真の覇道を進む支配者への誘惑!?
牛帝覇蛇を倒した八怪。
しかし戦いは終わってはいなかったのだ。
俺様は孫悟空
八怪と紅孩児は蛇神と化した牛帝覇蛇と戦っていた。
しかし倒したはずの牛帝覇蛇の身体から謎の思念体が現れて八怪の身体を奪おうとしているのだ。
そこに再び、戻って来た紅孩児が参戦する。
紅孩児の炎は八怪の身体を奪おうとしていた蛇神の思念体を引き離したのだ。
「紅孩児!?」
「何も言うな!今は目の前のアイツをブッ倒す事だけ考えろ!」
「おぅら!」
八怪は紅孩児の戦いに割り込んだ事を気にしていたが、それも全て紅孩児は理解していた。
自分の事を思っての行為なのだと。
二人は蛇神の意思に対して警戒する。
まるで覇王と対峙した時のような底知れない圧迫感。
深く深く今にも吸い込まれてしまいそうな力への誘惑を漂わせて取り込もうとしていた。
「お前達どちらも我を得る資質を持っている。どちらでも構わない。我を受け入れよ!」
それは言葉ではなく脳に直接伝わるテレパシーでの誘惑。
しかし二人は誘惑に対して強く抵抗する。
「ふざけるならぁー!」
「お前が父上を操って自分の思い通りにしていたのだな!絶対に許さない!俺様が父上に代わり、お前を消し去ってやるからな!」
八怪と紅孩児は互いに頷くと同時に飛びかかっていた。
しかし存在は感じるけれど肉体のない意思の敵に攻撃は通じなかった。
「どちらでも構わない。好都合でもあるな。お前達の魂を消し去り我の器として手に入れさせて貰おう。那我羅は我の力を制して言う事をきかないからな。それも時間の問題だろうが、先にお前達のどちらかを新たな覇王に仕立てて奴を困らせてやるのも面白いと言うものだ」
何を言ってるのか分からなかった。
しかし、コイツをこのまま野放しにはしてはいけないと直感的に分かる。
「!!」「!!」
すると突然、八怪と紅孩児の身体から溢れるほどの力が湧き出て来たのだ?
しかしそれは禍々しい力だった。
「それは我を受け入れた時にお前達が手に入れられる力の一端に過ぎんぞ?
求めよ!力を!我を受け入れた者こそ、真の覇道を進む支配者となれるのだからな!」
二人は顔を見合わせた。
手を伸ばせば世界を手に入れるほどの力が簡単に手に入れられる。
すると二人は笑みを見せたのだ。
「そうだ。我を受け入れよ!お前達が新たな覇王だ!」
しかし二人は拳を向けて同時に叫んだのだ。
「却下ぁーーー!」
拒んだ事で湧き上がっていた力は瞬時に消え去った。
「こんな貰い物の力で強くなったって嬉しくないや!力は俺様自身で手に入れてやる!」
「オラの力は守れるだけあれば良いんら!持て余す力など無用ら!」
二人の意思は頑なだった。
蛇神の意思も誘惑は無駄だと理解すると、
「良かろう。ならば洗脳してでもその器を頂くとしよう。先ずはお前たちの心臓を潰すか?それとも脳みそか?時間をかけて内臓を一つ一つ潰していくの良いかもな?」
「ウグッ!?」
直後、八怪と紅孩児は同時に吐血して咳き込んだのだ。
腎臓、膵臓が潰されたのだ。
「肺も取っておくか?」
「アガガガガッ!?」
呼吸が出来なくなった。
息が止まり青褪めながら苦しみ悶える。
「呆気ない。最後まで生き残った方を我の器に選んでやるとしよう。光栄に思うが良い」
蛇神の意思の力は桁違いであった。
八怪も紅孩児も何も出来ない状態で絶望的な状態に陥る。
だが、しかし状況が変わった。
「うらぁああああ!」
「うぉおおおおお!」
八怪と紅孩児は気合いと同時に立ち上がる。
すると二人は金色のオーラに包まれていた。
その瞳を金色に輝かせながら!
