本物?偽物?漆黒の美猴王!?
万聖龍王の救援?
その者は存在しないはずの者だった。
俺は万聖龍王
俺と夜刀ノ神の戦いに割って入ったのは、かつて地上界を戦乱に巻き込んだ伝説の大魔王。
美猴王だった。
しかしそれでは孫悟空は?
美猴王は四凶と呼ばれる四体の邪悪な聖獣を取り込み、融合変化したのだ。
漆黒の禍々しい四凶の鎧を身に纏い、凄まじい覇気を放ちながら君臨したのだ。
その力は覇蛇へと進化した夜刀ノ覇蛇に匹敵した。
「如意破天棒!」
孫悟空の如意棒に酷似した漆黒の棒。
破壊力も能力も同じ。
「伸びやがれぇーーー!」
向かって伸びて来る如意破天棒を剣で弾いた夜刀ノ覇蛇は擦り抜けるように間合いに入り込み、美猴王の腹部を横一閃に斬る。
「うぬ?」
しかし斬られた美猴王は煙の如く消えた?
分身だったのだ。
「俺様の分身術はどうだい?」
すると周りには百体の分身が現れ夜刀ノ覇蛇を見下ろしていた。
そして一斉に襲いかかる。
「分身如きで小賢しいわ!」
夜刀ノ覇蛇から発する攻撃的な覇気が黒き雷撃のように迫る美猴王の分身達を消し去っていく。
「!!」
そこに本体が突っ込み如意破天棒で殴り付けて来る。
怒涛の攻撃を受け止める夜刀ノ覇蛇は新たな敵の存在に戦いの本能が疼く。
「どうやらお前は俺と同じ匂いがする。血に飢えた野性の本能の権化みたいな奴だ!」
「俺様をそう讃えるなよ?お前を殺しづらくなるだろ?でも殺すがな!」
「気にするな。俺もオマエを八つ裂きにしたくて疼いて止まらねぇよ!」
互いの黒が衝突し合う。
俺から見てもどちらが正義とか分からん。
それほど禍々しい力のぶつかり合いだったから。
「しかしどっちが勝つんだ?」
本能的にどっちが勝っても嫌な予感しかない。
「俺は略奪し、支配する者!キサマのような何処ぞの下等種に阻む事は出来ん!
ウォおおおおおおおおおおおお!!」
夜刀ノ覇蛇の足下から闇が噴き出して一帯を覆っていく。
これは障気?強い怨念が濃く深く凝縮したような気味の悪い気だった。
そしてこの中では圧し潰されたかのように身体が重みで耐えられなくなる。
「俺の闇の中で掌握させてやる!」
片腕を差し出して掌をゆっくりと握ると、闇が狭まり中にいる美猴王を球体の中へと覆い隠す。
「こんちくしょ~」
そのまま闇の球の中に閉じ込め押し潰す。
このまま勝負が付いてしまうのか?
「ケッ!」
それは美猴王の声?
闇の球体の中から確かに聞こえた声。
まだ死んでいなかったのか?
それどころか闇の収縮が逆に広がっていくのだ。
「俺様を誰だと思ってやがる?俺様は不可能を可能にして世界を変える唯一無比の大魔王!俺様に出来ない事はねぇーー!」
すると中から闇を吸い込み始めたのだ。
「お、俺の?闇の力を喰らってやがるのか?何て出鱈目な奴だ!!」
それには夜刀ノ覇蛇も驚愕していた。
「げふっ!オマエの狂気いただいたぜ?だが俺様の怨念を満たすには足りねぇな?」
美猴王は如意破天棒を上段で両手で構えて言った。
「俺様は地上を再び手に入れ天界を滅ぼす。そして俺様に成り代わって俺様の義兄弟を騙し、奪った偽りの野郎をこの手でブチ殺す!」
それは、孫悟空の事を言っているのか?
俺は正直、美猴王も孫悟空も特に知った仲じゃない。
しかし?
今の孫悟空が偽物だと言うのか?
それとも目の前にいる美猴王が偽りを?
少なくとも嘘を唱えているようには見えなかった。
けれど、気になるわ〜!
