万聖龍王の禁断の奥の手!
徳叉迦が命を落としてまで託した
万聖龍王は夜刀ノ神を倒せるのか?
俺は万聖龍王!
徳叉迦が命を落としてまで夜刀ノ神の魔眼を潰してくれた。
そして俺なんかに託したんだ。
「オマエをぶっ殺してやる!」
俺は大槍を突き出し攻撃を仕掛ける。
「ヌルいわ!」
夜刀ノ神は漆黒の剣で受け流し俺の眼前に剣が迫る。
反射とともに躱して振り回すように大槍で叩きつけるが、片足で押さえるように受け止められる。
「そんな大層な大槍では俺に触れる事は出来ん」
確かに大槍だと予備動作が大きく、突くのは良いが躱された後の対処が遅れてしまう。
「思いやりの分からないやっちゃな〜」
俺は大槍を引き、地面に突きつけると大地が陥没して夜刀ノ神の体勢を崩すと後方に飛び退いた。
「この大槍は俺の力を受けて成長すんだぞ!」
俺の龍気が注ぎ込まれると、大槍が光り輝き形を変えていく。
そして出来上がったのは剣だった。
「万聖光龍剣」
振り払う剣は俺の力を吸い破壊力を増す。
そもそもこの俺の武器は俺の能力を封じ込めるために渡された宝具だった。
俺の能力は黄龍王の血より与えられた過剰なほどの再生力。
しかし再生力も度が過ぎると限界を超えて身を滅ぼしてしまうのだ。
だから与えられたのは龍神の谷に生えた滅びの枝であった。
その枝は俺の再生の力を養分として成長し、大槍となった。
そして更に俺の意思に従って聖なる剣へと変形したのである。
「力任せに振るう大槍と違って剣術は苦手だったけど。まぁ〜そこそこ仕込まれていたから使い物にはなると思うぜ!」
その踏み込みは一瞬で夜刀ノ神の間合いに入り込み、振り払われた。
白き閃光の刃!
しかし夜刀ノ神も剣技には長けていた。
日本国と呼ばれる小国を力で支配した蛇神の王。
その国では独特な剣技が盛んだった。
無駄のない突き出しと軽い振り。
予備動作を最小限にした構えから踏み込まれる剣さばきに俺は受け流す事で精一杯だった。
魔眼の能力だけじゃないのな。
「やっぱ強いな!」
それでも負けるわけにはいかないのさ。
修練を思い出す。
俺に戦い方を教えてくれたのは八大龍王の徳叉迦と九頭龍王。俺が人間から龍神になった半端者だった
事で周りから嫌悪されていたのに、何故か俺の世話を焼いてくれたのだ。
まるで兄貴のような奴ら。
呼吸を吸い、吐き出すと龍気が噴き出す!
その時、俺のイメージは徳叉迦と九頭龍の動きと被る。
まるで自分に乗り移ったかのように。
剣を前にして構え、ゆっくりと剣先を夜刀ノ神に向けると、
「いざっ!参る!」
「返り討ちにしてやろう!」
飛び込むと同時に俺と夜刀ノ神は中心で衝突し、連撃が繰り出される。
互いの身体を斬り、斬られる。
その感触を受けても相手を討ち取る事だけに意識を集中させる。
確実に倒す戦い!
俺の剣から光る白きオーラは「再生付加」の力が込められ、夜刀ノ神の剣を覆うオーラには黒い消滅の障気が籠められていた。
「ツォおおおおお!」
繰り出した一撃は弾かれ、夜刀ノ神が俺の胸に剣を突き立てた。
「ごふっ!」
吐血して顔を伏せた俺に夜刀ノ剣が勝利を確信した。
「どうやら俺の方が優れていたようだぞ?」
すると、その時気付いたのだ。
突き刺した剣が抜けない事に?
「オマエは俺の餌に釣られたんだよ!」
俺の剣先から糸のような白い光が噴き出して夜刀ノ神に絡みついたのだ。
「俺の剣は俺の意思が形になったモノ。こんなんは剣術じゃないと師匠達には怒られちまうが、俺は剣士でもなければ戦士でもねぇ。愛の為に戦う喧嘩の強い漁師なんだよぉー!」
俺は残った剣の柄に「再生負荷」を籠めると、白い糸が散らばりなが夜刀ノ神の身体に絡みつき締め付ける。しかも俺の力を吸った糸はそう簡単には~
「うごぉおおおおおお!」
力任せで引き千切ればしねぇよ!