魔眼解放と同時に二人の失われた臓器も再生し、呼吸も戻っていく。
金色の魔眼の輝きが蛇神の意思の力を撥ね退けたのだ。
まるで相反する力のように。
その輝きに蛇神の意思は動きを止め驚愕する。
「まさか!?その力は救世の力か?」
金色の魔眼の力は蛇神の拘束を完全に解き、二人の身を自由にした。
「時を越えても尚、我が力を拒むか?」
二人の金色の力はさらに力を増して広がる。
「ならば今一度、この器を使いお前達を滅ぼすまでだ!そしてその忌まわしき救世の力をこの世界から完全に消し去ってやろう」
蛇神の意思は倒れている牛帝覇蛇の身体に再び吸収するかのように入り込もうとする。
その時、奇跡は起きたのだ!
「いつまでも俺を好き勝手に出来ると思うなよ!」
死んだはずの牛帝覇蛇、いや?
牛角魔王が立ち上がり蛇神の意思を抑え込んだのである。
その姿をみた紅孩児は涙を流す。
「ち、父上!」
その息子に向かって牛角魔王は叫んだ。
「お前達!その力でこの元凶を滅するのだ!」
八怪と紅孩児は頷くと、同時に仕掛けた。
「は、離せ!この死に損ないがぁ!」
しかし牛角魔王の抑える力は強かった。
「何故、我を抑えられるのだ?」
すると牛角魔王の全身を纏っていた覇蛇の鎧が消え、四霊の霊亀の鎧へと変わって蛇神の意思を覆うようなオーラでガッチリと抑え込んだのだ。
先もそうだが、紅孩児の鳳凰も八怪を取り込もうとしていた蛇神の意思を引き離した。
聖獣の力も蛇神の意思に対して関与出来るようだな。
「いまだぁーーー!!」
そこに飛び込む八怪と紅孩児!
金色の力を纏う釘鈀と火尖鎗。
その一撃は本体のない蛇神の意志に向かって斬りつけ、貫いたのだ。
「ウッ、ウゴォオオオオオ!!」
金色のオーラが蛇神の意志に侵蝕する様にその存在を少しずつ消し去っていく。
しかし蛇神の意思は言い残した。
「フフフフッ。コレで終わったと思わない方が良いぞ?我はこの世界そのモノなのだからな」
そして気配が完全に消えたのだ。
「ぶはっ!」
「くはっ!」
蛇神の意思を消滅させた八怪と紅孩児の身体から金色のオーラが消えると、二人は突然膝を付いて倒れ込んでしまった。急激的な消耗に襲われ二人は動けなかったのだ。
「何ら?力が出ないらよ?」
「指一つ動かせないぞ?」
それは金色の魔眼の副作用だった。
魔眼の覚醒から度重なる連発。
奇跡の力も無尽蔵ではなかったと言う事。
急激な眠気に襲われ、二人は睡魔に耐えられずに眠りに落ちてしまった。
その二人を見下ろす牛角魔王は二人に告げる。
「お前達、本当に見事な戦いだったぞ」
そして覇王討伐のための一つの戦いは終わった。
しかし今現在、同じく熾烈な戦いが既に繰り広げられていたのだ。
それは中央の扉を抜けて先を進んだ所で、俺様と百獣王は立ち止まっていた。
否?強制的に立ち止まらされたのだ。
「漸くここまで辿り着いたな?」
「俺俺、血湧き肉踊るぞ!」
強気な言葉とは裏腹に、それは鼓舞していたに過ぎないのは自覚していた。
俺様と百獣王の前には玉座があり、そこには圧倒的な威圧感を放つ者がこの場に現れた俺様達を凝視していたのだから。
「まだ俺と戦う気概のある者がいたとはな。あの人間の小娘の言った通りだ」
それは法子の事を言っていた。
「俺の前に現れしあの娘の意志を継ぐ強者の存在。良かろう。相手になってやろう!」
