時をかける法子?そこで、再会はばったり危険??
果心居士を追いかけて来た場所で会った男の名は?
通りすがりのゲンさん?
この者は一体??
私は法子。
私は果心居士を追って空中に出来た穴に飛び込んだの。そこで揉み合いになった挙げ句、私は放り出されて何処だか解らない場所にいたの。
そこで私が落下した場所が見知らぬ男性の上だったのだけど、ちょっと下敷きにしただけなのに私の事を…
「おぃ?しょんべん臭いお嬢ちゃん?ここは危険だぜ?さっさと立ち去りな!」
「はい?誰に言ってるのよ?私が誰か知らないの?」
「しょんべん臭いお嬢ちゃんだろ?」
「くぁああ!あんたムカつくわ!」
私は上段蹴りで、彼の側頭部を狙ったのだけど、
「!!」
軽くいなされたの?
この男、強いわ!
「俺はよ~?あんまり遊んでる暇ないわけよ?つまりな?この辺りは…」
男は上を見上げると、ヤレヤレと髪を掻く。
「どうやら手遅れのようだな?現れたぜ?カミシニが!」
えっ?カミシニ?
今、カミシニって言った?
まさか信長!!
するとビルの屋上より私達を獲物とした何かが急降下して来たの!
あれ?
だけど、そのカミシニは私の知るような鎧姿でもなく、信長でもなかったの?
それは背中に蝙蝠のような羽根を生やした人型の化け物だった。
だけど、感じる!
あの化け物からは確かに嫌な感じ?カミシニの発する嫌な感じがする?
まさか果心居士が新たなカミシニを作り出したって事?
私は術札を手に戦おうとしたけれど、私の前にあの口の悪い男が前に出る。
「お嬢ちゃんは退いてな?ここは、俺…ん?」
私は彼の背中を踏み台にして飛び上がると、術札に念を籠めて化け物に投げつけたの。
「太陽術札・爆!」
札は化け物に貼り付くと同時に爆発して、化け物は消滅したの。
「ひゅ~ヤるね?」
男は拍手しながら私に関心を持つ。
「いやいや驚いたぜ?お嬢ちゃん?お前、その格好から見て陰陽師か?」
私はボロボロの陰陽師の格好をしていたの。
「それが何よ?あんたは密教僧よね?総本山から来たの?」
「ナヌ?総本山だと?」
突然、男は青ざめた顔になって、
「あはは…お前、総本山のもんか?そっか、そっか、あはは…じゃあ、そういうわけで?じゃあな?」
男は突然、私の前から走り出して逃げたの。
キョトンと見ていた私は呆気にとられてしまった。
「何なのよ?」
と、そこに?
「君は何者だ!」
えっ?
私に向かって呼ぶ人がいたの。
私が振り向くと、そこには私と同じ陰陽師の格好をした髪の長い男性が…
ん?あれ?
「えぇええええ?」
と、何やら解らない場所で私が混乱している頃?
私が消えた後の富士山頂では、座主様の命令で現れた守護者が到着していたの。
「ふぅ~」
その最後の守護者は金色の髪を靡かせた美しい女性。
でも、その頭上には人には無いはずの角が?
その角はまるで…
「龍止結晶」
守護者の発する特殊な気から発するオーラが、富士山の噴火を鎮め、元の姿へと戻していく。
「龍脈を戻して、それから?えっと?後は崩壊した場所を安定させ元通りにするのよね?」
それは私と同い年くらいの女の子?
彼女の言う通り確かに失われた雪は消えたけど、富士山の原型は元に戻っていく。こんな人間離れした事が出来るこの娘は何者?
すると、彼女の前に四人の若者が膝をつき述べる。
「結界完了です。慌てずとも俺達がカバーするよ?」
「でもよ!土地を記憶通りに戻す作業はマジに大変だったぜ?」
「まぁ、こんな事が出来るのも貴女がいてこそ」
「黄龍の巫女よ!」
黄龍の巫女?それが彼らの主なの?
「皆、ありがとうね?私一人じゃ何も出来ないし、解らないから…でも、晴明さんが私が来るまで堪えてくれたお陰ね?」
場所は総本山に代わる。
そこでは晴明師匠が緊急治療の後にて完全安静にされていたの。
「まさか晴明がここまで衰弱させられるとはな…」
それは座主様。
座主様は晴明師匠が眠りから覚めない事に自分自身への苛立ちがあった。いや、原因は他にもあるのだけどね。
「法子が果心居士の作った時限の穴に消えて、もう一月が経つのか…」
一月??
そんなに経ってたの?
座主様の前には田村磨呂さんと仁王さんが控えている。そこに義経さんが座主様に一枚の手紙を渡す。
「これが晴明が意識を無くす前に託した手紙か?」
「はい。解読に手こずりましたが、確かに彼の名前が記されてました」
「それで着いたのか?」
そこに恵さんが一人の少年を連れて来たの?
学ラン姿の彼は…
えっ?嘘?
えぇええええ?
「お久しぶりです。座主様!私も漸く動けるようになりましたよ!」
彼は…
聖 太子君?
聖徳太子の転生者で、ヒュプノス神によって私の目の前で殺されたはずなのに?
「いや~復帰早々とんでもない事になってますね?」
太子君は、ヒュプノス神によって確かに木端微塵に消滅したの。
だけど、太子君は死ぬ間際に自分の魂を眠っている肉体へと飛ばしたの!
