蛇神製造の塔を破壊せよ!
覇王討伐に向かった孫悟空達。
しかし蛇神軍の進撃も止めなければならなかった。
俺様は孫悟空。
覇王討伐に地上軍総がかりで蛇神軍と戦争の真っ只中だった。
地上軍を指揮しているのは闘神ナタク。
ナタクは覇王との戦いで両腕を失い、戦闘には参加してはいなかったが、
その軍師としての才で地上の軍を率いる。
数では完全に勝ち目はなかった。
ナタクが戻って来た時には全滅寸前だった。
それでも堪えていられるのはナタクの手腕。
「右前方から二万の蛇神。飛行部隊!上空より砲弾急げ!」
ナタクの指示に指揮補佐の呪術師が仲間の兵に向けて念波で伝令を送る。
すると無数の飛行雲が飛び出して上空より蛇神の軍に向けて攻撃を放つ。
雷撃、炎撃、水撃、風撃。
まるで天変地異のような攻撃の雨が降る。
戦場は荒野と化す。
攻撃が止み、新たな蛇神達が地面から這い出て来て来ると、待ち構えていた地上の部隊が突入する。
その中には玄徳の姿もあった。
例え数で敵わなくともナタクを中心に戦場は持ち堪えていたのだ。
「まだか・・・」
「ナタク殿、南方の蛇神の塔には既に我が軍二千を向かわせています。間もなく柱を破壊し蛇神共の供給を止められるはずです!」
現在、この覇王の要塞を中心に南方と北方から無数の蛇神の大軍が押し寄せて来ていたのだ。
それは南方と北方に存在する蛇神の塔から蛇神が無限に作られ増殖しているのだと言う。
本来なら蛇神兵を産み出すのは雌の蛇神の役目。
真蛇王エキドナが任されていた。
しかしナタク達に討伐されたエキドナの代わりに、その屍を使った呪術で白蛇の巫女が塔を使い、蛇神兵を産み出し・・・作り出しているのだ。
そう。今、俺様達が戦っている蛇神兵は全て作られた兵隊。
その意思は無く、命じられた事だけに動く屍のようなもの。
蛇神以外の地上に生きる全ての生命を根絶やしにするために襲い掛かって来ているのだ。
「有象無象如きにこれほど手を焼くとは」
確かに意思のない蛇神は、戦闘技術も策を練って来る事は無かったが、恐怖といった感情がない分、怯みもしないし撤退もしない。本能のみで襲い掛かって来るのである。
「とにかく塔を破壊し供給を止める事が先決」
戦場は塔のある場所へ
蛇神の塔に差し向けた地上の軍隊は既に殲滅されていた。
「人形も操る頭がいれば使いよう」
それは白蛇法師と呼ばれる白蛇の巫女直属の側近。
この塔の番人として任されていたのだ。
「ん!?」
すると何かしらの気配を感じて警戒する。
「何かが近付いて来ているな?強い力だ。それもかなりの使い手と見た」
白蛇法師は近付いて来る者の気配を感知して居場所を把握していたが、その気配が突如消えたのだ。
「!!」
悪寒がした。
近付いて来た何者かは突然姿も気配も消えたかと思うと、頭上から飛び出して来たのだ。
「ハァーーー!」
しかし白蛇法師も殺気に気付いて姿が消える?
同時に接近して来た者の拳が地面を砕き爆音と共に地面が陥没したのだ。
「ほぉ〜?よく避けたね?どうやら簡単に仕事を済ませそうになさそうだ」
それは塔を破壊しに来た蛟魔王だった。
蛟魔王は自分の接近を悟られたと知り、空間移動術で白蛇法師の頭上へと転移して来たのだ。
ちなみに空間移動術にも二パターンあってだな?
遠距離と近距離の転移が存在する。
そもそも空間転移なんて反則な術はそう容易く出来るもんじゃない。
だから蛟魔王も前以て作っていた術札を使い空間と空間を繋げている。
今も先に札を視界で捉えた白蛇法師に向かって投げ、その札から転移して現れたのだ。
また遠距離には先に術札を扉となる場所に貼り付けてさえいれば、自由に移動出来るのである。
この場合はなるべく扉か穴のあるような場所の方が何かと便利らしい。
まぁ〜特殊能力的に影の一族なんかは影のある所で、感知出来る範囲なら術札も使わなくとも何処にでも移動出来る連中はまた例外なんだがな。
おっと、話しを戻すぜ?