「再生負荷・糸剣壊浄!」
その糸は剣の刃、纏われるは過剰な再生の負荷による破壊。
振り払われたと同時に夜刀ノ神の身体を細切れに切断したのだ。
俺は見事に夜刀ノ神を討ち取ったのだった。
「ふぅ〜後は塔を壊して終わりっと!」
俺は塔を見上げたその時、
「ゴフッ!」
俺は背後から剣を突き刺された。
い、一体だ、誰に?
すると剣を突き刺した奴は背後から俺を蹴り飛ばし、転げるように倒された。
そして見上げた先に見えた者の正体は?
「な、何故?倒したはず?」
ソイツは間違いなく俺が今倒したばかりの夜刀ノ神だったのだ。
いや?しかし何か変だ?
「うググゥ、まさかコレを使う羽目になるとは思わなかった。しかし命拾いさせて貰ったぞ」
その手に持たれていたのは小さな小瓶?
その中には覇王の特別な血が入っていた。
その血を飲みし蛇神は魂と肉体を蝕まれる。
覇蛇の血に身体を作り変えられるのだ!
しかし誰もが得られる血ではない。
資質が無ければ精神を崩壊し肉体は崩壊する。
別の場所で戦っている白蛇法師達は自我を失い暴れる化け物と化した。
だが、夜刀ノ神には充分に資質はあった。
しかし今まで飲まなかったのは覇王の力を得ずに真の王になろうと考えていたから。
「死んじまったら全てが消える。俺の野望も未来もな!だが、この血を得て分かる。俺の蛇神の血が俺を更なる高みへと突き上げやがる」
死の縁から甦り覇王の血を得た夜刀ノ神は急激に力を増していく。
「俺は今から名乗ろう。夜刀ノ覇蛇と!」
大地が震える?
いや?俺が震えているのか?
この強さは輝皇覇蛇・・・それ以上か?
「くぅう」
俺は立ち上がろうとするが、刺された傷が塞がらない。
奴の破滅の力が俺の再生を邪魔しているのか?
それでも死んでないのは俺が、この俺の身体が輝皇覇蛇の器から再生した半龍半蛇だからか?
「へへへ」
俺は知っていた。
この状況をひっくり返す手段を。
それは俺の持つ黄龍の再生力ではなかった。
俺の中に残っているだろう忌まわしい血を呼び覚まし、更に対抗出来る力を手に入れる事。
その手段とは?
俺の中の輝皇覇蛇の血、覇蛇の血の活性!
しかしそれは俺を何者にしてしまうのか?
もしかしたら俺が俺で無くなるかもしれない。
それでも俺は、
「ウォおおおおおお!
蛇龍変化唯我独尊・輝皇」
全身が血蒸気が噴き出し覆われる。
俺の肉体が蝕むように蛇神化が始まっていた。
身体を蛇神の鎧が覆っていく。
それは輝皇覇蛇の纏う黄金の鎧だった。
「ふぅ〜〜〜」
そして、俺は立ち上がったのだ。
どうやら成功したようだ。
今の俺は蛇龍神ってとこだな。
まさか龍神界を滅ぼした奴の力を借りる事になるとは思わなかった。
あの厄介な不死能力こそ持たないが、間違いなく輝皇覇蛇はムカつくほど強かった。
戦う者として、その不死能力に頼らずに戦われていたら、俺達は今頃生き残ってはいなかっただろう。
俺と同じく人と龍神と蛇神の狭間の戦士。
もし生き方が違っていれば、逆になっていたかもしれないな。
だからこそ相性が良かったのかもしれない。
「よし!俺もパワーアップしたことだし、もう一度オマエを殺してやるから、かかってこいよ?」
すると夜刀ノ覇蛇は俺に言った。
「オマエ、俺の部下にならないか?同じ同郷の蛇神ならば迎えてやっても良い。オマエなら俺の右腕にしてやろう。俺はこの地の覇王のように世界を滅ぼすつもりは端から無い。俺は日の国を拠点に世界を手に入れる!俺は支配したいのだ!」
俺を勧誘しているのか?
