか?
「面白い。初心に戻れる!」
覇王は剣を振り払い百獣王の接近を食い止める。
この覇王は百獣王との戦いを楽しんでやがるのか?
互いに繰り出す攻撃の破壊力は抜群。
死線をくぐり抜けるような緊張感を味わう。
狂気の沙汰だぜ!
次の百獣王の攻撃が覇王の頬をかすめた。
徐々に速く、鋭く、的確に急所に迫る。
「ウゴォルラア!」
百獣王の拳が空を切った。
躱された?
が、伸び切る前に肘が曲がり覇王の顔面に直撃した。
堪らずに動きが止まった覇王に向かって百獣王の追撃が迫る。
しかしその動きに覇王はタイミングを合わせていたのだ。
「斬!」
それは一瞬だった。
覇王は振り上げた剣が半円を描くように振り払われると、百獣王の動きが止まった。
「ぐふっ!」
直後、百獣王の胸が裂けて大量の血が噴き出したのだ。
最強対決は覇王が一枚上手だったのか?
斬られた傷は深かった。
胸から骨を断ち内臓を両断した。
「ヌッ!?」
が、百獣王の魔眼の輝きが更に強まったのだ。
同時に斬られたはずの胸の傷が筋肉の膨張に合わせて塞がっていく。
それはまさに瞬間再生だった。
「ウグゥヌゥオオオオ!」
雄叫びと共に百獣王の闘志が覇王を捉えた。
全身から湧き上がる覇気と共に百獣王の奥義が覇王に対して炸裂する。
上段から振り下ろす拳はまるで棍棒に見えた。
拳は弧を描き覇王の額を削るように撲打して、金色の弧の軌跡は弓のように残り、そのまま身を回転して再び殴る型を取ると拳から弧に向かって金の糸が張ると同時に反撥的に拳が矢のように放たれた。
「金色棍棒弓の拳!」
百獣王の拳は覇王の胸元に直撃した。
「ウゴっ!」
今度は覇王の方が崩れるように膝を付く。
あの技はテューポーンに炸裂させたのと同じだった。
動かない覇王に対して百獣王が見下ろしていた。
まさか倒せるのか?
あの覇王を?
百獣王の出鱈目な強さならゼロじゃない。
しかし覇王は剣を杖のように大地に突き刺して立ち上がると、口から血を吐いた。
「この俺をここまで追い詰めるとは・・・思っても見なかった。だが、これで手加減しなくとも楽しめると言う事だ。この俺が抑える事なく本気を出しても良いのだな?」
すると今度は覇王の身体から蛇気が異常に膨れ上がり、爆発したかのように覇気の波紋が広がる。
その力の波動に大地は震え、天が裂けるように雲を消し去り、世界を震撼させた。
「俺を受け止められるか?」
「グルゥウウウ!」
正気のない凶戦士と化した百獣王に対して覇王は更に力を解放させて立っていた。
この威圧感ハンパない!
先に戦った始祖神テューポーンをも遥かに超える。
俺様も妖気を防御に撤していなげれば、どうなるか分からない程の空間が歪む程の妖圧の中にいた。
斬られても再生する百獣王と、ついに見せる覇王の本気って・・・
どうなるんだ?
例え強大な敵を目の前にしても百獣王は怯むどころか更に激しく攻撃的に覇王に襲いかかっていく。
その予測不可能な動きに覇王は握られた剣を構える事なく振り払う。
「見切ったぞ?」
その斬撃は乱れるような鞭のような軌道の閃光。
斬撃は百獣王の動きを完全に捉えていた。
両腕と両足の腱を切断し、動きが鈍った所を追撃の斬撃が百獣王の身体を次々と貫く。
血塗れになりながらも百獣王の身体は再生していく。
指一本でも動ければ攻撃を止めない。
そんな百獣王の戦いに覇王の目が変わる。
この戦いに笑みを見せて堪える感情が口を開きながら笑いだしたのだ。
狂気と狂喜!
しかし止まない覇王の剣は百獣王の身体を深く刻み、そしてこの戦いの終幕が見えてくる。
このままでは百獣王が危ない!
いくら頑丈でも限度がある!
「くそ!何故、俺様はここにいる?何故、戦っていない?何故、ここに来た!!」
俺様は鼓舞するように自分自身を奮い立たせるが、この次元の違う戦いに割って入る事が出来なかった。俺様は無力なのか?
その時、百獣王との戦いに歓喜している覇王が馬鹿な事を口走ったのだ。
「あの人間の娘は俺を奮わせた。にも関わらず戦いの最中にこの俺に隙を見せて命を落とした。正直、不完全燃焼だった。しかしお前が再び俺を燃え上がらせてくれたのだ!感謝するぞ!」
はぁ?
何を言ってやがる?
覇王と戦ったのは人間って法子の事だよな?
他に人間の女が戦えるはずないしな。
十中八九間違いなかろう。
俺様の聞き違いか?
今、法子が死んだとか吐かさなかったか?
その時、俺様は身震いした。
それは法子が俺様達の背中を押して向かわせてくれた時に鼻についた血の臭いだった。
けれど、そんなまさかな?
だって、ピンピンしてたぞ?
法子は生きてる。
それは間違いない!
俺様は断言する。
が、俺様の魂が強く激震したまま胸の鼓動がさっきから収まらない事に。
法子の気配が感じない・・・
仕方ない事だ。
この数千万近くいる蛇神と自軍が争い合う戦場の中で一人の、法子だけの気を探すなんて難しいしな。
不安が胸を締め付けた。
そこに覇王が百獣王に向かって動いたのだ。
「酔い痴れる程の魅惑の戦いだった。お前には感謝する。しかし祭りの時間はもう終わりだ」
すると覇王の目の前に立つ百獣王の身体がゆっくりと大地に倒れ込んだのだ。
「記念にその首を貰っておいてやる」
そして剣を振り上げると、ピクリとも動かない百獣王の首元に向かって振り下ろした。
「!!」
が、その手首を掴まれ止められたのだ。
「雑魚が新鮮な俺の戦いに水をさすな?」
手首を掴んで離さなかったのは俺様だった。
「ん?」
その時、覇王も気付く。
掴まれた手首が動かない事に?
そして俺様は静かに呟いた。
「待てよ?撤回しろ」
「ん?雑魚と言った事か?」
「違う!誰が死んだって?誰が殺したって?」
「あの人間の娘の事か?奴は確かに俺がこの剣でその命を刈り取った。だが、微かに時間は与えてやった。お前との別れの時間をな?せめてもの情けのつもりだったが」
その時、俺様は頭を強く揺らされるような感覚に陥った。
過去のトラウマが、俺様の師である三蔵との別れ。
その最期に誓った魂の約束!
「法子を必ず守る」
俺様は信じない。
「いい加減その手を離せ?さもなくばお前の腕ごと斬り落とすまでだ」
覇王が力んだその時、覇王は気付く。
逆に腕を引っ張られ、そして!
「うぉらあああ!」
俺様の拳が覇王の頬をぶん殴ったのだ。
その威力は今までの俺様とは別格。
そしてその拳を天にあげて叫ぶ。
「オマエは俺様の前に跪けぇーーー!」
その時、俺様の瞳が輝く。
金色に光り輝く魔眼の覚醒だった。
さらに変化は止まらない。
金色のオーラは俺様の身体を覆い隠すと、その光の中から金色に光り輝く鎧を纏っていたのだ。
「黄龍の輝鎧」
魔眼の覚醒と新たな進化!
もう俺様は誰にも止められねぇーぜ!
次回予告
孫悟空の覚醒!
今、覇王に挑む!




