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隔世異伝・転生記~神を導きし救世主~  作者: 河童王子
女子高生蛇神討伐編~黄金の瞳編~
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唯我蓮華~難境~

捲簾は果心居士と共に過去の平行世界へ戻る手立てを探っていた。


私は捲簾。

私は妻子を日本に残して果心居士と中国遺跡にて並行世界の過去へと渡れる手段を探していた。

今、サラと沙悟浄は人間達の村に身を隠すようにして生活していた。

河童の沙悟浄は妖怪と人間のハーフのため、水で濡らさなければ普段は人間と変わらない姿をしているから安心だった。


人として生きてさえいれば・・・


しかし河童達は私達を許してはいなかったのだ。

追手を全て殺され、怒り狂い、逃亡中の私達への捜索はまだ続いていたのだ。

その犯人が果心居士だと知らずに。

万が一に備えて私が戻るまでは決して川や湖の傍には近寄らないように注意がけしていた。

だから山奥の村を選んだ。


場所は変わる。

霧に覆われ立ち入る事が不可能な大沼地。

ここは河童の潜む水洞湖の社。

そこに全日本の河童達が集っていた。


「我々は人間達に手を出す事は禁じられていた。

しかしそれは我らが臆病だからではない。人間など相手ではないからだ」


河童水王の言葉に河童達は奮起する。

河童にも種類は様々だった。


従来の河童の他に、猿に似た獣河童。

こけし人形のような形の河童。

四足歩行の河童等。

その河童達が動き出したのだ。

サラと沙悟浄に向けて!


丑三つ時の寝静まる頃、河童の大群が押し寄せるように人間の村に攻め込んだ。

突然の襲撃に人間達はなすすべなく襲われた。

しかしそこにサラと沙悟浄は居なかった。

何故なら二人は人間の村から外れた場所に小屋を作り生活をしていたから。

次の朝、サラは村に起きた惨劇を知って見て脅える。

自分達を追って来た河童の襲撃に。

しかし人間達も黙ってはいなかった。

近くの村から武器を手にした人間達が集い、次の河童の襲撃に対して交戦状態となったのだ。

松明が深夜に照らされ人間と河童の戦争が起こってしまった。

その戦いは数日続いた。

両者共に疲弊していく中、この戦争の発端になったのが移住して来た親子だと知った人間達は解決策を講じたのだ。

「あの親子を生贄にして化け物を鎮めようではないか!」

そして人間達は集団でサラと沙悟浄のもとに向かう。



再び場所は変わる。



まだサラと沙悟浄の身に起きている状況を何も知らない私は果心居士と共に遺跡の調査から時を渡るための手段の手掛かりを見付けた所だった。

しかしその手段に私は愕然として膝をつく。

「まさか・・・そのような人道外れる事が許されると思っているのか?」

私の言葉に果心居士は無言だった。


私達が遺跡から知り得た事、それは・・・


先ずこの遺跡を使い並行世界の過去に渡る事は可能だと言う。

それは確かに吉報だった。

しかしその為には多くのエネルギーが必要だと分かった。

そのエネルギーに必要なのは魂・・・

死者の魂をエネルギーに変換し時を渡る舟。

それがこの「ノアの方舟」の正体。

その数は数千万魂。


「無理だ・・・そのような事をすれば使われた魂は消耗し二度と転生出来なくなる。つまり無になると同意。私には出来ない!」


他のエネルギー変換も考えたが、全て無駄。

この遺跡を作り上げた者は何と邪悪な存在なのだ。

その夜、絶望を抱き私は床につく。

もうここで諦めサラと沙悟浄のもとに帰り、何事もなかった事にして余生を送るのも良いかもしれない。何せ、今私が置かれている状況は何もかもが不可能なのだから。

「なぁあ!?」

諦めかけたその直後、突如遺跡が揺れ動く?

これは地震なのか?

それとも?

「!!」

その時、地震とともに遺跡全体から障気が立ち込めて禍々しい力を感じたのだ。

しかもその数は計り知れない程の!

「この遺跡に何が起きたと言うのだ!?」

が、心当たりは一人しかいなかった。

果心居士が何か遺跡を使って行動したに違いない。


その直後、私がいた部屋の奥の通路から何かが押し寄せるように向かって来たのだ。

それは障気が濁流となって私を飲み込む。

「うぐぅ!」

私は上下分からない状態で濁流に飲み込まれながら身を立て直し濁流の中を泳ぐ。

そして障気の水面から顔を上げて息を吸う。

「ぷはぁ〜!」

が、そんな私を再び引きずり込むような強い力が私の身体に絡み付き重くのしかかる。

私を掴む幾つもの腕が私の頭を押さえ込むように濁流の中に沈めたのだ。

こ、このまま沈められてたまるものか!