「わりぃ〜な?俺は世界に興味はないさ。俺は乙姫さんを幸せに出来ればそれで良い。その為には世界をどうこうするようなオマエみたいの邪魔なんよ」
「交渉決裂だな!」
「最初からな!」
直後、俺と夜刀ノ覇蛇は飛び出すと同時に衝突した。
互いの力が衝撃を発散させて俺達中心に大地を削るように広がっていく。
この戦いの最中、
もう片方の蛇神の塔の戦いも熾烈を究めていた。
乙姫さん(蛟魔王)と二郎真君は同じく覇蛇の血を飲み合体し六頭の大蛇と化した白蛇法師と戦っていた。しかし既に塔を破壊された今、白蛇法師達はこの場にいる天界地上連合軍を皆殺しにする本能のみに従う化け物。
この巨大な大蛇相手に二人の攻撃は通用しない。
一本の頭を砕いても、二本三本の頭を消滅させたとしても、六本の中の一本でも残っていれば再生してしまうのだ。
「二郎真君殿、貴殿なら三本任せても良いな?」
「無論だ。ならば決着をつけるぞ!」
二人は渾身の力を籠めて武器に気を高める。
「我が三尖両刃刀よ!」
二郎真君は三尖両刃刀に、乙姫さんも、
「宝具・蛇竜金鞭!」
しかし高める気を化け物は本能的に見過ごしはしなかった。
白蛇の六本頭も同時に口から破壊の力を溜め始める。
このまま互いの力が衝突したらどちらもただでは済まないのは目に見えている。
「私の応龍の盾で受けるしかあるまいな!」
龍神界最強を誇る盾ならば受け耐える事も出来る。
しかし同時に不死の白蛇の六本頭を倒すチャンスは失われるのだ。
「ならば我々が任せて貰うぞ!真君!」
「おまえら!」
二人の後方から六人の影が飛び出すと、両手を前に出して防御壁を作り出したのだ。
彼らは二郎真君の直属の部下。
義兄弟である康・張・姚・李・郭申・直健の梅山六兄弟。
「俺達が必ず凌ぎきる!あんたは自分の仕事に集中してろ!」
「くっ、た、頼むぞ!」
梅山六兄弟のリーダー格の直健は笑みを見せて頷く。
「お前らも気合い見せろやー!」
「ぉおおお!」
直後、白蛇の六頭の破壊光線が放たれ梅山六兄弟の防御壁と衝突したのだ。
「うぐぅううう!」
耐え凌ぐ梅山六兄弟達は、二郎真君のためになら命をかけられる。
だからこそ全ての力を出し切って、そのまま力尽きたとしても必ず二郎真君が目の前の蛇神を討ち取ると信じていたからだ。
徐々に亀裂が入る防御壁。
このままでは打ち破られてしまう?
それでも二郎真君は神気を高める事にのみ集中していた。
仲間達を信じていたから。
「お前の頑なな信頼に私も乗っからせて貰うよ」
乙姫さんも龍気を高める事に集中する。
「耐えろぉー!俺達は兄貴を守る盾!盾がしっかりしなけれりゃ兄貴のパーフォーマンスが錆び付くぜ!そうだろ?」
「そりゃそうさ!」
梅山六兄弟達の絆が破壊寸前の盾にさらなる力が籠もり、強化されていく。
そしてついに!
「今だぁーー!」
六頭の白蛇の吐き出した破壊光線を凌ぎきったのだ。
同時に防御の盾が粉々になって消えて行くと同時に二郎真君と乙姫さんは飛び出していた。
力尽き倒れていく梅山六兄弟に向かって、
「後は任せろぉー!」
そして溜め込んだ力をぶつけたのだ。
「くらええええええええ!」
二人の放った攻撃は六頭の白蛇の頭を消滅させていく。
一頭、二頭・・・そして最後の六頭を!
やっ、やった!
誰もがそう思った。
しかし六本の頭を失っても身体がまだ動き出していたのだ?
すると六頭を支える胴体が新たな頭となって!
「まさか!もう一頭あったと言うのか!?」
しかし二人は既に体力を使い果たしていた。
もう一度攻撃を仕掛けられる余裕はなかった。
化け物の胴体から再び消滅した六本の頭が再生しようとしているのだ。
あの頭が再生し終われば、再び暴れまわり対応出来なくなる。
このままでは・・・
その時、この一帯が突如熱帯のように暑くなった。
「な、なんだ!?」
見上げる二郎真君は上空に燃え上がる巨大な業火が急降下している事に気付いたのだ。
そして再生していく白蛇の六頭に直撃すると業火が火柱となって覆ったのだ。
しかもその炎は蛇神の持つ驚異的な再生を許さなかった。
そして徐々に身体を蝕みながら消滅させたのだ。
すると骸の上に人影が見えた。
炎と共に現れ手助けした者か?
「お前、死んだと聞いていたが?」
乙姫さんの問いに人影の者は素直に答える。
「忘れたかい?私は不死の王だって事をね!」
その者は炎を全身に纏いし大魔王。
かつて乙姫さんとも義兄弟の契を交わした、
混天大聖・鵬魔王であった!
どうやら後は俺の戦いが肝心のようだな。
次回予告
万聖龍王は夜刀ノ神の一騎打ち!
勝者はどっちだ?