蛟魔王の周りには今、塔から作られたばかりの無数の蛇神兵が地面から這い出て来て囲み出す。
「とんだ数だね?」
しかも蛟魔王を見下ろしている白蛇法師は一体だけでなく七体いた。
「我ら白蛇七法師なり。たった一匹で我らとこの蛇神兵を相手に攻め込むとは愚かな者よ」
「やれやれだね〜。けれど私もこの拳を奮いたくてウズウズしてたんだ。覚悟するんだね!」
龍神界を崩壊させた蛇神に、龍神族現当主の蛟魔王が奮い立つ!
そしてもう一つの塔には、もう一人の戦士が向かっていた。
「乙姫さんはもう着いた頃かな?てか出遅れちまったよ〜」
その者の名は万聖龍王。
俺様も話しに聞いただけだが、
元は人間の漁師で、黄龍王の血で特殊な力を手に入れ、蛟魔王の血で半人半龍の戦士になったらしい。
人間だった頃の名は浦島太郎?
そして龍神化した後は万聖龍王として生まれ変わったのだが、どうも昔、俺様が地上権支配を目論んでいた時に既に地上界を統べる最強級の十人の魔王の一柱だったと言う事を聞いて驚かされた。
少なくとも俺様率いる六大妖魔王に匹敵する力の持ち主だったと言う事なのだ。
しかし既に蛟魔王と因縁の戦いの末に命を落として、その魂は今まで蛟魔王の右腕に宿っていたのだが、龍神界に攻め込んで来た輝皇覇蛇が復活するに用意していた器を逆に奪って甦ったのらしい。
「あんま遅いと乙姫さんに怒られちまうな」
万聖龍王の後ろには倒した蛇神兵が束になって山積みになっていた。
これを一人で?
するとその視線の先に目的の塔が見える。
「もうちょいだな、うっ!?」
先に進もうとした万聖龍王の身体に糸が絡み合い身動きを止めたのだ。
「それ以上動くと細切れになるぞ?お前?」
すると万聖龍王を囲むように蛇神兵が現れる。
まるで気配を感じなかった。
しかも今まで戦っていた蛇神とは何か違っていた。
その蛇神兵の格好は黒装束で異文化の様。
「お前ら何者だ?蛇神には変わりないようだが?」
すると中の一人が名乗る。
「我々は夜刀の一族」
「夜刀?」
夜刀の一族とは俺様達がいる大陸とは異なる小国から現れた蛇神族。しかしその地の蛇神の王は覇蛇をも上回る力を持ち、覇王を討ち、自らが覇王になるべく現れた来訪者だった。
すると万聖龍王は塔の近くから感じる強き殺気を感じて身震いした。
「とんでもない化け物がいたようだ」
万聖龍王が感じた殺気の主こそ、黒き蛇神を統べる略奪王・夜刀ノ神であった。
「ほぉ?お前、族長の殺気を受けて平常心を保っているとは驚きだ。我が族長こそ蛇神を統べるに相応しい真の王にして略奪者よ!」
「!!」
すると万聖龍王の身体に絡み付いた糸が全身を締め付け肉に食い込む。
「相手が誰であろうと関係ねぇや!」
直後、万聖龍王から凄まじき力が解放し絡み付いていた糸を引き裂いたのだ。
「何と?」
万聖龍王は塔の近くにいる夜刀丿神の位置を把握すると、片腕をあげて龍気を籠める。
「ウォおおおおお!」
その手に大槍が出現し、離れた寄る刀ノ神に向けて放り投げたのだ!
それは宣戦布告だった。
勢いよく飛んできた大槍に夜刀ノ神はその場から動かずに指先を上げると、大地から黒い影が飛び出して来て大槍に絡み付き止めた。
「俺を楽しませたいなら、ソイツらに勝ってからにしろよ?待っていてやるぜ」
万聖龍王を囲む夜刀ノ神の部下が自分達の大将への無礼に対して怒りを露わにしていた。
「やれやれ〜面倒くさいが、やらないと先に行けないなら・・・押し通すまで!」
万聖龍王!
頼むぜ?
俺様達の戦いはこれからが正念場!
勝利は俺様達が掌握するぜ!
次回予告
蛟魔王と万聖龍王は蛇神の塔を破壊出来るのか?
万聖龍王については、
転生記シリーズ
天上天下美猴王伝説にて初登場しています。
宜しければ、そちらも愛読していただければとお願い致します。
浦島と呼ばれた男の竜宮伝説が語られています。