「!!」
俺様と百獣王の相手する敵は、蛇神の王である覇王・那我羅だった。
そして俺様と百獣王がここまで迷う事なく辿り着けたのは、沙悟浄と鉄扇のお陰だった。
牛帝覇蛇を八怪と紅孩児に任せた後、俺様達は空間の歪む世界に囚われてしまったのだ。
平衡感覚を失い、右も左も分からない。
しかも目の前の世界が熔岩が噴き出す荒れ地に代わり、息も出来ない海中奥へと飛ばされたり、生きとしいける者が存在出来ない世界で俺様達は抵抗出来ずにいたのだ。
すると唯一、沙悟浄のみが解決策を講じる。
「偽りの空間は私が何とかします!任せてください!」
「沙悟浄?」
沙悟浄は懐から数珠を取り出すと神気を込め始めたのだ。
すると数珠の数が増えていき百八個になる。
「私達の道を謀る妨害を蹴散らしたまえ!」
光り輝く百八の数珠が飛び散ると、俺様達を阻んでいた世界の歪みが硝子が割れるように散り、元の正しい道が開かれたのだ。
「この空間全体に特殊な結解が張られていたようで、侵入者の脳に直接行く手を拒むような不安をリアルなイメージとして送り込んで邪魔していたのです。だから私の術で結解と皆さんの不安を取り除いたのです」
「だから頭がふらふらすんのか?」
沙悟浄は酔い止めに似た霊薬を皆に配る。
本当に気配りナンバー1な奴だよ。
「沙悟浄、お前いつの間にそんな術を?」
「私の中でお父さんの記憶と共に数えきれない程の術の知識が私の中に残っているようなのです。その知識から打開策を探しただけですよ~」
沙悟浄は捲簾覇蛇に身体を奪われた事で、その中にあった本当の捲簾の魂と交わる事で記憶を共有した。それは記憶と同時に知識も残ったのだ。
けれどそれは全て捲簾が遺した実の息子である沙悟浄に残した遺産。
そして今の沙悟浄は捲簾術の全てを譲り受けたのだ。
先を進む俺様達は道が開かれた先に待ち構えている者がいた。
白き衣を纏い、白髪の女蛇神。
覇王の側近であり、巫女。
しかしその力は覇蛇をも上回る白蛇の血統。
特殊な術を使い、また剣技をも扱う厄介の敵。
「覇王様の覇道を邪魔する者は何者であっても生かす価値はないのです」
突如、俺様達に向けて濁流のように無数の白蛇が雪崩れて来たのだ。
「孫悟空兄貴!彼女は私が相手します。先に行ってください!」
正直、驚きもあった。
旅の中では戦力の数には殆どなれなかった沙悟浄。
けれど誰よりも正義感が強かった。
たまに見せる予想外れの行動力には驚かされる事もあり、イザって時には何かやらかして危機的状況からひっくり返す道を作ってくれた事もある。
それが今、俺様が安心して戦いを任せられるまでに成長していた事に、兄貴弟子として嬉しくあった。
「任せたぜ?沙悟浄!」
同時に沙悟浄は印を結ぶと向かって来る白蛇の濁流に向けて大地に指差して叫んだ。
「地割れの落とし穴!」
足下から大地が裂けて無数の白蛇が奈落の底へと落下していく。
そして飛び上がった俺様と百獣王は白蛇の巫女を擦り抜けて先に迎えたのだ。
「行かせません!」
妨害をしようとする白蛇の巫女の道を塞いだのは突風の壁だった。
「吹き荒れろ、芭蕉扇!」
それは沙悟浄と残った鉄扇だった。
今、白蛇の巫女に沙悟浄と鉄扇が挑む!
俺様達の戦いはこれからだぜ!
次回予告
覇王の側近にして覇王を導いて来た者
白蛇の巫女
その脅威に沙悟浄と鉄扇が戦う!




