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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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无面・虚運天(ムメン・キョウンテン)!

闇の帝王アンラ・マンユを相手に阿修羅はどう戦うのか?


僕は阿修羅

僕はアナーヒターの死と法子の死を被らせ、禁断の力を解放させてしまった。

それは魂と記憶を代償にした力。

二度と引き返せない。


「ウォオオオオオオオ!」


解放された力はアンラ・マンユの闇の拘束を消し去った。

それを見たアンラ・マンユは、

「ソレがオマエの限界か?」

不敵な笑みを見せるアンラ・マンユは漆黒の身体をした姿を見せる。

その姿は闇の魔神。

「見せてみよ?オマエを我に」

僕はアンラ・マンユに飛び掛かっていた。

振り下ろされた手刀は漆黒の刃となって空間を両断した。

その攻撃を指先一つで弾き反らしたアンラ・マンユの力は強大かつ底が見えない。

しかし今の僕は目の前の敵に対しての破壊に捕らわれた意思の権化。

動きも攻撃力も格段に跳ね上がり、アンラ・マンユに向かって止まぬ攻撃を繰り出していた。


「ウゴォオオオオオ!」


漆黒の炎を噴き出し、拳から覇気を射ち出す。

すかさず蹴りの猛襲は竜巻の如く、神殿が揺れ動くほどの破壊力を持ってしてもアンラ・マンユは全ての攻撃を受け流していた。

「ツマランな」

猛激を擦り抜けるように振り払われた裏拳が僕の顔面に直撃し弾き飛ばす。

血反吐しながらも弾き飛ばされた僕は身を回転させ壁を蹴り、再び飛び込み攻撃を繰り出す。

「見込み違いだったか?我が子アジダ・ハーカを上回ってはいるが、足らんな」

アンラ・マンユは指を弾くと、四方八方から闇が縄のように伸びて来て僕の四肢に絡み付き身動きを拘束させた状態で宙吊りにさせられた。

それでも抗い暴れる僕は力任せに闇の拘束を引き千切ろうとする。

「ムダだ。オマエには興醒めした」

しかしその判断は早慶だった。

僕の仮面の形が怒りの仮面に変形すると、拘束している闇を引き千切り、その拳の波動がアンラ・マンユに始めて直撃したのだ。仮面でこそ顔は見えないが、その戦い方は獣?

そう。狂戦士バーサーカーの様だった。


「ウグゥウウウ!」


アンラ・マンユは初めて受けた攻撃に傷付いた部位を見ると、腹部に焦げた痣が残っていた。


「まだ力を隠し持っていたのか?否、戦いながら徐々に段階が上がるのか?しかももう一段階残っているようだな?」


仮面の能力は確かに三段階ある。

通常の面から今の怒号の面。

そして最後の仮面が最終形態へと変形した。


无面ムメン虚運天キョウンテン


その面は無想無双の力。

己の魂を力に変える。


「!!」


飛び出した僕の拳は黒い閃光。

「!!」

アンラ・マンユは防御壁を張るが破壊される。

しかしその僅かな隙に身を立て直し防御で受け止めた。

「このワタシに手を出させるとは」

僕の破壊力のある拳にアンラ・マンユも拳と防御で対抗し、衝突の余波が神殿を震わす。


「アフラ・マズラ以外でワタシに手を出させたのはオマエが初めてだ。フゥーハァアア!」


アンラ・マンユの闇が再び広がりながら僕の身体を覆い硬直させられたが、雷の如き覇気が放たれ闇の拘束を打ち消す。

互いの拳の衝突に蹴りの肉弾戦。

互角?

しかしその戦いは長くは続かない。

僕の力は魂の限界が迫っていた。

対してアンラ・マンユは無限とも思える力が残っていて、全く削れる事がなかった。


「ソロソロカ」


アンラ・マンユは僕の魂の限界を見極めていた。

しかし僕にはもう自分が残っていなかった。

例えアンラ・マンユを倒したとしても、僕には何も残らない。

戦う意味も分からず、自分が何者さえ分からない。

自分を繋ぐ記憶はもう残っていなかった。

廃神となった僕は意思なく暴走する荒れたエネルギー体のようなもの。

力尽きれば灰となるだけ。


「ボクハ、ナニモノ?」

「ナゼタタカッテイル?」

「ナンノタメニ?」


消えかける意識は僕を僕で無くす。

「モウドウデモヨイ」

僕の力は尽きて、弾けるように身体が震えた後、完全に動きを停止した。

「ムダな時だったか」

アンラ・マンユが僕の身体を闇の触手で宙に浮かすと、跡形もなく消す。


「我が手で引導を与えてやろう。このまま塵となるが良い」


僕の身体が消滅していく。

これで何もかも終わり、僕はこの世界で無駄死にするしかなかった。

が、五感を失い何も感じなくなったはずの僕に温もりを感じたのだ。

この温もりは肉体に感じたのではなく魂が感じている?


「阿修羅、キミには帰る場所があるんでしょ?」


それは女の声だった。

誰?

一切の記憶を失った自分には分からない。

分からないはずなのに胸が揺れ動く。

忘れたはずの記憶は刻まれたものだった。


魂に刻まれた誓いの記憶!

記憶は僕に見せた。

僕が守るべき彼女の姿を!


「法子ぉーーーー!」


直後、消えかけていた僕の身体が再び闇を払い除け、そしてその場に立っていた。

その姿を見てアンラ・マンユは確信した。

「伝承の者が現れおった」

そして再び掌に凝縮した闇を籠め始める。

この空間の闇が一点に集まり、

「これでも生きていられるか?」

放たれた闇の破壊波は僕に直撃した。


「!!」


しかし闇は僕の身体を覆う力に弾かれる。

そして見開く僕の瞳は輝いていた。

金色に輝く魔眼の覚醒。

同時に失われたはずの記憶が流れ込むように僕の中へと戻って来るのが分かる。



「僕は阿修羅、法子を守る者!」



その戦いを見ていたまた別の存在が呟く。

「伝承にある救世の魔眼を持ちし者の出現」

その者は僕とアンラ・マンユの前に姿を現し、そして僕に掌を向ける。

「!!」

すると僕の金色の魔眼が収まり消えた。


「もう良いです。両者鎮まりなさい」


その者の事は知っていた。

光の最高神アフラ・マズラ?

そして僕の目の前に光と闇の最高神が揃う。


「アシュラよ。我々は待っていました」

「えっ?」


今、僕がこの世界に来た意味を知る事になる。


僕の戦いは終わらない

次回予告


阿修羅の前に光と闇の最高神が?


この状況は何を意味するのか?

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