美猴王は禍々しい妖気を全身から漂わせていた。
「オマエは俺様の糧となれ!」
すると一気に飛び出し夜刀ノ覇蛇の間合いに入り如意破天棒を突き出す。
「うぐぬ!」
辛うじて躱すも、第二第三の突きが迫る。
「俺は負けん!俺は日の国の王だからだ!対して俺は日乃本を拠点に世界の王となる男なのだぁ!」
対して美猴王は言い返す。
「なら俺様は天上天下唯我独尊だぁーー!」
それは天と地で自分が一番と言う意味。
何て傲慢な!何てふてぶてしい!
これが美猴王なのか?
突き出す如意破天棒が夜刀ノ覇蛇の防御を擦り抜けて下顎に直撃すると、すかさず棒を振り下ろして脳天から叩き割る。
「ぐぅはぁ!」
堪らずに仰け反りながら後退する夜刀ノ覇蛇の眼前に美猴王が迫ると、
「俺様に喧嘩売った地点でお前は地獄逝きだ!」
その顔面を掴んで持ち上げる。
「は、離せ!この俺に向かって?この俺を!」
「黙れよ?」
美猴王は顔面を掴んだ手から妖気を放った。
「つぎゃああああ!」
内部から全身を焦がす容赦ない攻撃。
そして圧倒的な力。
「これが真の美猴王様だぜ!」
すると掴んだ腕とは別の腕で、つる下げた夜刀ノ覇蛇の心臓を貫いたのだ。
「お前の力!お前の怨恨!俺様が頂戴するぜ?」
だが、
「腐っても俺は王!只では死なん。いや!死ぬのはオマエの方だ!」
夜刀ノ覇蛇は両腕を広げると、美猴王の顔面を挟むように押さえつける。
「このまま潰してやるぞぉおおお!」
「悪ぃ〜先に潰すわ」
「えっ?」
美猴王は躊躇なく夜刀ノ覇蛇の掴んだ心臓を握り潰すと、その手から広がる妖気が夜刀ノ覇蛇の身体を覆い包み隠すと、
「オマエは俺様が貰ってやるぜ?」
「うぎゃああぁァァ・・・」
夜刀ノ覇蛇は美猴王の身体へと吸収され取り込まれたのだ。
すると美猴王の腕には漆黒の籠手が現る。
「俺様は夜刀の籠手を手に入れレベルアップした。ウキキ!」
完全な勝利だった。
しかし俺は全然、喜べなかった。
何故なら?
「次はオマエか?なぁ?龍神のオマエ!」
「!!」
美猴王は俺を見るなり、近付いて来たからだ。
警戒する俺は、まだ戦える状態でなかった。
それでも、やっぱり戦うしかないのか?
恐らく、渾身の拳を一発撃つ事が精一杯。
緊張が走る。
「!!」
しかし美猴王は俺の横を通り過ぎたのだ。
振り返る俺に美猴王は言った。
「な〜んてな?オマエから蛟魔王の臭いがする。俺様は義兄弟のダチには手を出さねぇよ」
そして、振り返って言う。
「そうそう!俺様の事は誰にも言うなよ?俺様は時が来たらまた現れるからよ。それまでのサプライズぶち壊すなら容赦しねぇぜ」
その目は脅しだった。
俺は頷くと、美猴王はその場から消えていた。
命拾いしたのか?俺は?
俺は一息つくと、
「そうだった。忘れちゃなんねぇな」
俺は手に力を籠めると大槍が出現し、目に見える蛇神の塔目掛けて放り投げたのだ。
閃光とともに大槍は塔を貫き、光とともに消滅した。
これでもう、蛇神は作り出せなくなった。
「俺の仕事は終わったな〜ヤレヤレ」
俺は一人この地に残り、破壊された塔から既に作られた蛇神兵達を見回す。
だ〜めだ!数えきれないわ〜
まるで蛇神兵が蟻のようだよ。
持ち堪えられるかな?
「ん?」
そこに遅れて天から飛行雲に乗った天界軍が援軍に現れたのだ。
これはこれは。
「遅いよ〜」
そして蛇神兵を作り出していた全ての塔は破壊された。
つまり残存する蛇神兵を倒しさえすれば後は頭を倒せば終わるのだ。
まぁ〜それが一番厄介なんだがな。
しかし今頃、その戦いは繰り広げられている。
中央に存在する覇王の要塞でな。
次回予告
ついに覇王の要塞に乗り込んだ孫悟空達。
しかし覇王を倒す前に残る幹部との戦いが残っていた。
最初に阻む敵は?挑む者は?