その肉体とは?
蘇我入鹿によって奪われていた転生前の自分自身の肉体の中へ。蘇我入鹿の魂は既に消滅していたから、この肉体は空になっていたの。その肉体に入った太子君だったけれど、直ぐには魂が定着出来ずに、現世でリハビリ生活していたって言うの。
これ、私が聞いたら涙流しながら首を絞めるわよ?
絶対!
「で、私の仕事とは何ですか?座主様?」
「そうだったな?なら命ずる。百輝夜行の聖 太子よ!今より晴明の夢に入り込み、渾身状態の晴明を呼び起こすのだ!」
「解りました!」
太子君は掌を合わせると晴明師匠の中へと魂を送り、そして夢の中へと入り込んでいく。
リアルの太子君は夢の中の状況を喋り始める。
夢の中では?
それは晴明師匠の過去を見ていたの。
過去を?
そして再び私の話に戻すわよ?
私は自分を呼んだ陰陽師の格好をした髪の長い男性を見て驚いたの!
「晴明師匠!?」
その男性は私の知る晴明師匠よりも、滅茶苦茶若かったけど、間違いなく晴明師匠だったの?
「君は誰だい?私を知っているのか?私は君を知らないが、その姿は間違いなく私の流派の陰陽師だね?」
「えっと?私は法子です!」
えっと?この人、晴明師匠ですよね?若いけど?どうなってるのかしら?
「とにかく君を連行する。ここには部外者は入ってはならない!」
えっ?連行?
それは無理!却下!
私はたまらずにダッシュで逃げ出したの!
「待ちなさい!」
追いかけようとする晴明師匠だったけれど、そこに一般市民の叫び声が?
「きゃああああ!」
「結界に取り残された市民か?カミシニに襲われている?総本山から渡された太陽神の術札を試すか…」
私はダッシュで逃げながら走り回る。
ここは何処?
街中?都会?
でも、人がいないわ?
私はコンビニに入り込むと、雑誌を読む。
「今日の私の占いは?」
大吉でした。
恋愛運、勉強運、健康運も良好みたいね?
「………」
違うでしょ!私!
私は雑誌から今の年月を読むと、今度はマジに驚いたの。
嘘だよね?
「私が産まれる前?」
正確には私の産まれる二年前の時代?
私って…
「タイムループしてしまったの~??」
じゃあ、やっぱりさっきのは晴明師匠よね?
で、ここは?
私はコンビニから出て、街中を見渡して把握する。
新宿
「私、パニックだわ…」
と、その時?
突然悪寒がしたの!
私は本能的に気配を消してコンビニの壁の隙間に隠れると、何かとんでもない存在感のした方向を覗きこんだの。
そこにはタキシード姿の男性にゴスロリ姿の赤髪の女の子、またホスト風の赤髪の男性に、それにワイシャツ姿のリーダー格の人?
人?じゃないわ…
私には解る。
あの人達はカミシニだわ!
それも、計り知れない深い闇に沈むほど…得体が知れない存在感、息苦しくなるわ…
「この辺りから私の把握していないカミシニの力を感じたのだけど?」
「輪廻の勘違いじゃないかな?」
「そんなはず無いわ!」
「転生、確かに私も感じました。しかも私の純血の血を持ったカミシニの反応をね?」
「マジか?アライヴ?お前の純血の血を得たカミシニがいれば、直ぐに解るはずだがな?」
私は意識が飛びそうになって膝をつき、呼吸を整える。すると彼らはその場から消えていたの?
「…何者だったの?」
私は再び立ち上がると、私は異様な力を感じたの。
それはカミシニとは違う呪術者の作った結界?
そこで私は見付ける。
「近くに果心居士がいるわ!」
新宿アルタ前の屋上に結界が張られている。それはカミシニにも察知されない特殊な結界。
果心居士がいた。
「まさか…再び、この時代に来てしまうとは…危なくカミシニの王達に、私の傑作である信長を奪われる所じゃったわい…」
果心居士は拳を壁に叩き付けて悔しがっていた。
「あの小娘!せっかくの儂の計画を邪魔しよって…じゃが、まだ終わってはおらぬ。この時代には神の転生者連中がいたはずじゃ!奴らからエネルギーを奪いさえすれば、再び時限の穴を開く事も可能じゃ!諦めぬ…後、少しなんじゃ!諦めてなるものか!」
そこに気配が?
「信長か?目覚めたようじゃのう?」
「果心居士よ?どうして小娘の始末を邪魔した?」
「安心せい?その小娘は直に会えるぞぃ?今度は止めはせぬ。殺して構わん!」
「……なら、良い」
信長は背を向けると、新宿アルタの屋上から飛び降りたの。
その目的は?
「降りかかる火の粉が炎に代わる前に、あの小娘を始末する!」
そして私は、
この時代で、とんでもない戦争が行われている事に気付く事になる。
カミシニの王率いる軍と、ヤオヨローズと呼ばれる神の転生者の軍が戦争をおっ始めている最中に私が来てしまった事に?
そんなこんな。
次回予告
じつは、この時代の話は第二部の「神を導きし救世主」にて描かれた物語。
ご興味あれば覗いてくださると、いろいろな謎と舞台裏が解ります。
そして、次話で法子に待ち構えているのは?