私の気が高まり、


「カァアアアアア!」


有りったけの力を解放させ障気の濁流を消し去った。

すると今度は壁や天井、床に飛び散った障気が新たな影となって起き上がる。

「死霊か?」

しかも徐々に形を作り上げて人型となり私に向かって襲い掛かって来たのである。

「閃光河童手裏剣!」

咄嗟に頭上に籠めた気が閃光を放ち飛び散り手裏剣のように悪霊を消し去っていく。

しかし私は完全に閉じ込められた。

私がいるのは遺跡の中心。

そして悪霊は遺跡全体に広がるように増殖していく。

この悪霊は何処から?

今、この遺跡の上空は暗雲に覆われ、遺跡に向かって吸い込まれていた。


「遺跡がこの大陸の悪霊を引き寄せていると言うのか?」


同時にその現況と理由が分かった。

この全ては果心居士が「ノアの方舟」を起動させるために遺跡の力を使い行っている事に。

果心居士は悪霊の魂を使い方舟を起動させるつもりなのだな!

しかし悪霊と言えど元は生きた人間。

その魂は本来時間をかけて浄化され再び転生するもの。

ノアの方舟のエネルギーにされたなら二度と転生が叶わないのだ。


無念、怒り、悲しみ。

そう言った思念が充満していた。

恐らくこの地に踏み込んだら最後、精神が崩壊して自我を失いこの魑魅魍魎に取り込まれてしまう。

私も精神に思念のガードを固めて堪えていた。


「いつまでも耐えられはしない」


私は果心居士の居場所を探るが、悪霊の霊気が強く感知が困難だった。

それでも私は遺跡の中を駆け回り移動していくうちに、何か異質な力をも感じた。

「何だ?この震えるほどの強力な悪意は?」

恐らくその中心に果心居士がいると信じ、私は向かう。


「遅かったな?」


果心居士は私が来る事を承知でそこにいた。


「果心居士!もう止めるのだ!お前も知っているはずだ!この方舟は魂をエネルギーとする禁忌の神器。エネルギーにされた魂は二度と産まれ変わる事もなく無になるのだぞ!」

「知った事か!私はあの世界に戻らねばならない。私の愛する娘のいるあの混沌とした世界にな!」

「お前の気持ちも分かる。しかし時間をかけてでも他のエネルギーを生み出そう!」

「私は狂いそうだ。一人残して来てしまった娘の身にいつ何が起きても分からないのだぞ?私は娘の為になら鬼にも悪魔にもなってやろう!」


果心居士は遺跡に石版に気を送ると、球状のボックスが出現した。


「そしてもう手遅れだ!ノアの方舟は完成している。後はエネルギーを送り込むまで待つだけなのだからな!」

「何だと!?」


ノアの方舟は思った以上に小型だった。

恐らく一人しか使用出来ない。

そしてエネルギー補給の為には一度きりの片道切符になる事も分かる。

しかし私は止めなければならない。


「決裂だ!」


私は水術で剣を出現させると、斬りかかる。

「私の能力を忘れたのか?」

果心居士は世界を渡れる。

その能力は数通りある未来から自分の都合の良い選択をして危険回避する事が出来る。

つまり倒しても倒しても無かった事になるのです。

そして私は逆に予測の外から攻撃をくらう。

「何者も私を止められやしない。私は神をも超えるノアなのだからな!」

「うぐぅわあああ!」

私は吹き飛ばされて壁に叩き付けられた。

「見るがよい!」

ノアの方舟に向かって悪霊の魂が吸収されていき、徐々に異様な力を持ち始める。

「いよいよだな。そろそろお前の相手は出来なくなるのでな?別の者に相手になってもらう」

「何だと!?」

すると遺跡の天井の空間が歪み始める。

「この遺跡から感じた並行世界の魔物を見付けたのでな?呼び寄せてやろうと思う!」

そして空間の歪みから巨大な足が抜け出て来て、膝、下腹部、胸、腕から肩、頭部が現れた。


「うぐぅるるるる!」


そして同時に強烈な覇気が放たれたのだ!

その凄まじき力の前に果心居士ですら制御出来ないと自覚し、そして危機感を覚える。

「予想以上だ!まさかこんな化け物が現れるなんて信じられん!このままでは私共々ノアの方舟が破壊されてしまう。これは・・・い、イカンな!」

果心居士は方舟を浮かばせて立ち退こうとする。


此処で逃してはまずい。

しかしこの化け物を放ってもおけない。

どうしたら?


その時、予想外の方向から人の声がした。

「あいや〜参った。ようやく出られたと思ったら蚩尤まで抜け出てしまったわ〜」

そして私と顔が合う。


僧侶の姿をした青年だった。

そして私を見て驚くべき事を口にしたのだ。


「頭に皿?河童?沙悟浄さんと同じ?」


い、今何と?

さ、沙悟浄と言わなかったか?

この者はいったい何者?


さらに蘇った蚩尤と呼ばれる魔物。


ノアの方舟共々立ち去ろうとしている果心居士。


そして残して来たサラと沙悟浄の運命は?

次回予告


捲簾と果心居士の対立に、サラと沙悟浄の危機。


そして現れた僧侶の青年はまさか?

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